2024年春に北陸新幹線が金沢から敦賀(福井県敦賀市)まで延伸開業する。開業1年前となり、福井県では観光施設のオープンなどが目白押しだ。首都圏からの観光客増に期待が集まるが、一方で関西・中部からは在来線特急と北陸新幹線の乗り継ぎが必要に。しかもこれが長期化、固定化する恐れが出てきた。
「今は関西圏からの観光客が3割、中京圏からも3割。しかし2024年春の北陸新幹線延伸で、首都圏から新しいお客様が来ると期待している」。こう話すのは、福井県勝山市のDMO(観光地域づくり法人)勝山市観光まちづくりの本多啓介氏。地理的に近い関西圏、中京圏とのつながりが深かった福井県は今、歴史的な転換点にある。24年春に北陸新幹線の金沢(金沢市)~敦賀(福井県敦賀市)間が開業し、首都圏と乗り換えなしで結ばれるからだ。
現在、首都圏と福井県の間の移動手段は、東海道新幹線を使って米原(滋賀県米原市)で北陸本線の特急「しらさぎ」と乗り継ぐか、北陸新幹線を使い金沢で北陸本線の特急「サンダーバード」「しらさぎ」と乗り継ぐのが主流。福井県のウェブサイトによると、東京~福井間の所要時間は、前者が約3時間20分、後者は約3時間10分となっている。JR西日本福井営業支店長の藤澤大輔氏によると「北陸新幹線の主要駅のみ停車する速達タイプ『かがやき』にうまく乗り継げると、米原経由よりも速い。しかし肌感覚では米原経由の利用が多い印象だ」という。
不動産物件で「2駅利用可」というのは「どちらの駅からも距離がある」ことの裏返しだが、福井県にもそれが当てはまる。つまり、北陸3県の中では首都圏から最も行きにくい場所だった。ちなみに福井県内には定期路線が就航する空港はなく、空路でも石川県の小松空港からバスを利用する必要がある。
しかし北陸新幹線が敦賀まで開業すれば、乗り換えがなくなり、東京~福井間の所要時間は2時間53分に短縮される見通し(建設主体である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の試算)。東京駅や大宮駅(さいたま市)で日常的に福井や敦賀という行き先を目にするようになり、注目度が高まると期待されている。
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