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小径を行く https://hananon0701.blog.jp/

社会現象、旅の話、読書の感想、歴史、ペット、芸術まで幅広い分野をフォローするブログです。

自宅周辺には大雨を調整するための人工池やけやき並木の遊歩道があり、四季折々自然を楽しんでいます。こうした自然を友にした散歩の途中、現代世相について諸々考えることがあります。2006年9月からスタートし、1400回を超えたこのブログは、そうした私の日常雑感をつづっています。

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2008/01/03

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  • 2741 天才の陰に名指導者あり イチローの殿堂入り

    遅ればせながら、イチローが日本に続いてアメリカ野球の殿堂入りが決まったことを書いてみる。日本では実質7年間しかプレーしなかったため、日本の殿堂入りについての賛成は 92・6%(有効投票349票のうち323票を獲得)で26人がイチローに投票しなかった。こ

  • 2740 トランプ現象は偉大な過去への郷愁 駄々っ子諭す主教

    駄々っ子を諭す先生……。21日、ワシントン大聖堂で大統領就任記念行事として行われた礼拝。バッデ主教(女性)は、耳の痛い言葉でトランプ米大統領を戒めた。このニュースをテレビで見ていた私は、トランプ氏の顔からして彼がへそを曲げるに違いないと思った。案の定だ

  • 2739 森の木と人間は同じ 吟遊詩人と現代詩人が語る比喩

    まことに、木々の葉の世のさまこそ、人間の姿と変わらぬ、 木々の葉を時に、風が来って地に散り敷くが、他力ではまた 森の木々は繁り栄えて葉を生じ、春の季節が循って来る。 それと同じく人の世系(よすじ)も、かつは生い出で、かつはまた滅んでゆくもの。古代ギリ

  • 2738「くちびるに歌を」持とう 厳寒の中のマリンバコンサート

    「くちびるに歌を」という言葉が好きだ。いつのころからか、逆境に立たされてもこの言葉を思い出し、勇気を奮い起した。18日夜、知人が主催した音楽会に行き、あらためてこの言葉の意味をかみしめた。飯能市のホテルで開かれたマリンバを中心とする演奏会「「齋藤八重子

  • 2737 孤高の横綱との別れ 照ノ富士が引退

    「横綱になったとたんに、私はやめることを考えました。大関だったら、もし陥落したとしても、努力次第でまた上がることができる。でも、横綱というものは、その使命を果たせなかったら、相撲をやめるしかない」。こう語ったのは、大相撲で白鵬に次ぐ32回優勝という大記録

  • 2736 眠れぬ夜に聴いた歌 『早春賦』と『寒い朝』

    夜中に目が冴えてしまい、眠れぬままラジオを聴いてみた。終夜やっているというNHKの「ラジオ深夜便」という番組で、懐かしい音楽を流していた。タンゴで知られる「アルフレッド・ハウゼオーケストラ」と往年の人気コーラスグループ「マヒナスターズ」の特集を順番にやって

  • 2735 厳冬のウルフムーン 美しい朝の月の詩(うた)

    今朝2025年初めての満月を見た ラジオ体操の帰り道の西の空 上空が青でその下がピンク さらにその下は青い色が広がっている 真中のピンクの中に浮き出ている丸く明るい月 厳冬の季節のウルフムーン(狼月)だ 空腹を抱えたオオカミの遠吠えが満月にはよく聞こえ

  • 2734 アメリカは何でもありの国へ 『大統領の陰謀』とトランプ氏

    アメリカで共和党のニクソン大統領(第37代)を辞任に追い込んだのは、若い記者、カール・バーンスタインとボブ・ウッドワードの2人を中心とする首都の地方紙・ワシントン・ポストの報道だった。それがアメリカ世論の共感を得て、ニクソン政権は崩壊した。ニクソン辞任

  • 2733 身近に及ぶ犯罪被害 横行する「浅はか」な思考

    「凶悪事件の再発を防ぐのに一番効果があるのは、犯人を早く逮捕することだ」。若い頃事件記者をやっていた時代、取材した捜査幹部はみんなこう語っていた。それは今の時代も変わりはない。闇バイトという裏の社会に引きずり込まれた若者を中心とした強盗事件が多発している

  • 2732 ばかげた話が絶えない世界 でも「明日は明日の風が」

    新しい年を迎えても、ばかげた話が絶えない。ニュースを見ていて、つい「ふざけるな」とか「そんなバカな」という言葉が口から出てしまうことが多すぎる。体に悪いのは言うまでもない。どうして、世界はこうなってしまったのだろうか。AIという技術が発達している反面、人

  • 2731 戦災・震災に残ったピアノ 芥川の短編とウクライナ

    ロシアが軍事侵攻を続けるウクライナからピアノにまるわるニュースが報じられ、時折目にする。中でも、一時占拠された首都キーウ近郊のブチャで見つかった破損したピアノが修理され公園で演奏会が開かれた話、ミサイル攻撃で破壊されたコンスタンチノフカの校舎の中で、ピ

  • 2730 斜面に広がる水仙畑 房総半島・鋸南を歩く

    スイセンのことを日本では「陰の花」(江戸時代の華道に関する伝書『『生花七種伝』)というそうだ。花には「陽の花、中庸の花、陰の花」という3つの区別があり、陽は赤やオレンジ、黄色といった暖色系あるいは大輪で華やかで香りが強い花を指し、バラやユリ、ランがその

  • 2729 禍(わざわい)を転じて マティスは法律から絵の世界へ

    私の部屋のカレンダーの1月は、フランスのアンリ・マティス(1869~1954)の絵《ザクロのある静物》だ。独特の雰囲気があり、雑然とした私の部屋でも違和感がない作品だ。マティスといえば、青年時代は法律学校で学び法律事務所に就職し、この道を一生の仕事にしようとし

  • 2728 陽光に思うこと 朝日は希望・思い出蘇る夕日

    朝日と夕日、どちらが好きかと聞かれたら、どのように答えたらいいのだろう。作家の沢木耕太郎が「朝日より夕日の方に心を動かされ、はっきりと夕日の方が好きだと答えるような気がする」と、書いているのを読んだことがある。では、私はどうだろう。にほんブログ村

  • 2727 冴えわたる「冬の星座」 静寂の朝に

    昔習ったことがあるメロディーがラジオから流れている。途中まで聞いて『冬の星座』という歌だと気が付いた。夜空の星が輝いて見える季節だ。空気が乾き、放射冷却現象となった早朝、西の空はピンクと紺青の美しいコントラストを見せている。夜空の輝きの余韻がこんな現象

  • 2726 混沌の世が続く21世紀 今年を振り返って

    今年も残すところ少なくなり、1年を振り返る時期になった。2024年の世界の動きを見ていて思い浮かぶのは物事の区別や先行きがはっきりしないことを指す「混沌」(渾沌)という言葉だ。来年で21世紀も4分の1。人類は依然として混沌とした時代を送るのだろうか。(

  • 2725 闇バイトの若者と独裁者 共通する自己抑制力の欠如

    闇バイトに引き込まれた若者による犯罪が相変わらず絶えない。実行役は次々に捕まるのに、指示役が逮捕されないためか無軌道な凶悪犯罪が相次いでいる。千葉県柏市と旭市で22日未明に連続して強盗傷害事件が発生し、闇バイトなどが絡んだ「匿名・流動型犯罪グループ」通

  • 2724 子規慰めた冬のバラ フランスの一輪挿し花瓶

    フランスの一輪ざしや冬の薔薇 正岡子規が30歳の時(1897=明治30年)に作った句だ。子規の母方の叔父(母八重の弟)、加藤恒忠(1859~1923。号は拓川=たくせん)からフランス土産として花瓶をもらい、妹の律が根岸の子規庵の部屋に冬咲きのバラを一輪飾ったの

  • 2723 不良少年が立ち直った本 ルソーの『エミール』と知人

    かつて不良少年だった大先輩の知人(故人)が1冊の本によって立ち直ったことを知った時、私は本の力を感じたものだ。闇バイトに落ち込む若い人に、この話をぜひ伝いたいと思う。本離れが進み、SNS全盛の時代だが、知人の話は若い人たちにも生きる上で参考になると信じたい

  • 2722 追憶の冬の朝 最初の記憶は何歳?

    昨日(15日)は満月で、今日の早朝、西の空には大きな月(残月)が輝いていました。寒さが増した最近、早朝の散歩はやめているのですが、今朝だけは特別に月を見ようと近所の調整池まで歩きました。そこには写真のような、美しい風景が広がっていたのです。色彩感覚を問

  • 2721 お寒い新聞と政治 想像の旅・韓国へ

    「朝の散歩がこの上なく心地いい時期をようやく迎えた」。朝刊を読んでいて目を疑った。慌てて携帯の気象サイトを見る。首都圏のわが家周辺の午前6時の気温は氷点下1・4度、今冬一番の冷え込みだ。朝日新聞の「くらし」の頁にある「ひととき」という女性読者のエッセイを

  • 2720 月は見ている 「金」にまみれた下界照らす

    「そうです、いままでこの月の体験しなかったことがあるでしょうか!」。アンデルセンの『絵のない絵本』(矢崎源九郎約・新潮文庫)は、月が絵描き相手に話をするという形で、33の短い物語が展開されている。その中の「第8話」に冒頭の一節が含まれている。月はこの地球

  • 2719 政権崩壊のシリア 地図を見ながら想像の旅

    時々、地図を見ながら「想像の旅」をする。これが始まったのは、コロナ禍以来だから既に4年。旅の足跡は内外各地、かなりに達する。今、世界ではさまざまなニュースが相次いでいる。中でも昨今のホットニュースは、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が戒厳令(非常戒厳)

  • 2718 黄金時間を送る12月 散歩して落ち着こう

     「12月は人生の黄金時間」(『瑞穂の国うた』新潮文庫)と書いたのは、詩人の大岡信だ。今月は1年の締めくくりの月だから、私のように「毎日が日曜日」の生活を送っている者でも、世間の動きを見ていると何かと気忙しい思いになってしまう。そんな時には放浪の俳人、種

  • 2717 ハワイは恩人 戦争を生き抜き3度の人生

    83年前(1941年)の今日12月8日、日本軍はアメリカハワイの真珠湾(パールハーバー)を奇襲攻撃し、太平洋戦争に突入しました。私はこの時期になると、「人生が3度もあった」という一人の旧海軍兵士の体験記を読み返すのです。「リメンバー・パールハーバー」(

  • 2716 「言いたいこと」と「言わねばならぬこと」 義務の履行はどちらか?

    「言いたいことを言うのは、権利の行使であるに反して、言わねばならないことを言うのは、義務の履行だ」。この言葉は、かつて軍部・戦争批判を続けたジャーナリスト・信濃毎日新聞(長野)主筆の桐生悠々(1873~1941)のエッセイ集『畜生道の地球』(中公文庫)の中の「言

  • 2715 続発するクマ出没のニュース イソップ寓話の教訓

    秋田市土崎のスーパーに入り込んだクマが、従業員の男性を襲った。そのまま店内に丸2日も居続け、ようやく箱のわなに入り、2日午後店外に運び出された騒ぎが起きた。市街地のスーパーでこんなことが起きることに驚きだが、地球温暖化がもたらすこうした事態は、「異変」と

  • 2714「紅葉燃ゆ寂」の世界 自然公園へサイクリング

    暦の上では冬に入っているが、私の住む周辺ではまだ紅葉の季節が続いている。このブログでも何度か紅葉の写真を載せている。けさ、往復約1時間をかけて紅葉で知られる自然公園までサイクリングをしてきた。その自然の風景をあらためて掲載する。歳時記を見ると、紅葉がつ

  • 2713 「人の陰口は楽しい」? 『枕草子』とSNS時代

    「人の悪口を言うのを怒る人は、訳が分からない。どうして言わずにいられようか」。これは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス・social networking service)時代といれる現代のことではない。清少納言の『枕草子』第255段(「人の悪口はいけないけれど」角川

  • 2712 ひと際美しい紅葉 カワセミは神の化身か

    どっどど どどうど どどうど どどう 青いくるみも吹きとばせ すっぱいかりんも吹きとばせ どっどど どどうど どどうど どどう 宮沢賢治『風の又三郎』(新潮文庫)の書き出しだ。9月1日、強い風の中やってきた転校生の話だから、「どっどど どどうど どどうど

  • 2711 大切な人への静かな思い 『今しかない』10号から(2)完

    喜び、悲しむ、そんなことのために、 人間は生まれてきたものではないのです。 働く、そして、きょうはきのうより一歩前進する、 これが人生の目的、人間の生き方です。⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄アメリカの詩人H・W・ロングフェロー(1807~1882)

  • 2710 出会いと別れ……会いたい人たち 『今しかない』10号から(1)

    「人生邂逅し、開眼し、瞑目す」。北海道函館出身の文芸評論家亀井勝一郎(1907~1966)が残した言葉(『愛と結婚の思索』大和書房)です。「人生は多くの出会いを通じて物事を知り、それまで見えていなかったものが見えるようになって、終わりの時を迎える」という意味だそ

  • 2709 会津・奈良~時雨の中で 名仏に接した俳人たち

    「時雨」はこの季節特有の雨のことです。歳時記には「冬の初めに降る通り雨をいう。降る時間は短く、地域も限定されている。時雨という季語は京都で生まれ、京都の初冬の美意識として完成されたのだと見ることも可能である」(『角川俳句大歳時記』角川学芸出版)とあります

  • 2708 武器・兵器量産時代への警告 老子(タオ)を読む

    今から2500年前の中国春秋時代の思想家といわれる老子の言葉(道=タオ~生き方)は、現代でも通ずるものが少なくない。春秋時代は弱肉強食の戦乱の時代でもあった。全81章からなる老子の言葉には、当然「戦争」に関する考察も含まれている。ロシアのプーチン大統領は

  • 2707 「三文〇〇」横行の社会でも 立原道造と大谷翔平

    「僕は三文詩人に」という詩を書いたのは立原道造(1914~1939)だ。「三文小説」「三文芝居」「三文文士」「三文判」など、低級で値打ちがないこと意味する「三文」を自分の詩作に当てはめ「三文詩人」という表現を思いついたのだろう。ただ、道造の詩は短いながら詩人とし

  • 2706 既存メディアに厳しい目 兵庫知事選とSNS

    兵庫県の出直し知事選挙で、パワハラ疑惑などで失職した前知事の斎藤元彦氏が再選された。直前までは元尼崎市長の稲村和美氏がわずかにリードし、斉藤氏が追い上げていると新聞には報じられていたが、ふたを開けてみると、米国の大統領選で返り咲きが決まったトランプ氏と

  • 2705 石畳を踏んで放浪へ ダンテとカラヴァッジョの悲劇

    けさはけさの落葉はじまる石畳 昨夜来の雨と風で街路樹のけやきの葉がかなり遊歩道の上に落ちている。秋が深まり、冬の到来を感じさせる風景だ。この句の舞台は長崎だ。かつての外人居留地があった大浦周辺に残る石畳に、落葉が積っていく姿を描いた長崎の医師で俳人、下

  • 2704 世界覆う悲しみのがれき色 芥川~「紺は札幌色」

    芥川龍之介の『夢』という短いエッセイの中に、「美しい紺色は札幌色」という表現がある。何ゆえに紺色と札幌が結び付いたのか説明はない。ただ、それぞれの都市に合う色があるかもしれない。それでは東京は何色なのだろう。私の住む街は? 戦火の渦中にある都市、震災に

  • 2703 蘇れ!首里城 石畳と朱色の「芭蕉布」の風景

    沖縄那覇にある首里城正殿などが火災(2019年10月31日)になって5年が過ぎた。2026年秋の完成に向け、再建・復元工事が進んでいるという。家族が首里に住んだことがあって那覇を訪れる度に首里城周辺を散歩しただけに、あの火災は衝撃を受けた。首里の古城が蘇

  • 2702 秋色に輝くけやき 冬構えの詩(うた)

    2階の部屋の窓の外 けやきの街路樹が見える 四季折々の「色」に変化する大きな木々 暦の上では初冬 現実の自然は晩秋 けやきの葉が黄や赤に色づき 陽光に輝き出した朝 その下を小学生たちが 三々五々歩いている ⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄⬄

  • 2701 非難乗り越え三振の山築けるか 23歳佐々木の大リーグ挑戦

    プロ野球で完全試合も達成した佐々木朗希投手について、所属するロッテがポスティングシステムで大リーグ(MLB)に移籍することを認めると発表し、プロ野球ファンの間で賛否の声が巻き起こっている。賛否と書いたが、メディアやネットでは佐々木を非難する意見が圧倒的で、

  • 2700 現代美術とアート書評 朝日の横尾忠則の試みに違和感

    「アート書評」という言葉を聞いて、普通の人は絵画や芸術関係の出版物に関する本の書評と思うだろう。ところが、それは違うのだ。イラストレーターで多彩な才能を発揮し続ける横尾忠則が朝日新聞の書評欄で「展開」している書評を朝日はこのように名付けた。その「アート書

  • 2699 どこへ行く郵便局 朔太郎の詩にある身近な存在が……

    『郵便局の窓口で』という詩や散文詩『郵便局』を書いたのは、萩原朔太郎だ。かつての郵便局は詩のテーマになるほど人々にとって大事な存在だった。だが、メールが発達した現在、郵便局は苦境に立たされている。郵便料金もこの秋(10月1日)から大幅値上げになり、年賀状

  • 2698 外れた新聞の米大統領選予想 驚きとあきれるニュースの日々

    「きのうの出来事に関する新聞記事がほとんどうそばかりである場合がある」。寺田寅彦が『随筆集』(岩波文庫)で、こんなことを書いているのを読んだ。戦前の話だ。それにしても、随分なことを書いたものだと思う。だが「中(あた)らずと雖(いえど)も遠からず」(大きく

  • 2697 控え目な秋色の風景 「あちらは何をする人ぞ」

    「喨々(りょうりょう)」という言葉がある。最近ほとんど見かけないが、高村光太郎の『道程』の「秋の祈」という詩の中に、この言葉が使われている。「 音が明るく澄んで鳴り響くさま」を言い、光太郎は秋という季節にふさわしい言葉として採用したのだろう。四季の移り変わ

  • 2696 口笛は故郷を思う時に 秋の日差しの下で

    人はなぜ口笛を吹くのか。私は散歩をしていて、気分がいい時などつい口笛を吹くことがある。歌人である石川啄木の詩集を開いたら、「口笛」という詩が載っており、読んでいて気持ちが軽くなった。この詩と似た句を放浪の俳人、種田山頭火も作っていたことを思い出し、その

  • 2695 小さな球(地球)はがらくたか 過ちも直視して語れ!

    (少し色づいた街路樹のけやき)「人間が人間でなくなった時、わたしたちの楕円形に回転する小さな球はいったい何だろう? 小さながらくただ。不快で、いやらしくて、大きくなりすぎた、小さながらくただ。(中略)1945年を忘れるな!」。『ケストナーの終戦日記』(福

  • 2694 伝統の火祭りと名ランナー 我が町の誇りは

    松明あかし地と海と空壊れても 東日本大震災の被災地、福島県須賀川市は東京五輪のマラソンで銅メダルを獲得した名ランナー、円谷幸吉の故郷だ。同市出身の俳人、永瀬十悟(とうご)の句である。「3・11」から間もなく13年8カ月。原発事故で故郷を追われた多くの人

  • 2693 旅人と呼ばれて 芭蕉・バード・山頭火の世界

    (白く輝くススキの群生) 旧暦七十二候の「霎時施(こさめときどきふる)」は、昨28日だった。「時雨(しぐれ)が降るようになるころ」という意味だ。「旅人と我名よばれん初しぐれ」(芭蕉「笈の小文」から」。「今日から私も旅人と呼ばれるようになろう、初時雨に打た

  • 2692 いつまでも青年の輝きを 強固な自己意識貫く

    (2度咲きした河津桜)《入社したころの自分の写真と今を見比べてみると愕然(がくぜん)とする。あのころは美少年とは言えないまでも、視力2・0の目に眼鏡は不必要だったし、ふさふさした髪の毛は真っ黒であった。それに自分で言うのは厚かましい話だが、好奇心に富んだ

  • 2691 ネムノキが3度咲き 経済人類学者の人類危機への提言

    「合歓の花が七変わりすると盆が来る」(ねむの花の咲きおわったころが盆)ということわざが岐阜県にあると『続故事ことわざ辞典』(鈴木栄三編、東京堂出版)に出ていた。ネムノキの花は7月下旬から8月に咲く。咲き終わったころに、旧盆(8月)がやってくるのだ。ただ、

  • 2690 機械より人間 世論調査とAI放送音声の虚しさ

    時々、固定電話や携帯電話に世論調査の電話がかかってくることがある。昨夜も携帯のベルが鳴り出し、登録されていない番号が出ている。受話ボタンを押すといきなり録音された機械的音声が聞え、それは27日投開票の衆院選挙に関する世論調査の電話だった。機械的な声は聞

  • 2689 後ろからゆつくり吹く秋の風 朝焼けの空に向かって

    うしろよりゆつくりゆけと秋の風 昨日に続いて秋に関する俳句を紹介する。俳句にも前衛の世界があるようで、この句の作者、酒井弘司(1938~)は、このカテゴリーに属する俳人だという。何となく秋に何かを思うという雰囲気が伝わる、私の好きな句の一つだ。今朝も散歩を

  • 2688 秋の夕暮れと『てぃんさぐぬ花』 懐かしき鳳仙花

    (ピンクに染まった早朝の西の空) あやまちはくりかへします秋の暮 無季俳句の俳人、三橋敏雄(1920~2001年)の句だ。広島平和記念公園にある原爆死没者慰霊碑の「安らかに眠って下さい過ちは 繰返しませぬから」をもじったことで知られる、世の中の無常観を表した句だ

  • 2687 無軌道犯罪と水俣病と『地方記者の回り舞台』を読む

    いわゆる「闇バイト」といわれる無軌道な犯人たちによる広域強盗・強盗殺人事件が相次いでいる。フィリピンの拘置所から強盗や特殊詐欺を指示していた「ルフィ」らのグループが逮捕されたのは昨年2月だった。しかし、これ以後も似た事件は続き、ことし8月から急増してい

  • 2686 もう一度行きたい場所は 北と南の美しき廃校

    ~更け行く秋の夜 旅の空の~ラジオから流れるメロディーを聴きながら、この歌の歌詞を自然に口ずさんでいる。アメリカの作曲家オードウェイの原曲(家と母を夢みて)に犬童球渓が作詞した名曲(『旅愁』)だ。少子高齢化現象が進み、日本各地で住む人がなくなった廃屋が

  • 2685 季節の移ろいの中で 変わらぬセザンヌの少年の眼差し

    (ススキとセイタカアワダチソウが棲み分け)  この夏の猛暑が尾を引いている。10月も中旬(16日)だというのに、私が住む首都圏では現在(午後2時半)の気温が26・1度と「夏日」となっている。昨日、何人かで集まった会合でも自然界の異変が話題になった。「キン

  • 2684 遅々たる歩みでも 「核廃絶と生ましめんかな」

    年を経るごとに、時間が過ぎるのが早くなる印象だ。「一日は何をしたやら秋の暮」とは正岡子規の句だが、10月も中旬ともなると「一年は何をしたやら……」と、考え込んでしまうのだ。しかし、目を世界に向けると、こんな悠長なことを言ってはいられない動きが続いている

  • 2683 被団協にノーベル平和賞 焼き場に立つ少年も一役

    (ススキが美しい近所の調整池周辺) 今年のノーベル平和賞に、核廃絶の訴えを続けてきた「日本原水爆被害者団体協議会」(日本被団協)が受賞することが発表された。関係者の長い努力が報われたと言える。9年前、今回の受賞の前触れとなるような動きがあったことを思い出

  • 2682 秋空の下に似合う花 キバナコスモスも咲いた

    雲のみか秋天遠きものばかり 斎藤空華(さいとう・そらげ。澄みとおった秋の空。雲も、山も、鳥も、思いも、すべて遥かかなたにある=山本健吉)10月もきょうで9日。現在(午前8時20分)の気温は15・7度。涼しさを通り越して寒いくらいだ。外は雨。この句の世界

  • 2681 敵味方が歌った『リリー・マルレーン』 切ない老マンドリン弾き

    第2次大戦下、ヨーロッパを中心にヒットした歌がある。『リリー・マルレーン』というドイツで作られた曲だ。戦場に行った兵士が故郷の恋人への思いを歌った歌詞で、日本では戦後流行した。現在、ウクライナ、中東ガザ、レバノンで戦闘が繰り返されている。しかし、敵味方同

  • 2680「秋の日のヴァイオリンのため息」 名詩と暗号と写真家と

    フランスの詩人、ポール・ヴェルレーヌ(1844~1896)の詩でよく知られているのは上田敏(1874~1916)訳の『落葉』だろう。同じ詩は、堀口大學(1892~1981)によって『秋の歌』と訳されている。どちらも名訳だが、秋の風が肌に感じる季節に口に出して読んでみたい詩だ。

  • 2679 小さい秋を見つけた キンモクセイと名も知らぬ花

    (ススキに混じって群生するオトコエシ)(山形から届いた新米・つや姫の稲束) 朝起きて、新聞を取りに行くと、キンモクセイの香りが漂っている。そうか、今年も秋がやって来たと思う。昨日は9月の暑さが戻ったような一日だったが、小さな秋は少しずつ近づいているようだ

  • 2678 野球人生の光と影 大谷の活躍と田中の凋落

    今年のスポーツ界の話題の中心は大リーグの大谷翔平だった。最高の契約金(10年で7億ドル、日本円で約1015億円)でエンゼルスからドジャースに移籍し、肘の手術で投手としては出場せず、打者に専念し、50本塁打、50盗塁(最終的に54本、59個)という大リー

  • 2677 「驚き、桃の木、山椒の木」の新総裁 議論より選挙優先だって

    「舌の根も乾かぬ内に」「手のひら返し」「二枚舌」「朝令暮改」~こんな言葉が頭に浮かんだ。衆院の早期解散・総選挙を新しく自民党総裁になった石破茂氏が30日の記者会見で表明した。衆院の解散は首相の専権事項といわれるが、石破氏はまだ首相にもなっていないのに早々

  • 2676 積んどく本を減らすために 耳をかくより書に親しむ

    (開花したシュウメイギク)「『本のない家』はしだいになくなりつつある。そしてそれがまもなくまれにしか見られない例外となってゆくことが望ましい」。ヘルマン・ヘッセはエッセイ『読書について』(『ヘッセの読書術』草思社文庫)で、自分の生まれ育ったドイツの事情を

  • 2675 遭難免れた青函連絡船 悲劇の洞爺丸事故から70年

    国内最大の海難事故といわれる「国鉄青函連絡船洞爺丸事故」から26日で70年の歳月が流れた。台風15号の嵐の中を函館港から出航した洞爺丸(4337トン)をはじめ、合わせて5隻が遭難、洞爺丸の乗客乗員1155人を含む1430人が犠牲になった。一方で当時青森

  • 2674 制作目的は掲示板と宗教儀式 ナスカの地上絵論争決着か

    (よく知られているハチドリの地上絵=筆者撮影)「儀式や家畜についての掲示板的情報共有の役割」と「宗教的な儀式への使用」……。この地球では謎(不思議・不可解なこと)が少なくない。その一つに南米ペルーのナスカ台地の世界遺産「ナスカの地上絵」がある。これまで、

  • 2673 能登・日本海へいつかは 旅好きな青年子規

    昨今は散歩をしていて、さまざまな花が目に入る。名前を知らないものも少なくない。正岡子規(1867~1902)が亡くなる前年の1901(明治34)年、新聞『日本』に連載した日記形式の『墨汁一滴』という随筆で「美しき花もその名を知らずして文にも書きがたきはいと口惜

  • 2672 サンタは存在すると新聞社説 8歳少女への名回答

    若い世代の新聞離れが著しいといわれる。だが、新聞は軽くて短いライトなSNS的文章とは無縁な、物を考える上でとても貴重な情報を提供していることを忘れてはならない。ここで一つのエピソードについて触れてみたい。微笑ましくも新聞の役割を象徴するような昔話だ。127年

  • 2671 大谷との不思議な数時間 野球史に刻まれた大記録

    今回のブログでは、夢の話を書こうと思っていた。だが、夢のような出来事が現実に起きたので、そのことを書くことにした。大リーグ、ドジャースの大谷翔平が、本当に夢のような記録を打ち立てた。だれもがやったことがない50ホームラン、50盗塁を達成し、さらに51—5

  • 2670 郷愁の画家と月 父親の決心がミレー育む

    昼の間はまだ暑いが、夕方になると涼風を感じる。東の空に明るい月が輝いている。17日は中秋の名月、18日は満月だ。ふと、思い出して黄昏を愛した画家の、月が描かれている画集を取り出した。フランスの『落穂ひろい』『晩鐘』『種をまく人』で知られるジャンーフラン

  • 2669 秋思には早いが…… 「雲・葛・ロダン・観世音」の朝

    こう暑いと、爽やかさを求めたくなる。9月15日だ。当然、秋を連想する。朝の散歩で空を見上げると、巻積雲(いわし雲)が広がっている。ラジオ体操仲間に葛の花が咲いたことを教えられ、見事というべき秋の七草の一つを見ることができた。秋は読書の季節であり、物事を

  • 2668「 How dare you」の政治家たち 猛暑続く9月に

    「生態系は崩壊しつつあります。私たちは、大量絶滅の始まりにいるのです」「若者たちはあなた方の裏切りに気付き始めています。未来の世代の目は、あなた方に向けられています。もしあなた方が私たちを裏切ることを選ぶなら、私は言います、あなたたちを絶対に許さないと」

  • 2667 継続は希望の光 『今しかない』と『石楠花だより』

    「継続は力なり」という言葉がある。どんな小さなことでも努力を続けていれば、いつかはよい結果につながることを意味し、物事は続けることに意義があることを表している。世の中には、そうした例は少なくない。友人が編集協力している社会福祉施設の聞き書き中心の冊子『今

  • 2666 持論は「忍耐と譲歩」 元中国残留邦人の生き方

    最近「立志伝中」という言葉は、あまり使われない。苦労と努力を重ねて志を遂げ、成功した人のことを言うのだが、IT時代の現在は、ややニュアンスが違う感じがする。私の友人に、冒頭の言葉が似合う人がいる。このブログに何度か紹介しているが、昨日顔を会わせる機会があ

  • 2665 詩人たちの「朝の歌」 白露過ぎても暑い日々に

    朝が嫌いな人はいるだろうか。若い人は、なかなか目が覚めず、冬は寒い中を起きるのは辛い。とはいえ、新しい朝を迎える気持ちは、清々しい。だから、詩人も朝をテーマに詩を書いている。二十四節気の「白露」は昨7日だった。草や木に白い露がつくようになり、秋が深まる

  • 2664 別人?になった中也の肖像 AI時代の写真の真実

    昨今、生成AIを使ってつくったニセの動画・写真の話題がニュースになっている。AIなどない時代に生きたのが詩人の中原中也(1907~37)だが、彼の肖像写真として知られる黒い帽子をかぶった少年の肖像は、実は本物とは別人のように違っているという。まさかと思うが、それ

  • 2663 何を語る「一枚の絵」『デルフトの眺望』とともに

    「一枚の絵」。この言葉から、人は何を連想するだろうか。「生きている間に見ておきたい世界の名画」「胸に迫る感動」「人生に疲れた時に、癒された絵」「部屋を飾るインテリア」~これ以外にも、さまざまなイメージがあるはずだ。要するに、特別な意味を持つ絵なのだ。私の

  • 2662 生き延びて才能の芽を ガザ地区のポリオ接種

    イスラエルの攻撃が続くパレスチナ・ガザ地区の子どもたちに対する「ポリオワクチン」接種が始まった。感染の拡大が懸念されるため、地域を限定して戦闘が一時休止されたと報じられている。日本では1980年を最後に、ポリオ「野生株」による患者の発生はないという。し

  • 2661 浅はかで猛々しい日本人? 近代史の姿と司馬遼太郎

    (満開のヒメヒマワリ) 作家、司馬遼太郎は日本人について、厳しい見方をしていた。膨大な資料を調べて作品の執筆に取り組んだという司馬が、こんなことを書いている。「歴史の中の日本人というのは、貧しいながらもおだやかで、どこか貧乏に対してとぼけたところがある

  • 2660 どこまで行くのか大谷 私の見方超える存在

    (大谷の活躍は暗雲を振り払う) 昨今は、新聞の記事を読み、テレビニュース見て暗い気持ちになることが多い。なかなかいい話はない。だからだろうか。大リーグ・ドジャースの大谷翔平の活躍が気になるのだ。自民党の総裁選びより、こちらの方が精神衛生的にずっといい。と

  • 2659「朝貌は桔梗」のこと 秋の七草物語

    (満開のセンニンソウ)庭の一隅にあった「キキョウ」(桔梗)は、とうに紫の花(園芸種で白もある)が終わってしまっている。花期は6月中旬から9月までといわれ、「秋の七草」の1つになっている。万葉集の時代から秋の七草はあり、古来日本の秋を迎えるうえで欠かせなか

  • 2658 「二百十日」と台風10号 漱石・賢治・壷井栄も注目の雑節

    今年の「二百十日」は、8月31日、土曜日だ。立春から210日目が暦の中の「雑節」(末尾に注)である二百十日で、台風が来襲する厄日といわれる。折から、奄美地方に接近している台風10号が日本列島を縦断する恐れがあるという予報が出ている。最近は台風が発生する

  • 2657 「東京は静かですか」 イザベラ・バードと日本の夏

    《東京は静かです。つまり稲の作柄の心配と札(お札=紙幣)の下落しか悩みはありません。軍の暴徒は裁判にかけられ——うわさでは拷問にかけられ——、52名が射殺されました。夏はこの数年間で最悪で、いまはうっとうしい熱気と蒸し暑さとほぼ絶え間のない雨が幅を利かせ

  • 2656 ヒマワリよ高く 命の輝きと平和の象徴

    向日葵は金の油を身にあびてゆらりと高し日のちひささよ 前田夕暮(1883~1951) この歌は、ゴッホの代表作「ひまわり」の絵に触発されてつくったといわれる。ヒマワリが最盛期を迎えている。私は毎年夏になると、なぜかこの花を求めて、周辺を歩き回る。家族もそのこと

  • 2655 雨は公平か不公平か 悲劇の作家・老舎は不公平説

    昨日午後、所用があって出掛けた。空模様が怪しいので、一応傘を持った。それが正解だった。電車に10数分乗り、目的地に着いて外へ出るとゲリラ豪雨(局地的・短時間に降る突発的な豪雨)になっていた。傘を持たない人はずぶ濡れだ。豪雨は傘を持つ人、持たない人に平等

  • 2654 子どもの夢と戦争 堀越二郎と零戦の末路

    子どもの頃、庭に出て空を見上げると、上空遥かに飛行機が飛んでいるのが見えた。エンジン音は聞えるかどうかほどかすかだった。時には白い飛行機雲が浮かんでいる。そんな飛行機を見ながら、さまざまなイメージを膨らませた。子ども時代のそんな体験が、仕事に結び付いた人

  • 2653 寂しくもの悲しい晩夏 「819=俳句の日」の名句

    土近く朝顔咲くや今朝の秋 高浜虚子 (土近く咲く朝顔に、秋到来の冷やかさを感じた。土近く咲くところに、花の盛りが過ぎた侘しさがある。花も小さくなったようだ=山本健吉編著『句歌歳時記 秋』新潮文庫)。立秋が過ぎたとはいえ、猛暑が続いている。それでも、自然

  • 2652 現代日本政治と虫歯 詩人の言葉をかみしめて

    《私たちはおたがい心の虫歯をもっていたほうがよい。ズキズキと虫歯がいたむたびに、心のおくの一番大切なところが目ざめてくる。でないと、忘却というあの便利な力をかりて、微温的なその日ぐらしのなかに、ともすれば安住してしまうのだ。さえざえとした一生を生きぬくに

  • 2651 不器用・愚直・ひた向きに 負の歴史に挑む記者たち

    「不器用」「愚直」「ひた向き」。功利主義全盛とも思える時代には合わないが、私はこの言葉のような生き方、仕事ぶりをする人を信頼する。新聞記者にもこうした人はいる。自分の取材テーマを追い続ける3人の記者(うち1人は元記者)の本を読み返し、ひた向きさと同時に心

  • 2650 夏の払暁に思う 『希望』と『夜明けのうた』

    夏の夜明けは早い。「払暁」(ふつぎょう)という言葉がある。夜が明けて朝が来るまでの時間帯のことだそうだ。これより早い時間のことを「黎明」(れいめい)というが、いずれにしろ、黎明から払暁の時間帯に起き出し、再び朝がやって来たという喜びを感じる人も少なくな

  • 2649 誤審解決は永遠の課題 スポーツコラムの虚報も

    閉幕したパリ五輪。日本選手は海外大会で最多のメダル(金20、銀12、銅 個13、計45)を獲得した。この大会では審判の判定をめぐってネットとSNSを中心に批判が起きた。スポーツの誤審解消は永遠の課題ともいえ、ビデオ判定などデジタル技術採用されつつある。

  • 2648 人間性なき科学者たち 原爆開発は「美しい発見」

    遺品あり岩波文庫「阿部一族」 無季俳句(季語を持たない俳句)で知られる鈴木六林男(むりお。1919~2004)のよく知られた句だ。鈴木は1940年に召集され、中国各地、フィリピンの島々を転々とし、42年、地獄の戦場といわれたバターン・コレヒドール戦(フィリピン

  • 2647 無念の思いの人々 ソ連侵攻79年目の夏

    通信社の社会部記者時代、中国残留孤児や中国残留婦人問題を担当した。中国東北部(旧満州)の現地取材もした。時々、現地でお会いした人たちの顔や言葉を思い返している。その中で忘れることができないのは、ある残留婦人の「好きで残ったわけではないのです」という言葉

  • 2646 「我思う故に我あり」 株乱高下の時代に

    (虹の彼方に何がある?)「過去最大の下げ幅~過去最大の上げ幅」。東京株式市場で日経平均株価が異常な、あるいは歴史的な乱高下が起きた。新聞、テレビ、ネットでは、この原因や今後の見通しに対するさまざまな声が紹介されている。株には全く無縁な者として、何が正しい

  • 2645 「遺言を聞いて下さい!」 被爆女性の悲痛な訴え

    8月になると新聞の俳壇、歌壇欄は原爆をテーマにした俳句と短歌がかなり目立つようになる。そんな句と歌を読みながら、かつて手に取った柳田邦男のノンフィクション『空白の天気図』に、心が震える悲しいエピソードが書かれていたことを思い出した。この本は原爆投下から

  • 2644 ものづくりは挑戦する姿勢 頑固なヴァイオリン製作者のこと

    音楽を聴いていて、演奏者や歌い手のことに気を取られ、楽器のことにはあまり目が行かないことがほとんどです。ですが、名高い楽器も少なくないのです。ヴァイオリン「ストラディバリウス」やピアノの「スタインウェイ」は、代表的な名器として知られていますし、日本のヤ

  • 2643 なやましき真夏に 立秋は近いというが……

    (2度目の花が咲いたネムノキ) なやましき真夏なれども天(あめ)なれば夜空は悲しうつくしく見ゆ 歌人、斎藤茂吉が夏の夜空を歌った一首(歌集『赤光』「夏の夜空」新潮文庫)だ。「過ごしにくい夏の日だが、晴れ渡った夜空は悲しいほどに美しく見える」というような

  • 2642 マラソンランナーが百メートルへ ソロモン諸島のパリ五輪

    テレビはパリ五輪を朝から夜までやっている。日本選手が金メダルを取ると、大変な騒ぎだ。選手は各テレビ局の「優勝した現在の思いは」など、同じ質問の繰り返しのインタビューをこなす。現代五輪は勝者こそがヒーローのイベントになっている。だが、一部の国では今も「参

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