Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.7 At the outset let it be acknowledged that freedom in reading is a fine thing. (訳) 最初に、読書の自由とはすばらしいものだということを認めていただきたい。 こ…
本は電車で読もう!立川在住・一児の父が読書と子育てに明け暮れる日々を綴ります。
自宅(立川)と会社(川崎)の二つの図書館を駆使して読書に耽る中毒者(読書ジャンキー)のアスランです。 結婚前は暇に飽かして映画館に入り浸る映画中毒者でした。いまや夫婦で育児に追われる親バカ中毒者でもあります。 このblogでは、本を紹介し、立川で育児に悪戦苦闘する日々を報告し、そして愛しき映画の記憶を語ります。
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.7 At the outset let it be acknowledged that freedom in reading is a fine thing. (訳) 最初に、読書の自由とはすばらしいものだということを認めていただきたい。 こ…
[髑髏城へのアクセス] ジョン・ディクスン・カー『髑髏城』に出てくる髑髏城にはどうやったら行けるか。アクセスについて考える。 ライン川下り(マインツ〜コブレンツ)の地図
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.6 All who have fought in a battle know how necessary it is that someone should be in command. (訳) 戦闘の経験がある人ならみな、誰か指揮者がいることがどんなに必要か知っている。
米澤さん、今度は刑事物を書きたくなったのか、そう思った。 二月四日土曜日の午後十時三十一分、群馬県利根警察署に遭難の一方が入った。 … 十時五十九分、最寄りの派出所から急行した警察官が芥見から事情を聞いたところ、埼玉県さいたま市から来た五人連れのスキー客のうち、四人と連絡が取れないことがわかった。 非常に緊迫感あふれる乾いた筆致でたんたんと事件発生の状況を描…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.5 It is regrettable, but it is a fact, that children do not look upon their parents with the same degree of affection as their parents look upon them. (訳) 親が子供を見るときと同じくらい愛情をこめて…
(この文章は『屍人荘の殺人』にも登場する明智恭介に関するある事実を明かしています。それは結末に関わる事実ではないのでいわゆるネタバレとは言えないけれど、初読の人の楽しみを奪いかねないので、少なくとも『屍人荘の殺人』未読の方は読まないでください。) 確か「このミス」の第一位に、ある新人作家のデビュー作が選ばれたとの前評判を聞…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.4 It it not surprising that a man of such persistent and untiring energy should have exercised so great an influence over the thoughts of mankind for many hundreds of years. (訳) このように不撓不屈の力をそ…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.3 It is hardly to be expected that the less prosperous parts of the world will tamely accept the continually widening inequality. (訳) 世界の中で繁栄において劣る地域が、たえず広がりつつあるこの不平等を今後も従順に容…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.2 It would seem logical that if parents care for children when they are not yet able to enter the labor market, then children will care for parents when they are no longer permitted to remain in it. (訳) 子どもが労働…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.1 My father died on Tuesday. He had an intense love for me and it adds now to my grief and remorse that I did not go to Dublin to see him for so many years. (訳) 父は火曜日に死にました。父は私をとてもかわいがってくれ…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1 例題 In the violent conflicts which now trouble the earth the active contenders believe that since the struggle is so deadly it must be that the issues which divide them are deep. I think they are mistaken. Because parties are bitterly opposed, it does not necessarily follow that they ha…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.6 If everyone undertook to form all his own opinions and to seek for truth by isolated paths, it would follow that no considerable number of men would ever unite in any common belief. (訳) すべての人があらゆることについ…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.4 One day it occurred to a man named John Gutenberg that if the letters of a text could be made each one separate, they might be used over and over again. (訳) ある日、ジョン・グーテンベルグという名の人が、テキストの活…
検死審問-インクエスト- パーシヴァル・ワイルド/越前敏弥訳(創元推理文庫)
パーシヴァル・ワイルドは1912年にデビューした米国の劇作家だそうだ。まったく聞いた事もないし、今回、越前敏弥さんが2008年に翻訳した本書が今年(2024年)の復刊フェアの一作に取りあげられなければ、読む事もなかったかもしれない。劇作家というからには戯曲を書く事が本業で、ミステリは副業というか余技だったようで、Wikipediaを見ても長篇が4作と、短篇集が2作あるだけだ。短篇集『悪党どものお楽しみ』(1929年)はエ…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.4 It turned out that everybody at the bar knew Sonny. (訳) バーにいた者はみなソニーを知っていると分かった。 非常にシンプルな例文と訳なので、スキップしてもいいくらいだが、かえってIt+V+that…の構文を考えるには…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.3 As a rule it happens that a week or so of mild sunny weather occurs about this time. (訳) 1年のうち今ごろはたいてい、1週間やそこらおだやかで日のよくあたる日が続く。 ランダムハウス英和大辞典によると、occu…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.2 Probably in a modern city the man who can distinguish between a thrush's and a blackbird's song is an exception. It is not that we have not seen the birds. It is simply that we have not noticed them. …
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.1 If you are not honest with the doctor when you are ill, it may be that instead of curing you he will make you worse. (訳) 病気のとき医者にうそをつけば、おそらく医者のおかげでよくなるどころか、病気は悪化するだろう。
Chapter9.関係詞 「�@主格の関係詞」より。 9.1 例題(2) A schoolmaster recently said that out of the 250 pupils he taught the ones who watched TV were undoubtedly the most intelligent. We all know the people who sit through any and every programme night after night because they are drugged by TV. But I have yet to meet the child who, allowed to wat…
Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 9.1 例題(1) The building up of a taste for those books which genuinely discriminating readers have decided, generation after generation, are worthy of preservation, is gradual. As your taste for books and knowledge of them increase, your earlier opinions will in many instances be changed, for this is a process o…
Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 9.1.8 America is now called on to do what the founders and the pioneers always believed was the American task. (訳) アメリカは現在、建国者や開拓者たちがアメリカの使命であると常に信じてきたことをするように要求されている。 またし…
Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 9.1.7 He was not excited over the prospect of marring her, for she stirred in him none of the emotions of wild romance that his beloved books had assured him were proper for a lover. (訳) 彼女と結婚すると考えても、彼は心がおどらなかった。彼の愛読す…
ぎんなみ商店街の事件簿 BROTHER編/ ぎんなみ商店街の事件簿 SISTER編 井上真偽(小学館)
出版時期がちょうど一年前。おそらくオリオン書房の新刊本コーナーで平積みになっていた記憶がある。 BROTHER編 四人兄弟が、愛する地元のぎんなみ商店街で起きた不穏な事件に迫る。同じ事件、同じ手がかりを見ているのに、三姉妹とはまったく違う推理の展開に…? パラレルミステリ。SISTER編も同時刊行。 SISTER編 焼き鳥店「串真佐」の三姉妹が、愛する地元のぎんなみ商店街で起きた不穏な事件に迫る。同…
Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 9.1.6 Our guide was a man who we had been told was familiar with the locality. (訳) 案内人は、我々の聞いたところでは、その地方をよく知っている人だった。 この例文も前回(9.1.5)同様に「連鎖関係詞節」を用いた構文になっている。このぐ…
今村昌弘と言ったら、やはり『屍人荘の殺人』の殺人だろう。あの作品を読んだときは、かなりの衝撃を受けた。ゾンビに取り囲まれるという非現実的な状況を、ミステリと言うやはり一種の「非現実的な状況」の中に丸々取り込んでしまう。その、一見するとふざけたアプローチは、読み始めた時には、いま流行りの「なんでもあり」なエンタメの一つにしか見えなかったのだが、著者自身は大まじめに「ゾンビに囲まれた密室」という不…
Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 9.1.5 There are plenty of people who we know quite well are innocent of this crime. (訳) この犯罪とは無関係であることを我々がよく知っている人が多数いる。 =我々がよく知っているところでは、この犯罪と無関係な人が多数いる。 伊…
フランシス・M・ネヴィンズJr.『エラリイ・クイーンの世界』を散策する(その8)
第二期について、ネヴィンズは以下のように総括している。 [原文](INTRODUCTION P.) Compared with the early masterworks, the novels of Period Two suffer from intellectual thinness, an overabundance of feminine emotion, and characters cut out of cardboard with the hope that they would be brought to life by movie performers. On the other hand, with th…
前回の(その17)でとりあえず完結したはずだったのだが、その際に「髑髏城の歩き方を書こうと思う」と言い添えておいた。諸事情があってずいぶん寝かしてしまったが、そろそろちゃんとまとめておかないと、もうガタが来ている僕のメモリが次々とデータを忘れてしまいそうだ。だから、この散策文を整理して「歩き方」を書く準備をしようと思ったら、最初から挫折してしまった。挫折の原因は、髑髏城の両耳にあたる二本の塔(tow…
フランシス・M・ネヴィンズJr.『エラリイ・クイーンの世界』を散策する(その7)
本書では、エラリイ・クイーンの第二期の作品について次のように書き出している。 [原文](INTRODUCTION P.7) It's convenient to date the beginning of Queen's second period from Halfway House (1936) since this is the first of Ellery's cases not to contain an adjective of nationality in the title. But the new title format is merely symptomatic of chan…
フランシス・M・ネヴィンズJr.『エラリイ・クイーンの世界』を散策する(その6)
いよいよINTRODUCTIONは佳境に入る。クイーンの全作品を概括していくのだが、クイーンは時期を追うごとに作風を変えていったので、ネヴィンズはそれを第一期〜第四期に分類している。日本では新本格ミステリの作家や批評家たちが初期・中期・後期などと分類するようになっているので、必ずしもネヴィンズの分類が一般的だというわけではない。しかし、とりあえずはネヴィンズの主張につきあうためには、この分類は重要だ。ここ…
中学生の時にかぐや姫を知り、風を知った。それ以来だから四十年以上も伊勢正三のファンを続けてきた事になる。だから、今さら言うのも何なんだけれど、正やんという人は結構変わった人だと思う。本人いわく、かぐや姫解散後に先の予定が決まっていなかった彼と、同じく猫解散後に先が決まってなかった大久保一久とが、残り物同士で結成したのがフォークデュオ「風」だった。だから当初から長く続くとも思っていなかったように…
フランシス・M・ネヴィンズJr.『エラリイ・クイーンの世界』を散策する(その5)
エラリー・クイーンのデビュー作『ローマ帽子の秘密』は1929年8月にフレデリック・A・ストークス社から出版された。発表当時の時代背景を考える上で、禁酒法と世界恐慌について少し知っておいた方がよさそうだ。手もとには、滅多に活躍しないが時々見返す事がある『クロニック世界全史』(講談社)という百科事典(?)がある。索引で「禁酒法」をたどると以下の年月日にヒットする。 1846年 アメリカ初の禁酒法が…
フランシス・M・ネヴィンズJr.『エラリイ・クイーンの世界』を散策する(その4)
ダネイもリーもニューヨーク市ブルックリンにあるボーイズ・ハイスクールに通ったが、その後リーはニューヨーク大学に進学し、ダネイは一足先に広告会社に就職して、コピーライター兼アートディレクターの仕事に就いた。リーは遅ればせながら映画会社で映画を宣伝する文章を書く仕事に就いた。 [原文](INTRODUCTION P.4) They met almost every day for lunch and among th…
フランシス・M・ネヴィンズJr.『エラリイ・クイーンの世界』を散策する(その3)
懸賞金付きの小説募集に応募して、いったんは内定したにもかかわらず受賞を逃した二人の若者は、南フランスに移住してプロの作家としての生活を始めるという夢をとりあえず棚上げし、今の仕事を続ける事にする。 [原文](INTRODUCTION P.1) In the normal course of events, Frederic Dannay and Man fred B. Lee would probably have remained with their jobs in advert…
すでに「いけない」「いけない�U」と続けて読んできている読者ならば、次なる狙いが写真や地図などの画像ではなく音にあるという事はすぐにわかるだろう。「体験型ミステリ」とは、著者が名づけたのか、それとも出版社が仕掛けたのか分からないが、このジャンルを現在切り拓いている著者が、「いけない」シリーズの続編ではなく一ひねりした形で提供した体験型ミステリの作品が本作だ。 「いけない」シリーズは、短編の連…
フランシス・M・ネヴィンズJr.『エラリイ・クイーンの世界』を散策する(その2)
『エラリイ・クイーンの世界』は次のように始まる。 [原文](INTRODUCTION P.1) ONE DAY IN THE FALL OF 1928 TWO YOUNG NEW YORKERS, first cousins, decided to write a detective novel. The occasion was a newly announced $7500 prize contest, sponsored jointly by McClure's Magazine and the publishing house of Frederick A. Stokes. The work consumed the you…
フランシス・M・ネヴィンズJr.『エラリイ・クイーンの世界』を散策する(その1)
手もとに一冊の本がある。奥付を見ると「1980年4月15日初版発行」と書かれているから、ちょうど浪人が決まってお茶の水の予備校に通いだした頃だろう。前年は年も押し詰まるまで病院で悶々とした日々を送っていたのだから、当然受かるとは思っていなかったが、いざ浪人すると決まった時は、それなりにショックだった。病名も分からず、直ったとは言いがたい状況で退院し、爆弾をかかえたまま、よちよち歩きの状態からなんとか…
Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 例文9.1.5の直前の解説について考える。 (a) My friend did not appear. (b) I expected that he would help me. この2文を関係詞を用いて1つにまとめると以下のような文になる。 (A) My friend, who I expe…
「Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 9.1.4 Quite a number of my best friends are people who, when I knew them only by sight or repute, filled me with positive loathing. (訳) 現在、私の最良の友人になっている人の多くは、顔や評判を知っているだけのときには、何ともいやなやつだと思えたような…
髑髏城三階(ダイニングルーム)(第16章) いよいよ最終回。髑髏城の三階にあるダイニングルームを渉猟したら、僕の髑髏城散策も一段落だ。前回は髑髏城の最上階(四階)にあるガラス張りの丸屋根の部屋を詳しく見て回った。そこから下の階に降りるところから始めよう。 (原文)[第16章P.206] The dining-room, as I have already indicated, was on the…
「Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 9.1.3 People regard the multiplication table as characteristic of all education—something which once learned stays with you through life. (訳) 人は九九の表をすべての教育の特徴をなすもの、つまり一度覚えてしまえば忘れることのないものと考えている。
(今回も、多少ストーリー後半のネタを割ります。犯人を直接示すようなネタバレではないが、前もって知っておくとストーリーの面白さを損なう可能性があるので、未読の方は読まないで下さい。) 髑髏城一、二階(中央広間〜回廊)(第16章) 引き続き、髑髏城の大髑髏の内部を散策していく。前回は一階と二階の描写をたどって第16章に続いて第18章にワープしたが、再…
「Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 9.1.2 The modern American schools provide the young of all classes with the common background that in an old, rural society is provided by tradition, by the dairy life in each community. (訳) 現代のアメリカの学校はあらゆる階級の若者に共通の生活体験…
クリスティの『そして誰もいなくなった』を本歌取りした作品はこれまでに数多く出版されている。以前、調べた限りでは国内で、この作品をリスペクトしたタイトルの小説は30冊近くもあり、ミステリに限って言うと15冊を越えている。
(今回も、多少ストーリー後半のネタを割ります。犯人を直接示すようなネタバレではないが、前もって知っておくとストーリーの面白さを損なう可能性があるので、未読の方は読まないで下さい。) 髑髏城2階の回廊(第8章) いよいよ、今回から髑髏城の大髑髏を散策していく。長く遠い道のりだったが、これで僕の髑髏城散策も大団円だ。今回で完結するかと思ったが…
「Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 そろそろ「共通関係」に飽きてきたので、Chapter14の序盤の�@が終わったところで中断。関係詞のChapter9に取り組もうと思う。 9.1.1 I know no stateman in the world who with greater right than I can say that he is the representative of his people. (訳) 自分が国民の代表であると、私よりも…
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より。 14.1.10 You can hardly imagine a blind deaf girl holding a lively conversation, reading books, writing letters, and above all, enjoying life. But such is Helen Keller. (訳) 盲目で耳の聞こえぬ少女が活発な会話をし、本を読み、手紙を書いているところ…
今回はまたまた寄り道。例の「マイロン・アリソンは、はたして転落したか否か」を考える。 すでに僕の髑髏城散策では「転落していない」という結論が出ている。旧訳は髑髏城の胸壁、というより髑髏城の回廊の上部の狭間胸壁から城壁(30フィート)の下まで落下している。一方、新訳は、同じく回廊の上部の狭間胸壁から回廊の下すなわち城壁の上に落下している。しかし、原文をよくよく読み込んでいくと、回廊の上部には胸壁…
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より。 14.1.9 Queen Elizabeth introduced several reforms that were helpful to the nation, and guided her people step by step to prosperity and power. (訳) エリザベス女王は、国民のためになるいくつかの改革を導入し、国民を一歩一歩繁栄と強国へと導いた。 …
(今回も、多少ストーリー後半のネタを割ります。犯人を直接示すようなネタバレではないが、前もって知っておくとストーリーの面白さを損なう可能性があるので、未読の方は読まないで下さい。) ダンスタンの回想(第13章) 今回は予告通り、別荘の客の一人ダンスタン卿が人妻イソベル・ドオネイと密会を企て、髑髏城まで赴いてアリソンの悲劇に遭遇した時のことを回…
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より。 14.1.8 Formerly girls were usually taught at home by governesses and received only a very narrow kind of education, in which science played no part at all. (訳) 昔は、女の子はふつう家で家庭教師につき、受ける教育の範囲は非常に狭く、その中に科学はまったく…
今回も篠田真由美著『ミステリな建築 建築なミステリ』出版記念の企画だ。著者が十代の頃から魅了されてきた作品『髑髏城』は、どうやらミステリ愛好家やカー愛好家からもあまり評価されてこなかった事に、著者はずいぶんと悔しい思いを抱いてきたようだ。著書の第二部「ミステリを建築で読む」の第4章「ディクスン・カー『髑髏城』」の冒頭で、本格ミステリを誰よりも愛し、カーへの愛を惜しげも無く開陳してきた江戸川乱歩と…
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より。 14.1.7 People used to think, and some still do, that Latin should be a universal model for language. (訳)ラテン語が言語の普遍的範型であるべきだと昔の人々は考えていたし、今でもそう考えている人もいる。 この文はいろいろと考える事がある。何よりも「ラテン語が」で始まっている事に違…
ミステリな建築にして建築なミステリの『髑髏城』を散策する 前回の終わりで、次は「ダンスタンとイゾベルとの逢い引きの場面」と書いたのだが、状況が変わった。ついに髑髏城中毒を標榜する方の本が出版されたのだ。その名も『ミステリな建築 建築なミステリ』(篠田真由美)。もちろん髑髏城は、この本の中で紹介される建築にしてミステリの一つに過ぎない。ただ、僕自身が『Yの悲劇』あるいは『グリーン…
後追いになるが、目次と内容についてまとめようと思う。 自分でも驚くくらいに長々と書き綴ってきたおかげで、自分でも何がどこに書かれているか確かめるのが難しくなりつつある。もし奇特な人がいて、『髑髏城』を再読する際にこの文章を読んでみようと思っても、いったい何がどうなっているのか分からなくなると思う。まだ、散策は完結していないのだが、書き継ぐ度に目次の方も書き足していく事にする。
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より。 14.1.6 Every aged person reminds us of our own death, that our body won't always remain smooth and responsive. (訳)老人は誰でも我々に、自分もいつかは死ぬこと、自分の体もいつまでも柔軟で敏感なままではいないことを思い出させる。 この文には納得できない。訳文がというより、この英文…
(今回以降は、多少ストーリー中盤のネタを割る事になる。犯人を直接示すようなネタバレではないが、前もって知っておくとストーリーの面白さを損なう可能性があるので、未読の方は読まないで下さい。) 前回はついに髑髏城の外観を目の当たりにする事ができた。もちろん僕個人の目に映った髑髏城である事を断っておく。僕にはこう見えた(読めた)に過ぎない。今回は髑髏城の内部を探索す…
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より。 14.1.5 She has a good memory for bits of fresh gossip, or little stories of some celebrity that she had read or heard somewhere, and a knack of telling them entertainingly. (訳)彼女はいくつかの新しいうわさ話や、どこかで読んだり聞いたりした、有名人に関する小話をよく覚えていたし、また、それをおもしろ…
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より。 14.1.4 It is hard enough to know whether one is happy or unhappy, and still harder to compare the relative happiness or unhappiness of different times of one's life. (訳)自分がいま幸福なのか不幸なのか知るだけでも容易なことではないのに、一生の中の異なった時代の相…
ついに(その10)になってしまった。こんなに続ける事になるとは当初は思ってもみなかったけれど、カーの原文を手探りしながら、調べ物しながら、図を書きながらと、いろんな事に手を出していたら、こんな始末になってしまった。特に今は図を書くのに時間がかかっている。いよいよ今回で髑髏城の外観図が完成するからだ。いままで仕事でもパワーポイントはずいぶん使ってきたつもりだけれど、体裁のいいグラフや図を駆使すると…
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より。 14.1.3 The New World has a large and rapidly increasing population of its own and, after more than a century of abuse, not a little of its soil has lost or is in process of losing its fertility. (訳)新世界ではそれ自体の膨大な人…
前回の(その8)で仕切り直しをした。そこで確認したのは「マイロン・アリソンはどこにも落ちていない」という事だった。そこで、再び城壁内部の通路と階段をぐるりと巡った終着地courtyard(中庭)にたどり着く事になる。そこから散策を再開しよう。 ところで、今、非常に後悔しているのは、(その7)の終わりに髑髏城の城壁上部を俯瞰した図を出してしまった事だ。もちろん、あの図を出す事で、城門からどのように内部の通…
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より。 14.1.2 It is, and has been for a long time, the most prized national possessions, the sense of humor. (訳)ユーモアの感覚は、わが国民が持っているものの中で、現在もこれまでの長い時間にも最も尊重されているものである。 共通関係をどう日本語で表現す…
緊急事態だ。 (その7)で僕らは髑髏城の正面入口である城門から城壁の内部に入った。そのまま通路と階段を経巡り、ついには城壁の屋上とでも言うべき中庭(courtyard)にたどり着いた。そして、そこで見たのは狭間胸壁(battlements)への階段であり、回廊はまだ見あたらない。その階段を登ればやがて回廊は見えてくるのだが、肝心の回廊の屋根にあたる位置に別の狭間胸壁など見あたらないのだ。では、いったい炎に包まれたマ…
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より、まとめの例題を書き直す。 14.1 例題(2) In the late summer of that year we lived in a house in a village that looked across the river and the plain to the mountains. In the bed of the river there were pebbles and boulders, dry and white in the sun, and the water was clear and swiftly moving and blue in the channels. Troops went …
(その6)で城の正面の城門を通って幅の広い石敷きの通路(a wide passage of stone)に出た。城門を入ってすぐ右手には低いくぐり戸(a low door)があって、中は番人の詰所になっている(はず)というところまで来た。謎の人物が城壁の上で持っていたたいまつが通路に放り出されていたのをホフマンとフリッツが見つけたのも、この場所だ。ここには城門の上から溶かした鉛を敵の頭上に流す装置があり、鉄製の桶を火にかけるために、…
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より。 14章の冒頭に戻る。共通関係とは「and,but,orなどの等位接続詞で結ばれる2つの語句の関係」を指す。従来の参考書では「例外的な形を雑然と収集し、雑然と提示するだけ」にとどまっていると指摘し、この本では「文の基本構造と修飾構造の2面から順を追って考え」るとしている。もちろん、全15章からなる「英文解釈教室」をここまで読んできた人にとっては当たり前…
8章「THE BODY IN THE TOWER」(旧訳「塔上の死体」、新訳「塔の死体」)で、バンコランとフォン・アルンハイムが連れ立って髑髏城に向かう。7章の終わりでバンコランはジェフに「レインコートを用意した方がいいぜ。びしょぬれになるおそれがたぶんにある……」と言い切っているので、外は暴風雨の嵐のようだ。ライン川巡りのサイトや書籍を見ると悠々とした流れの画像ばかりで、とてもじゃないが暴風雨で荒れたライン川を想…
「Chapter14. 共通関係 �@文の主要素の共通関係」より、まとめの例題を書き直す。 14.1 例題(1) When I was young we all knew, or thought we know, that a man consists of a soul and a body; that the body is in time and space, but the soul is in time only. Weather the soul survives death was a matter as to which opinions might differ, but that there is a soul was thought to be certain. …
ついに8章で、名探偵バンコランとベルリン警察の主任警部フォン・アルンハイムが呉越同舟よろしく髑髏城の捜索に乗り出す。ここでは、髑髏城に至る道筋や、髑髏城の外観および内部が詳細に語られるはずだ。(その4)まで散策を続けた結果、髑髏城の外観はなんとなく見えてきたが、船着場から髑髏城の内部に至る道筋はよく分からないし、なにより燃える死体が見つかった中庭にある狭間胸壁(battlements)や、城壁の上部に付属す…
唐突に始めてしまうが、伊藤和夫先生の「英文解釈教室(改訂版)」を毎日のように読み直しているというところから話を進めよう。つたない英語力しかなかった僕がまがいなりにも英語が好きになり、同時に日本語を偏愛するようになったのは、この参考書と伊藤先生の薫陶とに寄るところが大きい。入試の際に、この本を十分に理解できていたかは心許ないが、その後の人生においても繰り返し繰り返し読むことで、英文に当たって砕ける…
第2章のアガサ・アリソンの回想を検討してきたが、次はアガサが執事のホフマンと運転手のフリッツに髑髏城の様子を見に行かせた顛末を語った部分になる。彼ら二人から聞いた伝聞だし、この直後にバンコランは直接ホフマンから話を聞く事になるので、そちらだけ取り上げればいいようだ。よって、アガサの回想はここで打ち切り、執事ホフマンの話を聞く事にしよう。ここから第3章になる。 バンコランはホフマンを探して、生…
アリソン邸にようやく到着したジェフ・マールは、執事のホフマンに案内されて2階にあるアガサ・アリソンの部屋に通される。ジェフより先にアリソン邸に逗留していたバンコランも待ち受けていた。二人を前にしてアガサは、二週間足らず前に起きた兄・マイロンが殺された夜の事を回想する。ポーカーの約束をして自室で女中と待っていたが、その夜、マイロンは中々姿を現さない。 (原文)[P.34-35] "I remember h…
いよいよ髑髏城の外観を細かく見られるところまで、蒸気船が近づいてきた。 (原文)[P.28-29] Then Castle Skull grew in size, though it seemed even farther above our heads. Massive walls, battlemented and fullly a hundred feet high, were built into the hillside. I bent over the rail and craned my neck to look up. In the centre of the walls, built so that the middle of the battlements …
小説としての、ミステリとしての『髑髏城』は、創元推理文庫から出版された旧訳(宇野利泰)と新訳(和爾桃子)とを立て続けに読む事で一段落ついた。感想も書いた。残ったのは原書だ。神保町の羊頭書房で見つけ出した『CASTLE SKULL』は、カーが最初に出版した1931年当時のものでは当然ながらなく、1947年にPOCKET BOOKSから出版されたもの。ほぼ日本の文庫サイズのペーパーバックは劣化していてボロボロだ。読み込もうとしたら崩…
アントニイ・バークリーという作家はかなり前から知っていた。なぜかと言えば江戸川乱歩編纂の『世界推理短編傑作集』の中に『偶然の審判』が含まれていたからだ。この作品は、本格ミステリー黄金期の作品の愛好者であれば必読とも言える名作で、毒の入ったチョコレートを食べた人が死ぬという事件を、暇とお金をもてあましたような有閑階級の男女が持論を持ち寄っては解決を図るという内容だ。クリスティの『ミス・マープルと…
手元には『髑髏城』の旧訳(宇野利泰)と新訳(和爾和子)があり、今回、この順に立て続けに読んでみた。宇野さんの訳は雑誌「探偵倶楽部」1956年1月号〜12月号に掲載されたものが元で、1958年に「世界大ロマン全集22」(東京創元社)に収められ、翌1959年に文庫化された。対して和爾さんの訳は2015年発行で、言ってみればおよそ60年ぶりの新訳という事になる。聞くところによると、ディクスン・カーの長編を、一部絶版状態ではある…
オカルト雑誌に掲載するため、ライターの私と編集者の小沢くんは、近畿地方の「ある場所」に関連した文章を収集。私たちは「ある場所」に潜む怪異の存在に気づき…。綴じ込みの「取材資料」付き。『カクヨム』掲載に加筆修正。 『カクヨム』とは何だろう。角川の小説投稿サイトか。ラノベの投稿サイトはゆえあって見渡す事があるが、それ以外の投稿サイトはのぞいた事がない。調べると今でもこの小…
頻繁にジェフリー・ディーヴァー作品を読んでいるような気がしていたので、このコルター・ショウシリーズの前作『ファイナル・ツイスト』を読んだのも最近の事のように思っていたが、なんとあれから1年も経っていたのか。その間にというか立て続けに、リンカーン・ライムシリーズの最新作『真夜中の密室』も読んでいるし、短編集の2分冊「トラブル・イン・マインド」1&2も読んだりしてるから、まあ一年中読んでいるような…
「方舟」と書いて「はこぶね」と読む。「箱船」の方が表記としては一般的だが、どちらで書いても意味は変わらない。国語辞典を引くと「四角な形をした乗り物。方形の船」(精選版日本国語大辞典)という語釈が筆頭に来るが、二番目に「旧約聖書の『ノアの箱船』をいう」(日国)と書かれている。広辞苑では「ノアの方舟」と書かれていて、明鏡や新明解に至っては「ノアの——」と書かれていて見出しの表記は「箱船・方舟」のいずれ…
Practical English Usage, 3rd edition (by Michael Swan)
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』の書評は一段落したが、パンクチュエーションについての考察は、引き続きできる限りやっていこうと思う。『Easy Learning Grammar and Punctuation』の次は本書だ。『Easy Learning …』はアメリカの出版社が出している英文法とパンクチュエーションのガイドブックだったが、本書はイギリスのオックスフォード大学出版が刊行しているガイドブックだ。なので説明文や例…
セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点 セシリア・ワトソン(左右社) (その3)
「セミコロン」についての本の書評、終盤戦だ。(その2)では5章までの内容を取り上げて、セミコロンの誕生の経緯からセミコロンが流行の最前線に飛び出して、やがて法律の条文に紛れ込んで騒動を引き起こすまでを解説した。この(その3)では6章以降の内容を取り上げる。 [本書の目次] はじめに 言葉のルールをめぐる愛憎 …7 1章 音楽を奏でるように:セミコロンの誕生 …
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』(セシリア・ワトソン)の書評(その3)を書く前に、再びパンクチュエーション(句読法)のお勉強をしておく。前回は『英語ライティングルールブック 第2版』でカンマ、コロン、セミコロンの使い方についておさらいをしたが、やや不完全燃焼だったのは否めない。これまでちゃんと勉強してこなかったせいとも言えるが、やはり日本人向けに手ごころを加えた解説になっている…
セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点 セシリア・ワトソン(左右社) (その2)
「セミコロン」についての本の書評、後半戦だ。「はじめに」の訳文でケチがついて、1章からは共著者のものと思われる訳文で持ち直した結果、実は最後まで面白く読めた。後半からの訳文にちょっと不安を覚えたのだけれど、それはある理由から問題が回避されている事もわかった。それについては後述する。それよりも書評(その1)では「はじめに」の文章を過剰に論ったおかげで、実はその後の文章の見通しがよくなった。この序章…
英語ライティングルールブック 第2版 デイヴィッド・セイン(DHC)
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』を読んでいる途中で、次第にセミコロンやコロンやカンマの使い分けについて「ちゃんと」は分かっていないことを痛感したので、前から・積ん読状態だった本書で勉強する事にした。もちろん全部読むのではなく、あくまでカンマ、セミコロン、コロンについてだけだ。なので、タイトルは『英語ライティングルールブック 第2版』となっているけれど、この本全体の書評じ…
神保町逍遙2023/10/13~羊頭書房、東京堂書店、PASSAGE、そして板橋
3ヶ月おきの通院。5月にやった腹腔鏡手術であけた4箇所のうち1箇所だけがどういうわけか閉じなかったので、なかなか全快とはいかなかった。「閉じなかった」というのはかなり語弊がある言い方になるが、なんというか、もちろん穴はふさがってるのだが、表面の皮膚が開いてしまって血液が浸みだしてしまう状況がなかなか改善しなかったのだ。こういうときこそ傷パワーパッドの出番だと思ったら、蓋をした絆創膏の内部で浸潤…
セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点 セシリア・ワトソン(左右社) (その1)
今回はとりあえず「はじめに」限定で、まず言いたい事を書こうと思う。以前に『カンマの女王』を期待して読み出した時とまったく同じ事が、再度起きた。デジャブと言っていい。「カンマ」の次が「セミコロン」だなんて、シャレにもならない。悪夢だ。 とにかく一読では頭に入ってこない。期末で仕事に追われてたので、疲れて頭が回らないのかと最初のうちは思った。そのうち、どうやら文章が気持ち悪くて、いろいろと引っ…
(今さらですが、今回は後半に犯行現場についての文章を細かく見ていきます。ネタバレもありますので、未読の方はエラリイ・クイーン「犯罪カレンダー」の「皇帝のダイス」を読んだ後にお読み下さい。) 前回同様、比較の際の色づけと下線の意味を説明しておく。 緑=翻訳の出来が素晴らしい 赤=誤…
途中から読む人はいないと思うが、とりあえず事情説明。 エラリイ・クイーンの短編集「犯罪カレンダー」の12編のうち4月の短編「皇帝のダイス」の原作と宇野利泰訳(ハヤカワ・ミステリ文庫版)とを比較している。目的は「なぜ宇野さんの訳は何故長くなるのか」を明らかにする事だったが、すでに判明しているように宇野訳のスゴさを明らかにする事に変質してきている。まあ、結論はもうちょっと先に延ばすとして、これまでのあ…
さっそく続き。なにしろエラリイ・クイーンの短編集「犯罪カレンダー」の「皇帝のダイス」の原文と宇野訳とを最後まで調べ尽くしてあるので、すべての労力を回収するまでは終われない。改めて、比較の際の色づけと下線の意味を説明しておく。 緑=翻訳の出来が素晴らしい 赤=誤訳あるいは訳に疑問がある
以前に、角川文庫版「Yの悲劇」(越前敏弥・訳)の書評を書いた際に、それまで愛読してきたハヤカワ・ミステリ文庫版(宇野利泰・訳)との比較をちょっとだけ試みた。というのも、ハヤカワ・ミステリ文庫の「Yの悲劇」は分厚い一冊というイメージだったのに、角川文庫のそれはかなりスリムな一冊に仕上がっていたからだ。一頁あたりの文字数…
谷山浩子「眠れない夜のために」、数少ないコンパを断る、バルサンを焚く(日記1985年6月17~21日)
1985.6.17(Mon) 曇り 12:00まで寝た。前進ギシギシいっている。だるい。大学に行き、F田先生の授業。 生協でCD(谷山浩子)を買う。帰りの都営三田線で寝過ごして、最寄り駅の「板橋区役所前」駅を乗り越し「蓮根」駅で下車。折り返す。 帰宅は21:00すぎ。三田駅でもトイレで吐いた。家に戻って吐いた。最悪。
著者の連作短編は、読み進めていくうちに幸せな気分になる。人と人とのつながりから生み出される善意の存在を信じたくなるし、時として耐えられなくなるような人生のよい面だけを見ようという気にさせられる。それはもちろん、裏側に落ち込んだ人たちが同じくらい、いやひょっとしてそれ以上に存在する事の証かもしれない。そういった人生の悲劇と悲しみとを受け止めたうえで、ではどうしたらいいのかという姿勢を、青山さんの…
城塚翡翠シリーズの第三作。第一作「medium−霊媒探偵城塚翡翠−」がなかなかの出来だったので、最終話まで読んだ時の衝撃は大きかった。これは著者のもくろみ通りの驚きではなく、こんな事をしたいがための伏線だったのかという衝撃、一言でいえば幻滅だった。最終話で伏線が回収された後には「荒れ野」しか残されていなかった。魅力に乏しく、ただただ自らの能力を過大評価している名探偵もどきのヒロインと、それを過剰に持…
ちょうど一年前にシリーズ最新作『探花 隠蔽捜査9』を読んでいる。先日亡くなられた目黒考二さんのオススメで読み出した『隠蔽捜査』の第一作が2005年出版だったから、あれから18年も経っているのか。よくぞ続いたと思う反面、多作家で知られる著者が18年かけて本編9冊に、スピンオフ短編集3冊というのは少ないようにも思えてしまう。書こうと思えばもっと書けてしまうのではと考えるのは、単なるファンの大いなる勘違いには…
もう図書館に返却しなくてはならない。最後にもうちょっと何か知りたいなぁと思ったら、「本」を思いついた。見出し語「本」の使い方を味わい尽くそう。 ほん【本】 ▲が 痛む。売れる。そろう。出る。並ぶ。発禁…
神保町逍遙2023/07/14~PASSAGE,、羊頭書房、東京堂書店、富士鷹屋~
前回からちょうど三か月。まあ、通院が三か月おきなので、それに合わせて神保町にブラッとたどり着くというわけだ。今回は診察も会計も待ち時間が少なかったので午前中には病院を後にして、神保町に向かった。大井町からだと京浜東北線で田町駅で下車。都営三田線で神保町駅へと向かう。前回もそういう順路だったのに忘れていた。 神保町に到着すると、ちょうどお昼どきでサラリーマンでどこもごった返している。これはや…
(この文章は、横溝正史『犬神家の一族』の犯人やトリックを明かしています。未読の方は読まないで下さい。) まずは、何にしても「犬神家の一族」の遺言状のシーンから始めねばなるまい。 「ひとつ…犬神家の全財産、ならびに全事業の相続権を意味する、犬神家の三種の家宝、斧(よき)、琴、菊はつぎの条件のもとに野々宮珠世に譲られるものとす」 正面の白…
ウィリアム・ギブスン エイリアン3 パット・カディガン(竹書房)
映画好きではあるが、マニアックにいろいろと詮索するのが好きというわけではない。だから何故「エイリアン3」に本作の元となる脚本が採用されなかったのか、何にいったい「エイリアン」ファンは満足できなかったのかはわからない。どうやら「エイリアン3」を今に至るまで見ていないからだ。読み出した当初は見たと思い込んでいたのだが、それは「エイリアン4」の方だった。「4」を観た時、「3」を飛び越したからなのか、…
近年、エラリー・クイーンの悲劇四部作や国名シリーズなどの初期の作品が、角川文庫と創元推理文庫から相次いで出版され、さらにはハヤカワ・ミステリ文庫からは、中期・後期を代表する「災厄の町」を初めとした作品が出版された。いずれも新訳で読みやすくなったので、新しい読者を開拓する事に繋がったのは、長年クイーン好きを公言してきた自分としては喜ばしい限りだ。 エラリー・クイーンの代表作と言えば「Yの悲劇…
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Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.7 At the outset let it be acknowledged that freedom in reading is a fine thing. (訳) 最初に、読書の自由とはすばらしいものだということを認めていただきたい。 こ…
[髑髏城へのアクセス] ジョン・ディクスン・カー『髑髏城』に出てくる髑髏城にはどうやったら行けるか。アクセスについて考える。 ライン川下り(マインツ〜コブレンツ)の地図
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.6 All who have fought in a battle know how necessary it is that someone should be in command. (訳) 戦闘の経験がある人ならみな、誰か指揮者がいることがどんなに必要か知っている。
米澤さん、今度は刑事物を書きたくなったのか、そう思った。 二月四日土曜日の午後十時三十一分、群馬県利根警察署に遭難の一方が入った。 … 十時五十九分、最寄りの派出所から急行した警察官が芥見から事情を聞いたところ、埼玉県さいたま市から来た五人連れのスキー客のうち、四人と連絡が取れないことがわかった。 非常に緊迫感あふれる乾いた筆致でたんたんと事件発生の状況を描…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.5 It is regrettable, but it is a fact, that children do not look upon their parents with the same degree of affection as their parents look upon them. (訳) 親が子供を見るときと同じくらい愛情をこめて…
(この文章は『屍人荘の殺人』にも登場する明智恭介に関するある事実を明かしています。それは結末に関わる事実ではないのでいわゆるネタバレとは言えないけれど、初読の人の楽しみを奪いかねないので、少なくとも『屍人荘の殺人』未読の方は読まないでください。) 確か「このミス」の第一位に、ある新人作家のデビュー作が選ばれたとの前評判を聞…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.4 It it not surprising that a man of such persistent and untiring energy should have exercised so great an influence over the thoughts of mankind for many hundreds of years. (訳) このように不撓不屈の力をそ…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.3 It is hardly to be expected that the less prosperous parts of the world will tamely accept the continually widening inequality. (訳) 世界の中で繁栄において劣る地域が、たえず広がりつつあるこの不平等を今後も従順に容…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.2 It would seem logical that if parents care for children when they are not yet able to enter the labor market, then children will care for parents when they are no longer permitted to remain in it. (訳) 子どもが労働…
Chapter7. It . . . that . . .「�A It(形式主語) . . . 名詞節」より。 7.2.1 My father died on Tuesday. He had an intense love for me and it adds now to my grief and remorse that I did not go to Dublin to see him for so many years. (訳) 父は火曜日に死にました。父は私をとてもかわいがってくれ…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1 例題 In the violent conflicts which now trouble the earth the active contenders believe that since the struggle is so deadly it must be that the issues which divide them are deep. I think they are mistaken. Because parties are bitterly opposed, it does not necessarily follow that they ha…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.6 If everyone undertook to form all his own opinions and to seek for truth by isolated paths, it would follow that no considerable number of men would ever unite in any common belief. (訳) すべての人があらゆることについ…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.4 One day it occurred to a man named John Gutenberg that if the letters of a text could be made each one separate, they might be used over and over again. (訳) ある日、ジョン・グーテンベルグという名の人が、テキストの活…
パーシヴァル・ワイルドは1912年にデビューした米国の劇作家だそうだ。まったく聞いた事もないし、今回、越前敏弥さんが2008年に翻訳した本書が今年(2024年)の復刊フェアの一作に取りあげられなければ、読む事もなかったかもしれない。劇作家というからには戯曲を書く事が本業で、ミステリは副業というか余技だったようで、Wikipediaを見ても長篇が4作と、短篇集が2作あるだけだ。短篇集『悪党どものお楽しみ』(1929年)はエ…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.4 It turned out that everybody at the bar knew Sonny. (訳) バーにいた者はみなソニーを知っていると分かった。 非常にシンプルな例文と訳なので、スキップしてもいいくらいだが、かえってIt+V+that…の構文を考えるには…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.3 As a rule it happens that a week or so of mild sunny weather occurs about this time. (訳) 1年のうち今ごろはたいてい、1週間やそこらおだやかで日のよくあたる日が続く。 ランダムハウス英和大辞典によると、occu…
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.2 Probably in a modern city the man who can distinguish between a thrush's and a blackbird's song is an exception. It is not that we have not seen the birds. It is simply that we have not noticed them. …
Chapter7. It . . . that . . .「�@ It+V+that . . .」より。 7.1.1 If you are not honest with the doctor when you are ill, it may be that instead of curing you he will make you worse. (訳) 病気のとき医者にうそをつけば、おそらく医者のおかげでよくなるどころか、病気は悪化するだろう。
Chapter9.関係詞 「�@主格の関係詞」より。 9.1 例題(2) A schoolmaster recently said that out of the 250 pupils he taught the ones who watched TV were undoubtedly the most intelligent. We all know the people who sit through any and every programme night after night because they are drugged by TV. But I have yet to meet the child who, allowed to wat…
Chapter9.関係詞 �@主格の関係詞」より。 9.1 例題(1) The building up of a taste for those books which genuinely discriminating readers have decided, generation after generation, are worthy of preservation, is gradual. As your taste for books and knowledge of them increase, your earlier opinions will in many instances be changed, for this is a process o…
「方舟」と書いて「はこぶね」と読む。「箱船」の方が表記としては一般的だが、どちらで書いても意味は変わらない。国語辞典を引くと「四角な形をした乗り物。方形の船」(精選版日本国語大辞典)という語釈が筆頭に来るが、二番目に「旧約聖書の『ノアの箱船』をいう」(日国)と書かれている。広辞苑では「ノアの方舟」と書かれていて、明鏡や新明解に至っては「ノアの——」と書かれていて見出しの表記は「箱船・方舟」のいずれ…
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』の書評は一段落したが、パンクチュエーションについての考察は、引き続きできる限りやっていこうと思う。『Easy Learning Grammar and Punctuation』の次は本書だ。『Easy Learning …』はアメリカの出版社が出している英文法とパンクチュエーションのガイドブックだったが、本書はイギリスのオックスフォード大学出版が刊行しているガイドブックだ。なので説明文や例…
「セミコロン」についての本の書評、終盤戦だ。(その2)では5章までの内容を取り上げて、セミコロンの誕生の経緯からセミコロンが流行の最前線に飛び出して、やがて法律の条文に紛れ込んで騒動を引き起こすまでを解説した。この(その3)では6章以降の内容を取り上げる。 [本書の目次] はじめに 言葉のルールをめぐる愛憎 …7 1章 音楽を奏でるように:セミコロンの誕生 …
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』(セシリア・ワトソン)の書評(その3)を書く前に、再びパンクチュエーション(句読法)のお勉強をしておく。前回は『英語ライティングルールブック 第2版』でカンマ、コロン、セミコロンの使い方についておさらいをしたが、やや不完全燃焼だったのは否めない。これまでちゃんと勉強してこなかったせいとも言えるが、やはり日本人向けに手ごころを加えた解説になっている…
「セミコロン」についての本の書評、後半戦だ。「はじめに」の訳文でケチがついて、1章からは共著者のものと思われる訳文で持ち直した結果、実は最後まで面白く読めた。後半からの訳文にちょっと不安を覚えたのだけれど、それはある理由から問題が回避されている事もわかった。それについては後述する。それよりも書評(その1)では「はじめに」の文章を過剰に論ったおかげで、実はその後の文章の見通しがよくなった。この序章…
『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』を読んでいる途中で、次第にセミコロンやコロンやカンマの使い分けについて「ちゃんと」は分かっていないことを痛感したので、前から・積ん読状態だった本書で勉強する事にした。もちろん全部読むのではなく、あくまでカンマ、セミコロン、コロンについてだけだ。なので、タイトルは『英語ライティングルールブック 第2版』となっているけれど、この本全体の書評じ…
3ヶ月おきの通院。5月にやった腹腔鏡手術であけた4箇所のうち1箇所だけがどういうわけか閉じなかったので、なかなか全快とはいかなかった。「閉じなかった」というのはかなり語弊がある言い方になるが、なんというか、もちろん穴はふさがってるのだが、表面の皮膚が開いてしまって血液が浸みだしてしまう状況がなかなか改善しなかったのだ。こういうときこそ傷パワーパッドの出番だと思ったら、蓋をした絆創膏の内部で浸潤…
今回はとりあえず「はじめに」限定で、まず言いたい事を書こうと思う。以前に『カンマの女王』を期待して読み出した時とまったく同じ事が、再度起きた。デジャブと言っていい。「カンマ」の次が「セミコロン」だなんて、シャレにもならない。悪夢だ。 とにかく一読では頭に入ってこない。期末で仕事に追われてたので、疲れて頭が回らないのかと最初のうちは思った。そのうち、どうやら文章が気持ち悪くて、いろいろと引っ…
(今さらですが、今回は後半に犯行現場についての文章を細かく見ていきます。ネタバレもありますので、未読の方はエラリイ・クイーン「犯罪カレンダー」の「皇帝のダイス」を読んだ後にお読み下さい。) 前回同様、比較の際の色づけと下線の意味を説明しておく。 緑=翻訳の出来が素晴らしい 赤=誤…
途中から読む人はいないと思うが、とりあえず事情説明。 エラリイ・クイーンの短編集「犯罪カレンダー」の12編のうち4月の短編「皇帝のダイス」の原作と宇野利泰訳(ハヤカワ・ミステリ文庫版)とを比較している。目的は「なぜ宇野さんの訳は何故長くなるのか」を明らかにする事だったが、すでに判明しているように宇野訳のスゴさを明らかにする事に変質してきている。まあ、結論はもうちょっと先に延ばすとして、これまでのあ…
さっそく続き。なにしろエラリイ・クイーンの短編集「犯罪カレンダー」の「皇帝のダイス」の原文と宇野訳とを最後まで調べ尽くしてあるので、すべての労力を回収するまでは終われない。改めて、比較の際の色づけと下線の意味を説明しておく。 緑=翻訳の出来が素晴らしい 赤=誤訳あるいは訳に疑問がある
以前に、角川文庫版「Yの悲劇」(越前敏弥・訳)の書評を書いた際に、それまで愛読してきたハヤカワ・ミステリ文庫版(宇野利泰・訳)との比較をちょっとだけ試みた。というのも、ハヤカワ・ミステリ文庫の「Yの悲劇」は分厚い一冊というイメージだったのに、角川文庫のそれはかなりスリムな一冊に仕上がっていたからだ。一頁あたりの文字数…
1985.6.17(Mon) 曇り 12:00まで寝た。前進ギシギシいっている。だるい。大学に行き、F田先生の授業。 生協でCD(谷山浩子)を買う。帰りの都営三田線で寝過ごして、最寄り駅の「板橋区役所前」駅を乗り越し「蓮根」駅で下車。折り返す。 帰宅は21:00すぎ。三田駅でもトイレで吐いた。家に戻って吐いた。最悪。
著者の連作短編は、読み進めていくうちに幸せな気分になる。人と人とのつながりから生み出される善意の存在を信じたくなるし、時として耐えられなくなるような人生のよい面だけを見ようという気にさせられる。それはもちろん、裏側に落ち込んだ人たちが同じくらい、いやひょっとしてそれ以上に存在する事の証かもしれない。そういった人生の悲劇と悲しみとを受け止めたうえで、ではどうしたらいいのかという姿勢を、青山さんの…
城塚翡翠シリーズの第三作。第一作「medium−霊媒探偵城塚翡翠−」がなかなかの出来だったので、最終話まで読んだ時の衝撃は大きかった。これは著者のもくろみ通りの驚きではなく、こんな事をしたいがための伏線だったのかという衝撃、一言でいえば幻滅だった。最終話で伏線が回収された後には「荒れ野」しか残されていなかった。魅力に乏しく、ただただ自らの能力を過大評価している名探偵もどきのヒロインと、それを過剰に持…
ちょうど一年前にシリーズ最新作『探花 隠蔽捜査9』を読んでいる。先日亡くなられた目黒考二さんのオススメで読み出した『隠蔽捜査』の第一作が2005年出版だったから、あれから18年も経っているのか。よくぞ続いたと思う反面、多作家で知られる著者が18年かけて本編9冊に、スピンオフ短編集3冊というのは少ないようにも思えてしまう。書こうと思えばもっと書けてしまうのではと考えるのは、単なるファンの大いなる勘違いには…
もう図書館に返却しなくてはならない。最後にもうちょっと何か知りたいなぁと思ったら、「本」を思いついた。見出し語「本」の使い方を味わい尽くそう。 ほん【本】 ▲が 痛む。売れる。そろう。出る。並ぶ。発禁…
前回からちょうど三か月。まあ、通院が三か月おきなので、それに合わせて神保町にブラッとたどり着くというわけだ。今回は診察も会計も待ち時間が少なかったので午前中には病院を後にして、神保町に向かった。大井町からだと京浜東北線で田町駅で下車。都営三田線で神保町駅へと向かう。前回もそういう順路だったのに忘れていた。 神保町に到着すると、ちょうどお昼どきでサラリーマンでどこもごった返している。これはや…
(この文章は、横溝正史『犬神家の一族』の犯人やトリックを明かしています。未読の方は読まないで下さい。) まずは、何にしても「犬神家の一族」の遺言状のシーンから始めねばなるまい。 「ひとつ…犬神家の全財産、ならびに全事業の相続権を意味する、犬神家の三種の家宝、斧(よき)、琴、菊はつぎの条件のもとに野々宮珠世に譲られるものとす」 正面の白…
映画好きではあるが、マニアックにいろいろと詮索するのが好きというわけではない。だから何故「エイリアン3」に本作の元となる脚本が採用されなかったのか、何にいったい「エイリアン」ファンは満足できなかったのかはわからない。どうやら「エイリアン3」を今に至るまで見ていないからだ。読み出した当初は見たと思い込んでいたのだが、それは「エイリアン4」の方だった。「4」を観た時、「3」を飛び越したからなのか、…