2024年12月16日、初代サービスが開始した2004年からちょうど20年の年に、予告もなくmixiの後継サービス「mixi2」が爆誕しました。ド直球のネーミングセンスが潔い。
mixi2
https://mixi.social/
実はこのmixi2、去る2024年5月に開催したmixi20周年パーティーの打ち上げにて、笠原さんに「こんなの作ってるんだよ」と見せてもらっていたのですが、あれからしばらく音沙汰ないなと思っていたら、半年以上かけてじっくり作り込んでいたのかーと思うと、リリース当初からの作り込み具合にも納得。
あのときわーわー勝手なこと言ったアイディアが少しでも役に立ってたらいいなと思うとともに、そもそもの2023年12月に開催した忘年会議2023の場で「mixi20周年やりたいんだけどこのイベントがあるからもういいか」とためらっていた運営メンバーのお尻を叩いてmixi20周年パーティーの開催にこぎ着けたことが少なからずmixi2のリリースに繋がっているのかなと思うと、好きなものを好きと言って行動することの大事さを改めて知りました。
という思い出はさておき、実際にリリースされたmixi2の仕様は、今求められているSNSの姿としてとても興味深く、そのあたりをつらつらと書いてみたいと思います。
mixi2の基本コンセプトはざっくり言うとTwitterのタイムラインとmixiのコミュニティを掛け合わせてSlack的な絵文字で味付けした、という感じのサービス。Twitterにもコミュニティはあるんだけど、 名前は同じでもその機能が全然違う。
Twitterのコミュニティというのは基本的にタイムラインをまとめるだけ。閲覧は誰でもできるけどタイムラインには基本的に流れてこないし、投稿できるのはコミュニティ参加者のみ。そして一番の違いは非公開アカウントはコミュニティ参加できるけど投稿は一切できないということです。まあTwitterのコンセプト考えたらそれが正しいのですが。
一方、mixi2のコミュニティは、イベント作成という機能の違い以上に注目なのが、非公開アカウントでもコミュニティに参加して投稿できるということ。つまり普段の投稿は友達同士しか見えない非公開にしておいても、コミュティではオープンにやりとりするという使い分けができるということです。
TwitterやFacebookといったSNSの隆盛の一方で、ユーザーが増えることで起きる闇の部分も見てきた自分として、いまのSNSに求められているのは「炎上しないこと」、そして炎上しないために重要なのは「価値観が違う人と交わらないこと」だと思っているのですが、mixi2のコミュニティはそれをある意味実現できている。
好きなアイドルのコミュニティでの話題はオープンに、個人のプライベートな話は非公開に、という使い分けることで、少なくとも好きなアイドルが同じという価値観の人とはやりとりするけど、それ以外の話題は別でという使い分けができるのが、mixi2の隠れた魅力です。もちろん、コミュニティ自体を非公開にもできるから、完全に知っている人同士の中でキャラを使い分ける、という使い方も可能。
もう少し真面目な言い方をするとこれはいわゆる「分人主義」というやつですね。自分の人格は1つではなく、職場や家庭、趣味などその場その場でそれぞれの人格があるという考え方。SNSやインターネットはもちろん、会社とPTAみたいなリアルの場であっても、コミュニティごとそれぞれキャラクターは違うよねという話です。実際問題、職場の人と高校時代の同級生じゃキャラが違う、みたいな話。
「分人主義」公式サイト|複数の自分を生きる
https://dividualism.k-hirano.com/
Twitterも普段のアカウントと趣味用のアカウントを使い分けている、なんて人は珍しくもない。そしてmixiはコミュニティだけでなくアカウントとしての分人主義も取り入れていて、1つのアカウントに対してデフォルトで最大3つまでのユーザーを作成して使い分けることができます。
Twitterの場合も複数アカウントは使えるけどいちいちアカウントを取得しなければいけない、けどそれをmixi2は1アカウントで切り換えられる。1アカウントに紐付くユーザーは一度作成すると削除できないなどまだ粗いとこはあれど、最初から複数ユーザー前提の分人主義志向というのはとても面白い。
ちなみに実は現mixiも似たような機能を実装していて、IDやアイコンは変えられないけど「友人」「友人の友人」「全体」という3段階で自分のプロフィールをどこまで見せるかを個別に設定できる。これは当時からすごいいい機能だなと思っていました。
話をmixi2に戻して、惜しいのは投稿の際にユーザーの切り替えが必要なこと。Twitterもアカウントさえ作ってしまえば1つのアプリでアカウント切り換えられるんですが、まあなんだかんだ誤爆の危険性高いんですよね。ここはアカウントやユーザーを切り換えて投稿するのではなく、投稿する内容に応じてアカウントやユーザーを切り換えるようなUIにしてくれると、よりシンプルにユーザーを使い分けられそう。
なお、これを別の形ですでに実現しているのが実はLINE。LINEは電話番号で紐付く非常に濃い関係性だけど、それとは別にLINEオープンチャットは全然違う名前とアイコンの設定で参加できる。使い分けの切り換えも不要で、該当のオープンチャットに投稿するときは自動的にその名前とアイコンで設定できるので誤爆の可能性は低めです。
mixi2も同様に、「このコミュニティだったら必ずこのユーザーで投稿する」という仕様にしておき、タイムライン自体は1つのアカウントで管理できるようになると、誤爆も少なくなってより幸せな世界が広がるんじゃないかなと期待しております。
もう1つ欲しい機能がブックマーク機能。SNSにおける分人主義は推し活の要素がとても強く、自分の好きな話題だけ語る場としても非常に重要。そして推し活を進めていくといつどこのテレビに出るとか、ライブのチケットはいつから予約みたいな情報の共有も大事になってくる。
イベントみたいな重めの機能もいいんだけど、みんなでチェックしておきたいテレビ出演情報やチケット販売情報、DVD特典の解説情報とかを1つのコミュニティでみんなで共有できたら、推し活としてのコミュニティ機能はとても捗りそう、というかそういう機能とても欲しい。いままで何度「え、あのチケットもう発売終わってるの?」と情報戦線に負けて涙をのんだことか……。
なお実際には使い方違うんだけどイメージとして作ってみたのが以下の島袋寛子コミュニティ。島袋寛子が出演するテレビやライブをイベントとして登録してみました。こういう感じで、はてなブックマークのコミュニティ版みたいのがmixi2コミュニティ内で作れたらそれはまた新しいソーシャルブックマークの未来が開けるのではないでしょうか。
といろいろ書きましたが、現行のmixi2は少なくとも今のTwitterあらためXやBlueskyよりも、分人主義的なSNSとしての期待はとても持てる。リリース当初は同じ人しかいないと嘆く声も聞かれますが、逆に言えばまずは同じ人がいないと困るでしょ。
いつもの人はいつも通りその場にいて、その上で新しい人、特定の人とは別の人格としてコミュニケーションできるという、これからのSNSに求められる分人主義要素をふんだんに搭載したmixi2はぜひぜひこのまま成長して、ゆくゆくはXをひっくり返して世界を席巻するSNSになること楽しみにしています。
【追記】
深夜の勢いで書き綴ったら思ったより反響あった。ということではてブのコメントにお返事。
アカウント3つは誤爆しないのかな。。どうなんだろ。。
用途によってアカウント使い分けとかはtwitterやinstagramでもできるわけで、こんなのは単なる懐古的インターネット老人会でしかなく、はじめだけ盛り上がってすぐに過疎化していくと思う。
本文でも書いているのですが、現状Twitter(ちなみにあえてTwitterと書いている)でもアカウント使い分けはできているので分人できてるね、でも問題は誤爆しやすいよねというところなので、いかに分人を使いやすくシームレスに誤爆ないUIにできたらそれは別の価値だなと。
一応ブクマすることは可能なんだけどね。
mixi2の投稿をブクマしたいじゃなくて、mixi2内のマイミク2同士で共有できるブクマが欲しいという意図です。「timelesz好き」のコミュニティの中でtimeleszの出演情報や音源やグッズやイベントや名言とかをまとめられる、みたいなイメージ。
このあたりgoogle+が大分クオリティ高く実装できていたんだけど、無くなってしまったねぇ
たられば論ですがGoogle+は機能が凄すぎるあまり使いこなせなかったなーという思い出です。そのあたりmixi2がかなりかろやかなUIなのでちょっと期待したい。
鍵付きでもオープンレターは炎上してたのでは。
そうですね、故意に燃やそうとする人はどうやっても防げないしゼロにはできないけど、それはもう万引き犯ゼロにするために多額を投じるみたいなものなので、後段でおっしゃるとおりの「炎上が起きにくくするチャレンジ」として興味深いなと思っています。
懐かしいなこの人
ありがとう、まだ元気にしてました!