ハルカの国
剣が好きだった。
剣があれば、寂しくなんてなかった。
強さは、私のものだった。
明治4年
狐の化けであるユキカゼは、新政府に仕えながらも剣の腕を磨いていた。
そこに東北の狼、ハルカの噂が届く。
関東無敵と謳われるハルカに、ユキカゼは修羅を燃やした。
ついに嫉妬の業火に耐えきれず、ハルカ討伐へと旅立つ。
ハルカが住まう国、奥羽の山里には、冬がそこまで迫っていることも知らずに――。
北国の圧倒的な冬の下。
尽きることのない風雪のなかで描かれる、ハルカとユキカゼ、出会いの物語。
「明治越冬編」