日本でのワクチン接種は3回目がなかなか進まないことが問題になっていますが、これは「接種したいのに政府や自治体の態勢が整っていない」ことが発端です。それに対してアメリカでは、そもそもワクチン接種を望まない、あるいは忌避する人たちが大勢いることが報道されています。結果、アメリカでの感染者は再び激増しています。これに危機感を持ったバイデン大統領は、従業員が100人以上の企業に対し、従業員にワクチン接種か週1回の検査を義務付けようとしましたが、連邦最高裁は先月、この施行の差し止めを命じる判決を下しました。
その理由は、義務化された場合、管轄することになる政府の労働安全衛生局には「公衆衛生を規制する権限はない」からだというのです。
日本ではワクチン接種を政府が推奨はしていますが、義務化しようという動きまではありません。そのせいなのか、「ワクチン接種反対」を主張する人はいても、それほどの問題にはなりません。
ところがアメリカではマスクやワクチン接種の義務化をめぐって対立することがよくあるのです。
今回の連邦最高裁の判決では、共和党の大統領によって任命された保守派の判事6人が義務化反対、民主党の大統領によって任命されたリベラル派の判事3人が義務化容認と判断が分かれました。
アメリカ国民についても、民主党支持者の多くがワクチンを接種しているのに対し、共和党支持者の接種の割合は高くありません。ワクチン接種の有無は支持政党によって大きく分かれているのです。
どうしてなのか。アメリカでワクチン接種に反対する人がいるのは、今回に限りません。『自由の国と感染症』(ヴェルナー・トレスケン著、西村公男・青野浩訳)によると、実は天然痘のワクチン接種をめぐっても対立が起きていたというのです。
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source : 週刊文春 2022年2月17日号