Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.7 At the outset let it be acknowledged that freedom in reading is a fine thing. (訳) 最初に、読書の自由とはすばらしいものだということを認めていただきたい。 こ…
本は電車で読もう!立川在住・一児の父が読書と子育てに明け暮れる日々を綴ります。
自宅(立川)と会社(川崎)の二つの図書館を駆使して読書に耽る中毒者(読書ジャンキー)のアスランです。 結婚前は暇に飽かして映画館に入り浸る映画中毒者でした。いまや夫婦で育児に追われる親バカ中毒者でもあります。 このblogでは、本を紹介し、立川で育児に悪戦苦闘する日々を報告し、そして愛しき映画の記憶を語ります。
「方舟」と書いて「はこぶね」と読む。「箱船」の方が表記としては一般的だが、どちらで書いても意味は変わらない。国語辞典を引くと「四角な形をした乗り物。方形の船」(精選版日本国語大辞典)という語釈が筆頭に来るが、二番目に「旧約聖書の『ノアの箱船』をいう」(日国)と書かれている。広辞苑では「ノアの方舟」と書かれていて、明鏡や新明解に至っては「ノアの——」と書かれていて見出しの表記は「箱船・方舟」のいずれ…
Practical English Usage, 3rd edition (by Michael Swan)
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』の書評は一段落したが、パンクチュエーションについての考察は、引き続きできる限りやっていこうと思う。『Easy Learning Grammar and Punctuation』の次は本書だ。『Easy Learning …』はアメリカの出版社が出している英文法とパンクチュエーションのガイドブックだったが、本書はイギリスのオックスフォード大学出版が刊行しているガイドブックだ。なので説明文や例…
セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点 セシリア・ワトソン(左右社) (その3)
「セミコロン」についての本の書評、終盤戦だ。(その2)では5章までの内容を取り上げて、セミコロンの誕生の経緯からセミコロンが流行の最前線に飛び出して、やがて法律の条文に紛れ込んで騒動を引き起こすまでを解説した。この(その3)では6章以降の内容を取り上げる。 [本書の目次] はじめに 言葉のルールをめぐる愛憎 …7 1章 音楽を奏でるように:セミコロンの誕生 …
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』(セシリア・ワトソン)の書評(その3)を書く前に、再びパンクチュエーション(句読法)のお勉強をしておく。前回は『英語ライティングルールブック 第2版』でカンマ、コロン、セミコロンの使い方についておさらいをしたが、やや不完全燃焼だったのは否めない。これまでちゃんと勉強してこなかったせいとも言えるが、やはり日本人向けに手ごころを加えた解説になっている…
セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点 セシリア・ワトソン(左右社) (その2)
「セミコロン」についての本の書評、後半戦だ。「はじめに」の訳文でケチがついて、1章からは共著者のものと思われる訳文で持ち直した結果、実は最後まで面白く読めた。後半からの訳文にちょっと不安を覚えたのだけれど、それはある理由から問題が回避されている事もわかった。それについては後述する。それよりも書評(その1)では「はじめに」の文章を過剰に論ったおかげで、実はその後の文章の見通しがよくなった。この序章…
英語ライティングルールブック 第2版 デイヴィッド・セイン(DHC)
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』を読んでいる途中で、次第にセミコロンやコロンやカンマの使い分けについて「ちゃんと」は分かっていないことを痛感したので、前から・積ん読状態だった本書で勉強する事にした。もちろん全部読むのではなく、あくまでカンマ、セミコロン、コロンについてだけだ。なので、タイトルは『英語ライティングルールブック 第2版』となっているけれど、この本全体の書評じ…
神保町逍遙2023/10/13~羊頭書房、東京堂書店、PASSAGE、そして板橋
3ヶ月おきの通院。5月にやった腹腔鏡手術であけた4箇所のうち1箇所だけがどういうわけか閉じなかったので、なかなか全快とはいかなかった。「閉じなかった」というのはかなり語弊がある言い方になるが、なんというか、もちろん穴はふさがってるのだが、表面の皮膚が開いてしまって血液が浸みだしてしまう状況がなかなか改善しなかったのだ。こういうときこそ傷パワーパッドの出番だと思ったら、蓋をした絆創膏の内部で浸潤…
セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点 セシリア・ワトソン(左右社) (その1)
今回はとりあえず「はじめに」限定で、まず言いたい事を書こうと思う。以前に『カンマの女王』を期待して読み出した時とまったく同じ事が、再度起きた。デジャブと言っていい。「カンマ」の次が「セミコロン」だなんて、シャレにもならない。悪夢だ。 とにかく一読では頭に入ってこない。期末で仕事に追われてたので、疲れて頭が回らないのかと最初のうちは思った。そのうち、どうやら文章が気持ち悪くて、いろいろと引っ…
(今さらですが、今回は後半に犯行現場についての文章を細かく見ていきます。ネタバレもありますので、未読の方はエラリイ・クイーン「犯罪カレンダー」の「皇帝のダイス」を読んだ後にお読み下さい。) 前回同様、比較の際の色づけと下線の意味を説明しておく。 緑=翻訳の出来が素晴らしい 赤=誤…
途中から読む人はいないと思うが、とりあえず事情説明。 エラリイ・クイーンの短編集「犯罪カレンダー」の12編のうち4月の短編「皇帝のダイス」の原作と宇野利泰訳(ハヤカワ・ミステリ文庫版)とを比較している。目的は「なぜ宇野さんの訳は何故長くなるのか」を明らかにする事だったが、すでに判明しているように宇野訳のスゴさを明らかにする事に変質してきている。まあ、結論はもうちょっと先に延ばすとして、これまでのあ…
さっそく続き。なにしろエラリイ・クイーンの短編集「犯罪カレンダー」の「皇帝のダイス」の原文と宇野訳とを最後まで調べ尽くしてあるので、すべての労力を回収するまでは終われない。改めて、比較の際の色づけと下線の意味を説明しておく。 緑=翻訳の出来が素晴らしい 赤=誤訳あるいは訳に疑問がある
以前に、角川文庫版「Yの悲劇」(越前敏弥・訳)の書評を書いた際に、それまで愛読してきたハヤカワ・ミステリ文庫版(宇野利泰・訳)との比較をちょっとだけ試みた。というのも、ハヤカワ・ミステリ文庫の「Yの悲劇」は分厚い一冊というイメージだったのに、角川文庫のそれはかなりスリムな一冊に仕上がっていたからだ。一頁あたりの文字数…
谷山浩子「眠れない夜のために」、数少ないコンパを断る、バルサンを焚く(日記1985年6月17~21日)
1985.6.17(Mon) 曇り 12:00まで寝た。前進ギシギシいっている。だるい。大学に行き、F田先生の授業。 生協でCD(谷山浩子)を買う。帰りの都営三田線で寝過ごして、最寄り駅の「板橋区役所前」駅を乗り越し「蓮根」駅で下車。折り返す。 帰宅は21:00すぎ。三田駅でもトイレで吐いた。家に戻って吐いた。最悪。
著者の連作短編は、読み進めていくうちに幸せな気分になる。人と人とのつながりから生み出される善意の存在を信じたくなるし、時として耐えられなくなるような人生のよい面だけを見ようという気にさせられる。それはもちろん、裏側に落ち込んだ人たちが同じくらい、いやひょっとしてそれ以上に存在する事の証かもしれない。そういった人生の悲劇と悲しみとを受け止めたうえで、ではどうしたらいいのかという姿勢を、青山さんの…
城塚翡翠シリーズの第三作。第一作「medium−霊媒探偵城塚翡翠−」がなかなかの出来だったので、最終話まで読んだ時の衝撃は大きかった。これは著者のもくろみ通りの驚きではなく、こんな事をしたいがための伏線だったのかという衝撃、一言でいえば幻滅だった。最終話で伏線が回収された後には「荒れ野」しか残されていなかった。魅力に乏しく、ただただ自らの能力を過大評価している名探偵もどきのヒロインと、それを過剰に持…
ちょうど一年前にシリーズ最新作『探花 隠蔽捜査9』を読んでいる。先日亡くなられた目黒考二さんのオススメで読み出した『隠蔽捜査』の第一作が2005年出版だったから、あれから18年も経っているのか。よくぞ続いたと思う反面、多作家で知られる著者が18年かけて本編9冊に、スピンオフ短編集3冊というのは少ないようにも思えてしまう。書こうと思えばもっと書けてしまうのではと考えるのは、単なるファンの大いなる勘違いには…
もう図書館に返却しなくてはならない。最後にもうちょっと何か知りたいなぁと思ったら、「本」を思いついた。見出し語「本」の使い方を味わい尽くそう。 ほん【本】 ▲が 痛む。売れる。そろう。出る。並ぶ。発禁…
神保町逍遙2023/07/14~PASSAGE,、羊頭書房、東京堂書店、富士鷹屋~
前回からちょうど三か月。まあ、通院が三か月おきなので、それに合わせて神保町にブラッとたどり着くというわけだ。今回は診察も会計も待ち時間が少なかったので午前中には病院を後にして、神保町に向かった。大井町からだと京浜東北線で田町駅で下車。都営三田線で神保町駅へと向かう。前回もそういう順路だったのに忘れていた。 神保町に到着すると、ちょうどお昼どきでサラリーマンでどこもごった返している。これはや…
(この文章は、横溝正史『犬神家の一族』の犯人やトリックを明かしています。未読の方は読まないで下さい。) まずは、何にしても「犬神家の一族」の遺言状のシーンから始めねばなるまい。 「ひとつ…犬神家の全財産、ならびに全事業の相続権を意味する、犬神家の三種の家宝、斧(よき)、琴、菊はつぎの条件のもとに野々宮珠世に譲られるものとす」 正面の白…
ウィリアム・ギブスン エイリアン3 パット・カディガン(竹書房)
映画好きではあるが、マニアックにいろいろと詮索するのが好きというわけではない。だから何故「エイリアン3」に本作の元となる脚本が採用されなかったのか、何にいったい「エイリアン」ファンは満足できなかったのかはわからない。どうやら「エイリアン3」を今に至るまで見ていないからだ。読み出した当初は見たと思い込んでいたのだが、それは「エイリアン4」の方だった。「4」を観た時、「3」を飛び越したからなのか、…
近年、エラリー・クイーンの悲劇四部作や国名シリーズなどの初期の作品が、角川文庫と創元推理文庫から相次いで出版され、さらにはハヤカワ・ミステリ文庫からは、中期・後期を代表する「災厄の町」を初めとした作品が出版された。いずれも新訳で読みやすくなったので、新しい読者を開拓する事に繋がったのは、長年クイーン好きを公言してきた自分としては喜ばしい限りだ。 エラリー・クイーンの代表作と言えば「Yの悲劇…
以前から気になっていた辞書だ。たぶんTwitterで紹介されていたのを知って、どのような内容でどう使うのかと興味がわいた。書店でも見かけて手に取ってみたのだが、なかなかそれだけでは買うというところまではいかなかった。辞書は長い目でみれば決して高価なものではないが、これを手元に置いて自分が使う場面を想像できなかった。だけど興味はある。どうしよう、と思っていたら、図書館の書架でたまたま見つけた。なんだ、…
最近Twitterで知り合った方が、「かかずらう」に校正から「かかずらわ?う」という赤が入った事に憤ったというツイートを目にした。「かかずらう」はワ行五段動詞で、例えば以下のように活用する。 かかずらわない かかずらい、 かかずらった(促音便) かかずらう かかずらえば かかずらおう 「かかずら」が語幹で、活用語尾がワ行で展開するのでワ行五段動詞と呼ぶ。「っ」が出てくるのは音…
数字が明かす小説の秘密 -スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで- ベン・ブラット(DU BOOKS)
本書は非常に魅力的なエピソードから始まる。アレクサンダー・ハミルトン、ジェイムズ・マディソン、ジョン・ジェイという、「アメリカ合衆国建国の父」の中の三人は、合衆国憲法の批准を推進する目的で「ザ・フェデラリスト」という連作論文集を出した。85編の論文はいずれも匿名で、のちに誰がそれぞれの著者なのかが歴史家の注目するところとなった。後年、ハミルトン、マディソンがそれぞれ自らの著作リストを公表したが、…
青焼きコピー、研究室旅行、テニス、ギターと歌本、助手Mの過激な運転(日記1985年6月13~16日)
1985.6.13(Thu) 雨(どしゃぶりに近い) ディジタル制御の演習問題の青焼き作りのため、少し早めに家を出た。久しぶりに胃の調子が悪い。昼食後もむかつき、3:00PM頃に吐いた。 生協に行き、CD2枚購入。めずらしく105号室でM尾さんがギターを弾いていた。昨日、M子、N田、M尾さん、Cさんとで飲んで明け方の4時まで起きていた…
この前からH・M卿の秘書の名前を調べていくうちに、H・M卿ことヘンリー・メルヴェール卿が活躍する長編22作のうち、本書だけが手元にない事に気づいた。さては東京創元社の〈ディクスン・カー作品集5〉(1958年)に収められた「一角獣の怪」は絶版状態で入手困難だし、図書館の蔵書にもなっていなかったから読むことも叶わなかったのだろう。それが1995年になって国書刊行会から出版される運びとなった。これが新訳かと言えば…
ジョン・ディクスン・カーの作品をこよなく愛するミステリー好きが、日本国内にどの程度いるのか分からないけれど、確実に存在する。かくいう僕がその一人だ。昔から長編・短編をあわせて著作リストを当時のワープロに入力して印刷し、一つ一つに購入マークを付けたり、読了マークを付けていった。印が増えるのが楽しみだった。というのもカーの著作は長編だけでもかなりの数にのぼり、リストを作成した数十年前には絶版となっ…
マネキン人形殺害事件 S.A.ステーマン(角川文庫) ~番外編~(その2)
番外編その2は、主に著者ステーマンの文章について気になったところを挙げていく。 本作は、夜に「横なぐりの大粒の雨」が降る中を人気のない田舎町の駅に到着した列車から、一人の男が降り立つ場面から始まる。男の名前はマレイズ。この時点では正体不明だ。 マレイズは、かぶっている帽子を、怒ったようにポンと一つたたくと、スーツケースを手にもち、昇降口から鉄道線路の砂利の上に飛びおりた。 …
マネキン人形殺害事件 S.A.ステーマン(角川文庫) ~番外編~(その1)
すでに本書についての書評は書いたけれど、文章について書きそびれた事をまとめておこうと思う。前回の書評で既に書いたとおり、僕は本作を高校生の時に読んでいる。読んだキッカケは文庫の帯に書かれた鮎川哲也氏「ベルギーのエラリー・クイーン」という言葉が目にとまったからだ。そして、「(本作は)本格ミステリー臭が強い初期の作品…
神保町逍遙2023/04/14 ~PASSGE、羊頭書房、東京堂書店、そして富士鷹屋~(その2)
PASSAGEを出たのが2時ちょい前。さすがに疲れてお腹もすいたので、キッチン南海に向かう。行列は多少短めで一安心。ちょっと驚いたのは、ほぼ90%以上が男性のはずの列に、めずらしく女性が何人か混ざっている。小津の映画に出てくるような幅狭なカウンターに丸椅子。両脇もぎちぎちに詰まった席なので、お世辞にもゆったりと食事できるわけではないが、食事の内容本位で常連となってくれる人が増えるのはファンとして嬉しい。…
神保町逍遙2023/04/14 ~PASSGE、羊頭書房、東京堂書店、そして富士鷹屋~(その1)
三ヶ月おきの通院。今回は期初の4月で仕事に余裕があるので年休を取得。主治医の順番待ちが割とスムーズに終わり、なにより会計の待ち時間が大幅に短縮したので午前中で用が済んだ。大井町から京浜東北線で田町駅下車、三田線に乗り換えて神保町へと向かった。着いたら、まず昼食と思っていたが、すずらん通りをPASSAGEの前まで来て、通り過ぎる事ができなくなった。 1月に来た時にはJR御茶ノ水駅から坂を下りてきたの…
中学生の頃、国語の課題として、読んだ本のタイトルと一行感想を付けた読書ノートを作らされた。教師に提出する事を踏まえて選んだわけではないが、やはりどこかお行儀のよい読書になりがちで、今で言えば「夏の文庫フェア」に入るような作品をよく読んでいた。高校になってからも本のタイトルを読書ノートに控える習慣は続けていたようだが、中学のお行儀の良さの反動で、太宰治や島崎藤村、芥川龍之介といった一部の小説家の…
前作では最後の頁を読み終えても、仕掛けの意味がわからずにくやしい思いをした。いや、「くやしい思いをするくらいやられることを期待していた」わけだから、著者のねらいにまんまとハマった事になる。そして、それがキッカケになって、また性懲りも無く、こうして続編を読むことになった。続編といっても前作と話のつながりは全くない。 今回は最初から注意して読み進めようと決めていた。余談になるけれど、僕自身エラ…
密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック 鴨崎暖炉(宝島社文庫)
前作「密室黄金時代の殺人 −雪の館と六つのトリック−」は、タイトルに魅せられて読んだ。「密室黄金期」と言えば、当然ながらディクスン・カーが密室物の名作の数々を世に送り出した時期だと想像したからだ。しかもサブタイトルの「雪の館」とくればカーター・ディクスン名義の「白い僧院の殺人」へのオマージュとなる作品に違いないと、本格ミステリーファンなら誰でも想像するではないか。ところがまったくの見当違いだっ…
グッゲンハイムの謎 シヴォーン・ダウド/原案 ロビン・スティーヴンス/著(東京創元社)
「グッゲンハイム美術館の謎」だとばっかり思ったら違った。前作が「ロンドン・アイの謎」だから「グッゲンハイムの謎」でバランスは取れているようだが、ロンドン・アイはイギリスにある観覧車の名前で、今回の舞台はグッゲンハイム美術館なのでなんとなく釣り合いが取れていないように感じる。でも原題が「The London Eye mystery」と「The Guggenheim mystery」だから致し方ないんだろうな。The Guggenheimと言えば、アメリ…
絶賛、伊藤和夫先生の「英文解釈教室 改訂版」を購読中だ。もちろん、予備校時代にお世話になった学習書を再読するのは、当時よりは多少はまともになった英語力できちんと読めるかどうかを確認するという意味合いもあるが、もう一つはきちんとした日本語に訳せるかという翻訳力を高める意味合いもある。というのも、この学習書では、公式どおりの訳出では日本語として不適切な事例に対して「訳出の工夫」という形で説明してく…
本の雑誌 2022年12月号( 特集「黒と誠」との謎と真実!)
目黒考二さんが亡くなった。今は無き書評番組「週刊ブックレビュー」で、初めてその存在を知った。ご本人の穏やかながら熱量のこもった言葉で、今でも僕が大切にしている作家や本をあれこれと教えてもらった。今野敏と「隠蔽捜査」や小野不由美と「十二国記」も、そんな作家であり本だった。 目黒さんを知って本の雑誌を愛読するようになり、椎名誠さんの「哀愁の町に霧が降るのだ」を読んで、ますます「本の雑誌」に、目…
「すべて、伏線」というのが前作「medium−霊媒探偵城塚翡翠−」を原作にしたTVドラマのキャッチコピーだった。最近は「伏線回収」という言葉と、それを売り物にしたミステリーが流行っているようだ。ミステリーの昔からのファンにしてみれば変な言葉だ。伏線を回収しないミステリーなどあるはずがない。もしあるとすれば、ずいぶん粗忽で無計画な作家もいたものだと笑うところだ。だから、そういう意味の「伏線」ではない事に…
昨年、二作目を原作とした「城塚翡翠倒叙集」がドラマ化されるにあたって、過去に放送した本作のドラマが再放送されたのを録画した。と思っていたが、完全に勘違いだと今さっきWikipediaを調べてわかった。なるほど、曲つなぎならぬドラマつなぎだったのか。どういう事かというと、昨年10月から「霊媒探偵 城塚翡翠」のタイトルで放送を開始し、途中で「invert 城塚翡翠 倒叙集」というタイトルに一新して装いも新たに放送した…
ミッドサマー (2022年11月17日,2023年2月12日 アマゾン・プライム)
80〜90年代にかけて、もっとも映画館に通いつめた。結婚し、子供が出来、親を介護し、様々な実生活の難問を抱え込むようになって、至福の時は過ぎた。それからは、たまに妻と映画館に見に行くか、あるいは録画した映画を時間を惜しむように自宅で観る事が多くなった。ホラーは苦手なジャンルだったので、通い詰めた時期でも後回しにしてお気に入りの映画を優先してきた。 今、Twitterとアマプラという2つのツールを活用…
「クリスマス・プレゼント」に続くディーヴァーの第2短編集だ。タイトルは日本の読者の好みを考えて代表的な短編のタイトルに付け替えているが、元々は第1短編集が”TWISTED"、本書が"MORE TWISTED"と、きっばりとしたものだ。「捻りをきかせた短編」から成るという特徴を示しているとともに、著者の自信の表れを感じさせるタイトルだ。ただし「クリスマス・プレゼント」の感想にも書いたが、出版社や読者に忖度した「善は善…
ルポ 電王戦 人間vs.コンピュータの真実 松本博文 (NHK出版新書)
プロ棋士がコンピュータと対局する「電王戦」が毎年のように行われてから、かれこれ10年ほどが経過してしまった。あの当時は、将棋界のトップであるプロ棋士が自らの存在意義を賭けて、相当な覚悟をもってコンピュータとの対局に臨む姿に感動していた。と同時に、すでに対戦前から「負け戦」なのではないかという一種の悲壮感のようなものを一ファンとして感じていた事も否定できない。 すでに情報処理の分野ではAI(人工…
昔々、母親がどこかで教わってきたのか、食パンを使ったレシピで朝食を作ってくれた。とりあえず料理の名前も知らずに食べていたのだが、そのうち自分でも作るようになり、一家を構えて息子と自分の二人分の朝食を用意する時の定番メニューとなっている。それをいつからか「クロックムッシュ」だと信じて呼ぶようになったのだけれど、どうやら違ったみたいだ。 ちなみに母親から譲り受けたレシピは、食パン二枚の片面にバ…
ドルリー・レーンが「悲劇四部作」を解決に導いたのは一体いつのことか?
ファイロ・ヴァンスに引き続き、今度はドルリー・レーンだ。言わずとしれたミステリー作家エラリー・クイーンが生み出した二人の名探偵のうちの一人だ。作家と同名の探偵は長きにわたって活躍する事になるが、ドルリー・レーンが解決した事件は「悲劇四部作」に限られる。エラリー・クイーンの研究家で知られる飯城勇三氏によると、バーナビー・ロス名義でクイーン名義とは違う出版社から出したけれど、クイーン名義ほど売れな…
続・ファイロ・ヴァンスの活躍した4年間とは一体いつのことか?
さて、またしてもヴァン・ダインが生んだ名探偵ファイロ・ヴァンスに関する話題である。しかも最初にとりあげた「ヴァンスの活躍した4年間はいつのことか」を蒸す返す事になる。前回の結論を以下にまとめてみた。 ・ファイロ・ヴァンスが活躍したのは、友人の地方検事マーカムの在任期間(4年間)に限られる。 ・長編全12作に事件発生の日付と曜日は書かれているが、西暦は書かれていない(少なくとも最初の4作に…
ベンスンが撃たれたのは額か、こめかみか?(「ベンスン殺人事件」)
ゆえあって、再びファイロ・ヴァンスの物語に関する話題の続きとなる。(犯人名は明かさないが、犯人を特定するための情報を引用しているので、未読の方は読まないでください。) 前回は「ファイロ・ヴァンスの活躍する4年間は西暦何年か」というトピックだったが、次なるトピックは「ベンスン殺人事件」での被害者ベンスンは「拳銃で額を撃ち抜かれたのか、こめかみを撃たれたのか」…
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Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.7 At the outset let it be acknowledged that freedom in reading is a fine thing. (訳) 最初に、読書の自由とはすばらしいものだということを認めていただきたい。 こ…
[髑髏城へのアクセス] ジョン・ディクスン・カー『髑髏城』に出てくる髑髏城にはどうやったら行けるか。アクセスについて考える。 ライン川下り(マインツ〜コブレンツ)の地図
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.6 All who have fought in a battle know how necessary it is that someone should be in command. (訳) 戦闘の経験がある人ならみな、誰か指揮者がいることがどんなに必要か知っている。
米澤さん、今度は刑事物を書きたくなったのか、そう思った。 二月四日土曜日の午後十時三十一分、群馬県利根警察署に遭難の一方が入った。 … 十時五十九分、最寄りの派出所から急行した警察官が芥見から事情を聞いたところ、埼玉県さいたま市から来た五人連れのスキー客のうち、四人と連絡が取れないことがわかった。 非常に緊迫感あふれる乾いた筆致でたんたんと事件発生の状況を描…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.5 It is regrettable, but it is a fact, that children do not look upon their parents with the same degree of affection as their parents look upon them. (訳) 親が子供を見るときと同じくらい愛情をこめて…
(この文章は『屍人荘の殺人』にも登場する明智恭介に関するある事実を明かしています。それは結末に関わる事実ではないのでいわゆるネタバレとは言えないけれど、初読の人の楽しみを奪いかねないので、少なくとも『屍人荘の殺人』未読の方は読まないでください。) 確か「このミス」の第一位に、ある新人作家のデビュー作が選ばれたとの前評判を聞…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.4 It it not surprising that a man of such persistent and untiring energy should have exercised so great an influence over the thoughts of mankind for many hundreds of years. (訳) このように不撓不屈の力をそ…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.3 It is hardly to be expected that the less prosperous parts of the world will tamely accept the continually widening inequality. (訳) 世界の中で繁栄において劣る地域が、たえず広がりつつあるこの不平等を今後も従順に容…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.2 It would seem logical that if parents care for children when they are not yet able to enter the labor market, then children will care for parents when they are no longer permitted to remain in it. (訳) 子どもが労働…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.1 My father died on Tuesday. He had an intense love for me and it adds now to my grief and remorse that I did not go to Dublin to see him for so many years. (訳) 父は火曜日に死にました。父は私をとてもかわいがってくれ…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1 例題 In the violent conflicts which now trouble the earth the active contenders believe that since the struggle is so deadly it must be that the issues which divide them are deep. I think they are mistaken. Because parties are bitterly opposed, it does not necessarily follow that they ha…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.6 If everyone undertook to form all his own opinions and to seek for truth by isolated paths, it would follow that no considerable number of men would ever unite in any common belief. (訳) すべての人があらゆることについ…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.4 One day it occurred to a man named John Gutenberg that if the letters of a text could be made each one separate, they might be used over and over again. (訳) ある日、ジョン・グーテンベルグという名の人が、テキストの活…
パーシヴァル・ワイルドは1912年にデビューした米国の劇作家だそうだ。まったく聞いた事もないし、今回、越前敏弥さんが2008年に翻訳した本書が今年(2024年)の復刊フェアの一作に取りあげられなければ、読む事もなかったかもしれない。劇作家というからには戯曲を書く事が本業で、ミステリは副業というか余技だったようで、Wikipediaを見ても長篇が4作と、短篇集が2作あるだけだ。短篇集『悪党どものお楽しみ』(1929年)はエ…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.4 It turned out that everybody at the bar knew Sonny. (訳) バーにいた者はみなソニーを知っていると分かった。 非常にシンプルな例文と訳なので、スキップしてもいいくらいだが、かえってIt+V+that…の構文を考えるには…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.3 As a rule it happens that a week or so of mild sunny weather occurs about this time. (訳) 1年のうち今ごろはたいてい、1週間やそこらおだやかで日のよくあたる日が続く。 ランダムハウス英和大辞典によると、occu…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.2 Probably in a modern city the man who can distinguish between a thrush's and a blackbird's song is an exception. It is not that we have not seen the birds. It is simply that we have not noticed them. …
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.1 If you are not honest with the doctor when you are ill, it may be that instead of curing you he will make you worse. (訳) 病気のとき医者にうそをつけば、おそらく医者のおかげでよくなるどころか、病気は悪化するだろう。
Chapter9.関係詞 「�@主格の関係詞」より。 9.1 例題(2) A schoolmaster recently said that out of the 250 pupils he taught the ones who watched TV were undoubtedly the most intelligent. We all know the people who sit through any and every programme night after night because they are drugged by TV. But I have yet to meet the child who, allowed to wat…
Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 9.1 例題(1) The building up of a taste for those books which genuinely discriminating readers have decided, generation after generation, are worthy of preservation, is gradual. As your taste for books and knowledge of them increase, your earlier opinions will in many instances be changed, for this is a process o…
「方舟」と書いて「はこぶね」と読む。「箱船」の方が表記としては一般的だが、どちらで書いても意味は変わらない。国語辞典を引くと「四角な形をした乗り物。方形の船」(精選版日本国語大辞典)という語釈が筆頭に来るが、二番目に「旧約聖書の『ノアの箱船』をいう」(日国)と書かれている。広辞苑では「ノアの方舟」と書かれていて、明鏡や新明解に至っては「ノアの——」と書かれていて見出しの表記は「箱船・方舟」のいずれ…
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』の書評は一段落したが、パンクチュエーションについての考察は、引き続きできる限りやっていこうと思う。『Easy Learning Grammar and Punctuation』の次は本書だ。『Easy Learning …』はアメリカの出版社が出している英文法とパンクチュエーションのガイドブックだったが、本書はイギリスのオックスフォード大学出版が刊行しているガイドブックだ。なので説明文や例…
「セミコロン」についての本の書評、終盤戦だ。(その2)では5章までの内容を取り上げて、セミコロンの誕生の経緯からセミコロンが流行の最前線に飛び出して、やがて法律の条文に紛れ込んで騒動を引き起こすまでを解説した。この(その3)では6章以降の内容を取り上げる。 [本書の目次] はじめに 言葉のルールをめぐる愛憎 …7 1章 音楽を奏でるように:セミコロンの誕生 …
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』(セシリア・ワトソン)の書評(その3)を書く前に、再びパンクチュエーション(句読法)のお勉強をしておく。前回は『英語ライティングルールブック 第2版』でカンマ、コロン、セミコロンの使い方についておさらいをしたが、やや不完全燃焼だったのは否めない。これまでちゃんと勉強してこなかったせいとも言えるが、やはり日本人向けに手ごころを加えた解説になっている…
「セミコロン」についての本の書評、後半戦だ。「はじめに」の訳文でケチがついて、1章からは共著者のものと思われる訳文で持ち直した結果、実は最後まで面白く読めた。後半からの訳文にちょっと不安を覚えたのだけれど、それはある理由から問題が回避されている事もわかった。それについては後述する。それよりも書評(その1)では「はじめに」の文章を過剰に論ったおかげで、実はその後の文章の見通しがよくなった。この序章…
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』を読んでいる途中で、次第にセミコロンやコロンやカンマの使い分けについて「ちゃんと」は分かっていないことを痛感したので、前から・積ん読状態だった本書で勉強する事にした。もちろん全部読むのではなく、あくまでカンマ、セミコロン、コロンについてだけだ。なので、タイトルは『英語ライティングルールブック 第2版』となっているけれど、この本全体の書評じ…
3ヶ月おきの通院。5月にやった腹腔鏡手術であけた4箇所のうち1箇所だけがどういうわけか閉じなかったので、なかなか全快とはいかなかった。「閉じなかった」というのはかなり語弊がある言い方になるが、なんというか、もちろん穴はふさがってるのだが、表面の皮膚が開いてしまって血液が浸みだしてしまう状況がなかなか改善しなかったのだ。こういうときこそ傷パワーパッドの出番だと思ったら、蓋をした絆創膏の内部で浸潤…
今回はとりあえず「はじめに」限定で、まず言いたい事を書こうと思う。以前に『カンマの女王』を期待して読み出した時とまったく同じ事が、再度起きた。デジャブと言っていい。「カンマ」の次が「セミコロン」だなんて、シャレにもならない。悪夢だ。 とにかく一読では頭に入ってこない。期末で仕事に追われてたので、疲れて頭が回らないのかと最初のうちは思った。そのうち、どうやら文章が気持ち悪くて、いろいろと引っ…
(今さらですが、今回は後半に犯行現場についての文章を細かく見ていきます。ネタバレもありますので、未読の方はエラリイ・クイーン「犯罪カレンダー」の「皇帝のダイス」を読んだ後にお読み下さい。) 前回同様、比較の際の色づけと下線の意味を説明しておく。 緑=翻訳の出来が素晴らしい 赤=誤…
途中から読む人はいないと思うが、とりあえず事情説明。 エラリイ・クイーンの短編集「犯罪カレンダー」の12編のうち4月の短編「皇帝のダイス」の原作と宇野利泰訳(ハヤカワ・ミステリ文庫版)とを比較している。目的は「なぜ宇野さんの訳は何故長くなるのか」を明らかにする事だったが、すでに判明しているように宇野訳のスゴさを明らかにする事に変質してきている。まあ、結論はもうちょっと先に延ばすとして、これまでのあ…
さっそく続き。なにしろエラリイ・クイーンの短編集「犯罪カレンダー」の「皇帝のダイス」の原文と宇野訳とを最後まで調べ尽くしてあるので、すべての労力を回収するまでは終われない。改めて、比較の際の色づけと下線の意味を説明しておく。 緑=翻訳の出来が素晴らしい 赤=誤訳あるいは訳に疑問がある
以前に、角川文庫版「Yの悲劇」(越前敏弥・訳)の書評を書いた際に、それまで愛読してきたハヤカワ・ミステリ文庫版(宇野利泰・訳)との比較をちょっとだけ試みた。というのも、ハヤカワ・ミステリ文庫の「Yの悲劇」は分厚い一冊というイメージだったのに、角川文庫のそれはかなりスリムな一冊に仕上がっていたからだ。一頁あたりの文字数…
1985.6.17(Mon) 曇り 12:00まで寝た。前進ギシギシいっている。だるい。大学に行き、F田先生の授業。 生協でCD(谷山浩子)を買う。帰りの都営三田線で寝過ごして、最寄り駅の「板橋区役所前」駅を乗り越し「蓮根」駅で下車。折り返す。 帰宅は21:00すぎ。三田駅でもトイレで吐いた。家に戻って吐いた。最悪。
著者の連作短編は、読み進めていくうちに幸せな気分になる。人と人とのつながりから生み出される善意の存在を信じたくなるし、時として耐えられなくなるような人生のよい面だけを見ようという気にさせられる。それはもちろん、裏側に落ち込んだ人たちが同じくらい、いやひょっとしてそれ以上に存在する事の証かもしれない。そういった人生の悲劇と悲しみとを受け止めたうえで、ではどうしたらいいのかという姿勢を、青山さんの…
城塚翡翠シリーズの第三作。第一作「medium−霊媒探偵城塚翡翠−」がなかなかの出来だったので、最終話まで読んだ時の衝撃は大きかった。これは著者のもくろみ通りの驚きではなく、こんな事をしたいがための伏線だったのかという衝撃、一言でいえば幻滅だった。最終話で伏線が回収された後には「荒れ野」しか残されていなかった。魅力に乏しく、ただただ自らの能力を過大評価している名探偵もどきのヒロインと、それを過剰に持…
ちょうど一年前にシリーズ最新作『探花 隠蔽捜査9』を読んでいる。先日亡くなられた目黒考二さんのオススメで読み出した『隠蔽捜査』の第一作が2005年出版だったから、あれから18年も経っているのか。よくぞ続いたと思う反面、多作家で知られる著者が18年かけて本編9冊に、スピンオフ短編集3冊というのは少ないようにも思えてしまう。書こうと思えばもっと書けてしまうのではと考えるのは、単なるファンの大いなる勘違いには…
もう図書館に返却しなくてはならない。最後にもうちょっと何か知りたいなぁと思ったら、「本」を思いついた。見出し語「本」の使い方を味わい尽くそう。 ほん【本】 ▲が 痛む。売れる。そろう。出る。並ぶ。発禁…
前回からちょうど三か月。まあ、通院が三か月おきなので、それに合わせて神保町にブラッとたどり着くというわけだ。今回は診察も会計も待ち時間が少なかったので午前中には病院を後にして、神保町に向かった。大井町からだと京浜東北線で田町駅で下車。都営三田線で神保町駅へと向かう。前回もそういう順路だったのに忘れていた。 神保町に到着すると、ちょうどお昼どきでサラリーマンでどこもごった返している。これはや…
(この文章は、横溝正史『犬神家の一族』の犯人やトリックを明かしています。未読の方は読まないで下さい。) まずは、何にしても「犬神家の一族」の遺言状のシーンから始めねばなるまい。 「ひとつ…犬神家の全財産、ならびに全事業の相続権を意味する、犬神家の三種の家宝、斧(よき)、琴、菊はつぎの条件のもとに野々宮珠世に譲られるものとす」 正面の白…
映画好きではあるが、マニアックにいろいろと詮索するのが好きというわけではない。だから何故「エイリアン3」に本作の元となる脚本が採用されなかったのか、何にいったい「エイリアン」ファンは満足できなかったのかはわからない。どうやら「エイリアン3」を今に至るまで見ていないからだ。読み出した当初は見たと思い込んでいたのだが、それは「エイリアン4」の方だった。「4」を観た時、「3」を飛び越したからなのか、…