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上目づかいがキュート
袖をちょっと噛み、身をくねらせ、上目づかいでこちらを伺う若い女の子。お嬢さん、なにをそんなに恥ずかしがっているのか? 女の子が着ている着物は「黄八丈(きはちじょう)」と呼ばれるもので、江戸時代後期に若い女性の間で爆発的人気を誇りました。
赤が淫靡
事後のようで、遊女が布団の上でウトウトしています。赤い布団と赤い着物、赤い唇ーーなんというかものすごくアダルティです。
つかまえた❤︎
透け感のある着物が色っぽい美人芸者さん。なにをしているのかというと、蛍をその手にキャッチしたところ。揺れる袂(たもと)となびく乱れ髪が「動」ならば、夜空を舞う蛍の光は「静」。そのコントラストが見事です。団扇を口にくわえているのが、無邪気カワイイ。個人的にかなりオススメの一作です。
さあ、いよいよラスト。
シリーズ唯一の洋装
シリーズ32枚のうち9枚が明治時代の女性を描いたものですが、意外にも洋装はこの一点のみ。ヘアスタイルも洋風で、真っ赤なリボンまでつけています。花のついたオシャレな帽子、ウエストのしまったドレス、手にした洋傘ーーどれをとっても最新ファッションです。そんな新しい時代を生きる若奥さま、咲き誇る花菖蒲にも負けぬほど美しく着飾ってお出かけのようです。
以上で、月岡芳年晩年の傑作美人画『風俗三十二相』はおしまいです。
月岡芳年は、大きく移り変わる時代のなかで生きた32人の女性たちをそれぞれの立場や年齢ごとに繊細に描き分けました。江戸時代の美人画というと画一的な表情の女性像をイメージするかもしれませんが、芳年の美人画は本当に表情豊かで、1枚1枚の絵からドラマを感じます。
別の記事でも月岡芳年の作品を紹介しています。あわせてどうぞ!
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