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悠仁さま合格の筑波大学、「特殊な大学」の実像…キャンパス内で生活が完結

文=Business Journal編集部、協力=石渡嶺司/大学ジャーナリスト
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筑波大学の公式サイトより

 秋篠宮家の長男・悠仁さまが、筑波大学 生命環境学群 生物学類に合格したと宮内庁は11日、発表した。悠仁さまの大学進学をめぐってはこれまで、さまざまな報道が飛び交っていたが、現在在籍される筑波大学附属高校から推薦入試で筑波大学へ進学されることになった。難関の国立大学として知られる筑波大学の難易度はどれくらいであり、どのような特色があるのか。また、同大学の推薦入試は狭き門なのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 悠仁さまの進学問題が世間の関心事となったのは、お茶の水女子大学附属中学校に通われておられた2022年のことだった。当時、悠仁さまは同校3年生でおられ、お茶の水女子大学の附属高校は女子校のため、別の高校を受験される必要があり、同大学と筑波大学が結んでいる提携校進学制度を利用して「受験なし」で、難関校である筑波大附属高校へ進学するという見方が広まっていた。結局、同年には提携校進学制度を利用して筑波大附属高校へ進学されたが、この提携校進学制度が悠仁さまがお茶の水女子大附属中に入学される2年前の17年に設置されたものであったため、さまざまな声があがったことは記憶に新しい。

 高校進学後は、筑波大附属高は学校推薦型選抜による東京大学進学者を出しているため、悠仁さまは推薦制度による東大進学を目指しているのではないかという報道も出ていたが、今年11月28~29日に筑波大学の推薦入試を受験され、今月11日に合格が発表された。

筑波大学の推薦入試の難易度は高い

 法・経済・社会・文学、理工系、医学、芸術、体育など幅広い学部を擁する難関の総合国立大学と知られる筑波大学。一般的に大学は「学部・学科制」を採用しているが、筑波大学は9つの学群と23の学類で構成される「学群・学類制」を採用。自分の所属する学群・学類以外の講義も取れるため幅広い学びを体験できるのが特徴。入試制度も特徴的で、一般選抜は「総合選抜」と「学類・専門学群選抜」に分かれており、「総合選抜」は「文系」「理系Ⅰ」「理系II」「理系III」の4種別からなり、入学後の成績と本人の志望によって2年次から学類・専門学群に所属する。「総合選抜」「学類・専門学群選抜」ともに一般的な国公立大学と同じく大学入学共通テストと個別学力検査等の得点で合格者を決定する。

 河合塾が公表している2025年度の入試難易予想ランキング表によれば、偏差値は「総合選抜」の「文系」が60.0、「理系Ⅰ」が57.5、 医学群医学類(一般枠)が65.0となっている。

 悠仁さまが合格された生命環境学群 生物学類の推薦入試は学校推薦型選抜であり、出身学校長の推薦に基づき、書類審査、小論文、個別面接により合格者が決定される。日本の高校出身者用推薦入試の募集は22人であり、応募条件として以下を定めている。

「高校での成績が優秀な人、あるいは、生物学に関する自主研究・クラブ活動や生物学オリンピックにおいて優秀な成績をあげており、生物学について意欲的に勉強しようとする人を募集しています。選考では、受験者の生物学に関する理解力、問題に対する論理的思考力、表現力、英語の学力等を問う小論文、生物学に対する考え方・理解力を試す個別面接、および、調査書等によって総合的に合格者を決定します。また、生物学に興味をもちながら国際的な課題解決や国際交流に関して高い素養を身に付けた人も募集しており、問題解決やコミュニケーションの能力も加味して総合的に合格者を決定します」(同大学の公式サイトより)

 推薦入試の難易度について、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏はいう。

「今年の倍率は不明ですが、前年度は20人の定員に対して59人が志願し、倍率は約3倍でした。今年も同程度だったと推定され、例年2~3倍の間で推移しています。筑波大は過去問を公表しており、問題1は問題文が著作権の問題で表示されていませんが、設問の内容から英文であることが推定できます。しかも、単なる英文和訳などではなく、英語の問題文を読んだうえで考察していくことが求められます。問題2、3についても生物の知識を暗記するだけでなく、論理的思考能力や他者への説明能力・記述力を問われています。このレベルの問題は単純な暗記や作文程度ではどうにもなりません。筑波大は難関の国立大学の一角ですが、それにふさわしい問題と思います。

 面接でも、単なる志望動機だけでなく、なぜ生物学類なのか、そこでどんなことを学びたいのか、その学びのために高校時代にしてきたことは何か、など細かく聞かれます。受験生によっては、過去に読んだ英語論文の内容などの話もします。推薦入試の面接は簡単だろうと思われがちですが、決して簡単ではないことは確かです」

国内最大規模の生物学科

 生命環境学群 生物学類は、生物界のシステム、生体機能のメカニズム、生命現象の本質、生物学の研究方法と先端研究を学ぶ学類。1年次では系統分類・進化学、分子細胞生物学、遺伝学、生態学、動物生理学、植物生理学が必須となっており、基礎生物学実験がある。2年次からは多様性コース、情報コース、分子細胞コース、応用生物コース、人間生物コース、GloBE(Global Biology in English)コースの6つのコースに分かれる。

「『国内最大規模の生物学科』を打ち出しています。菅平高原実験所や下田臨海実験センターなどの実習施設などを含めると、東大や北海道大学と並んで国内最大級であることは確かです。学生の8~9割は大学院に進学します。就職先は学部卒だと食品や製薬などのメーカー、ITなどさまざまです。大学院進学をした場合は研究者の方向に進むか、関連機関・研究所やメーカーの研究職などです」(石渡氏)

悠仁さまにふさわしい大学

 では、他の大学と比較した上での特徴は何か。

「昆虫の研究ができる国立大学としては有数の規模を誇ります。一般の学生は学生寮・アパートに住む方が多いです。悠仁さまの場合、皇族として皇室行事などに出席する機会が多いと思われ、首都圏以外の大学だと移動が大変ですが、筑波大学であれば東京からそこまで離れておらず、移動しやすいです。研究都市のなかの大学なので比較的警備はしやすいと思います。以上をまとめると、悠仁さまにふさわしい大学といえるのではないでしょうか」(石渡氏)

 筑波大学卒の30代男性はいう。

「名門国立大学なので社会的な信用力や就職実績は申し分なく、広大なキャンパスと充実した研究・学習施設、層の厚い教員陣が揃っているので、真面目に研究や勉強に励みたいという学生にとっては最高に魅力的な環境です。キャンパス内にはコンビニや郵便局、飲食店、スターバックス、病院、電気店、理容店まで生活に必要な施設はほとんどすべてそろっているので、寮に入ればキャンパス内で生活を完結させることも可能ですが、他の大学と比べると少し特殊な大学で、つくば市という土地柄もあり、都会でキラキラした大学生活を送りたいという人や大学4年間は思いっきり遊びたいという人は避けたほうがよいでしょう。個人的には東京の都心の大学に通いたかったという後悔の念は若干あります」

(文=Business Journal編集部、協力=石渡嶺司/大学ジャーナリスト)

石渡嶺司/大学ジャーナリスト

石渡嶺司/大学ジャーナリスト

編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。

Twitter:@ishiwatarireiji

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