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今年の「#文学」
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なぜ、実質賃⾦が低下しているのか?: 新型コロナ禍後の内外の経済環境を踏まえて 名古屋⼤学 ⿑藤 誠 今⽇の論点 • 新型コロナ禍後の国外要因と国内要因によって経済全体で⾒た実質 賃⾦が低下傾向にある。 • 国外要因:交易条件の悪化 • 国内要因:労働市場における超過供給状態の進⾏ • したがって、すべての企業が物価上昇を超える賃上げを実施することは不可 能である。 • 安易な政策発想への警鐘 • 「物価と賃⾦の好循環」、⼀時的な所得政策、官製賃上げのスローガンでは、 実質労働所得の向上や所得格差の是正は決して図れない。 • 本格的な経済構造政策の必要 • 所得格差是正には恒久的な所得再分配政策、⻑期的な実質賃⾦の向上には経 済構造改⾰がそれぞれ不可⽋である。 2024/11/7 2 やや広い論点 • ⽇本経済の停滞というと、2008年のリーマンショックを含む21 世紀に⼊ってからの⻑期停
このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 政策評価プログラム(第五期:2020〜2023年度) 「子育て世代や子供をめぐる諸制度や外的環境要因の影響評価」プロジェクト いわゆる「年収の壁」による既婚女性の就労調整が改めて注目を集めている。フルタイムで働く配偶者を持つパートタイム労働者は、配偶者の扶養家族となることで、社会保険料負担を免除されたり配偶者の課税対象所得から控除を受けたりすることができるからだ。本論文は、個人住民税の課税記録のデータを用いて、有配偶女性の就労調整の実態についての記述的分析を行う。 実際
このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 政策評価プログラム(第六期:2024〜2028年度) 「子育て世代や子供をめぐる諸制度や外的環境要因の影響評価」プロジェクト 日本においては若年者の雇用状況の悪化が少子化を加速させたという通説が根強い。しかし、経済理論上は、若年期の女性の雇用機会の悪化が出生率に与える効果は、負の所得効果(子供を育てるお金がないので子供が減る)と正の代替効果(子育てのために仕事をやめることで失う収入が少ないので子供が増える)を持つ可能性があり、どちらが強いか自明ではない。 そして、人口動
2022年6月から英国では6カ月にわたり週休4日制の実証実験が行われ、参加企業の9割以上は実証終了後も週休4日制を続けたいと答えた(BBC news[1])。生産性の向上やワークライフバランスの改善が理由だ。労働時間を短縮する場合には労働生産性の向上が不可欠である。短い労働時間で高い生産性を達成するための鍵となるポイントは何だろうか? 本コラムでは、組織内の民主的カルチャーが時間あたり労働生産性を高めるキーの1つと提案し実験室内実験を行った筆者らの研究(Kamei and Tabero, forthcoming[2])を紹介する。 企業組織の生産活動の多くはチームの形態をとる。チーム生産では、同僚の貢献にただ乗りする従業員のモラル・ハザード問題が労働生産性に負の影響を及ぼす。モラル・ハザードが起こる主要な理由の1つは、企業が従業員の労働行動を完全には観測できない点にある(Alchian a
既婚女性が税や社会保険料負担を避けるために年収を一定以下に抑える「年収の壁」問題が注目を集めている。この問題自体はかなり前から指摘されていたが、最低賃金の引き上げや人手不足を受けての時給上昇によって、時給を上げるとかえって稼働時間が減る現象が改めて問題となっている。パートタイム労働者への社会保険の適用拡大とも相まって、政府が対策パッケージを打ち出すなど、政治的な関心も高い。 103万円の壁の謎 近藤・深井(2023)は、16の協力自治体の住民基本台帳と住民税の課税記録を接合し匿名化したデータを用いて、既婚女性の就労調整についての記述的な分析を行った。給与収入・各種所得と世帯構成の情報を含む個人レベルのパネルデータを用い、ライフイベントの前後の変化や夫の所得・就業形態による差など、さまざまな角度から分析を行った。 図は、近藤・深井(2023)で使用したデータで作成した有配偶女性の給与収入のヒ
www.ynu.ac.jp May 20, 2024 横浜国立大学 佐藤 清隆 [email protected] 日時:2024年5月10日 RIETI BBL Seminar 円の実力と日本企業の通貨戦略 佐藤清隆 (2023) 『円の実力:為替変動と日本企業の通貨戦略』 (慶應義塾大学出版会, RIETIブックス). • 序章:日本国通貨「円」と向き合う • 第1章:悪い円安と貿易赤字 • 第2章:なぜ日本の貿易収支は改善しないのか • 第3章:円建て貿易はなぜ進まないのか • 第4章:日本企業は為替の壁を乗り越えたのか • 第5章:国内生産ネットワークと日系海外現地法人企業の建通貨選択 • 終章:円の実力と日本企業の通貨戦略の課題 Master Title ― 1 1. 本報告のまとめ (1) • 実質実効ベースでの円の減価(→円の実力の低下?) – 名目実効ベースでの円の減価は限定的。
RIETIについて 個人情報保護 ウェブアクセシビリティ方針 RIETIウェブサイトについて サイトマップ ヘルプ お問い合わせ 経済産業省 独立行政法人経済産業研究所(法人番号 6010005005426) 当サイト内の署名記事は、執筆者個人の責任で発表するものであり、経済産業研究所としての見解を示すものでは有りません。 掲載している肩書や数値、固有名詞などは、原則として初掲載当時のものです。当サイトのコンテンツを転載される場合は、事前にご連絡ください。
バブル崩壊後の1990年代半ばから2000年代初頭の就職難の時期に社会に出た就職氷河期世代は、若年期に良好な雇用機会に恵まれなかったため長期にわたり経済的に不利な立場に置かれてきた。00年代後半には「ロスジェネ」という言葉が生まれ、不遇な世代であることが繰り返し指摘されたが、バブル期以前に就職した世代との格差は今も解消していない。 現在、中高年となった就職氷河期世代がこれから直面する問題は、大きく2つある。独身の低所得者が親に頼れなくなり困窮することと、氷河期世代自身の老後の低年金の問題だ。 ◆◆◆ 1つ目の親の加齢に伴う困窮は既に顕在化しつつある。図は労働力調査を用いて、35〜39歳時点での「未婚で親と同居する非就業者・非正規雇用者」が人口に占める割合を男女・学歴別に集計し、横軸の生まれ年ごとに並べたものだ。 男性はすべての学歴で若い世代ほど高まっている。70年代後半生まれの高卒男性では
2002年にノーベル経済学賞を共同受賞した心理学者で米プリンストン大学名誉教授だったダニエル・カーネマン氏が3月27日、90歳で亡くなった。行動経済学を切り開いたことで世界的に著名な研究者だった。 米ジャーナリストのマイケル・ルイス氏は、カーネマン氏を世界的な「人間の間違いについての権威」と表現する(1)。米国で行動経済学のコンサルティングに携わる研究者、相良奈美香氏がたたえるように、その研究は人の意思決定に対する社会の理解を根本から大きく変えた(2)。 ルイス氏によると、ユダヤ人であるカーネマン氏は、第2次世界大戦時の壮絶なホロコーストを命からがら生き延び、幼い頃から誰も信じてはいけないと教えられていた。自分の記憶さえ信じなかった。「14歳という年齢にして、ダニエルは少年というよりも、少年の体に閉じ込められた知識人だった」。ルイス氏は、カーネマン氏の友人のこんなコメントを紹介している。
日本を代表する文化の1つである漫画。近年、漫画制作においても生成AIの活用が進展している。生成AIは、キャラクター設定から背景描写までさまざまな段階で作家を支援するだけでなく、効率性や創造性の向上にも寄与している。本講演では、創作の現場でAIを活用している漫画家ユニット「うめ」の小沢高広氏に、現役の漫画家が生成AI技術をどのように取り入れているのか、現在連載中の作品においての実際の使用例を中心に紹介いただいた。テキスト生成AIと画像生成AIのそれぞれの具体例、さらに、生成AIの普及が漫画業界に与える影響や今後の展望、生成AIが将来的に漫画家の仕事を奪うのか否かなど、多角的に考察いただいた。 二人組漫画家「うめ」のシナリオ・演出を担当している小沢高広と申します。僕はいろんなことを割と早め早めにやってしまう方で、2004年に原稿のデジタル入稿をやったり、Twitter(現X)を漫画に登場させた
このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 その他特別な研究成果(所属プロジェクトなし) 「親ガチャ」という言葉が、嘆きの文句として、X(旧ツイッター)などでこの数年広く使われるようになった。子どもが親を選べないために生じる能力の差や機会の不平等、といった文脈で使われる言葉であるが、「親ガチャ」による格差を是正しようとする政策は、相続税による再分配などで先進的な国ではすでに行われている。こうした格差是正や機会平等を推し進める政策は、何も親を選べないことだけに対してではない。今の先進的な世の中では、例えば所得税は、
進歩的な社会は、差別をなくし、機会均等と実力主義を推進することを目指している。しかし、機会均等と実力主義の追求は、本当に公正な社会をもたらすのだろうか?実力主義の公正さを検証するために、本稿では、個人特性の初期差がない場合の運の影響を定量的に分析する。本研究では、日本のボートレースを対象としたユニークな実験設定を利用する。参加者は各大会で性能の異なるモーターをランダムに割り当てられるため、レーサー間の確率的公平性は担保されるが、運のタイミングにばらつきが生じる。デビュー期に「ラッキーな」モーターを割り当てられたレーサーをトリートメント群として定義することで、彼らの成績の軌跡をたどり、1着回数や収入などの差を検証する。その結果、時間の経過とともに成績の格差が拡大し、それに伴ってチャンスが増え、リスク行動をとる傾向があることが明らかになった。4年間で、トリートメント群の当初のわずかな優位性は、
3月8日は国連が定めた「国際女性の日」である。これまで日本では、女性の権利と活動などについて、多くの取り組みが行われ、特に、女性の就労を促進する政策が多数実施されてきた。日本の女性就労は、これまで長時間労働、男女格差など女性に不利な就労環境に阻害されてきたと言われている。Abe (2011)は「男女雇用機会均等法」が日本の女性の正規雇用を増やしていないという結果を示した。Kohara and Maity (2017)は、ワーク・ライフ・バランス政策も女性の労働参加に寄与する効果が薄いことを指摘した。すなわち、これら就労環境を改善しようとした政策による日本の女性就労への貢献は小さいと多くの研究が指摘してきた。 その一方、近年、日本の女性の労働参加率が着実に上昇している。その背景に、従来の就労環境改善の取り組みのみならず、女性就労を「女性の活躍」と唱える一連の政策や、『女性版骨太方針』にあるよ
このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 地域経済プログラム(第五期:2020〜2023年度) 「経済集積理論に基づく地域経済の定量分析手法の開発」プロジェクト 日本は今、世界の中でも特に人口減少が進む国だ。2020年時点で1億2,700万人であった日本の人口は、100年後には3,000万人から5,000万人程度まで減少すると予測されている。3,000万人は江戸期の人口規模で、現在の東京都市圏より小さく、5,000万人はおよそ東京と大阪都市圏を合わせた規模だ。いずれにしても、今までに経験したことのない急速かつ大
日本には世界に例を見ない通勤定期・通勤手当の制度がある。通勤定期が無料、換言すれば遠くに住むほど年収が増えるという不自然な制度である。ここでは、この通勤定期・通勤手当が日本の都市、家庭、人材に及ぼす影響を考察する。 1.通勤定期・通勤手当は誰が負担しているか サラリーマンにとって通勤定期は無料である。そのコストは誰が負担しているのか。 まず通勤定期は切符の運賃から約半額を割引されている。本来、鉄道は設備産業なので朝夕の特定の時間帯に集中する通勤客にはピーク割増料金を課すのが合理的である。にもかかわらず現実には逆に大幅な値引きをしている。この不合理な値引きは、鉄道会社が負担している(総括原価方式により他の時間帯の乗客も負担している)。さらに鉄道会社の法人税の減少を通じて国家財政もこの値引き分の相当割合を負担している。 次に通勤定期をサラリーマンが購入すると、同額が勤務先の企業から通勤手当とし
1.日本の重国籍禁止規定 日本人が、日本国籍を失う場合があることをご存じだろうか。 2023年9月、最高裁は、外国籍を取得した場合の日本国籍の喪失の規定を憲法違反であるとする海外在住の日本人の訴えに対し、この規定は合憲だと判断して訴えを退けた(注1)。2019年には、日米の二重国籍者であるテニスの大坂なおみ選手が日本国籍選択届を提出したことも記憶に新しい(注2)。 国籍をめぐるこれらの事案は、日本で重国籍が認められないために、国際的に活躍する日本人を失うリスクを浮き彫りにした。重国籍とは複数の国籍を持つことで、出生による場合や、後から外国籍を取得する場合に生じる。出生による重国籍は、子供が生まれたときに、複数の国がそれぞれ国籍を与える要件(大別すれば、国民の子に国籍を与える「血統主義」と、国内で生まれた子に国籍を与える「生地主義」がある)に該当する場合に得られる。例えば、米国で生まれた日本
日本人は農業や農村から離れすぎた われわれは、農業、農家、農村を知らない。 標準的なコメ作には年間27日しかかからない。田植えは機械がやってくれる。50年前までは農村のいたるところで見かけた腰の曲がったおばあさんはもういない。まして“おしん”など、どこにもいない。それなのに、われわれは、いまだにコメ作は手間のかかる重労働だと思っている。 2022年エサの穀物価格が上昇して酪農経営が苦しいと報道されている。しかし、酪農家の平均所得は2014年に1千万円を超え、2015年から2020年まで1,600万円を上回り、2021年でも1,300万円だったこと(注1)は報道されない。この間に稼いだ巨額の利益は、どこにいったのだろうか?農業の中では最も低いコメ作農家の所得でさえも国民平均を上回る。1960年代に貧農層は消滅した。しかし、われわれは、農家は貧しくかわいそうだと思っている。 1970年の農村集
1 はじめに 内閣府が2024年2月に発表した各国の名目GDPでは、日本はドイツに追い抜かれた。かつて日本は米国に次ぐ世界第二位の経済大国だったが、2010年に中国に抜かれ、2024年ドイツに抜かれ、第四位になった。沈没する日本を象徴しているようだ。日本の労働生産性は、ポーランドや東欧・バルト海とほぼ同水準まで落ちている。 GDPは、国のなかで作り出される「付加価値」の合計である。付加価値を作り出すのは企業活動なので、日本企業は約30年間、作り出す付加価値がほとんど変わらなかったが、ドイツ企業が作る付加価値は増え続け、そして今般、その合計が日本を越えた。日本企業は約30年間、成長せず、現状維持を続けたということを意味している。 日本の若者は決して怠けている訳ではない。夜遅くまで残業し、必死で働いている。だが、企業が作り出す付加価値が一向に増えないのは、経営者の責任であり、行政・政治の責任で
パートタイム労働者が税や社会保険料負担を避けるために年収を抑える就労調整が注目されている。税や社会保険料がかかり始める「年収の壁」を超えないように労働時間を調整するため、時給を上げるとかえって労働供給が減ることがあり、雇用主を悩ませている。 就労調整をするのはサラリーマンの妻が多い。自身が勤め先の社会保険に入っていない人は、国民年金保険料と国民健康保険料を合わせて年間約30万円納めなければならない。だが年収130万円以下ならば、厚生年金加入者の配偶者は第3号被保険者として年金保険料を払うことなく国民年金に加入でき、扶養家族として追加的な保険料負担なく夫の加入する健康保険から給付を受けられる。 これらの社会保険料負担が免除される所得上限である「130万円の壁」のほかに、税負担の壁もある。 よく目にするのは、税制上の扶養家族から外れて所得税が課税される「103万円の壁」だ。実際には103万円を
「一国の経済成長と密接な関係があるのは、株価ではなく生産性上昇率である。2010年代も含めて日本を『失われた30年』と言うなら、米国も大局的には『失われた30年』であり、米国の方が途中で少し良い時期があっただけにすぎない」(門間一夫著『日本経済の見えない真実 低成長・低金利の「出口」はあるか』日経BP、2022年)。日本の生産性は低いという通説は正しいのか。ミクロの成長戦略とマクロ経済の成果はなぜかみ合わないのか。元日本銀行理事である門間一夫氏(みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社エグゼクティブエコノミスト)に、国内外の経済政策を洞察いただき、成長戦略の本質的な難しさについて解説いただいた。 日本経済の中長期的な問題と突破口を考えるとき、参考になるのが景気回復局面の特徴点を見ることです。アベノミクス景気と言われる2012年末から2018年は、過去の景気回復と比べて長さは2番目に長いですが
日本の研究力の低下、その一因として博士課程進学者の減少が指摘されている(科学技術・学術政策研究所, 2023)(注1)。そうした中、ここ数年、政府の「骨太方針」は、博士人材の育成や支援に言及している。特に2023年の「骨太方針」は、優秀な若者が博士を志す環境を実現するため、「博士課程学生の処遇向上、挑戦的な研究に専念できる環境の確保、博士号取得者が産業界等を含め幅広く活躍できるキャリアパス整備等」の支援を強化すると述べている(注2)。こうした動きを見ると、博士課程卒業者は労働市場において不遇な状況にあるという印象を受けるが、実際はどうなのだろうか? 高学歴者の賃金に関する研究 欧米では博士学位を持つ労働者の賃金に関する実証研究がいくつか存在し(e.g., Jaeger and Page, 1996; Walker and Zhu, 2011; Engbom and Moser, 2017)
このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 政策評価プログラム(第五期:2020〜2023年度) 「子育て世代や子供をめぐる諸制度や外的環境要因の影響評価」プロジェクト 1993年から2004年の長期不況期に労働市場に参入した世代を「就職氷河期世代」と呼ぶ。この就職氷河期世代とバブル景気の中で労働市場に参入した少し上の世代の間には、雇用や収入に大きな格差が生じていることが広く知られてきた。2010年代後半、就職氷河期世代が中高年と呼ばれる年齢に差し掛かっても、依然としてその上の世代よりも不安定な雇用形態にある割合
世界規模で異常気象が発生している。北米地域の熱波襲来、欧州地域での壊滅的な洪水、さらには中国を襲った「1000年に1度の大雨」など枚挙のいとまがない。 異常気象を引き起こしている共通の原因は偏西風の蛇行である。北米地域では偏西風が通常よりも極端に北上したことで南からの熱い空気が入り込んで異常な高温状態になり、欧州地域や中国では偏西風が南下したことで寒気がなだれ込み豪雨に見舞われた。偏西風とは、北半球の上空を西から東へ吹くジェット気流のことである。高気圧や低気圧の移動に大きな影響を与える偏西風が、このところ大きく蛇行するようになったのである。地球温暖化が原因との説があるが、そのメカニズムは不明である。 筆者は気象学の専門家ではないが、気になることがある。それは中国が人工的に雨を降らせるなどの気候改変プログラムを大々的に実施していることである。中国では7月1日、北京の天安門広場で中国共産党10
社会心理学者で文化功労者の山岸俊男氏がお亡くなりになった。彼が久々に連絡してきたのは数カ月前のことである。北海道に戻る直前だ。不治の病で残る日々は少ないと告げられた。筆者は真のインテレクチュアルである彼と学問の世界で個人的に出会え、同時代を共に生きられたことは心からの喜びであったことを告げた。山岸氏が真のインテレクチュアルなのは、単に深い知識や見識があるという意味の知識人ではなく、自らの研究を通して新たな知を生み出し、さらにはそれを思想にまで高めた数少ない知の巨人だからである。山岸氏は私の言葉を率直に喜び、実際にそうであるかはわからないがそうありたいと思って学者として生きてきたと語ってくれた。長寿化した現代社会で彼の死は早すぎるが、山岸氏は学者としてやり残したことはほとんどなく、悔いはないとのことであった。そのように言い切れる人生を歩みたいものである。 山岸氏は筆者とほぼ同世代であるだけで
このノンテクニカルサマリーは、分析結果を踏まえつつ、政策的含意を中心に大胆に記述したもので、DP・PDPの一部分ではありません。分析内容の詳細はDP・PDP本文をお読みください。また、ここに述べられている見解は執筆者個人の責任で発表するものであり、所属する組織および(独)経済産業研究所としての見解を示すものではありません。 融合領域プログラム(第五期:2020〜2023年度) 「先端技術と民主主義:技術の進展と人間社会の共生を目指して」プロジェクト 日本は民主主義国家の中で、タイ、フィリピン、アイスランドに次いで4番目に世襲政治家が多い国であると言われており、多くの世襲政治家が国政の場で活躍している。こうした世襲政治家がどのように誕生し、受け継がれているかについて、質的な分析を行った研究は多数あるものの、日本の世襲政治を有権者がどのように見ているかに焦点を当てた量的研究はほとんど存在してい
1 はじめに 2013年、オックスフォード大学のマイケル・オズボーンが発表した論文(Frey, C. B., & Osborne, M. A. (2013))は、世界に大きな衝撃を与えた。AIが導入されれば、47%の雇用が影響を受ける可能性があるとの試算結果を発表したからだ。日本では、AIが半分の雇用を奪う、などとショッキングな表現方法でメディアが取り上げ、AIは怖い技術だという印象が国民に広まった。これが、AIの技術開発になかなか予算と人がつかず、日本のAI技術が世界から大きく遅れる原因になったとも言われている。 この論文を契機にAIと雇用に関する研究ブームが巻き起こり、世界中で活発な研究成果の発表が相次いだ。日本では、メディアが依然として2013年のマイケル・オズボーンの発表だけを取り上げ、世界の研究の進捗を伝えることがなかった。やがて、一通りの発表が成されると研究ブームは下火となった
最近日本でもリスキリング(Re-skilling)という言葉をよく耳にするようになった。2018年のダボス会議(世界経済フォーラム年次会議)で導入された概念で、2020年のダボス会議ではさらに「リスキリング革命」という言葉も生み出された。いわゆる第四次産業革命の担い手となれる人材を再教育により生み出そうという試みをリスキリングという。岸田内閣の「新しい資本主義」でも、人材投資は最重要視される経済政策であり、経済産業省でも「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」(注1)を5年ほど前から発足させている。 経済にとって、人材投資が経済成長の要の1つであり、物理的資源に乏しい日本では、人的資本の生産性の向上が最重要と筆者も繰り返し主張してきた。だが日本の現状はその反対方向に向かっている。経済産業省の令和4年の報告『未来人材ビジョン』(注2)によると「人材投資(OJT以外)」を行っている企業割合の国
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