2022年9月13日、西武新宿線の下落合駅から徒歩2分の場所にとんでもないボードゲームルームがオープンしたという情報を入手しました。その名は「サイコロビット」。なんと、24時間営業らしいのです。しかも利用料金が安いとのウワサ。
これは実際にお店を確認しなければと思い「サイコロビット」に取材してまいりました!
まずは簡単な店舗情報を。
高田馬場駅からも歩いて行ける
最寄駅は西武新宿線下落合駅になりますが、JR高田馬場駅から向かってみました。早稲田口を出たら線路をくぐって、賑やかで学生も多いさかえ通りを進み、東京富士大学の周囲に沿って歩くと新目白通りが見えてくるので踏切を渡り、新目白通りに沿って西に進むと「サイコロビット」のポスターが貼ってある自販機がありました。
時間は徒歩で8分ちょっと掛かったでしょうかね。新目白通りには特に目印になる建物やお店がないので不安になりますが、大型コインランドリーのマンマチャオ下落合店の2軒手前にあるマンションが目的地です。
エレベーターで4階に上がり403号室の前に到着。「サイコロビット」と書かれたドアには細長い防犯カメラが設置してあり、ドアノブの上部には見慣れない白い四角い機械がくっついています。これはスマートロックです。実はこの店は完全予約制で、予約すると送られてくる暗証番号を打ち込んで最後に左下の「✔︎」を押すとカギが開いて入室出来るシステムなのです。フラッと思い付きで行っても入れないので要注意です。
ゲーミングテーブルで遊べるとは
では、店内の様子を。
ドアを開けるとアロマが置いてあって、心地良い香りが漂ってきます。爽やかで気にならない自然な香りなので、これだけで早くも快適。マンションの一室ですが、土足のまま入室するようです。
中は白い壁紙で、たくさんのLED照明が天井から室内を照らしているので明るいワンルーム。4人用のテーブルが4つ、6人用のテーブルが2つが置いてあります。全てのイスにクッションが用意してあるのも良いですね。長時間座ることを想定してるんでしょう。しかもこのテーブルは、10万円以上もするゲーミングテーブル「marco」ですよね。これで遊べるとか贅沢〜。
取材の時はお客さんがいなかったのですが、満員になるくらい人が多いとキュッと狭く感じるかも知れませんね。それくらいの広さです。
店内にはミニシンクも設置されてます。手を洗ったり、飲み残しを流すことも出来そうですね。ゲーム中に便利なトレイやダイス、カードスタンドなどはこの辺に置いてあります。銀色の物体が沢山積み上がっていたので「今時タバコ吸えるの?」と思ったら、これは灰皿ではなくてゲーミングテーブル専用のドリンクホルダーでした。これを使えばゲーム中にうっかりドリンクを倒すこともなくテーブルを広く使えるでしょう。
エアコンも空気清浄機もあって、かなり快適な空間。電子マネーも使える自動販売機が設置してるのですぐに飲み物が買えちゃいます。アルコールも置いていて、宝箱型の貯金箱に350円を入れれば瓶ビールか瓶チューハイを購入出来ます。ちなみに銘柄はコエドビールの瑠璃と伽羅、宝クラフト小笠原パッションフルーツの3種類。パッションフルーツのクラフトチューハイは個人的には是非飲んで欲しいオススメの逸品!とんでもなく美味しくて飲みやすいのに地域限定だから探さないとなかなか売ってないんですよ。まさかここで飲めるとは!
飲食物の持ち込みはOKとなっています。店内で購入しなくても、新目白通り沿いにドラッグストアのぱぱすとセブンイレブンが徒歩1分のところにあるので、ドリンクはもちろんお菓子や軽食の心配も無しです。時間内であれば途中の出入りも可能(スマートロックの番号を忘れずに)となっています。ボードゲームをやるのに最高の空間でしょ。
置いてあるボードゲームがガチすぎる…
そして重要なボードゲームの紹介です。
6つの棚にこれでもかとボードゲームが詰め込まれていました。このラインナップが本当に凄過ぎる。まずは心して写真をご覧ください。
気になるボードゲームはありましたか? 幼い子供でも遊べるような簡単なゲームから勝敗が決まるまで2〜3時間掛かる重量級のボードゲームまで幅が広いですよね。特に重ゲーが充実してて、こんな品揃えをしてるボードゲームカフェってなかなか見つからないですよ。ちょっと異様…。
だって『アーク・ノヴァ』や『オン・マーズ』『テラフォーミング・マーズ 3D地形ボックス』『マンション・オブ・マッドネス』があって、『グルームヘイヴン』や『クトゥルフ・ウォーズ』は拡張まであって、その他にも「なんであるの?」という拡張が結構置いてあります。マーダーミステリーも結構置いてあるのもポイント。何故か棚の下の方にこっそり、『ワーリング・ウィッチクラフト』『美徳』『リビング・フォレスト』とかショップでは売り切れてるような最新ボードゲームも置いてるんですよ。もっと上の目立つ所に置けばいいのに。どうなってんの?
置いてあるボードゲームはお店のサイトでご確認ください。コチラです。
呆れるほどのラインナップ。
料金は6時間で440円〜という超激安
で、気になる料金です。
なんと、1人6時間で440円〜となっています。激安! 多分日本で一番安いのでは? 時間帯が「あさパック」「ひるパック」「ゆうパック」「よるパック」と6時間ごとに4つに分けられていて、平日と休日で多少値段が違います。貸し切りプランもありますが、基本的には下の画像の通り。
お店のサイトから日時と人数を選択して、クレジットまたはGooglePay,ApplePayで決済します。なので、完全先払いの完全予約制です。
そして「サイコロビット」最大の特徴は、店員がいないこと。誰もいないので、ボードゲームカフェではなくレンタルスペースになります。貸し会議室のボードゲーム専門版とでも言いましょうか。店員さんがいないので、ボードゲームのルールを説明してくれる人も当然いません。インストする人がいないので、知らないゲームは説明書を読むところから始めなきゃいけないんです。それをデメリットと捉えるか都合が良いと思うかは人それぞれですが、初めて利用する際にはご注意ください。従来のボドゲカフェとは違います。
店員がいない代わりに店内には防犯カメラが設置してあります。常にこれで撮影・監視しているということですね。
遊び終わってお店を出る時には、ゲームを棚に戻し、ミニシンクに置いてある小型掃除機でゲーミングテーブル上のマットを掃除するところまでがお客のやることになっています。
いろいろとルールはあるけど、これだけのボードゲームがあって料金も安ければ文句はないでしょう。他の人にはあんまり教えたくないボードゲームスペースです。
オーナーにインタビュー取材
オーナーさんには電話で取材に応じて頂きました。
ーーサイコロビットはどんなお店なんでしょうか?
オーナー:ボードゲームスペースです。開業する時に、店員さんがいてインストしてくれる普通のボードゲームカフェも考えたんですけど、よりボードゲームに集中できる空間にしようと思いました。それで良いテーブルも置いて、店員もいないので集中できるスペースにしています。
ーーそれにしても料金安すぎません?
オーナー:業界でも結構安いほうかな、と。
ーーいやいや、安いほうじゃなく日本一のレベルで安いですよ!
オーナー:質の低下ではなく人件費の削減によってこの価格になっています、店員がいないのは集中の面だけではなくてコスト面もありますので。ボードゲームを遊べるお店の無人化、自動化と考えています。あとは路面店でもなく、主要駅からは外れた場所というのもあります。中をしっかりすればお客さんは来てくれるかなと。
ーー置いてるボードゲームがかなりガチな品揃えですよね。
オーナー:差別化を図ろうと思いまして。軽いゲームをメインに置いてて店員がインストもやってくれてライトユーザーを呼び込むというのは他のボードゲームカフェがやっていることなので、同じことをやっても仕方がありません。インストも自らやってくれて自走してくれるコアユーザーがリピーターになってくれるかな、そういうお客さんが来てくれれば良いな、と思っています。逆に言うとボードゲームが偏ってるかもしれないですね(笑)。
ーー軽いゲームも多くて偏ってるとは思わないですけど、重めのが充実してますよね。新しいボードゲームも多いですけどオーナーさんの個人持ちですか?
オーナー:ほとんど私が元々持っていたものです。新しいボードゲームは、この値段なら一回ここで試してみて買うかどうかを決めようと思ってくれればいいかなと思ってまして。来た人も新作があれば嬉しいだろうと思って、ですね。
ーー試遊みたいな感じですね。店内にはゴミ箱とかトイレもありましたけど、誰かが定期的に片付けに来てるんですか?
オーナー:今は私が自分で掃除しています。自動販売機の補充で業者の方には暗証番号を伝えて入ってもらってるんですけど、掃除も業者の人に頼んでシステム化しようかと考えています。
ーーアナログな人間なんでお店のシステムが謎だらけだったんです(笑)。不安が先に立つというか。これって、例えば2人分で予約してカギを開ければ4人とか大勢で中に入れちゃいますよね?
オーナー:それは禁止行為としてハッキリ書いてます。
ーー物理的に入れちゃいますよね?
オーナー:そうですね。そこは性善説になるんですが、お客さんはクレジットとかで料金を払っていて、与信を取れているのでやる人いるのかな?とは思っています。店内を人物検知の防犯カメラで撮っているのはお店のサイトでも先に言ってますし、入退店の度に逐一私のApple Watchに通知が来て確認しているんです。業務妨害になるようなあまりにも悪質なケースは出入り禁止にしたり、警察に連絡することになると思います。
ーー逐一、オーナーさんの元に連絡があるんですか?
オーナー:はい。例えばですけど、取材前にドアのところに来られてましたよね?
ーーえ……! 約束の時間より20分くらい前だけど入れるのかなと思って番号入力しちゃいました! 知ってたんですか! 時間前は入れないんですよね。恥ずかしい……。
オーナー:それもドア前の防犯カメラと番号入力したのを、アラートで知らせてくれて把握してるんです。
ーーそうなのか〜。でも時間延長とか勝手に出来ちゃいそうですよね?
オーナー:時間終了の10分前と終了時にアナウンスが流れるようになっています。オープンしてまだ10日ですけど、今のところ皆さん10分前のアナウンスで片付け始めて時間通りに帰られますね。店内に居座って勝手に延長をする人は今のところいません。一度だけ延長したいというお客様がその場でパック料金をサイトから支払って遊んでたケースはありましたけど。
ーーお店のサイトを見るとキャッチコピーとして「いっしょに遊ぶ仲間がみつかる」と書いてて、1人での来店もOKで店内で遊ぶ相手を探してもいいと書いてましたけど、予約のときとか入店のときに他のお客さんが何人いるかは分かるんですか?
オーナー:今は他のお客がいるかどうかは分かりません。分かるようにしようと思っているところです。1人のお客様に関しても、今どうしようかな、と。システム化しようと考えていまして、相席OKのテーブル予約を取るとか。そこがハッキリ出来てないので宣伝をまだ出してないというのもあります。
ーーそこは改良途中なんですね。やっぱ、店員さんがいないってのが不安もあるんですよねぇ…。もしシステム障害でドアが開かなかったらどうやって入るんですか?
オーナー:故障などでスマートロックに何かあったときは、キーボックスの暗証番号を伝えてスマートロックではなく物理キーで開けて入ってもらいます。それはサイト内にもすぐ対応出来るように用意しています。
ーー最悪の極端なケースばっかり質問して申し訳ないですけど、もうひとつだけ。店内でのトラブルがあったときにボードゲームカフェなら店員がいるので対応してくれると思うんですけど、ここだとどうなるんでしょう? 例えば客同士でケンカが始まったとか、女性グループで遊んでたらナンパしてくるしつこい男がいるとか。
オーナー:防犯カメラが回ってるのをみんな認識してるということなんですけどね、与信を取るというのが前提で。あとは使いたくはないですけど、私から店内にアナウンスが可能となっています。ただごとではない事態となれば警察にすぐ連絡することになります。
ーーこんな質問ばっかりですいませんでした。でも、サイコロビットはいろんな人にバレたら混み合って凄いことになりそうだなぁという予感がするんですよ。マナー違反の人も徐々に増えちゃうのかなと。だから、この記事読んで欲しくないんですよね(笑)。
オーナー:ハハハ…。もちろん多くの人には来てもらいたいんですけど、最初のお客さんが結構ゆったりと利用してくれてたのもあって、儲けようという気持ちよりも人がたくさん来るとそういう人に申し訳ないなぁというのもあって。
ーーなんか分かります。お忙しい中ありがとうございました。近々お店に行きます!
珍しいスタイルのお店なので、セキュリティー関連のことばかり訊いちゃいましたけど、居心地は良さそうな店なんですよ。とにかくボードゲームの数も質も凄いことになってるし。広告を出して世間に知られる前に1回は利用しないと。ここは相当ヤバイですよ。この記事があまり読まれませんように。