'20 ぐるっと日高山脈一周キャンプ旅④ かなやま湖〜芽室

3日目 2020年8月22日(土)       -

昨日の予報通り、今朝もかなり冷え込んだようだが、長袖のシャツを来て寝袋に包まっていたこともあり、寒くて起きるといったことはなく、そこそこ眠れた。キャンプなので、さすがにぐっすりという訳にはいかないが。

朝飯を食べ、6:00過ぎ散歩に出る。寒いので、さらにレインウェアを着る。半袖1枚だと凍死しそうだ。

今日から靴下は履かないことにする。靴はまだ少し濡れているし、靴下を履くと臭くなるだけだ。

外は少しガスっていて芝生は濡れている。特に湖の上は湖面近くまで霧が降りてきている。

ハンモックのグループが気になったので近くを通ると、一人だけ起きているが、他はまだハンモックの中のようだ。相当寒いようで、毛布や防寒着に全身包まっていて、顔も頭も出ていない。

テントまで戻る。芝生の水滴で靴の中がかなり濡れてしまった。

さらに、カメラのシャッターが電源を入れると勝手に落ちるようになる。去年のキャンプ旅と同じ症状が早くも出始めた。今回も結露で誤動作しているのだろう。特に対策をしてこなかったので、直るまでスマホのカメラで凌ぐことにする。

日が差し始めたので、テントを乾かしながら撤収開始。ゴミを捨てるが、昨日もらった6つのゴミ袋のうち、使ったのは2つだけ。残りのゴミ袋は、今後の旅でも使えそうなのでもらっておく。

テントの撤収が完了し、出発しようとしていると、自分が張っていたテント付近に家族連れが荷物を持ってやってくる。時間はまだ8:30過ぎだ。

「こんなに早くに来るんだ」

と多少、驚く。

出発前にトイレに行くが、今朝も大はまだ出そうにない。

8:41 かなやま湖畔キャンプ場を出発。まだ寒いので長袖シャツにレインウェアを着て出発。いずれ暑くなるので、半袖シャツもリュックから出していつでも着替えられるようにしておく。

今日は、念願の狩勝越えがあるので楽しみだ。

出発して間もなく右手にラベンダー園がある。ラベンダー越しに湖が見えるところだが、ラベンダーはすでに枯れているので、眺めはイマイチ。

いつの間にかカメラが復活している。

鹿越大橋への分岐に到着。旅前から、このまま道道465号線を進むか、かなやま湖を渡って東鹿越に行くか考えていた。

実際に来てみると、東鹿越のほうは大規模な工事をしているのか、それとも鉱山があるのか、山肌がかなり削れているし、それなりに建物もみえる。

工事をしているかもしれないし、あまり眺めもよくない感じがするので、東鹿越には行かず、このまま道道465号線を進むことにする。

分岐を越えてしばらく走ると、湖が間近に迫るところがある。そこから湖を見てみると、広い範囲に渡って水がほとんどなく、遠くまで湖底がむき出しになっていて、とても湖には見えない。一瞬、干潟のようにもみえた。

 

湖底むき出しのかなやま湖
湖底むき出しのかなやま湖

 

そこからしばらく走ると、左手に「アオダモの森」。「アオダモ」はバットの原料となる木だが、看板にはファイターズの名もあり、なにやら関係しているようだ。

続いて右手に「エジンバラ公の森公園」。何故エジンバラ公なのかはわからない。

案内板をみると、かなり長い遊歩道があるようだが、観光地化されていないので、人の気配は全くなし。野生動物はいても不思議ではない。

幾寅

9:21 国道38号線に合流し、「道の駅 南ふらの」に到着。ここは2009年の年末に来たことがあり、あの時は人も車も皆無だったが、今日はそれなりに出入りがある。冬と夏では全然、雰囲気が違う。

トイレ休憩するが、やはり大は出ず。南富良野の街中を出ると、狩勝峠までトイレはなさそうなので、で(き)るのなら、ここで出しておきたいところ。峠を上っている時に催したらエライことになる。

この先にある幾寅駅の隣にもトイレがあったはずので、そこまで持ち越すことにする。

道の駅を出発し、幾寅駅に向かっていると、途中のお店に「町外の方の入店はご遠慮ください」というような貼紙が出ている。小さい街なのでコロナに警戒していることがわかる。

9:29 幾寅駅に到着。ここに来るのも道の駅と同様、2009年以来2度目。もっと言えば、2008年夏の自転車旅で、帯広から布部まで輪行した時に通り過ぎたこともあるので、それを入れると3度目になる。

幾寅駅は、映画「鉄道員(ぽっぽや)」で幌舞駅の舞台になったところ。

 

幌舞駅(幾寅駅)
幌舞駅(幾寅駅)

 

地元のおばさんたちが駅舎の中を掃除したり、駅舎とホームの間にある花壇を手入れしたりしている。挨拶を交わす。

自分以外に見学者はいなかったが、後から1人男性がやってくる。

駅名板、駅舎の隣にあるトイレ、だるま食堂、キハ(気動車)、ひらた理容店などのロケセットは、2009年に来た時と何も変わっておらず、残っている。

 

だるま食堂とキハ
だるま食堂とキハ

 

駅舎の中の展示物も変わっていないように思うが、少し前まで志村けんさんの記帳所が開設されていたようだ。

変わったところといえば、駅舎とホームの間にある花壇に、ひまわりなどの花がたくさん咲いていること。おばさんたちが世話をしているのだろう。前回来たのが冬だったので当然といえば当然だが…

 

ホームに上がる階段と花壇
ホームに上がる階段と花壇

 

それからホームにあがる階段の横に、雪囲いのためか鉄パイプの支柱が組んであり、写真を撮るのに見栄えが悪くなっている。

そして、決定的に変わったことは、多分もうこの駅に列車は来ないだろうということ。

映画では、幌舞駅のある幌舞線が廃止される話しだったが、現実でも幾寅駅のある根室本線の富良野〜新得間は、廃止がほぼ決定的。

というか、現在でも根室本線の東鹿越と新得間は、2016年の台風で途中の橋が流されてずっと不通で、バスによる代行運転が続いている。既にこの幾寅駅に列車が来ることはなく、実質、廃線状態なのだ。

映画と同じ運命をたどるようだが、幾寅駅はサヨナラ列車も通る見込みはない。

 

列車が来ないホーム
列車が来ないホーム

 

一通り見終わり、隣にある「南ふらの情報プラザ」に行ってみる。ここも2009年の年末に訪れたところで、休憩スペースとトイレがあるはず。

ところが、建物の入口に、

「利用すべきがよく考えてから入館してください」

みたいな要領をえない文言の貼り紙がある。

「入らないでくれ」

という意味だろうと解釈して、中のトイレは使わないことにする。

近くにAコープがあるので、昼飯を買っておこうと中に入る。店員さんが近づいてきて声をかけられる。

店員さん:「まだ開店(10時)前なんですか」

自分  :「すいません」

謝って退散する。

結局、買い物は国道を少し戻ったところにあるセイコーマートで済ませ、さらにもう一度トイレに行くため、道の駅へ戻る。

10:04 今日2度目の「道の駅 南ふらの」に到着。珍しく観光客を乗せた大型バスがやってくる。

トイレに行くがやはり大は出ないので、もう無理しないことにする。トイレの横にある地図をみると、落合にもトイレはありそうなので、そこが狩勝越え前の最後の機会になるだろう。

もうすっかり晴れわたり、暑くなってきたので、レインウェアを脱ぎ、長袖から半袖シャツに着替え、帽子もやめてタオルを頭に巻く。

10:14 道の駅を出発。すぐに国道から北落合方面に向かう道へ左折する。少し走り、北落合方面と国道方向との分岐の丁字路で小さな案内板が目に入る。

『←小動物焼却施設』

おっー、なんとも露骨で恐ろしー案内板。。保健所の殺処分場だろうか。

国道38号線に復帰し、落合に向かう。しばらく走ると後方から5,6台のバイク軍団に抜かれる。

バイク軍団を追うように前方をみると、中央分離帯のある上り坂が見える。

「上っているなぁー」となんとなく思っていたところ、突然、少し先の歩道と車道との段差に、おじさんが座っているような影がみえる。

地方にいくと、家の前や路上で椅子に座り、何をするでもなく佇んでいるおじいちゃん、おばあちゃんを見かけることがあるので、

「あ〜、おじさんが座ってるなぁ〜」ぐらいにしか思わない。

ところが、その歩道に座ってるおじさんが、バイク軍団が横を通り過ぎる時、バイクに向かって手を振り始める。これは予想外の行動だったが、なんだか微笑ましい。バイク軍団の反応はよく見えない。

そのおじさんの姿を見て、自転車の自分が通り過ぎる時、どんな反応をするのか楽しみになる。

少しずつ近いていくと、歩道に座っているのはおじさんではなく、おばあちゃんだった。またもビックリ。

おばあちゃんも、自転車の自分が近づいていくと、何がきたのかと不思議そうにじっと見つめている。

でも、自分が通り過ぎる時、おばあちゃんは手を振り「気をつけてな」と言ってくれる。すごく嬉しかったが、気の利く言葉が思い浮かばず、「こんにちは」としか声をかけることができない。全く持って情けない限りだが、バカなので仕方ない。

おばあちゃんが座っていたところの反対側に家があったので、あそこに住んでいるのだろう。この道は、夏は旅人がよく通るだろうから、おばあちゃんはよく道路に出て旅人に手を振っているのだろうか。

落合の手前、向かいにドライブインがあるダダっ広いパーキングで、水分補給と小休憩。大きな地図があるが、特に新しい情報はない。トイレももういい。

10:59 落合を通過。いよいよ狩勝越えに臨む。道道1117号線の交差を過ぎたあたりから、本格的に上り始める。

といっても勾配が2〜3%程度の緩い上りなうえ、直線道路なので峠道と感じさせない。交通量はあまり多くないし、路肩も十分広いので走行には全然問題なし。ただ、直射日光でだんだん暑くなってくる。

 

狩勝峠に続く直線道路
狩勝峠に続く直線道路

 

直線路が終わるあたりから、勾配が多少キツくなり、最後の方は登坂車線も出てくるが、それでもせいぜい5%ぐらいだろう。

狩勝峠

11:58 標高644mの狩勝峠に到着。南富良野側の上りはかなり楽勝で、落合から1時間で着いた。

狩勝峠の南富良野側は、地図を見る限り、直線道路が続いているので、前々から勾配はキツくないとだろうと予想していたが、想像通りだった。そもそも南富良野の標高が高いためだろうと思い、あとで標高を調べると、幾寅が360m、落合が416mもある。

峠に到着すると、すぐ後ろから地元風の身軽なソロの男性ロードバイカーがやってくることに気づく。

お店の前に自転車を止め、まずはトイレ横の東屋の前から南富良野側の景色を眺める。こちらは山並みが続く山岳地帯で、方向的に芦別岳らしい山まで見える。

 

狩勝峠から見る南富良野側の山並み
狩勝峠から見る南富良野側の山並み

 

次に、道路の反対側にある「狩勝峠展望台」に行ってみる。

道路を渡ったところで、さっきのソロの男性ロードバイカーが自転車を止め、景色も見ずにずっとスマホか何かをいじっている。

展望台に上ると、今度は大きなリュックを下ろし、スマホをいじっている女性がいる。荷物からして、登山にきた人のようだ。

 

狩勝峠

 

展望台から見える景色は最高。遠くの方は少し霞んでいるが、天気はよく、東側には十勝平野が広がり、北東側の奥には東大雪の山々が見える。

 

狩勝峠から見る十勝平野

 

 

遠くに東大雪の山並み
遠くに東大雪の山並み

 

スマホでパノラマ写真を何度か撮ってみるが。地平線が斜めになって、どうもうまく撮れない。

パノラマ撮影に慣れておらず、何度か失敗を繰り返して、ようやく画面に表示される水平線から矢印が離れないようにスマホをパンしないといけないことに気づく。

 

狩勝峠からのパノラマ
狩勝峠からのパノラマ

 

展望台をおり、自転車まで戻る。峠にあるお店は、この時間になっても閉まったままで、もう営業していないようだ。コロナで閉店しているのか、それとも前からつぶれいたのかはよくわからない。

あのソロの男性ロードバイカーは、まだ同じ場所に自転車を止めたままで、出発する気配はまるでない。その後、そのロードバイカーに会うことはなく、どちら側に下りたかはわからない。

æ–°å¾—

12:25 狩勝峠を出発。次は「狩勝高原エコトロッコ」に向かう。

下り始め直後にある覆道には広い歩道があることを旅前にGoogleMapで確認していたが、実際に行ってみると、歩道は泥に覆われていて走れたものではない。

路肩も狭いので、後続車や歩道との段差に気をつけながら慎重に下りる。

覆道が終わると、路肩は広くなるものの、今度は路側帯の外側に、幅広の凹凸が延々と続いている。

この凹凸は、車のはみ出し警告用についているものだと思うが、自転車でこの上を走ると、酷い振動で腕もケツも痛くなるし、パンクする可能性もあるうえ、スピードの出ている下り坂ではコケる危険もあるので最悪だ。

そのため、凹凸をかわしつつ、後続車をバックミラーで確認しながら、スピードを落として下りる。路肩が広く、交通量が少ないのが救いだ。

狩勝峠の新得側は南富良野側より勾配が少しキツく、だいたい5%ぐらいだと思う。

サホロリゾートに向かう道道1085号線の分岐を過ぎて、右側に「狩勝高原SAHORO」の大きな看板と「狩勝高原エコトロッコ」の小さな看板があり、ここを右折する。

右折した先の分岐に案内板があるので場所を確認する。「狩勝高原エコトロッコ」の場所は事前に調べてきたので、この分岐を左に行けばいいはずだが、他にも見所がないか探す。が、特にない。

12:46「狩勝高原エコトロッコ」に到着。周囲に公園やカフェなどがあり、意外と家族連れで賑わっている。

まず、すぐ目に入るのが、SLとSLが牽引している寝台列車(ブルートレイン)。列車の外観は、少し前の寝台車のようにみえて、昔の車両にはみえない。

 

SLとブルートレイン

 

列車の陰に周ってみると、そこは駅のホーム跡になっていて、列車はホームに止められていることに気づく。さらに奥の方にいくと、旧新内駅の木造駅舎がみえてくる。

旧新内駅も古いことは古いのだが、かなり整備されているというか、修復されているようにも見える。

 

旧新内駅とホーム跡
旧新内駅とホーム跡

 

そういえば、この旧新内駅から新得駅までの廃線跡は、遊歩道になっていて、途中に「まりも号脱線事件」の現場もあることを本で読んだことがある。

その道を通って新得まで行きたいところではあるが、確かダート道なので、それは諦める。

入口のほうに戻ると、トロッコのほうに子供連れの家族がやってきて、ちょうどこぎ始めているところだ。

「ここはもういいかなぁ」と思い、振り返ったところ、カフェの横に「柴田家の玄関」というものが展示されている。

「柴田家?」

何のことだかわからないが、どうも雰囲気的に「なつぞら」の撮影に使われたものらしい。「なつぞら」は見たことがないし、興味もないので素通りする。そもそも朝の連続ドラマや大河ドラマと称するものは、一度もまともにみたことがない。

他には特に見たいものはないので、新得に向けて出発することにする。

12:57「狩勝高原エコトロッコ」を出発。

下り坂を下りて平坦な直線道路に入ると、一面、白いそばの花が咲いている。新得はそばが特産なので、いきなり新得らしい風景になる。

 

一面に白い花が咲くそば畑
一面に白い花が咲くそば畑

 

景色がいいので、風景が見ながら走りたいところだが、相変わらず路側帯の外側にガタガタの凹凸がついているうえ、さらに路肩に雑草が生えて舗装が割れてガタガタになったり、狭くなったりしているので、一層で走りづらくなる。

交通量は少ないものの、時折トラックに抜かれるので、前方の路面状況と後方の車に気をつけながら、走行する。なかなか風景をみながら走るというわけにはいかない。

国道38号線は、南富良野側までは快適に走れたが、狩勝峠を境に新得側は自転車にとって、少々危険で走りづらい道路環境に一変する。

南富良野側に時折あった自転車通行を示す路面の青いペイントも新得側では見る機会がなく、自転車に対する自治体の意識の違いを感じる。

それから、もう一つふと気づいたことがある。それは、ツーリング中らしいバイクは走っているものの、すれ違うバイクや追い抜くバイクからまだ一度も手をあげたり振ったりされたことがないこと。

想像するに、今年走っているのは、ほとんどが道内ライダーだからではないかと思う。

道外のライダーだと、地元ライダーよりテンションが高めなので手を振る人が多いのではないか。ところが、今年はコロナで、道外のライダーがほとんどいないので手を振るライダーがいないではないか?と思うのである。

そんなことを思いながら走っていると、かなり前方から自転車がこちらの方に向かって走って来るのが見える。その直後、自転車は右の脇道へ入っていく。2台のようだ。

「あそこに何かあるのかなぁ?」

と思い、その辺りまで進むと、右手に建物があり、「そばの館」の看板が出ている。駐車場には、自転車がたくさんの止まり、サイクルジャージを着ている人も多い。

どうやら、その人たちはグループでサイクリングを楽しみ、ここで昼食のそばを食べようとしているようだ。

13:26 SL広場の辺りで国道を離れ、新得市街に入る。SL広場は知っていたが、気に留めていなかったのでSLを見ることなく、素通りする。

街中に入ると、すぐに道路工事で迂回させられる。

スーパーの「フクハラ」を見つけたのでパンとコーラを買って、近くのバス停のベンチで昼食にする。が、近くでカラスの鳴き声が聞こえるので、少し先にある駅前の屋根付きバス乗り場に移動して食べる。それにしても今日は暑い。

新得に来るのも2009年の年末以来で、あの時はJRの周遊きっぷを使って、新千歳空港から石勝線で新得まできた。そして新得駅から歩いて、新得温泉に泊まり、翌日、幾寅駅に行って、「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地を見学したのだ。

昼食後、駅でトイレを済ませると、ちょうど東鹿越行きの代行バスがやってきた。1人乗って行ったが、あまり乗る人はいなさそうだ。

13:55 新得駅前を出発、清水へ向かう。国道38号線は避けたいが、他の道はかなり遠回りになるので国道しか選択肢がない。

国道38号線に入ると、路面に「シカ注意」の文字。これを見るのは、去年の根室に向かう国道44号線以来だ。

 

国道38号線はシカ注意
国道38号線はシカ注意

 

清水

清水の手前から交通量が少し多くなる。道東道や国道274号線に向かう車のせいだろうか。

14:23 清水市街に入る。清水に来るのは初めてだが、新得より大きそうな街だ。

そういえば、清水といえば、2015年春に秋田から青森の日本海側を旅した時、2日目に泊まった深浦の民宿のお母さんが清水出身だったことを思い出す。

さて、ここから芽室に向かうのだが、国道は避けてJR根室本線の南側にあるカントリーロードに出ようと思う。

最初は清水市街を南西に抜けて、道東道とJR根室本線の間にある道に出ようと思ったが、それより、国道38号線と道東道の交差するあたりで、JR根室本線の南側に抜けたほうが、距離的にも時間的にもよさそうだ。

街を出て坂を上りきると、国道脇から畑が続く丘陵地と遠くに東大雪の山並みが見え、だんだん十勝らしい風景になってくる。

 

清水の丘の風景①
清水の丘の風景①

 

 

清水の丘の風景②
清水の丘の風景②

 

14:54 道東道の高架を過ぎたところで、予定通り右折してカントリーロードへ向かう。

運がいいのか悪いのか、踏切が閉まる。

「さて、何がやってくるのか?特急かそれとも1両の気動車か?」

と思いながら待っていると、やって来たのはレッドベアーが牽引する貨物列車。貨物列車なので長いだろうと思っていたが、さほど長くはなく、道央方面に向かっていった。

踏切を渡り、道道55号線の一つ手前の交差点を左折する。この道に入れば十勝らしい景色を楽しみながら走れるかなぁと期待していたが、防風林や林が多く、あまり遠くまで眺めることができない。

それでも交通量は皆無、畑や牧草地の中を快適に走る。

 

十勝のカントリーロードを行く
十勝のカントリーロードを行く

 

世界最小のミニホースがいるらしい「ムーミン牧場」に向かうため、御影のあたりで道道55号線へ右折する。

右折したところで、「ムーミン牧場」のあとのルートを考える。「ムーミン牧場」に行ったあと、一旦芽室の街に戻り食料を買い込んで、キャンプ場のある新嵐山に向かう予定。

地図を確認すると、芽室の街に行くには、道道55号線をUターンして、御影まで通ってきたカントリーロードかその手前の道へ右折するのが最短のようだ。

芽室からキャンプ場までは、時間があれば「10線防風林」のある道道62号線を経由して向かおう。時間がなければ、最短路の道道317号線と道道55号線で向かうことにする。

15:40「ムーミン牧場」に到着。道路から中を伺うと「牧場見学料500円」と書かれた看板が見える。お高いので中に入るのはパスする。

すぐにUターンし芽室の街に向かう。道道55号線が左へ折れる交差点を右折してカントリーロードに入る。

少し走ると道路沿いに牧場があり、道路に向かって何十頭もの牛が一列になって餌を食べている。牛舎ではよく見かける光景だが、屋外でこういう光景を見るのはあまり記憶にない。

 

一列に並んで食事中の牛さん
一列に並んで食事中の牛さん

 

芽室川を越えると、周囲が開けて遠くまで眺望できるようになる。

芽室

左にカーブして次の交差点を右折する。あとはこのまま道なりに進めば、芽室の街に着く。

東へ、東へ自転車を走らせていくと、久山川、渋山川を横切る前後に大きめのアップダウンも現れる。

前方になにやら大きな建物もみえる。西帯広のマンションか何かだろうか?

西日がキツくなってくる中、芽室の街が見えてくる。さっきの大きな建物は芽室の街にあるようだ。

16:17 踏切を渡り、芽室の街に入る。

住宅街の入口で自転車を止め、GoogleMapで近くにあるスーパーやコンビニを探していると、ジョギングしている女性が通り過ぎていく。

一番近いコンビニは駅前のセイコーマートで、スーパーは少し離れた国道38号線沿いにあることを事前に確認していたが、それ以外はない。スーパーは少し遠いので駅前のセイコーマートに向かうことにする。

それから、念のためキャンプ場の受付時間を確認するが、ウェブサイトには特に記載されていない。予約しているし、17時を過ぎでも大丈夫だろう。

芽室駅前の中心街に入ると、他の過疎の街のような寂れた暗い雰囲気はなく、それなりに人通りもあり、明るくて比較的活気もある印象。帯広の隣接の街ということもあるのだろう。

少し場所を間違いながら駅前のセイコーマートに到着する。がしかし、弁当はほとんど売り切れ。

もうあまり時間もないので、キャンプ場方向にある道道317号線沿いのセブンイレブンへ行くことにする。「10線防風林」も今日行くのは諦めて明日にする。

16:32 駅の西側に踏切があることを確認し、店を出発する。

踏切を越えたところに工場か貯蔵所のような大きな建物がある。JAの施設のようだが、これが芽室の街に向かっていたときに見えた大きな建物かどうかはわからない。

道道317号線に出てセブンイレブンで晩飯を調達する。

16:49 店を出て新嵐山のキャンプ場に向かう。

夕日を浴びながら、両側に畑が続く道道317号線を走っていると、前方から自転車がやってくる。荷物もなく軽快に走っているので地元のロードバイカーのようだ。すれ違う際に挨拶を交わす。

 

夕暮れの十勝平野
夕暮れの十勝平野

 

しばらく走ると、右側に「横綱大乃国 康 生誕の家」と書いてある看板が目に入る。

大乃国といえば、自分が学生時代にちょうど横綱だった力士で、体が大きい割にあっさり「コロン」と転がってしまう印象が残っている。

当時は無敵の横綱・千代の富士がいたこともあり、あまり優勝もしていないと思うが、その千代の富士の連勝記録を止めたのも大乃国だったはず。

現在は芝田山親方で確か相撲協会の広報部長だったと思う。たびたびテレビで見ることもある。

現役当時から十勝出身であることは知っていたし、同時期に同じ十勝出身の横綱・北勝海(現・八角親方)がいて、確か中学時代は柔道でライバル関係だったということを思い出す。今ではその八角親方も相撲協会の理事長だ。

当時の角界の上位には、北海道出身の力士として、横綱に千代の富士、北勝海、大乃国、そして大関に北天祐とずいぶんいたものだ。

その元横綱・大乃国の実家には小さなサイロがあり、牧場を営む農家のようで、今もどなたか住んでいるようにみえる。

17:13 道道55号線に入る。前方にスキー場のある山が見えてくる。あれがキャンプ場のある新嵐山だろう。

新嵐山キャンプ場

17:32 新嵐山のキャンプ場に到着。

「国民宿舎・新嵐山荘」の駐車場から案内板に従って進むと、キャンプ場の受付は新嵐山荘の奥側の入口から入ったところにあるようだ。

自転車を止め、案内板に従って中に入るが、キャンプ場専用の受付は終了していて、宿の受付に回るように案内が出ている。

新嵐山荘の受付でキャンプ場の手続きをする。

キャンプ場の使用料は、民間施設ということもやや高めの990円也。でも宿の日帰り温泉が270円と格安なので、トータルするとそんなに高くはない。

受付で、少し前に電話したことを告げられる。到着時間の確認だったようだ。あとで確認すると、確かに17時すぎに履歴が残っている。

テントサイトの場所を教えてもらう。もう少し山の上かと思っていたが、宿の奥にある平地とのこと。

そして、利用証がわりの、番号がついた鉄の棒を1本渡される。

「なんだこれ?」

これをテントの前に刺しておいてほしいとの事。

これまでのキャンプ場でも利用証がわりの札を下げるように言われてきたが、その札は紙か木製で、こんな1mぐらいもある鉄の棒を渡されるとは思わなかった。

この他に、キャンプ場内の地図と注意事項を書いた紙、ゴミ袋ももらう。

参考までに、ここの宿はどうみん割かGoToキャンペーンに参加しているのか聞いてみる。すると、どうみん割に参加してはいるが、すでに定員に達して終了しているという。

長い鉄の棒を渡されたので、自転車を押してサイトに向かう。それでもかなり持ちづらい。

小さなピウカ川を渡ったサイトの入口近くに、若い男ばかりのグループがいてキャッチボールをしたり、晩飯の準備をしたりしている。ここはかなり要注意だ。奥にしよう。

さらにサイトに入っていくと、家族連れや若者グループばかりでイヤな予感。予約が必要なキャンプ場で、しかも今日は土曜日。ソロのキャンパーはあまりいないだろうとは思っていたので、予想通りではあるが…

トイレと炊事場は、同じ建物の中にあり、しかも1箇所のみ。洗濯はできそうにない。

奥の広いフリーサイトはまだ工事中。手前のフリーサイトには、もうそれなりにテントが張ってあり、場所の選択肢はあまりない。自分が一番最後に来た予約客だろう。

できる限り、夜になっても騒がしくなそうなところを探す。

小さい子供のいる家族連れは、多少騒がしいとは思うが、夜遅くまで騒ぐことはないだろう。それより、サイトの一番奥にいる若い男女のグループが危なさそうだ。

今はそんなに騒いでいるというほどでもないが、ケラケラ声で笑う女がいて、夜になり酒が入ると(すでに入っているかもしれないが)、うるさくなりそうだ。

その「ケラケラ女」がいるテントから離れたところにテントを張る。

テントを張り終え、風呂に行く準備をする。靴と足がやはり臭う。特に左側が酷い。改めて、この靴で来たことを後悔する。とりあえず、今日も虫除けスプレーをかけて、少しばかりの消臭をマメにしておく。

明日、沖縄の時と同じように消臭スプレーを中札内あたりで買おうと思う。

嵐山荘の風呂に行く。風呂場はあまり広くなく、露天もなし。270円なので文句もなし。

嵐山荘に泊まっているようなおじさんたちが5人ほど出入りしていたが、みんな短時間でサッサと出て行く。宴会でもあるのだろう。

テントに戻り、洗濯はせず晩飯を食って、今日も21時には寝袋に入る。明日の朝も15℃を下回りそうなので、長袖を着て寝る。

23時を過ぎても時折、遠くから若い男の絶叫が聞こえてくるが、遠いので特に問題なし。多分、サイトの入口近くにいた若い男のグループが騒いでいるのだろう。

一番要注意の「ケラケラ女」がいる若い男女のグループは、夜になってもテントの方からはそんなに声は聞こえないので少し安心していた。

が、甘かった。トイレにでも行くのか、テントのすぐ近くを酔っ払い女が、ライトをテントに当てたり、デカイ声でべらべらしゃべりながら何度か通るので、うるさくてうんざりする。想像通り、やはり要注意の女たちだった。

ようやく静かになってウトウトし始めた23時頃、今度は小雨が降ってくる。たいした雨ではないが、全く雨を想定せず、緩い斜面のある下側にテントを張ったので、少し気になる。

雨雲レーダーや降水ナウキャストを確認しても雨雲は表示されていない。ただ、日高山脈の所々でポツポツと小さい雨雲があるので、山沿いだとあまり精度がよくないのかもしれない。

大きなハッキリとした雨雲はないので、すぐに止むだろうと思っていたが、一向にやまない。時折、多少強くなることもあり、水が入って来やしないか眠れなくなる。

1時頃、ようやく雨が止んだようなので寝ることにする。

走行時間:6h24m35s 走行距離:103.1km
平均速度:16.0km/h 最大速度:38.1km/h

== 旅の費用 ===========
キャンプ場(めむろ新嵐山)代:¥990
温泉入浴(新嵐山荘)代   :¥270
飲食代           :¥1,343
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合計            :¥2,603
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