《日本にはテニス界のレジェンドがいます》
■わが逃走[155]
「北区有名建築巡り」の途中で見つけた無名物件 の巻
齋藤 浩
■もじもじトーク[16]
テニスのお話
関口浩之
■わが逃走[155]
「北区有名建築巡り」の途中で見つけた無名物件 の巻
齋藤 浩
■もじもじトーク[16]
テニスのお話
関口浩之
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■わが逃走[155]
「北区有名建築巡り」の途中で見つけた無名物件 の巻
齋藤 浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20150319140200.html
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T氏が代表をつとめ、建築家I氏ととともに東京の名建築を巡る「みんなの大東京建築ツアー」に参加しました。
都内某所に集合し、点在する建築を徒歩+地下鉄+バスでつないでゆきます。現地では各建築の裏話や建築家に関するウンチクなども聞け、非常に充実。密度の濃い時間を過ごしました。
今回のフィールドは東京都北区。けっこう歩いたけど今までほとんど馴染みのなかった土地だけに、見知らぬ地方都市を観光しているかのような新鮮な印象でした。東京って広い。
スタートは田端駅。ここから
1・アタカケンタロウ氏設計の『ハスハウス』
2・鈴木恂氏の『東京家政大学教育会館』
3・alp(平田晃久)
4・巣鴨信用金庫志村支店(エマニュエル・ムホー)
5・Tokyo Apartment(藤本壮介)
と巡りました。いわば建築に的を絞った社会科見学、大人の遠足です。
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さて今回はこのツアーのレポート、とも思ったのですが、ネット上にはこれら名建築に関する情報があふれています。なので建築と建築の間に点在していた、どーでもいい物件をまとめてみることにしました。決してサボりたかった訳ではありません。
田端駅付近の階段遺跡
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北口に降りてすぐ気になったのがコレ。どっかで見たことあると思ったら、松本泰生著『東京の階段』にも紹介されていた物件だった。
古い急傾斜な階段の上へ被い被さるように、既成建材によるなだらかな階段が設置されている。これはある種のトマソンなのだろうか。なにはともあれ、東京という町の地層を垣間見るようで面白い。
石垣に現れる不思議な段差
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田端駅付近。ごく普通の石の壁が突然途絶え、曲面とシャープなエッジで構成される左官仕事となる、その境界線。写真右側に石垣が続く。
壁面の痕跡
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蔓性植物の這った跡だろうか。ここに葉が茂り、それらにはそれぞれ葉脈が見られたはずだが、こうして見るとその名残自体が一枚の大きな葉に見えてくる。ハスハウス付近。
穴のある物体
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ブロック塀に半ば埋め込まれるように設置されている二段重ねの直方体。上段天面には円形の穴があり、下段正面には正方形の穴があった。二つが繋がっているか確認しておくべきだった。そんなことして何になるの? 何にもなりません。
公園へと繋がる廃階段
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なにも柵でとおせんぼすることもないのにねえ。とも思うが、公共空間から私有地へ直結しているといろいろと問題があるのかも。東京家政大学付近。
十条駅付近の不思議空間
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広い通りから脇道に入ると、突然昭和空間が現れた。すぐにバスが来たので名残惜しくもその場を離れたが、是非とも再訪してみたい。ポンプが設置されている台座の形状にもモダンな文化を感じる。
alp脇の車止め
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通りに対して直角とか平行ならまだわかるのだが、それぞれが微妙な角度で設置されている。なので、そこに意図があるようなひっかかりを感じてシャッターを切ったが、その意図が何だったのかはわからないまま。
角の削られた謎の石2段重ね。
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四角い鏡餅か。
突起物
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C面を鑑賞。Tokyo Apartment付近。C面とは、面と面の間のエッジ部分に切られた狭い面のことです。
といった具合に昼過ぎから日没まで、かなりな距離を歩きました。
カメラを持ってひとりで町をうろうろすると、不審者扱いされたりすることもあるのですが、今回のように仲間とともに歩くとその点は安心といえます。堂々とデカイカメラをぶら下げて歩きました。
そして目的の建築にたどり着くまでに偶然見つけたイイ建築も多数。主催者の方々も参加者のみなさんも実に穏やかで、「新日本紀行」と「タモリ倶楽部」を足して2で割ったような心地よい時間を過ごせたのでした。また参加します。
【さいとう・ひろし】[email protected]
< http://tongpoographics.jp/
>
1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられ
ないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィ
ックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
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■もじもじトーク[16]
テニスのお話
関口浩之
< https://bn.dgcr.com/archives/20150319140100.html
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こんにちは! もじもじトークの関口浩之です。今回は「テニス」のお話です。
えっ、もじもじトークで「テニス」のお話? はい。もじもじトークでは文字のお話だけでなく、趣味やイベントなどのお題も、ゆる〜い感じでやってます!
天体観測、オーディオ、テニスなどの話題もときどきお送りします。くつろいで読んでいただけるとうれしいです。
●錦織圭選手
テニスといえば、錦織圭選手ですよね〜。すごいですよね!
錦織圭の試合は有明コロシアム(有明テニスの森)で何回か観戦したことありますが、なんと、今から6年前に近所のスポーツ専門店のイベントですごい間近でお目にかかったことがあります☆
その時の写真がこちらです!
・錦織圭選手が近所のスポーツ店に現れる(2009年11月14日)
< http://goo.gl/eayTzK
>
6年前の写真ということは、彼が19才の時の写真ですね。あどけない少年の雰囲気ありますね(笑)でも、このときすでに、世界のトップを狙っているコメントしてました。
錦織圭は2008年2月に17才9ヶ月でプロ転向。その翌年2月にアメリカのデルレイビーチ国際テニス選手権で予選から勝ち上がり、ATPツアー初優勝したことは今でも鮮明に記憶に残っています。松岡修造選手以来、16年ぶり二人目の快挙でした。
えっ、あの熱い男、松岡修造選手も1992年4月に、韓国オープンでATPツアー制覇してたんですね! 失礼しました...。
そうそう、松岡修造は1995年ウィンブルドン選手権で、日本人男子として62年ぶりのシングルスベスト8に進出した人物でもあるのです。
実は錦織圭、小さい頃に修造チャレンジに参加して、それ以来の子弟関係なのだ......。テレビの取材で、熱い男松岡修造と日本語をボソボソとしゃべる錦織圭との対談はいつも楽しいですよね〜。
●ATPランキング
錦織圭は2015年3月2日付けのATPランキングでは世界4位を記録してます。
※ATPとは「Association of Tennis Professionals」(男子プロテニス協会)の略です。男子プロテニスツアーを運営しています。1972年に男子プロテニス選手の権利・利益を保護するためにジャック・クレーマー達中心となって創設したそうです。
こちらにランキング推移が掲載されています。
・錦織圭ファンサイト / ランキング推移
< http://nishikori-fan.com/rank.html
>
なんと錦織圭の上には、ノバク・ジョコビッチ(SRB)、ロジャー・フェデラー(SUI)、ラファエル・ナダル(ESP)しかいない......。すごい。
今はランキング5位だと思います。アンディ・マリー(GBR)が4位に返り咲いています。
ATPランキングの最新情報はこちらで。
・テニスナビ / ATPランキング
< http://www.tennis-navi.jp/tour/info/atp_ranking.php
>
40年以上、テニスの試合を観てきましたが、日本人が世界TOP4に入ることは想像もしてなかった......。ほんとすごいことです。
でも、錦織圭いわく「TOP4に入ることが目標ではない。上位に長く居続けることのほうが大事。テニス四大大会のグランドスラムで優勝することには興味があるけど」と......。
そうなんです。ATPランキングって計算方法がかなり複雑で、上位に長く居続けることがすごく大変なんです。
テニスのATPツアーは、毎週のように全国各地で開催されています。四大大会のグランドスラムが有名ですが、それ以外に、こんなに大会が開催されているのです。
・グランドスラム(年4回)
・マスターズ1000(年9回)
・500シリーズ(年13回)
・250シリーズ(年40回)
・ワールドツアーファイナル(年1回)
ひとつの大会で優勝するには、1回戦から5回ぐらい勝たないといけないわけです。なので年間20大会に参加するなると、20週以上、大会に参加することになります。
ですから、ATPランキングTOP10にずっとい続けることは、フィジカルもメンタルもタフでなければいけないわけです。
●懐かしのテニスプレーヤー
現役選手だと錦織圭とロジャー・フェデラーが好きですが、僕が一番好きなテニスプレーヤーはジョン・マッケンローかな......。それ以外でも大好きな選手はたくさんいますけど。
では、30年前にロサンゼルスで観戦したジョン・マッケンローとステファン・エドバーグの写真を掲載します。じゃーん!
< http://goo.gl/ym1Tq6
>
すげ〜。まだ、若々しい(笑) マッケンローは悪童と言われてました。コート上で荒々しく声を出したり、審判に抗議したり......。でも当時はチャレンジシステムがなかったですし、審判の判定に不服があっても、まず、くつがえりません。
マッケンローが大声を出すときは、自分のプレーに納得がいかないときに叫ぶんです。でも暴言を吐くのはよくないですけど......。
当時からマッケンロー好きなんですけど、年をとったオッサンのマッケンローはもっと好きです。一昨年、有明コロシアムでの日清食品主催のチャリティテニスで彼を観たけど、お茶目だし、ジョークも面白いし、テニスの腕もまだまだすごいです。しびれました......。
彼は、今、スポーツ専門TVチャンネルの人気解説者であり、テニス若手アスリートの育成などで活動しているようです。
あれっ、彼は1959年生まれだから僕より1才年上なのね...w おおっ、大先輩だと思っていたら同世代でした(笑) 年をとるにつれていい味が出てくる人って素敵です。
30年前の紙焼き写真をiPhoneで撮ったので、きれいな写真じゃないけど、マッケンローとエドバーグです。テニスのオールドファンにはたまらない生写真だと思います(笑)
エドバーグは現在、フェデラーのコーチですね。ボレー姿、似てます...w この二人、テニスのプレー姿、すごく洗練されています。流れるようなプレースタイル。トップスピンぐりぐりのテニスも悪くないけど、僕は彼らのような華麗なテニス、そして、マッケンローのような微妙なタッチがうまいテニスが好きです。
そういえば、1980年代の往年のテニスレジェンド達が現在のトップテニスプレーヤのコーチをやっています。
マイケル・チャン:錦織圭
ステファン・エドバーグ:ロジャー・フェデラー
ボリス・ベッカー:ノバク・ジョコビッチ
ゴラン・イバニセビッチ:マリン・チリッチ
往年のレジェンド達のテニス対決という観点でテニスを観るのも楽しいですよ。
●ジェントルマンシップ
テニスに限ったことではないが、優勝セレモニーでのトップアスリートのスピーチはいつも清々しい! 優勝者は準優勝者の健闘を称え、準優勝者は優勝者をリスペクトしたスピーチをします。それもユーモアたっぷりに。
また、主催者、スポンサー、運営関係者、審判、ボールパースン、自分のチーム、観客に対して、心から感謝をしたスピーチをしますよね。それがすごくいいですね。
●日本にはテニス界のレジェンドがいます
ATPテニスツアーと同様に、車いすテニスも世界ツアーをしてます。僕も何度か、国枝慎吾選手(31才)のテニスを観戦したことがあります。とにかく、すごいです。
彼は、四大大会(グランドスラム)で男子世界歴代最多記録の計36回(シングルス18回、ダブルス18回)の優勝をしています。パラリンピックでもシングルスで2個、ダブルスで1個の金メダルを獲得しています。
国枝慎吾は、ロジャー・フェデラーに「錦織圭もすごいが、日本のテニス界におけるトップアスリートの存在を忘れていなか......」と言わせた男なのです。テレビではほとんど放映されていないけど、車イステニスも観ていてすごく楽しいです。
女子の車いすテニスには、すごい若手アスリートがいます。上地結衣選手(20才)。2014年、全豪オープンダブルスでグランドスラム初優勝しました。全仏オープンでは単複優勝。ウィンブルドン(ダブルスのみ開催)でダブルス優勝。全米オープンでも単複優勝し、ダブルスで年間グランドスラム達成しています。
テニスは年をとっても比較的手軽に、そして継続的にできるスポーツだし、観戦するのも楽しいですよね。テニスの歴史を調べたり、現役プレーヤや過去のレジェンドプレーヤの人柄が歴史を調べて観戦すると、2倍、3倍、テニスを楽しむことができます。
これからも錦織圭選手をはじめとした素敵なテニスプレーヤ、テニス業界を応援します!
【せきぐち・ひろゆき】[email protected]
Webフォント エバンジェリスト
< http://fontplus.jp/
>
1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。
その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。
小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。
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編集後記(03/19)
●工藤美代子「もしノンフィクション作家がお化けに出会ったら」を読んだ(角川文庫、2014)。「悪名の棺 笹川良一伝」「関東大震災『朝鮮人虐殺』の真実」という硬派のノンフィクションを読んだことがあるので、「何? このソフトなタイトル」と思った。オカルトを斬る、みたいな内容を予想していたら完全に外れて、自身の不思議体験をまとめたものだった。初出を見ると雑誌「幽」が多い。そういえばと「幽」のバックナンバーを探ると、4号でインタビューがあり、5号から「日々続々怪談」という連載が始まっていた。この雑誌、2000円オーバーなので最近は手が出ないのが悲しい。
工藤美代子は霊感のある人だが、自分ではそうは思っていないらしい。奇妙なことがよく身の回りで起こる。わかりやすくいうと「お化けとの遭遇」である。それを淡々とありのまま書いている。とにかく嘘は書くまい、もう少し話に尾ひれを付ければ立派な怪談になるとわかっていても、自分の体験したこと以外は書かないことにした、という。大切なのは、不思議なことに向き合ったときの人間の気持ちを素直に誠実に書き留めることだ。読み物としては成立しない危険を孕んでいても、それでもよいと腹を括った。また、誰かがすでに書いたものを参考にするのもやめた。完全にノンフィクションの手法だ。
傍から見ていて面白いのは、怪奇現象が筆者の周辺で起きても、それに気が付くのがいつも遅い、鈍いところだ。もっと怖がるのが普通だろう。筆者のような対応では、何かメッセージのある霊をいらいらさせるに違いない。かつて一軒家に夫婦で住んだとき、部屋を改装し前からいた女性霊を完全に怒らせてしまい、さまざまな問題が発生する。その顛末はやっぱりいや〜な話だが、本人はそれほど怖がっていない。「三島由紀夫の首」の川端康成と三島由紀夫の死にまつわるエピソードが、霊感のある川端夫人から明かされる話も凄まじいけど、それは伝聞であり、この本のテイストからはズレている気もする。
この本のタイトルに「もし」も「たら」もいらないと思う。ノンフィクション作家が実際にお化けに出会ったことを、そのまま実に淡々と書いているのだから。むしろ、お化けよりも筆者の複雑な家庭環境のほうが怖いかもしれない。その方面も、なんの装飾もなくさらりと書いている。解説で角田光代は「この作家のある意味波瀾にあふれた人生に、私は並々ならぬ興味を持っている」と書くが、まさにその通りだ。ノンフィクション作家がお化けに出会うと、こんなに冷静に、やさしい接し方で描かれてしまうのでは、悪意のお化けも出た甲斐がないかもしれない。じつに良質な怪談集である。(柴田)
●hammer.mule の編集後記はしばらくお休みします