[画像]2015年9月8日の参議院厚生労働委員会、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
さきほどの労働者派遣法改悪法案の強行採決「未遂」の際、傍聴席で涙する派遣労働者を見た複数の自民党議員が「早く追い出せ!」「騒ぐな!」と発言していたことが分かりました。
民主党の牧山弘恵さん=上の画像の右側=がSNSで証言しました。
参議院議長が定める「参議院傍聴規則」では、拍手をしたり、野次を飛ばしたり、食べ物を食べたり、プラカードを掲げたりする行為は禁じられていますが、傍聴席で涙することは禁じられていません。
【追記 同年同月9日午後9時半】
涙した派遣社員の傍聴者の方が、民主党議員に寄せた証言が明らかになりました。
Wさんは「周囲の多くの傍聴者が私を守ってくれました。そして衛視さんも私を追い出そうとはしませんでした」としました。
Wさんは「自民党議員が私を追い出せと言ったのは知らなかった」としました。
【追記おわり】
午後4時前に法案は可決しました。週内に成立し、9月30日施行。
きょう一日の参議院厚生労働委員会の審議は別のエントリーにまとめました=この下に全文掲載します。
[当ブログ内エントリーから全文引用はじめ]
(午後12時過ぎに投稿した「【速報】労働者派遣法改悪法案、自民党強行採決を意図か、羽生田俊議員が動議提出も、途中阻止、休憩に」を改題して、情報を加えて再投稿します)
労働者派遣法改悪法案(189閣法43号)が、2度の廃案、参に回ってから81日間の激闘の末、野党が力尽き、可決しました。9月30日施行へ。
◇
当初2時間コースで質疑。
福島みずほさんの質疑時間終了とともに、自民党の羽生田俊(はにゅうだ・たかし)さんが何らかの動議を提出しようとしたところ、野党理事らが事前の理事会合意がない行為だとして、阻止し、休憩に入りました。
羽生田議員は質疑の打ち切り動議を出そうとしたものとみられます。
[画像]議題にない、何らかの動議を、突如提出し始めた羽生田俊・自民党議員を阻止する、民主党の石橋通宏さん(左)、牧山弘恵さん(右)ら、2015年9月8日(火)午後12時7分ごろ、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
ただし、政府原案は「9月1日施行」となっており、すでにその期間を過ぎていることから、与党による修正が必須となっており、修正案に関する動議だったのかもしれません。
理事会には、民主党の津田弥太郎理事、維新の党の川田龍平理事、共産党の小池晃理事(党本部政策責任者)、社民党の福島みずほ理事らが、与党・自民党の福岡高麿理事、公明党の長沢広明理事(参国対委員長兼務)が、丸川珠代委員長(自民党)をまじえて協議することになります。
質疑での、川田さん、福島さんらの発言によると、自民党は同日朝の理事会では、採決に関する提案そのものをしていないとのことです。
仮に自民党が強行採決を図ろうとした場合、その途中で阻止され、休憩し、理事会に入るパターンは異例。
【追記 2015年9月8日午後4時】
午後3時28分に再開しました。
動議は採決されなかったと思いますが、丸川珠代委員長が自ら「質疑は終局しました」と宣言しました。
自民党の大沼みずほ(大沼瑞穂)さんが自公の修正案を提出。
施行日を「9月1日」から「9月30日」に修正。さらに、違法派遣による見なし雇用(労働契約見なし規定)の対象者になっているかどうかを本人に開示するとともに、派遣先は過半数労働組合に説明し、派遣元事業者は派遣先事業者に対して説明するといった、運用上の念押しにすぎない内容です。
この後、討論。
民主党は白真勲さんが反対し、「厚生労働省は業者の意見を受け入れて法改正することで魂を捨てた」としました。
維新の党の川田さんは「理事会で提案がなかった」と採決に抗議し、反対しました。同党対案である「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)については「衆院での修正は不十分だが、均等の文字が入ったことは評価できる」と賛成しました。
共産党の小池さんは採決そのものに反対し、「この法案は常用代替(派遣社員を事実上正社員の仕事をさせ続けられる、いわゆる正社員ゼロ)であり、修正案も1時間前に示されたもので、理不尽で、これほど企業側にべったりした法案は見たことがない。どこをとっても矛盾欠陥ばかりだ」と主張しました。
社民党の福島みずほさんも「修正案は1時間前に提示されたものだし、先週与党理事から説明があったものより後退している」「この法案は将来必ず禍根を生む」としました。
午後3時55分、採決。修正案、政府原案とも、民・維・共・社・行田邦子委員・薬師寺みちよ委員の反対、自公の賛成多数で修正可決しました。
おそらくあす9日の本会議で可決し、衆に回付され、10日ないし11日の本会議で成立するはこび。9月30日(水)施行。
民主党の津田弥太郎さんは附帯決議案で、朗読に25分間ほどかけるすさまじい項目数の附帯決議をつけ、最後まで気を吐きました。附帯決議は50項目だったそうです。
この後、「同一労働同一賃金推進法案」(189衆法22号)は、民共社反対、自公維賛成多数で可決しました。
牧山弘恵(牧山ひろえ)さんが附帯決議案を朗読しました。牧山さんも7分くらいかけました。
◇
専門26業務派遣労働者が、派遣先で、「お茶くみ」などの違法な扱いを受けていた場合は、10月1日にみなし雇用(みなし労働契約)され、正社員に転換することを義務付けていた、2012年改正を無力化するのがねらい。2012年改正は当時野党の自公も賛成していました。
短期的には10・1みなし雇用プログラムの無力化ですが、中期的には正社員ゼロ法案と言えます。
派遣労働者をかえれば、会社内の特定の職を2年でどんどんかえることがなり、正社員を派遣労働者におきかえる、常用代替が可能になります。
3度目の提出となったこの法案は5月12日(火)に衆議院本会議で審議入り。6月19日(金)に衆委員会で可決し、緊急上程され、本会議で可決。参では7月8日(水)に審議が始まりましたが、「漏れた年金」集中審議を続けるなど、民主党、維新の党、共産党、社民党などの必至の抵抗で、「9月1日施行」を過ぎるところまで、健闘しました。
しかし、数の力のもと、野党は力尽きました。
筆者も2年1か月前のエントリー記事からいっかんして反対し続けてきましたので無念です。
【再追記 2017年4月17日】
以下の記事を書きました。
[法律の執行状況]改悪労働者派遣法施行1年半で平均月給2200円減る、製造業ですら1400円減、主犯は「パソナ」ではなく「経団連」だったか?
【再追記おわり】
このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki
(http://miyazakinobuyuki.net/)
[当ブログ内エントリーから全文引用おわり]
このエントリーの本文記事は以上です。
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