立教大学の島西智輝教授は、戦後の復興を支えた石炭産業を研究する。きっかけとなったのは、戦後初期、炭鉱の生産・人員計画が事細かに記された資料との偶然の出会いだった。当時の労働環境の劣悪さや人員不足など、「いかに大変だったか」が読み取れるという。労働集約的だった石炭産業。そこで投入された莫大な労働力はダイナミックな戦後復興を支えた。「黒いダイヤ」として重宝された時代から、衰退へと向かう流れまで、膨大な資料からその通史を眺める。
島西智輝氏:戦前、石炭の需要は主に鉄道や船舶、鉄鋼への需要が主でした。石油はまだほとんど産業用に使われておらず、石炭は非常に重要な動力源だったと言えます。
石炭は人々の日常生活においては、例えば北海道・東北では暖房用として、あるいは銭湯でも活用されていました。主に使われていたのは無煙炭と呼ばれる、粉になりやすく煙が出にくい性質のものです。料理の際にも利用されていたと聞いています。
太平洋戦争の開戦時、国内では5500万トンほどの生産量を誇っていましたが、終戦時には半分以下に落ち込んでしまいます。資材不足に加え、炭鉱が荒れており、石炭が採れない状況でした。
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