引き続き、腕時計の純正とその価値について、その評価基準と実情について考察しました。
◎正規店で修理依頼した
中古の時計で、修理やメンテナンスがされている場合、正規店を通して施術されているかどうかが、純正を判断する指針の一つになっています。
一般的には、正規店を通して修理する限りは、メーカーの工房できちんとした修理が行われているイメージがあります。しかし、ブランドによっては、地域にある修理店に子請け、孫請けしているところもあります。
メーカー側から交換部品が提供されているなどであれば大丈夫だとは思いますが、製造時と同じクオリティが担保されているかどうかはわかりません。逆に、より技術のある修理屋さんでメンテナンスすると、調子が良くなることもありますが。
◎純正ではない部品が使用されていない
上記の「正規店を通して修理したかどうか」におおきく関わりますが、古い時計、とくにブランドがすでになかったり、部品の供給を終了しているようなモデルの修理では、代替部品や中古部品、自作部品を使って修理することがあります。
これ自体は悪いことではないのですが、これを行うと次の項にある、正規店での修理を受けられなくなるため、純正度を下げる要因とされています。
◎正規店で修理を受けてもらえる
正規店での修理以前に、修理を受け付けてもらえるかどうかもポイントです。特にロレックスの愛好家が、評価の基準としていることが多い項目です。ロレックスは自社の商品の修理をきちんとしてくれますが、その商品がそもそもきちんとしたものであることが前提です。
その「きちんとしたもの」の評価がなかなか厳しいため、修理の見積もりをしてもらえること自体が、時計の純正をはかる方法になってしまっています。なお、純正の高いものであっても、部品の確保が難しい古い腕時計の場合、修理を受けてもらえないこともあります。
◎研磨や加工がされていない
腕時計は実用する道具ですので、使用すると当然キズやヘコミが生じます。中古時計をリセールする場合は、このキズやヘコミを研磨でおとし、できるかぎりきれいにしてから販売します。
研磨すると時計はきれいになるのですが、過度な研磨をしたり、研磨の回数を重ねすぎると、価値を損ねる場合があります。たとえば、もともと施されていたヘアラインや模様がなくなったり、ケースの形が変わったり、ひどい場合はシリアル番号などが読めなくなったりもします。
純正を判断するためにも、研磨の履歴が少ないほうが評価されるのは推して知るべし、といったところでしょうか。
【吉田貴之】[email protected]
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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。