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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1666 2005/01/11.Tue.14:00発行
http://www.dgcr.com/ 1998/04/13創刊 前号の発行部数 18255部
情報提供・投稿・広告の御相談はこちらまで mailto:[email protected]
登録・解除・変更・FAQはこちら http://www.dgcr.com/regist/index.html
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<更なる低予算長時間労働で業界が疲弊している>
■電網悠語:Ridual開発記編(77)
Web開発の今後
三井英樹
■買い物の王子さま(67)
セレクトはおまかせ
石原 強
■展覧会案内
倉嶋正彦 CG精密画「パテンテ・ビジュアルワンダーランド」展
疾風迅雷 杉浦康平雑誌デザインの半世紀展
■ブックガイド&プレゼント
Shade Graphic Parts Design
【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1666 2005/01/11.Tue.14:00発行
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<更なる低予算長時間労働で業界が疲弊している>
■電網悠語:Ridual開発記編(77)
Web開発の今後
三井英樹
■買い物の王子さま(67)
セレクトはおまかせ
石原 強
■展覧会案内
倉嶋正彦 CG精密画「パテンテ・ビジュアルワンダーランド」展
疾風迅雷 杉浦康平雑誌デザインの半世紀展
■ブックガイド&プレゼント
Shade Graphic Parts Design
■電網悠語:Ridual開発記編(77)
Web開発の今後
三井英樹
───────────────────────────────────
Webデザイナという職種の地位を最近考える。バブル後半から崩壊期あたりに
少しもてはやされた記憶があるが、それ以降あまり脚光を浴びないものになっ
て来ているような気がする。
その代わりに、扱う業務が増えている。Webデザインをやっていると言うため
に知っておくべき知識が増え続けている。しかもプロであると自覚する者ほど、
高い壁に囲まれる。ユーザインターフェース(UI)デザインから、サーバサイ
ド、データベース、セキュリティから法制度に至るまで、情報を扱うために知
っておくべき全てのことを期待される。
ある意味で、「デザイン」が「グラフィックデザイン」から本来の「設計」を
意味する言葉に変化してきていると言えるのかもしれない。多くのプロのWeb
デザイナが、その変化に追従し追い越そうとして多くの時間をかけている。
しかし、まだこの現状を理解している人がクライアントサイドには少ないのか
もしれない。Webサイトの構築を頼まれてから、それに着手するまでに説明し
なければならない事柄が減らない。まだまだWebサイトを構築するということ
の意味が浸透していない。
●撤退したWebサイトに欠けていたものは
誰もがこぞってWebサイトを作り始めた時、それは紙の会社案内をデジタル化
しただけが主流だった。全世界に開かれた玄関を作りましょうという合言葉に、
煽動された時代。けれど、ただ単に皆と同じに玄関を作っただけのところは、
Webという海に埋没して行った。その玄関に、より先進的な「使い方」を付加
したところだけが歴史に名を刻んだ。
次に、使い方にバリエーションが生まれてくる。情報提供だけではなく、Web
アプリケーションとしての動き。商品の品揃えで勝負する方向性や、既存ブラ
ンド名を冠した大規模化の流れ。既存の市場を押さえ込む手法が至るところで
適応された。大企業が、プライドにかけてWebに投資した。
しかし、結果は思ったようには付いて来なかった。Webは今までのコマーシャ
ル界の常識では計れない魔物が住んでいる。それはTVのように受身で情報を受
け取るしか道がない訳ではないという点だ。どんな有名な企業がサイトを作っ
ても、ユーザは見向きもしないということが常識的に起こった。
更に、まだまだ回線の細さの影響を、サイト開発側が見積もれていなかった点
も大きかった。どんなゴージャスな絵を配置しても、単なる絵を見るために数
分間待ってくれるユーザはまだ育っていなかった。
そうこうしている内に、バブルがハジケて、思ったほどの効果の上がらないWe
bサイトは収束ラインに乗せられる。多くの投資をかけても効果の上がらな
かったサイトが、予算削減の中で効果を高められるはずもなく、殆ど注目もさ
れないまま、閉店通知メールが行きかった。
多くの既存有名大企業が手がけたWebサイトが閉鎖に追い込まれる中で、新興
企業はユーザの動向を学び、素早く動き、改良に改良を重ねて地盤を固めてい
った。そして、2004年。この日本で、ネット系の野球のオーナー企業が誕生
した。ネットがビジネスにならないと撤退した大企業はどんな想いで、この
ニュースに触れたのだろう。
あまり報道も検証もされないが、撤退した企業やサイトには、何かが足りなか
ったのだ。新興企業が発展できるだけの土壌があったにもかかわらず、既存大
企業が投資を繰り返したにもかかわらず、大手が敗退した。それは、先見性と
投資に関わる分野であり、真の意味での「デザイン」と無関係ではない。どん
な機能を実装すべきで、どこに投資すべきかを語るのがデザインなのだから。
●Web業界は正当な評価を受けていない
多くのネット系企業が大きくなっているものの、取り残された分野がある。
Webデザイナ業界。先述の多くの技術が必要な分野でありながら、頭の使い方
次第では野球チームのオーナーになるポテンシャルを持つにもかかわらず、予
算が付かない分野。「Webをデザインする力」が正当な評価を受けていない。
Webデザインをやっています、と言っても通じない場合がまだ多い。ホーム
ページを作ってます、と簡単な揶揄で説明すると、「ウチの娘もこの前作りま
したよ」とか言われる。オリンピックレベルから、幼稚園生のカケッコまでが
一つの言葉で語られる奇妙な世界がここにある。
「デザイン」をグラフィックデザインと同一視し、非論理的だという先入観だ
けで卑下する人達も未だ多い。特にエンジニアの中に多い。データベースから
データを抜き差しするだけでは、ユーザは魅力を感じてくれないことに未だ気
が付かない。デザイナがデータを「使われる情報」の形まで昇華していること
に目を向けない。使われる情報を設計するよりも、Javaを使える事が偉いと未
だ思っている。ユーザは何で作られているのかなんて誰も見ていないのに。
開発という大きな仕事をした人達を扱うメディアにも問題を感じる。これほど
多くの先人が自分のスキルを披露している分野があるだろうか。なのに情報提
供した人が報われない。一度、寝ないで仕上げたサイトのノウハウを、雑誌の
一特集の一部分として扱われた。挨拶もなく、正直食い物にされたと感じ不愉
快だった。努力した人に敬意を払わずに、自誌の売上げだけを目指す。業界を
育てる気がないのかと疑った。
Webデザイナの仕事の何たるかを説明しないまま進んできたおかげで、Web屋は
ギリギリの予算で良いモノを提供させられている。知識のランクを示す言葉も
存在しないし、何をデザインしているかも理解されない。アイデアもテクニッ
クも自動販売機のように大量に引き出されて当然と思われている。
多くの場面でディレクタ的存在が求められているにもかかわらず、メディアと
学校から初心者だけが大量生産されている。予算の付かない現場は教育部門と
しては機能できない。それらが悪循環して、更なる低予算長時間労働で業界が
疲弊している。
●予算、見積もりの立て方も考え直す時期
予算について言えば、Webの世界はかなり奇妙な構造になっている。最初に提
案を出させられる事が多いが、実はそこが一番クリエイティブで知識集約的な
作業である。そして予算を確定して、その後に詳細設計をする際に、どんどん
と機能追加が行なわれる。しかし、リリース日は確定していて動かせない。走
り出したWebプロジェクトを止める事は難しく、結局のところ予算超過部分を
個々人の生活を犠牲にして受けざるを得ない。
こんな買物は他にない。システム開発も似たような側面を持つが、機能追加の
揺れ幅が異なるように感じる。それはシステム開発がUIの部分を余り考慮せず
に進めてきたからであろう。イントラ系のように、多少使い勝手が悪かろうと、
使えと指示すれば使い続ける従順なユーザを想定していたためである。しかし、
Web、特にB2Cは違う。そしてその変化はB2BやinBの分野にも広がっている。
だからそろそろ予算の立て方、逆に見れば見積もりの立て方も考え直した方が
良い時期になってきたのかもしれない。機能と予算の関係を、客観的に見つめ
る方法が必要なのではないだろうか。
例えば、100万円の車を買うときに、75万円しかないと値引き交渉する人はい
ない。仮に、3/4の予算だからといってタイヤ3つ分を購入することが出来たと
しても、四輪でデザインされた車が、3/4の機能を発揮するはずはない。75万
円の価格帯の車を選ばざるを得ない。
Webサイトのデザインを考える時、Webデザイナは恐らく誰でも、最良のサービ
ス提供が出来る形を想像する。それが予算と合わないとき、本来ならば予算額
を聞いてからそれで出来ることをデザインし直すべきなのだろう。ちょうど車
が価格帯や嗜好帯(?)が細かく分かれて作られているように、一つ下のレベ
ルの提案を持っていくべきなのだ。
歴史と記憶に残るWebサイトの裏には、過激なまでの提案(多くは業務改革に
近いもの)をしたWeb屋と、その提案を受けた担当者が共鳴して、必死で予算
を確保するというドラマが、数多くある。上のレベルの提案を実行したければ、
上のレベルの予算が必要なのである。そして、歴史に残るサイトは、そうした
サイトだけだ。皆と同じ予算で同じことをやっていて名を残すことはできない。
Webサイトデザインの面白いところは、提案をしてくれと頼まれて、思いっき
り夢を膨らましてサービスを考えることが出来る点だと思う。ここの商品を見
てもらうにはどんなUIがあれば良いのかを考える時、それが醍醐味だし一番楽
しい。そして、かなり予算をオーバーしたプランだと自覚していても、クライ
アントに受け入れてもらえる時がある。一緒に走れた時の喜びは大きい。それ
を一度でも経験してしまったら、予算額ギリギリの夢のないプランは持っては
行けない。
●Web開発も扱う金額に対して比例する保証サービスに?
今、Webに関わる人達は価格競争に入る余力はないと思う。人情系が無視でき
ないのは知っているが、正当な報酬はちゃんと確保すべきだという、当たり前
の結論に漸く辿り着いている。とにかく、相手にする技術知識が膨大すぎる。
クライアントを満足させたければ、相当量の技術吸収が必須なのである。逆に
様々な技術があやふやだと、クライアントに迷惑をかける可能性が高まってき
ている。
そして、もしもそうした事態が起こった場合、小さなWeb屋では対応が出来な
くなる可能性だってある。例えば1,000万で開発を受けたが、そのシステムで
毎月10億のお金を扱うとする。そこでバグがあって業務を数時間でも止めなけ
ばならなくなった場合、その時の保証はどうするのか。すべてその開発担当の
Web屋の責任なのだろうか。契約上はそうかもしれないが、個人的には疑問が
残る。
これもあまり注目されなかったが、先月経済産業省がIEでしか見れないサイト
は不適切であるとコメントした。この一言は、多大なブラウザ依存性テストが
必要であると言っていることに等しい。これだけで、Web屋の責任は何割か増
加した。しかし予算が増える兆候は見えない。
車の場合、高級車であれば走行テストや衝突試験等の性能テストや安全性の確
保に対して相当の手間暇をかけている。それがあるから高いのであり、車業界
には新規参入が難しいと言われる。弱小企業は既定の数の車の衝突試験が出来
ないからである。何かを保証するということは、それだけ価格に跳ね返るのが
常識なのである。
そう考えると、Web開発も扱う金額に対して比例する保証サービス的なものに
変わっていくべきなのかもしれない。もはや車のように直接人命に関わるもの
と、Webのように情報の形をした金銭を扱うものとに、実質的な差はないだろ
う。慎重を期す必要は共通している。
初期開発費と、扱う金額に比例したメンテナンス費が保証されるのならば、
Web屋の責任は拡大するが、その分地位も向上するだろう。必然的にかなり専
属的にお付き合いをするので、提供できるサービスの質も向上するだろう。逆
に取扱額に比べて過小な開発費しか出さないクライアントは、そのサービスに
対する責任を放棄しているとさえ見なせる。恐らくそのクライアントに付き合
うWeb屋を探すコストが増大し、ユーザの視線も冷めるだろう。
●Web業界全体が変わらなければならない
きちんとしたWebサイトを構築するためには、きちんとした環境が必要である。
特に、ここまでBlogが一般的になり、単なる情報共有型サイトが手軽に構築で
きる時代になったからには、それ以外のサイトには「機能」が要求される。そ
れなりのサイトを作るには高度な技術的基盤と先見性と人間(ユーザ)への洞
察が必須だ。
もはや趣味的な延長線や個人プレーでは作り得ない領域に入っている。きちん
と分業体制の組める知識集約型の組織が必須だ。F1レーサが自分のマシンに二
流の部品を使うだろうか。そこでケチってレースで負けたら何の意味もない。
先進的Web屋のいる世界は、今後そうした業界になっていくだろう。
革新的なことをWebでやりたくなったクライアントが現れた時、どこにもそん
な体力がありませんというのでは時代が動かない。その損失の大きさは計り知
れない。そのためにも今ある優秀なWeb屋がきちんと生き残っていける仕組み
が不可欠になって来ている。
優秀な人材が継続して流れ込んでこれるような業界。Webが本来持っているポ
テンシャルを、より大きくしていく活動が必要になってきている。もはや数社
のWeb屋が潤っているだけでは、そうした人材流入が起こらない気がする。業
界全体として何か手を打たなければ。
Ridualの次期版の構想を練りながら、ツールに留まらない動きが必要だと思っ
てきている。そんな話をRidualを肴に色々な方と話し始めている。まだまだ有
志の間の情熱論議にすぎないかもしれないけれど、互いからの感化と共感の輪
が広がって行っている気がする。2005年が、何かが変わり始めた年と評価され
るようになって欲しい。
【みつい・ひでき】 [email protected] / [email protected]
年末年始に悶々と考えていた話を書き始めたら、とんでもなく長く堅苦しく
なってしまいました。すいません。2005年から会社のチェックの関係もあって、
火曜日掲載にさせて頂きました。今年もよろしくお願いします。
・Ridual(XMLベースのWebサイト構築ツール)公式サイト
http://www.ridual.jp/
・超個人的育児サイト(書籍は絶版中)
http://homepage3.nifty.com/mitmix/MilkAge/
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■買い物の王子さま(67)
セレクトはおまかせ
石原 強
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福袋と言えばお正月の風物詩ですが、私はほとんど買った事がありません。値
段よりお得なものが詰まっているとしても、本当に欲しいものだけを選んで買
う方が性に合うからです。
昨年末に、よく買っているワインショップからメルマガが届きました。週に2
通程度、まめにメルマガを配信するショップが多い中で、このお店は不定期で
月に2~3通とマイペースです。でも届くと、どんなワインが入荷したのかと真
っ先に読んでしまいます。
何百、何千というアイテムを扱うワインショップでは、肝心のワインの味を説
明するのに有名批評家のコメントをそのまま転載していることも少なくありま
せん。それでも、どのワインも「美味しい」「珍しい」「素晴らしい」と大絶
賛されています。
しかしこのお店では、ワイン一本一本に対して、温度、色、香り、味の印象な
ど詳細な評価を掲載しています。また、何度も飲み直して微妙な違いを説明す
る、入荷して間もないものは「まだ飲んでいない」とはっきり書くなどの正直
さに信頼感が増します。
また、ここの店長オススメのワインは、たいてい私の味の好みに合うので、ど
れを飲んでも期待を外しません。だからよく知らない産地や名前のワインで
も、安心してチャレンジできます。
今回のメルマガでは、「赤字覚悟のお楽しみビックリ箱」と名付けられたセッ
トが紹介されていました。この店で、中身を見せないセットなんて珍しいなと
思ったら、こんなコメントがついていました。
---
「50パーセントオフとか70パーセントオフ」だなんて決して言わないよ。そん
なに普段利益を取っているわけでもないのだから、そんなに割り引きしたら商
売しない方が良いに決まっているじゃない。
でもね 今回は店長がワインを買い過ぎたらしく、支払いが大変なようなので、
珍しく放出するみたい。内緒だよ・・・。
---
いつもなら、中身がわからないものは買わない私でも、これには心惹かれまし
た。送料が高いので、いつも6本くらいまとめて注文してるし、1本あたり2000
円ならば普段でも飲める手頃な価格です。なにより店長のセレクトなら間違い
ありません。3種類のビックリ箱の中から、赤5本、白1本のセットを注文しま
した。
運送業者のミスで指定日から2日遅れて到着。早速、箱を開けて1本ずつ取り出
してチェック。取り出す毎に、次は何が出てくるかとワクワクします。1本が
少し前に買ったワインとダブっていましたが、お店のオススメが入ったお得な
セットであることは確かです。
6本を並べてみると、自分好みのものと、普段なら選びそうにないものが半々
で入っていました。自分ではできないセレクトを買うのが福袋の醍醐味なのか
もしれません。意外性のある美味しさを、しばらくは楽しめそうです。
ワインセットを買ったお店「ウメムラ Wine Cellar」
http://www.rakuten.co.jp/umemura/
【いしはら・つよし】[email protected]
ウェブプロデューサー、ウェブアナリスト、ワイン好き
配送予定日に、運送会社から焦った声で電話があった。「運搬中にワイン1本
が割れてしまい、代替え品を手配したけれど、届くのが2日ほど遅れる」との
こと。「かまいませんよ」と答えた後、今日がクリスマスイブだと気がついた。
電話口で怒鳴られることを覚悟していたのに拍子抜けしたかも。
・ウェブマスターの情報源「ウェブアナ」
http://www.webanalyst.jp/mt/
石原 強(Tsuyoshi Ishihara)
blog:ウェブアナ (http://www.webanalyst.jp/mt/)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■展覧会案内
倉嶋正彦 CG精密画「パテンテ・ビジュアルワンダーランド」展
<http://www1.odn.ne.jp/%7Ekurashima/>
───────────────────────────────────
会期:1月11日(火)~29日(土)18:00~24:00 日祝休
※チャージ500円、ビール600から。食事メニューも充実。
会場:Gallery Bar Kajima(東京都中央区銀座7-2-20 山城ビル2階 TEL.03-
3574-8720)
展示概要:超細密CG画、パテンテ・ビジュアルワンダーランドより パテンテ
曼陀羅の図1(2004年アジアグラフィック横浜展及び、2004年中国国際CG展に
出展。第8回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員推薦会作品に選出され
ました)パテンテ曼陀羅の図2(新作、初公開)
※曼陀羅画は各部分をプロジェクターで拡大投影する予定です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■展覧会案内
疾風迅雷 杉浦康平雑誌デザインの半世紀展
<http://www.dnp.co.jp/gallery/ddd/>
───────────────────────────────────
会期:1月12日(水)~2月7日(月)10:00~18:00 土日祝休
会場:dddギャラリー(大阪市北区堂島浜2-2-28 堂島アクシスビル1F TEL.06
-6347-8780 )
内容:杉浦康平は、グラフィックデザインの全領域、とりわけブックデザイン
やエディトリアルデザイン、タイポグラフィの領域で画期的な試みを展開し、
有能なスタッフの協力を得て意表をつく作品を次々に世に送り出してきました。
今回の展覧会では、杉浦の多彩な仕事の中でも特異な位置を占める雑誌デザイ
ンに焦点をしぼり、この半世紀近くに取り組んだ2000点余の中から『銀花』
『SD』『都市住宅』『エピステーメー』『遊』『噂の真相』『自然と文化』な
ど、約500点を選び、独創あふれる仕事の精華を一堂に集め、ご紹介します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ブックガイド&プレゼント
Shade Graphic Parts Design
<http://book.mycom.co.jp/book/4-8399-1440-0/4-8399-1440-0.shtml>
───────────────────────────────────
著者:韮沢 薫
定価:2,940円(税込)
体裁:B5判 336ページ
ISBN4-8399-1440-0
発売:2004年12月14日 毎日コミュニケーションズ刊
内容紹介:3Dデザインをワンポイントで使いたいと考えている人は多いはずで
す。Shadeシリーズの中でも「Basic」は最も安価に購入でき、本格的な3Dを始
める人にとって、一番入りやすいソフトと言えるでしょう。本書はShadeの
Basicだけを使って簡単に、なおかつWebやDTPで使い廻しのきくグラフィック
パーツを作るという内容です。ハートやリンゴのように単純な形から、エンタ
シスやロボットなど複雑な形まで、約50のパーツを作ります。図版を多用して
いますので、説明通りに作業すれば同じものが出来るはずです。
※一部、Adobe Photoshopと連携した作品も解説しています。
・対応:Shade 7&7.5 Basic
●本誌を毎日コミュニケーションズよりデジクリ読者5名様にプレゼント。
応募フォームをつかってください。締切は1月20日(木)14時。
当選者(都道府県、姓)はサイト上に1月末頃掲載予定です。
http://www.dgcr.com/present/20050111.html
▼今回は著者のご好意で「5冊」提供いただきました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■編集後記(1/11)
・先週土曜日、今年初めての電車に乗った。夕方から、友人と一杯飲むために
新松戸に向かった。せっかくの遠出(?)だから少し早めに家を出て、流山に
寄り道する。武蔵野線の新松戸駅のひとつ手前の南流山駅に下りて、1キロも
離れていない総武流山電鉄「鰭ヶ崎」駅まで歩き、そこから2駅で「流山」だ。
全長わずか5.7キロ、駅は6つしかない超ミニ鉄道は、都心に近いのにローカル
色が濃い。20年くらい前にもこのコースを辿ったことがある。当然だが、いま
は線路沿いは住宅が建ち並んで昔の面影はないが、まだまだいい味を出してい
る。流山で使える時間はわずか20分。行くなら、あそこしかないでしょう。近
藤勇・土方歳三離別の地「近藤勇陣屋跡」(正確ではない表現だが、そういう
石碑が建っていた)。今は秋元という酒問屋で、古い立派な建物の一角にこの
碑や説明書き、みやげもの屋がある。そこでは、酒や漬け物、新選組グッズな
どが売られていて、女主人はテレビのおかげで見に来られる人が多くなったと
言っていた。でも、正直、わざわざ見に来るほどの所でもない。おみやげ買い
ましたよ「てっぽう勇漬」、流山名産、全糖、最高級品というの。家に帰って
漬け物の袋の解説を読むと、「白瓜を原料にしそ巻唐辛子を加えキッコーマン
生醤油と万上みりんで味付けした」ものだという。しかし、その白瓜は中国産
である。昔からあるという流山名物が中国産原料かい。でも、さすがキッコー
マン、非常にうまい漬け物であった。 (柴田)
・新感線の「SHIROH」を見てきた。島原の乱をベースにしたもの。乱の中心で
あるシローは二人いて、策を練る島原の四郎と、歌で人の心を動かす天草のシ
ローがいるという解釈。今の日本のことや、(私は)イラクや世界のことまで
考えさせられるような作りであった。舞台自体は新感線らしさが随分減ってい
て、正統派ミュージカルかと思わせるところもあったりして驚いた。以前から
気になっていた中川晃教さんの生声。声質は嫌いなはずなのに最後にはキリシ
タンになっている自分がいましたよー(比喩です)。ミュージカルスターらし
く歌詞が台詞になっていて聞き取りやすいし演技力あるし声量あるしで、彼を
ミュージカルの世界に導いた宝塚異色の演出家小池先生の目はさすがだ。ミュ
ージカルで一番つらいのは歌詞がききとれないこと。ストーリーがわからなく
なるし、のめり込めない。大きな舞台になるとそれが顕著。劇団四季の主役ク
ラスの人は、そのために「あいうえお」で会話すると話していた。「おはよう」
なら「おあおう」と発音して訓練するらしい。ミュージカルは歌がうまいだけ
では無理なのだなぁ。 (hammer.mule)
http://shiro228.web.infoseek.co.jp/ 天草四郎時貞
http://www.akinori.jp/ 中川晃教
http://www.tkma.co.jp/tjc/nakagawa/infomation/ 生じゃないとな
http://www.toho.co.jp/stage/shiroh/ SHIROH
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編集長 柴田忠男
デスク 濱村和恵
アソシエーツ 神田敏晶
リニューアル 8月サンタ
アシスト 鴨田麻衣子
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許可なく転載することを禁じます。
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Web開発の今後
三井英樹
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Webデザイナという職種の地位を最近考える。バブル後半から崩壊期あたりに
少しもてはやされた記憶があるが、それ以降あまり脚光を浴びないものになっ
て来ているような気がする。
その代わりに、扱う業務が増えている。Webデザインをやっていると言うため
に知っておくべき知識が増え続けている。しかもプロであると自覚する者ほど、
高い壁に囲まれる。ユーザインターフェース(UI)デザインから、サーバサイ
ド、データベース、セキュリティから法制度に至るまで、情報を扱うために知
っておくべき全てのことを期待される。
ある意味で、「デザイン」が「グラフィックデザイン」から本来の「設計」を
意味する言葉に変化してきていると言えるのかもしれない。多くのプロのWeb
デザイナが、その変化に追従し追い越そうとして多くの時間をかけている。
しかし、まだこの現状を理解している人がクライアントサイドには少ないのか
もしれない。Webサイトの構築を頼まれてから、それに着手するまでに説明し
なければならない事柄が減らない。まだまだWebサイトを構築するということ
の意味が浸透していない。
●撤退したWebサイトに欠けていたものは
誰もがこぞってWebサイトを作り始めた時、それは紙の会社案内をデジタル化
しただけが主流だった。全世界に開かれた玄関を作りましょうという合言葉に、
煽動された時代。けれど、ただ単に皆と同じに玄関を作っただけのところは、
Webという海に埋没して行った。その玄関に、より先進的な「使い方」を付加
したところだけが歴史に名を刻んだ。
次に、使い方にバリエーションが生まれてくる。情報提供だけではなく、Web
アプリケーションとしての動き。商品の品揃えで勝負する方向性や、既存ブラ
ンド名を冠した大規模化の流れ。既存の市場を押さえ込む手法が至るところで
適応された。大企業が、プライドにかけてWebに投資した。
しかし、結果は思ったようには付いて来なかった。Webは今までのコマーシャ
ル界の常識では計れない魔物が住んでいる。それはTVのように受身で情報を受
け取るしか道がない訳ではないという点だ。どんな有名な企業がサイトを作っ
ても、ユーザは見向きもしないということが常識的に起こった。
更に、まだまだ回線の細さの影響を、サイト開発側が見積もれていなかった点
も大きかった。どんなゴージャスな絵を配置しても、単なる絵を見るために数
分間待ってくれるユーザはまだ育っていなかった。
そうこうしている内に、バブルがハジケて、思ったほどの効果の上がらないWe
bサイトは収束ラインに乗せられる。多くの投資をかけても効果の上がらな
かったサイトが、予算削減の中で効果を高められるはずもなく、殆ど注目もさ
れないまま、閉店通知メールが行きかった。
多くの既存有名大企業が手がけたWebサイトが閉鎖に追い込まれる中で、新興
企業はユーザの動向を学び、素早く動き、改良に改良を重ねて地盤を固めてい
った。そして、2004年。この日本で、ネット系の野球のオーナー企業が誕生
した。ネットがビジネスにならないと撤退した大企業はどんな想いで、この
ニュースに触れたのだろう。
あまり報道も検証もされないが、撤退した企業やサイトには、何かが足りなか
ったのだ。新興企業が発展できるだけの土壌があったにもかかわらず、既存大
企業が投資を繰り返したにもかかわらず、大手が敗退した。それは、先見性と
投資に関わる分野であり、真の意味での「デザイン」と無関係ではない。どん
な機能を実装すべきで、どこに投資すべきかを語るのがデザインなのだから。
●Web業界は正当な評価を受けていない
多くのネット系企業が大きくなっているものの、取り残された分野がある。
Webデザイナ業界。先述の多くの技術が必要な分野でありながら、頭の使い方
次第では野球チームのオーナーになるポテンシャルを持つにもかかわらず、予
算が付かない分野。「Webをデザインする力」が正当な評価を受けていない。
Webデザインをやっています、と言っても通じない場合がまだ多い。ホーム
ページを作ってます、と簡単な揶揄で説明すると、「ウチの娘もこの前作りま
したよ」とか言われる。オリンピックレベルから、幼稚園生のカケッコまでが
一つの言葉で語られる奇妙な世界がここにある。
「デザイン」をグラフィックデザインと同一視し、非論理的だという先入観だ
けで卑下する人達も未だ多い。特にエンジニアの中に多い。データベースから
データを抜き差しするだけでは、ユーザは魅力を感じてくれないことに未だ気
が付かない。デザイナがデータを「使われる情報」の形まで昇華していること
に目を向けない。使われる情報を設計するよりも、Javaを使える事が偉いと未
だ思っている。ユーザは何で作られているのかなんて誰も見ていないのに。
開発という大きな仕事をした人達を扱うメディアにも問題を感じる。これほど
多くの先人が自分のスキルを披露している分野があるだろうか。なのに情報提
供した人が報われない。一度、寝ないで仕上げたサイトのノウハウを、雑誌の
一特集の一部分として扱われた。挨拶もなく、正直食い物にされたと感じ不愉
快だった。努力した人に敬意を払わずに、自誌の売上げだけを目指す。業界を
育てる気がないのかと疑った。
Webデザイナの仕事の何たるかを説明しないまま進んできたおかげで、Web屋は
ギリギリの予算で良いモノを提供させられている。知識のランクを示す言葉も
存在しないし、何をデザインしているかも理解されない。アイデアもテクニッ
クも自動販売機のように大量に引き出されて当然と思われている。
多くの場面でディレクタ的存在が求められているにもかかわらず、メディアと
学校から初心者だけが大量生産されている。予算の付かない現場は教育部門と
しては機能できない。それらが悪循環して、更なる低予算長時間労働で業界が
疲弊している。
●予算、見積もりの立て方も考え直す時期
予算について言えば、Webの世界はかなり奇妙な構造になっている。最初に提
案を出させられる事が多いが、実はそこが一番クリエイティブで知識集約的な
作業である。そして予算を確定して、その後に詳細設計をする際に、どんどん
と機能追加が行なわれる。しかし、リリース日は確定していて動かせない。走
り出したWebプロジェクトを止める事は難しく、結局のところ予算超過部分を
個々人の生活を犠牲にして受けざるを得ない。
こんな買物は他にない。システム開発も似たような側面を持つが、機能追加の
揺れ幅が異なるように感じる。それはシステム開発がUIの部分を余り考慮せず
に進めてきたからであろう。イントラ系のように、多少使い勝手が悪かろうと、
使えと指示すれば使い続ける従順なユーザを想定していたためである。しかし、
Web、特にB2Cは違う。そしてその変化はB2BやinBの分野にも広がっている。
だからそろそろ予算の立て方、逆に見れば見積もりの立て方も考え直した方が
良い時期になってきたのかもしれない。機能と予算の関係を、客観的に見つめ
る方法が必要なのではないだろうか。
例えば、100万円の車を買うときに、75万円しかないと値引き交渉する人はい
ない。仮に、3/4の予算だからといってタイヤ3つ分を購入することが出来たと
しても、四輪でデザインされた車が、3/4の機能を発揮するはずはない。75万
円の価格帯の車を選ばざるを得ない。
Webサイトのデザインを考える時、Webデザイナは恐らく誰でも、最良のサービ
ス提供が出来る形を想像する。それが予算と合わないとき、本来ならば予算額
を聞いてからそれで出来ることをデザインし直すべきなのだろう。ちょうど車
が価格帯や嗜好帯(?)が細かく分かれて作られているように、一つ下のレベ
ルの提案を持っていくべきなのだ。
歴史と記憶に残るWebサイトの裏には、過激なまでの提案(多くは業務改革に
近いもの)をしたWeb屋と、その提案を受けた担当者が共鳴して、必死で予算
を確保するというドラマが、数多くある。上のレベルの提案を実行したければ、
上のレベルの予算が必要なのである。そして、歴史に残るサイトは、そうした
サイトだけだ。皆と同じ予算で同じことをやっていて名を残すことはできない。
Webサイトデザインの面白いところは、提案をしてくれと頼まれて、思いっき
り夢を膨らましてサービスを考えることが出来る点だと思う。ここの商品を見
てもらうにはどんなUIがあれば良いのかを考える時、それが醍醐味だし一番楽
しい。そして、かなり予算をオーバーしたプランだと自覚していても、クライ
アントに受け入れてもらえる時がある。一緒に走れた時の喜びは大きい。それ
を一度でも経験してしまったら、予算額ギリギリの夢のないプランは持っては
行けない。
●Web開発も扱う金額に対して比例する保証サービスに?
今、Webに関わる人達は価格競争に入る余力はないと思う。人情系が無視でき
ないのは知っているが、正当な報酬はちゃんと確保すべきだという、当たり前
の結論に漸く辿り着いている。とにかく、相手にする技術知識が膨大すぎる。
クライアントを満足させたければ、相当量の技術吸収が必須なのである。逆に
様々な技術があやふやだと、クライアントに迷惑をかける可能性が高まってき
ている。
そして、もしもそうした事態が起こった場合、小さなWeb屋では対応が出来な
くなる可能性だってある。例えば1,000万で開発を受けたが、そのシステムで
毎月10億のお金を扱うとする。そこでバグがあって業務を数時間でも止めなけ
ばならなくなった場合、その時の保証はどうするのか。すべてその開発担当の
Web屋の責任なのだろうか。契約上はそうかもしれないが、個人的には疑問が
残る。
これもあまり注目されなかったが、先月経済産業省がIEでしか見れないサイト
は不適切であるとコメントした。この一言は、多大なブラウザ依存性テストが
必要であると言っていることに等しい。これだけで、Web屋の責任は何割か増
加した。しかし予算が増える兆候は見えない。
車の場合、高級車であれば走行テストや衝突試験等の性能テストや安全性の確
保に対して相当の手間暇をかけている。それがあるから高いのであり、車業界
には新規参入が難しいと言われる。弱小企業は既定の数の車の衝突試験が出来
ないからである。何かを保証するということは、それだけ価格に跳ね返るのが
常識なのである。
そう考えると、Web開発も扱う金額に対して比例する保証サービス的なものに
変わっていくべきなのかもしれない。もはや車のように直接人命に関わるもの
と、Webのように情報の形をした金銭を扱うものとに、実質的な差はないだろ
う。慎重を期す必要は共通している。
初期開発費と、扱う金額に比例したメンテナンス費が保証されるのならば、
Web屋の責任は拡大するが、その分地位も向上するだろう。必然的にかなり専
属的にお付き合いをするので、提供できるサービスの質も向上するだろう。逆
に取扱額に比べて過小な開発費しか出さないクライアントは、そのサービスに
対する責任を放棄しているとさえ見なせる。恐らくそのクライアントに付き合
うWeb屋を探すコストが増大し、ユーザの視線も冷めるだろう。
●Web業界全体が変わらなければならない
きちんとしたWebサイトを構築するためには、きちんとした環境が必要である。
特に、ここまでBlogが一般的になり、単なる情報共有型サイトが手軽に構築で
きる時代になったからには、それ以外のサイトには「機能」が要求される。そ
れなりのサイトを作るには高度な技術的基盤と先見性と人間(ユーザ)への洞
察が必須だ。
もはや趣味的な延長線や個人プレーでは作り得ない領域に入っている。きちん
と分業体制の組める知識集約型の組織が必須だ。F1レーサが自分のマシンに二
流の部品を使うだろうか。そこでケチってレースで負けたら何の意味もない。
先進的Web屋のいる世界は、今後そうした業界になっていくだろう。
革新的なことをWebでやりたくなったクライアントが現れた時、どこにもそん
な体力がありませんというのでは時代が動かない。その損失の大きさは計り知
れない。そのためにも今ある優秀なWeb屋がきちんと生き残っていける仕組み
が不可欠になって来ている。
優秀な人材が継続して流れ込んでこれるような業界。Webが本来持っているポ
テンシャルを、より大きくしていく活動が必要になってきている。もはや数社
のWeb屋が潤っているだけでは、そうした人材流入が起こらない気がする。業
界全体として何か手を打たなければ。
Ridualの次期版の構想を練りながら、ツールに留まらない動きが必要だと思っ
てきている。そんな話をRidualを肴に色々な方と話し始めている。まだまだ有
志の間の情熱論議にすぎないかもしれないけれど、互いからの感化と共感の輪
が広がって行っている気がする。2005年が、何かが変わり始めた年と評価され
るようになって欲しい。
【みつい・ひでき】 [email protected] / [email protected]
年末年始に悶々と考えていた話を書き始めたら、とんでもなく長く堅苦しく
なってしまいました。すいません。2005年から会社のチェックの関係もあって、
火曜日掲載にさせて頂きました。今年もよろしくお願いします。
・Ridual(XMLベースのWebサイト構築ツール)公式サイト
http://www.ridual.jp/
・超個人的育児サイト(書籍は絶版中)
http://homepage3.nifty.com/mitmix/MilkAge/
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■買い物の王子さま(67)
セレクトはおまかせ
石原 強
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福袋と言えばお正月の風物詩ですが、私はほとんど買った事がありません。値
段よりお得なものが詰まっているとしても、本当に欲しいものだけを選んで買
う方が性に合うからです。
昨年末に、よく買っているワインショップからメルマガが届きました。週に2
通程度、まめにメルマガを配信するショップが多い中で、このお店は不定期で
月に2~3通とマイペースです。でも届くと、どんなワインが入荷したのかと真
っ先に読んでしまいます。
何百、何千というアイテムを扱うワインショップでは、肝心のワインの味を説
明するのに有名批評家のコメントをそのまま転載していることも少なくありま
せん。それでも、どのワインも「美味しい」「珍しい」「素晴らしい」と大絶
賛されています。
しかしこのお店では、ワイン一本一本に対して、温度、色、香り、味の印象な
ど詳細な評価を掲載しています。また、何度も飲み直して微妙な違いを説明す
る、入荷して間もないものは「まだ飲んでいない」とはっきり書くなどの正直
さに信頼感が増します。
また、ここの店長オススメのワインは、たいてい私の味の好みに合うので、ど
れを飲んでも期待を外しません。だからよく知らない産地や名前のワインで
も、安心してチャレンジできます。
今回のメルマガでは、「赤字覚悟のお楽しみビックリ箱」と名付けられたセッ
トが紹介されていました。この店で、中身を見せないセットなんて珍しいなと
思ったら、こんなコメントがついていました。
---
「50パーセントオフとか70パーセントオフ」だなんて決して言わないよ。そん
なに普段利益を取っているわけでもないのだから、そんなに割り引きしたら商
売しない方が良いに決まっているじゃない。
でもね 今回は店長がワインを買い過ぎたらしく、支払いが大変なようなので、
珍しく放出するみたい。内緒だよ・・・。
---
いつもなら、中身がわからないものは買わない私でも、これには心惹かれまし
た。送料が高いので、いつも6本くらいまとめて注文してるし、1本あたり2000
円ならば普段でも飲める手頃な価格です。なにより店長のセレクトなら間違い
ありません。3種類のビックリ箱の中から、赤5本、白1本のセットを注文しま
した。
運送業者のミスで指定日から2日遅れて到着。早速、箱を開けて1本ずつ取り出
してチェック。取り出す毎に、次は何が出てくるかとワクワクします。1本が
少し前に買ったワインとダブっていましたが、お店のオススメが入ったお得な
セットであることは確かです。
6本を並べてみると、自分好みのものと、普段なら選びそうにないものが半々
で入っていました。自分ではできないセレクトを買うのが福袋の醍醐味なのか
もしれません。意外性のある美味しさを、しばらくは楽しめそうです。
ワインセットを買ったお店「ウメムラ Wine Cellar」
http://www.rakuten.co.jp/umemura/
【いしはら・つよし】[email protected]
ウェブプロデューサー、ウェブアナリスト、ワイン好き
配送予定日に、運送会社から焦った声で電話があった。「運搬中にワイン1本
が割れてしまい、代替え品を手配したけれど、届くのが2日ほど遅れる」との
こと。「かまいませんよ」と答えた後、今日がクリスマスイブだと気がついた。
電話口で怒鳴られることを覚悟していたのに拍子抜けしたかも。
・ウェブマスターの情報源「ウェブアナ」
http://www.webanalyst.jp/mt/
石原 強(Tsuyoshi Ishihara)
blog:ウェブアナ (http://www.webanalyst.jp/mt/)
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■展覧会案内
倉嶋正彦 CG精密画「パテンテ・ビジュアルワンダーランド」展
<http://www1.odn.ne.jp/%7Ekurashima/>
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会期:1月11日(火)~29日(土)18:00~24:00 日祝休
※チャージ500円、ビール600から。食事メニューも充実。
会場:Gallery Bar Kajima(東京都中央区銀座7-2-20 山城ビル2階 TEL.03-
3574-8720)
展示概要:超細密CG画、パテンテ・ビジュアルワンダーランドより パテンテ
曼陀羅の図1(2004年アジアグラフィック横浜展及び、2004年中国国際CG展に
出展。第8回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員推薦会作品に選出され
ました)パテンテ曼陀羅の図2(新作、初公開)
※曼陀羅画は各部分をプロジェクターで拡大投影する予定です。
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■展覧会案内
疾風迅雷 杉浦康平雑誌デザインの半世紀展
<http://www.dnp.co.jp/gallery/ddd/>
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会期:1月12日(水)~2月7日(月)10:00~18:00 土日祝休
会場:dddギャラリー(大阪市北区堂島浜2-2-28 堂島アクシスビル1F TEL.06
-6347-8780 )
内容:杉浦康平は、グラフィックデザインの全領域、とりわけブックデザイン
やエディトリアルデザイン、タイポグラフィの領域で画期的な試みを展開し、
有能なスタッフの協力を得て意表をつく作品を次々に世に送り出してきました。
今回の展覧会では、杉浦の多彩な仕事の中でも特異な位置を占める雑誌デザイ
ンに焦点をしぼり、この半世紀近くに取り組んだ2000点余の中から『銀花』
『SD』『都市住宅』『エピステーメー』『遊』『噂の真相』『自然と文化』な
ど、約500点を選び、独創あふれる仕事の精華を一堂に集め、ご紹介します。
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■ブックガイド&プレゼント
Shade Graphic Parts Design
<http://book.mycom.co.jp/book/4-8399-1440-0/4-8399-1440-0.shtml>
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著者:韮沢 薫
定価:2,940円(税込)
体裁:B5判 336ページ
ISBN4-8399-1440-0
発売:2004年12月14日 毎日コミュニケーションズ刊
内容紹介:3Dデザインをワンポイントで使いたいと考えている人は多いはずで
す。Shadeシリーズの中でも「Basic」は最も安価に購入でき、本格的な3Dを始
める人にとって、一番入りやすいソフトと言えるでしょう。本書はShadeの
Basicだけを使って簡単に、なおかつWebやDTPで使い廻しのきくグラフィック
パーツを作るという内容です。ハートやリンゴのように単純な形から、エンタ
シスやロボットなど複雑な形まで、約50のパーツを作ります。図版を多用して
いますので、説明通りに作業すれば同じものが出来るはずです。
※一部、Adobe Photoshopと連携した作品も解説しています。
・対応:Shade 7&7.5 Basic
●本誌を毎日コミュニケーションズよりデジクリ読者5名様にプレゼント。
応募フォームをつかってください。締切は1月20日(木)14時。
当選者(都道府県、姓)はサイト上に1月末頃掲載予定です。
http://www.dgcr.com/present/20050111.html
▼今回は著者のご好意で「5冊」提供いただきました。
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■編集後記(1/11)
・先週土曜日、今年初めての電車に乗った。夕方から、友人と一杯飲むために
新松戸に向かった。せっかくの遠出(?)だから少し早めに家を出て、流山に
寄り道する。武蔵野線の新松戸駅のひとつ手前の南流山駅に下りて、1キロも
離れていない総武流山電鉄「鰭ヶ崎」駅まで歩き、そこから2駅で「流山」だ。
全長わずか5.7キロ、駅は6つしかない超ミニ鉄道は、都心に近いのにローカル
色が濃い。20年くらい前にもこのコースを辿ったことがある。当然だが、いま
は線路沿いは住宅が建ち並んで昔の面影はないが、まだまだいい味を出してい
る。流山で使える時間はわずか20分。行くなら、あそこしかないでしょう。近
藤勇・土方歳三離別の地「近藤勇陣屋跡」(正確ではない表現だが、そういう
石碑が建っていた)。今は秋元という酒問屋で、古い立派な建物の一角にこの
碑や説明書き、みやげもの屋がある。そこでは、酒や漬け物、新選組グッズな
どが売られていて、女主人はテレビのおかげで見に来られる人が多くなったと
言っていた。でも、正直、わざわざ見に来るほどの所でもない。おみやげ買い
ましたよ「てっぽう勇漬」、流山名産、全糖、最高級品というの。家に帰って
漬け物の袋の解説を読むと、「白瓜を原料にしそ巻唐辛子を加えキッコーマン
生醤油と万上みりんで味付けした」ものだという。しかし、その白瓜は中国産
である。昔からあるという流山名物が中国産原料かい。でも、さすがキッコー
マン、非常にうまい漬け物であった。 (柴田)
・新感線の「SHIROH」を見てきた。島原の乱をベースにしたもの。乱の中心で
あるシローは二人いて、策を練る島原の四郎と、歌で人の心を動かす天草のシ
ローがいるという解釈。今の日本のことや、(私は)イラクや世界のことまで
考えさせられるような作りであった。舞台自体は新感線らしさが随分減ってい
て、正統派ミュージカルかと思わせるところもあったりして驚いた。以前から
気になっていた中川晃教さんの生声。声質は嫌いなはずなのに最後にはキリシ
タンになっている自分がいましたよー(比喩です)。ミュージカルスターらし
く歌詞が台詞になっていて聞き取りやすいし演技力あるし声量あるしで、彼を
ミュージカルの世界に導いた宝塚異色の演出家小池先生の目はさすがだ。ミュ
ージカルで一番つらいのは歌詞がききとれないこと。ストーリーがわからなく
なるし、のめり込めない。大きな舞台になるとそれが顕著。劇団四季の主役ク
ラスの人は、そのために「あいうえお」で会話すると話していた。「おはよう」
なら「おあおう」と発音して訓練するらしい。ミュージカルは歌がうまいだけ
では無理なのだなぁ。 (hammer.mule)
http://shiro228.web.infoseek.co.jp/ 天草四郎時貞
http://www.akinori.jp/ 中川晃教
http://www.tkma.co.jp/tjc/nakagawa/infomation/ 生じゃないとな
http://www.toho.co.jp/stage/shiroh/ SHIROH
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発行 デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>
編集長 柴田忠男
デスク 濱村和恵
アソシエーツ 神田敏晶
リニューアル 8月サンタ
アシスト 鴨田麻衣子
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