UTMパラメータの基本と作成方法|GA4で広告効果を測定してみよう
- UTMパラメータを何のために使うのかわからない。
- UTMパラメータの作り方や効果的な使い方を知りたい。
上記のような疑問に答える記事です。
UTMパラメータとは、URLに追加する識別子で、流入元の識別や広告の効果計測をするために使用します。
広告バナーをクリックした時など、以下のようなURLがアドレスバーに表示されるのを見たことがある方もいるかもしれません。
この「?utm_source」以降がUTMパラメータです。「URLパラメータ」や単に「パラメータ」と呼ばれることもあります。
UTMパラメータを使うことで、Googleアナリティクス(GA4)で「どこのメディアの、どのバナーからのアクセスか」などと流入元を識別できるようになります。
特に広告やメルマガなどのマーケティング施策の効果を明確にすることで、的確な予算配分や効果の改善に役立てることが可能です。
この記事の最後の方にも出てきますが、以下の画像はUTMパラメータを使って「YouTube動画の概要欄から訪れたユーザーの行動」を可視化したものです。
上記のようなデータが取れれば、「次にどんな動画を出せば集客を伸ばせるか」「効果的なYouTube概要欄の書き方」など、さまざまな施策を試すことができますよね。
非常に重要な概念なので、マーケティング担当者はしっかり使えるようになっておきましょう。
ざっくりと理解できる動画もご用意しています。
なぜUTMパラメータが必要なのか
前述の通り、UTMパラメータを使うことで、GA4でサイトへの流入元を特定することができるようになります。
例えばFacebook(Meta)に広告を出稿した場合、UTMパタメータを使わなければ、GA4に表示される流入元は「facebook.com / referral」となります。これでは、それが広告なのかシェアされたURLからのアクセスなのかが区別できません。
UTMパラメータを使うと、広告なのか自然リンクなのかはもちろん、設定次第では広告キャンペーンやバナーの種類、キーワードまで判別できるようになります。
広告だけではなく、メルマガのリンクや、チラシに掲載したQRコードからの流入も捕捉することができます。
流入元の区別ができれば、例えば複数種類の広告を出している場合には、どちらのクリエイティブが効果があったのかなどの効果測定(ABテスト)ができます。また、効果がない広告をキャンペーンやクリエイティブ単位で判別し、停止や継続の判断をすることも可能です。
マーケティング施策を適切に運用するためには、UTMパラメータの設定は必須といえるでしょう。
ちなみにGoogle広告の場合には、GA4と連携していれば流入元が自動で連携されるので、UTMパラメータを付ける必要はありません。
ただし、自動連携されたパラメータは「google / cpc」に統一されるため、任意のものを使用したい場合にはGoogle広告の管理画面で「自動タグ設定」を無効にします。
※自動でデータ連携されるのはキャンペーン単位までなので、より細かい単位でデータを取りたい場合には、やはりUTMパラメータを付ける必要があります。
各パラメータの役割
UTMパラメータは一見すると意味のわからない文字列ですが、「&」記号の部分で分解すると理解しやすくなります。
UTMパラメータは、主に以下の5種類があります。
- utm_source(必須)
- utm_medium(必須)
- utm_campaign(必須)
- utm_term
- utm_content
この5つのパラメータを使って、流入施策を以下のような階層構造で分類します。
パラメータ | 例 | 分類 |
---|---|---|
utm_source | google, facebook | 大分類 |
utm_medium | cpc, email, social | |
utm_campaign | spring_sale, new_product_launch | 中分類 |
utm_term | 靴 通販, カバン 通販 | 小分類 |
utm_content | banner_A, textlink-001 |
utm_source
utm_sourceには、流入元の媒体名を入力します。
例えばGoogleからのトラフィックの場合であれば、「google」と設定します。
例:google, facebook
utm_medium
utm_mediumには、流入元媒体の種類を入力します。
例えばリスティング広告の場合には「cpc」とします。
例:cpc, email, social
utm_campaign
utm_campaignには、キャンペーンの名前を入力します。キャンペーン名は任意の名前でかまいませんが、半角アルファベットと「_(アンダーバー)」または「-(ハイフン)」で付けることをおすすめします。
例:spring_sale, new_product_launch
広告ではなくメールやQRコードなどの場合にも、特定のメルマガやチラシを見分けるために使うことができます。
例えば、いつ送ったメルマガの効果が高かったのかを見分けるのであれば、「mailmagazine-20240510」などと他と区別できるキャンペーン名を付けます。
最低限「utm_campaign」まで入力していれば大まかな分析は可能です。この後に出てくるutm_termやutm_contentは、さらに詳細な分析をしたい時に使いましょう。
キャンペーンというのは、広告施策を管理するための単位の1つです。GoogleやMetaなどのWeb広告媒体は、基本的に「キャンペーン」という単位で予算を分けます。
utm_term
utm_termには、リスティング広告などで設定したキーワードを入力します。
例:靴 通販, カバン 通販
パラメータは区別しやすくするために、原則として半角アルファベットで作成することをおすすめしていますが、キーワードの場合には例外的に日本語入力しても良いでしょう。
日本語入力した場合、この後の「UTMパラメータの作り方」で解説するパラメータ生成ツールを使えば、URLとして機能する形式にエンコードすることができます。
スプレッドシートなどで手動でパラメータを作る場合には、関数などでエンコード処理をする必要があります。
utm_content
utm_contentには、広告バナーや広告文の名前を入力します。
キャンペーン名と同じく、原則として半角アルファベットと「_(アンダーバー)」または「-(ハイフン)」を使って作ります。
例:banner_A, textlink-001
UTMパラメータの作り方
UTMパラメータは、Googleの生成ツールで作ることが可能です。
ただし、生成ツールの場合には1つずつしか作れないため、大量にパラメータを作りたい場合にはスプレッドシートで関数を組むなど工夫が必要です。
Googleの生成ツールで作る(1つだけ作る場合)
Googleが提供する「Campaign URL Builder」を使うことで、簡単にUTMパラメータを作成することができます。
以下のように、必要な項目に入力すると、下にパラメータ付きのリンクが作成されます。
キーワードなどを日本語入力した場合には、URLとして機能する形式に変換されます。
また、Bitlyのアカウントを持っている場合には、作成したURLを短縮することも可能です。パラメータ付きURLは長いので、例えばQRコードなどを作る際にエラーになる場合があります。そんな時には短縮URLを発行すると良いでしょう。
※広告媒体によっては、短縮URLを入稿できない場合があるので注意しましょう。
スプレッドシートで作る(複数作る場合)
utmパラメータはツールを使わなければ作れないわけではありません。
ルールさえ守ればただの文字列なので、ExcelやGoogleスプレッドシートを活用して作ることができます。
例えば以下のように関数を組めば、セルに値を入力するだけでUTMパラメータを作成できます。
=CONCATENATE(C2,"?utm_source=",D2,"&utm_medium=",E2,"&utm_campaign=",F2)
CONCATENATE関数を使うと、引数に入力した文字列を連結することができます。
ただし、URLに「#(URLフラグメント)」が付いている場合(ページ内リンク)には、パラメータの付け方が以下のように変化します。
上記のように、UTMパラメータの後にURLフラグメントを付与します。日本語キーワードをエンコードする場合にも、専用のENCODEURL関数を使わなければならない点は注意が必要です。
こうしたURLを一括生成する場合には、Google Apps ScriptやVBAなどでプログラムを書く必要があります。
ChatGPTとGoogle Apps Scriptを活用して、URL生成ツールを作ってみました。以下の動画でプロンプトも合わせて紹介しているので、興味がある方はご覧ください。
命名規則の重要性
UTMパラメータを付ける際に重要なのが、パラメータの値に入力するメディア名などの命名規則(ルール)をしっかりと決めておくということです。
パラメータを付ける際には「分ける」「まとめる」という2つの視点で規則を決めましょう。
パラメータを分ける
UTMパラメータを付ける目的は、流入元を区別することです。そのためには、パラメータに入れる値を明確に区別できるように決めることが重要です。
また、キャンペーン名を見ただけで、何を指しているのかがわかるような名前にしておくことも重要です。
spring_sale
campaign001
上記の例のように「campaign001」などと付けてしまうと、複数のキャンペーンがあった際に、どのような意図を持ったキャンペーンなのか区別することができません。
誰が見ても、何を指しているのかがわかるキャンペーン名を付けるようにしましょう。
パラメータをまとめる
一方で、細かく分けすぎないようにすることも大切です。ここでいう「細かく分けすぎる」というのは、主に「文字ゆれ」のことを指しています。
例えば「youtube.com」と「youtube」のように表記に微妙な差異があると、データが意図せず別れてしまいレポーティングの際に非常に不便です。
特に、企業のように複数人で施策を管理する場合には文字ゆれが起きやすいので、命名規則をスプレッドシートなどにまとめておくなど工夫するようにしましょう。
パラメータには半角アルファベットを使う
パラメータの値に使う文字についても注意が必要です。
前の方でも少し触れましたが、パラメータは原則として半角アルファベットと「_(アンダーバー)」または「-(ハイフン)」で作成することを強くおすすめします。これは、入稿ミスや文字化けを防ぐためです。
というのも、キャンペーン名などを日本語で付けた場合、URLとして使える形式に変換(エンコード)する必要があります。変換後の文字列だけを見ても「何のキャンペーンなのか」を判別できないため、広告媒体などへの入稿ミスを誘発する恐れがあります。また、GA4に連携した際に文字化けする可能性もあります。
ですので、特別な事情がない限りは、パラメータは半角アルファベットと記号を使って作成するようにしましょう。広告の場合には、管理画面に入稿する際に、半角アルファベットでキャンペーン名をつけるのが無難です。
spring_sale
春キャンペーン(エンコード後:%E6%98%A5%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%B3)
UTMパラメータをGA4で見る方法
UTMパラメータで設定した値は、GA4のレポートや探索で簡単に見ることができます。
それぞれのパラメータは、以下のディメンションに対応しています。
パラメータ | GA4のディメンション(セッション) | GA4のディメンション(ユーザー) | 備考 |
---|---|---|---|
utm_source | セッションの参照元 | ユーザーの最初の参照元 | |
utm_medium | セッションのメディア | ユーザーの最初のメディア | |
utm_campaign | セッションのキャンペーン | ユーザーの最初のキャンペーン | |
utm_term | セッションの手動キーワード | ユーザーの最初の手動キーワード | ※探索のみ |
utm_content | セッションの手動コンテンツ | ユーザーの最初の手動コンテンツ | ※探索のみ |
レポートや探索の基本的な使い方は以下の記事も参考にされてください。
レポートでUTMパラメータを確認する方法
レポートメニュー内の「ライフサイクル > 集客」と進み、「ユーザー獲得」または「トラフィック獲得」を開きます。
レポートのディメンション(分析軸)を、ユーザー獲得の場合には「ユーザーの最初の参照元 / メディア」、トラフィック獲得の場合には「セッションの参照元 / メディア」に切り替えると「utm_source」と「utm_medium」が表示されます。
キャンペーンも合わせて見たい場合には、ディメンションの横の「+」ボタンを押して、「ユーザーの最初のキャンペーン(またはセッションのキャンペーン)」に切り替えます。
探索でUTMパラメータを確認する方法
探索でも、ディメンションに「ユーザーの最初の参照元 / メディア」または「セッションの参照元 / メディア」、「ユーザーの最初のキャンペーン」または「セッションのキャンペーン」を使ってUTMパラメータを確認することができます。
レポートとは異なり、utm_termやutm_contentに設定した値も見ることができます。
UTMパラメータ活用の例
私の場合、主にYouTubeの概要欄やUdemy講座のボーナスレクチャーに設定する自社サイトのURLにUTMパラメータを付けています。
以下のようにLooker Studioでレポートを作り、どの動画や講座からの流入がパフォーマンスが良いのかという分析に役立てています。
まとめ
流入元の分析に活用できるUTMパラメータについて解説しました。
UTMパラメータを使えば、広告やメルマガの効果をGA4で可視化し、予算やクリエイティブの最適化を進めることができます。
YouTubeの概要欄やnoteなどの他のプラットフォームから自社サイトに誘導している場合にも、どの動画や記事が効果的なのかを知ることができるので、広告以外のコンテンツ改善にも役立ちます。
マーケティングを行うすべての人に必要な仕組みなので、しっかり覚えて使っていきましょう。
分析しやすいよう、命名規則をしっかり決めて運用することをお忘れなく。