JR甲府駅から車で30分。クリスマス商戦真っただ中の12月中旬、菓子大手シャトレーゼ(甲府市)の主力工場である豊富工場(山梨県中央市)では、製造ラインをひっきりなしに流れてくるケーキに、従業員がクリームやトッピングの装飾を施していた。その中でとりわけ目を引くのが、従業員と肩を並べ働くロボットの姿だ。クリスマス期間限定のモンブランの中心に狙いを定めると、四方八方からクリームを塗り上げる。出来栄えは、熟練のスタッフと比較しても遜色がない。

協働ロボットによって塗り上げられる季節限定メニューのモンブラン
協働ロボットによって塗り上げられる季節限定メニューのモンブラン

 安全柵を必要とせず、人と同じ空間に設置し、人と協働作業が可能な「協働ロボット」。調査会社マーケッツアンドマーケッツによると、2021年時点での協働ロボット世界首位はユニバーサルロボット(UR、デンマーク)で、世界シェアの約5割を占める。シャトレーゼと同じ山梨県に本社を構える大手ロボメーカーのファナックは1割程度で、2位と見られる。

 シャトレーゼでは、UR製、ファナック製、川崎重工業製など45台の協働ロボが稼働している。永田晋専務取締役は「10円でも値上げすれば客は減る。ケーキの原材料や人件費の高騰の中、お客様のお求めになりやすい価格を維持するための手段としてロボットを導入し始めた」と話す。

急成長を裏で支えるロボ

 1954年、今川焼き風の「甘太郎」という独自の商品を販売する、よくある地方の「お菓子屋さん」として創業したシャトレーゼ。現在は洋菓子や和菓子だけでなく、ワイナリーやホテル、ゴルフ場まで幅広く手掛ける。

 全国にフランチャイズチェーン(FC)店を展開。2024年1月に国内外での店舗数が1000店を超え、現在は国内860店、海外180店にまで広がっている。同年3月期のグループ売上高は約1480億円。国内最大の菓子製造小売り(SPA)として急成長を遂げているが、この成長の一翼を担いつつあるのが、協働ロボをはじめとするロボットだ。

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