武&山根の展覧会レビュー 検索は思考を欠いてるのか? ──【これは本ではない ─ブック・アートの広がり】を観て
── 武 盾一郎&山根康弘 ──

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武:こんばんは! 丁度夕ご飯作り終えた。

山:こんばんはー。飯は食べて来た。あとは呑むだけです。

武:しっかし,この間は結構呑んだんだなあw

山:あー呑んだねー、久々の「力(りき)」やったから。飯もぎょーさん食べたしな。

武:久々の浦和だし、調(つきのみや)神社行ったし、
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%BF%E7%A5%9E%E7%A4%BE
>
ここはセーブしないで呑んじゃおうって気分でした。


山:疲れてるってわかってんのに、呑み始めると疲れてるの忘れてまうんよね。なぜか次の日は睡眠不足にしては元気やし。僕にはほんま、そういう呑みが必要なんかもな。。

武:疲れてる上に睡眠削ってでも酒呑むと調子良くなるのか。怖いな。なんだか麻薬っぽいw

山:めんどくさいのう。という訳で今日は霧島をいただきます。


武:ワタクシは缶チューハイです。あ!「ユザワヤ」なくなってたぞ! 浦和。

山:ユザワヤがなくなってたのはショックやったなあ! なんでやろ、売れてないんか? あ、どうやら移転したらしい。パルコの3階。あるやん。

武:俺たちは浦和にある「彩光舎」という美術予備校で出会ったのですわ。浦和の調神社、居酒屋力、ユザワヤ、マチェック、、そんな浦和の街には格別な思いがある。原風景が変わって行くのはなんか寂しいな。

山:そうやねえ。マチェックあったなあ。今は北浦和にあるんやな、確か。
< http://macka.web.fc2.com/macka.htm
>


武:よく呑みに行った店はなんだっけ?

山:「庄屋」w、「赤かぶ」。あとあったかな。

武:「加賀城」。

山:おお! 忘れてた。僕は加賀城で一日だけバイトしたことがあるw

武:「嗚呼、青春の浦和」。

山:浦和ついでにですね、旧中仙道沿いの調神社に、今年は僕が12年前に描かせて頂いた兎の大絵馬が飾られていますよ! みなさん行きましょう! うさぎの神社ですよ!



武:『大絵馬兎』作:山根康弘 < http://twitpic.com/3lt3b7
>
調神社はちょっと不思議な神社、うさぎの神社なんよね、あと鳥居がない。

山:年が違うがこんなのも。
< http://www.geocities.jp/megasan2001/urawa/urawa01c.htm
>

武:この猪は山根が描いてるの?

山:そうです。僕です。ちゅうかね、調神社にちっちゃい絵馬が売ってるんですけどね。その絵馬、僕の描いた絵馬のコピーなんですよ。コピーって言っても手描きのね。なんで僕に頼んでくれなかったんやろう。つまらん。


武:手描きのコピーってなにそれ?写真ないの?

山:こんなん。
< http://plaza.rakuten.co.jp/realgoldgirl/diary/201101070000/
>
< http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/87/0000751587/97/img8933a021zik2zj.jpeg
>

武:わはは! 山根の絵のトレース!

山:びっくりやろ? なんでそんなことすんねん!

武:しかも、ちょっと下手www

山:そうやねんww


武:そんな太らすなよw 山根がスベッてるみたいだなw

山:ほんま困るで、これ。まあ、それはそれでちょっとおもろいねんけど。

武:笑けるw

山:ちゅうか大絵馬の横の名前も、去年の寅を描いた大野君のままやないか!変えてくれよ! そんで、兎の小絵馬は僕が描いたんじゃないですよ! どないなっとんねん。

武:そんな感じでね、ウサギの神社、埼玉県は浦和にある調神社、是非とも行ってみて下さい!


山:いろいろありますが2011年も始まった訳ですよ、みなさん! 今年も宜しくお願いします! それではまた!
《YamaneYasuhiro はオフラインです。》

武:おい! 本当にiChat落とすな!

山:え? いや、終わりかと思て。

武:まあ、終わってもいいんだけどね。さあ、うらわ美術館ですよ。
【これは本ではない --ブック・アートの広がり】
< http://www.uam.urawa.saitama.jp/tenran.htm
>

山:終わっていいんかい!

武:1月23日までだからね、この展示。


●展覧会タイトルに勝手に怒る


山:『これは本ではない』。。。どっかで聞いたことあるぞ! これや!
< http://swamp-publication.com/archives/2007/03/questo_e_non_un.php
>

武:『16時間美術館』/2007年3月25日(日)/六本木スーパーデラックス SWAMP PUBLICATION < http://swamp-publication.com/
> が、その場で絵を描いて、コピーして、製本して、配布するというパフォーマンス「ライブ・パブリケイション」を行ったんですよね。その時のアーティストブックのタイトルが『これは本ではない』。「本」をプロセスでいったん解体して、それをライブで再編成するパフォーマンス。16時間美術館の映像はこれ。
<
>


山:そうやね。過程そのものを見せる、ということでもある。

武:本につきまとう、インテリジェンスでハイソサエティで権威的なところを破壊しようというのもあるんだよね。「本」でパンクロック。「本」のパンクロック。

山:ん? そんなこと考えてたっけな。。

武:俺は凄くあった。感覚的なんだけど「ザラッと感」とか「ヒリヒリ感」とか言ってたかな。それは、「本」が文化的でお高くとまったものという歴史を踏まえての、違う「本」のイメージというか。


山:僕は何考えてたんやろうなあ、確か本を作るという行為そのものを作品化できないか、っていうことがまずあったのは覚えてるけど。ほんまはもっと形式的にやりたかったんやけどね。

武:そうね。でも16時間美術館でのパフォーマンスはうまくいってる感あるよ。

山:タダ、っていうのも大きかったんかもね。無料配布。

武:そだね。

山:でですよ、なんでこのタイトルをつけたのか。『これは本ではない』

武:この本のタイトルは山根が考えたんじゃなかったっけ?


山:そうです。これねえ、実は当然と言えば当然なんやけど、マグリットは頭にあったわけですよ。ルネ・マグリット。

武:へー。うらわ美術館にもマグリット展示されてたね。そういえば。

山:展示の一番最初にあったやろ。ああ、そりゃそうやな、と。

武:なんで?

山:だって美術の文脈でこのたぐいの反語使うってことはマグリットが当然あるやろうから。『これはパイプではない』というパイプの絵。
< http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Miyuki/1175/post9 >

武:ああ。

山:で、なんでこのタイトルか。マグリットと同じことをしたかった訳ではなくて、これは圧倒的に本である、ということを逆説的に言いたかったんやろね。


武:なるほどね。

山:この一連の行為こそ「まったき本である」みたいな。熱いな!

武:それなのに『これは本ではない』と銘打つ、と。

山:一般的に考えられている本、ではないとも言える訳ですよ。つまり一般流通、売り物でもなく、体裁もまあ、簡易。作ってその場で渡してしまう、とか。

武:「本質的に本であるがそれは一般常識としては本ではない」と。

山:みたいなことやろね。

武:「本の本質は権威ではない」という仮説だよね。

山:そうかもな。


武:「本の本質は権威ではない」という仮説をライブ・パブリケイションというパフォーマンスで実践してきたわけだ。結果、スワンプパブリケイションはどうにも理解されない。つまり、「本の本質は所詮、権威なんです」という答えがひとつ分かったんでしょうな。

山:どうなんやろ。わかったのか、さらにやっぱちゃうやん、って思ったのか。

武:スワンプパブリケイションってPDCAで言うとな、計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act)のCとAがなされてないんですよw

山:何を言っているのかさっぱりわからんw


武:マネジメントサイクル。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/PDCA%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB
>
計画を立てて実行するまでは出来てるんよ。評価とか点検して改善するをやってない、と。

山:あれか、種はまくけど刈り入れせん、みたいなやつか。でもね、評価、点検はしたで。

武:改善してないじゃんw

山:改善とは言えない改め方をした、とw 改めたんですよ。何かを。

武:分かった!「改めた」のではなく「諦めた」んだな。スワンプパブリケイションのPDCAは「プラン、ドゥ、チェック、諦め」のPDCA。

山:日本語入っとるがな!


武:つまり、何を言いたいのかというと、うらわ美術館が展覧会に『これは本ではない』というタイトル付けるなら、スワンプパブリケイションに出展依頼して欲しいわ! と勝手に怒ってるんですよ。

山:だいたいうらわ美術館、スワンプパブリケイションの本収蔵してるしな。。

武:まあ、そんなわけで興味のある人はうらわ美術館に行ってみて下さい。23日まで。

山:内容言わへんのかい!

武:メンドクサクね?


山:え! こんなんやとしばたさんに怒られるやないか!

武:ロハ(ノーギャラの意)だし。

山:でたw それは本心なんかネタなんかどっちやねんww

武:原稿料が出てれば、ガッツリ書くよ。そら。

山:うわ! こんなにお世話になってるのに!

武:わはは! 俺、正直もう、しんどいんすよ。

山:ん? なにが。

武:ロハのアーティスト活動。

山:そりゃみんなそうやろな、売れてない人は。あるいは実家がお金持ちではない人は。


武:魂削って描いて、人から見下されるのに、もう、厭気がさしてきた。

山:別に見下されてないと思いますが。

武:あの娘に男としてみてもらえなかったことが、もう悔しくて、情けなくて、、

山:あの娘てw でもそれ別問題やろ。絵を描くこととは直接は関係ないし。

武:なんとかならんもんかなあ。

山:なんでもとりあえず稼げばええ話なんとちゃうんかいな。

武:ギャラが5000円くらい出て欲しいんすよ。山根は500円でいいけど。

山:なんで僕は500円やねん!


●検索は思考を欠いてるのか?


武:内容いってみる?

山:そうしましょう。

武:こういうコンセプト。

「これまで多くのアーティストたちが、挿絵や装丁をはじめ、さらには本をテーマにして様々な作品を制作してきました。ところが今、本を取り巻く環境は、グーテンベルグが活版印刷を発明して以来の、大きな変革の過程にあります。たとえば電子書籍キンドルやグーグルのブック検索、さらにiPadの登場によって読書はもとより、従来の印刷製本や流通、配本をはじめ「本という経験」は、新たな地平へ移行しつつあります。そこでは読書という「思考」は、思考を欠いた知識の獲得、つまり検索という操作に取って代わられようとしています。このような時代にあってなお、アーティストたちは何故「本」や「本的なもの」に惹きつけられるのでしょうか。本が、人間の記憶や思考を外在化したものであるとすれば、本は姿を変えた人間のたとえであるとも言えるでしょう。現代のアーティストたちの関心は、本をめぐるこのような大きな変化を通して、人もまたどのように変ってゆくのかということにあるのかも知れません。うらわ美術館は「本をめぐるアート」を収集の柱の一つとして活動をしていますが、現在、本のコレクションは1000件を超えています。本展では当館収蔵の作品に加えて、より広がり深化するブック・オブジェの数々や中堅・若手作家のインスタレーション作品を紹介します。それらを通して、「本ということ」の見えない側面に迫ろうとするものです。」

山:なが! お、しかしなんとなくデジクリっぽくなってきたぞ!

武:気になる一文がある。「そこでは読書という『思考』は、思考を欠いた知識の獲得、つまり検索という操作に取って代わられようとしています。」検索は思考を欠いてるか? 俺は違うと思う。

山:ふむ。

武:キンドルやグーグルやiPadに対する嫌悪感はつまりは「護国の話」なんだと思う。日本国産の検索システムや電子書籍デバイスが世界を席巻してたらこんなことは言わない。これは究極的には本の文化の話じゃないよ。アメリカにやられるのは厭だよ、心情的には同意するよ。けど、本の話をして欲しいよ、それが頭に来る。


山:あんまりうらわ美術館に言って欲しい言葉ではないな。そもそもアーティストブックというものは、「本という経験」を従来のものとは違う側面から見るという発想に価値を見るものではなかったのか?

武:今回は頭来たので展示の内容に入らない! 誠意を込めてうらわ美術館に憤りたい。

山:なんやおかしいわな。なんでこういう文章になってまうんやろね。

武:俺は感情的になってるだけだよ。けど、言いたい!

山:どうぞ。


武:検索を非文化行為だと思ったら、本の本質は見れないよ。

山:「思考を欠いた」っていうのがすごいよな。

武:ネット・メディアを甘く見てる。本こそメディアの始まりなのに、本というメディアが権威を持ってしまってるが故に、ネットを下に見てるんだよ、これ。

山:旧態依然としてるというのか。

武:そうだったら、旧態依然としてる自覚で言うべきなんですよ。「本というメディアに対するノスタルジーが忘れられない」とか、「私たちはネットが気持ち悪いのです」とか。

山:わはは。


武:スワンプパブリケイションだって、本がカッコいいと思ってるから本を作りたいんだよ。けどさ、ネットが思考を欠いてて本が文化的に上、とか違うだろ。

山:そうやね。本として、物としての魅力っていうのはあるわけやしね。なんて言うのか、そんなん当たり前で、それ以上に「本という経験」をどのように考えるか、というところを考えて欲しいとは思うわな。帰着がブツでもなんでもかまへんけど。


武:本は素敵なんですよ。けど、本を支える業界が、本が優秀であってネットや電子書籍は低能だとするような権威主義なら、本なんて滅びていいよ。

山:そもそも検索機能は本から始まったんちゃうんか。百科事典とか。そこらへんがなあ。本の美術館としてどうなんか、と。

武:ネットにとってかわられたんです。

山:あ、獲られたって怒ってんのか。

武:そうなら、怒ればいいんですよ。

山:怒ってもないんか。


武:まるで、こっち(本)が上、みたいになってるから。体裁整えて優位性を主張しちゃうロジック、ポジショントークっていうの? そういうのってもう要らないだろ。なんで正直に書かないのかなあ。「ネットとアメリカに負けてますけど、私にとっては大切です。それが本。」とかさ。

山:ああ、言い方がな。そうか。意識の問題か。

武:権威主義の問題だと思うよ。

山:検索がヨーロッパから始まってるから嫌がっているのか? いや、検索ってヨーロッパから始まってるのか知らんけど。でも本からなんとちゃうんかなあ。索引とか。


武:本ってルーツを辿れば結局「聖書」じゃん?

山:聖書に検索ってあったっけ?

武:その日の空気を読んで神父なり牧師なりが、聖書の一節を読んで説教するじゃないですか。牧師が聖書の検索システムなんですよ。

山:ほう。ライブ検索w

武:そうそう。ものっそい検索に権威が与えられてるよねw まあ神の言葉を引用してくれる人だから、そりゃそうなんだけど。

山:あの教会の検索システムはええで! みたいなw でもそう考えると、言葉なんて、頭で常に検索するんやな。次これ言おう、とかを。


武:そもそも、聖書もそうだけど、本の百科事典も、ネットの検索も、記憶・情報を外部化してるわけさよ。あとはアクセスツールの違いじゃん。本を取り出してページをめくるか、携帯でネットに繋ぐか、教会行って牧師に会うかw

山:なんやったかなあ、それこそネットがまだ一般的でもなかった頃に、アルファベットは検索に適している、だから検索システムが欧米で進んだ、みたいなことを読んだような読んでないような。

武:プログラムがアルファベットベースだからね。ひらがなじゃなくて残念。

山:ひらがなやったらどうなってたんやろ。ああ、なんか「検索」にハマってしまったw


武:検索ってすごい意味深いよ。

山:「最初の本は、少くとも今日の本のやうなものではなかつた。それは手足を持つてゐた。それは本棚に列んではゐなかつた。それは話をすることができた。歌をうたふことさへできた。早く云ふと、それは生きてゐる本──即ち「人間書物」であつた。」M・イーリン『書物 その起源と發達の物語』。これは面白いなあ、と。
< http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Library/1959/Review/ilin.htm
>

武:おお。そもそも人間は「本」を内在していた、と。


山:直接この本は読んでないけど、もちろんネット検索でこの文章を見つけたわけで、こういったことを読んで、これってなんやろう、と調べて考えて実践することは、「思考を欠いた」と言われてしまうのでしょうか??

武:検索には新たな知との出会いがある。

山:「検索の否定」なんてしてると、「図書館の否定」にも繋がるのではないのか? とか思てしまう。検索がなんでだめやねんな。

武:だから、キンドルとグーグルとアップルを否定したいんだよ。アメリカ勢にやられるからそれが厭だと。そういう話ならそうだとちゃんと言って欲しい。そしたら俺は「国体護持側」につくからw

山:そういう話なんかね。


●展示について


武:展示についてざっくりというとね、本を素材にしてる彫刻、本を題材にしている彫刻。

山:彫刻、多かった。やっぱりモノっていうことなんやろうな。展示そのものは楽しめましたけどね。まあ、僕が久しぶりに展示を観に行ったから、ということかもしらんが。

武:展示は楽しめたよw 23日までです。見たい人はぜひ! そして、うらわ美術館さま、スワンプパブリケイションを出展に誘って下さい!

山:はい。次は彫刻に挑戦しようと考えております。

武:本はどうした!

【これは本ではない ─ブック・アートの広がり】
< http://www.uam.urawa.saitama.jp/tenran.htm
>
会期:2010年11月20日(土)〜2011年1月23日(日)10:00〜17:00 土日20:00
会場:うらわ美術館(さいたま市浦和区仲町2-5-1 浦和センチュリーシティ3F)
観覧料:一般600円、大高生400円、中小生200円

【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/男です】
[email protected]
twitter < http://twitter.com/Take_J
>
Take Junichiro Art works
< http://take-junichiro.tumblr.com/
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【山根康弘(やまね やすひろ)/大野君ではない】
[email protected]
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SWAMP-PUBLICATION
http://swamp-publication.com/