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今年の「かわいい」
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沖縄科学技術大学院大学(OIST)の量子マシンユニットは、物理的な接触や機械的な支えなしに安定した位置で浮遊し続ける物質、浮遊材料の研究を行っています。物質を浮遊させるために最も一般的なのは磁場によるものです。超伝導体や反磁性体(磁場によって反発する物質)などの物体を磁石の上に浮かせることで、科学的にも日常的にも様々な用途で使える高度なセンサーの開発が可能となります。 量子マシンユニットを率いるジェイソン・トゥワムリー教授をはじめとするOISTの研究者と、国際共同研究者のチームは、グラファイト(石墨、黒鉛)と磁石を用いて、真空中に浮遊するプラットフォームを設計しました。驚くことに、この浮遊プラットフォームは外部電源に頼ることなく動作します。将来的には、高精度で高効率な測定が可能な超高感度センサーの開発に役立ちます。この研究成果は、学術誌『Applied Physics Letters』に掲
量子力学は、原子や分子といった非常に小さな粒子の性質や相互作用を探求する物理学の一分野です。量子力学の進展により、従来よりも強力で効率的な新技術が開発され、コンピュータや通信、エネルギーなどの分野に画期的な進歩をもたらしています。 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の量子システム研究ユニットの研究チームは、ドイツのカイザースラウテルン・ランダウ大学やシュトゥットガルト大学の研究チームと共同で、量子力学の原理を利用した、極小のエンジンを設計・製作しました。 研究では、これまでの燃料を燃焼させる方法によってではなく、量子力学の原理を利用して動力を生み出すエンジンを開発しました。今回の研究論文は、OISTの博士課程学生キールティ・メノンさん、エロイサ・クエスタス博士、トーマス・フォガティー博士、トーマス・ブッシュ教授の共著によるもので、英国の科学誌「ネイチャー」に掲載されました。 自動車に搭載さ
ノーベル賞選考委員会は、マックス・プランク進化人類学研究所所長で、OISTの教授(アジャンクト)も務めるスバンテ・ペーボ教授が、「絶滅したヒト科のゲノムと人類の進化に関する発見」により大きな貢献をしたとして、2022年のノーベル生理学・医学賞を授与することを発表しました。 この栄誉ある賞は、カロリンスカ研究所で日本時間10月3日に発表されました。 ペーボ教授は人類の進化とゲノムに関するいくつかの画期的な研究において高い成果を上げ、古遺伝学という新しい学問分野の確立に貢献しました。 ペーボ教授は、人類の祖先であるホモ・サピエンスと共存していた絶滅種ネアンデルタール人のDNA配列の解読に初めて成功し、後に全ゲノムの解読に成功しました。 また、2008年にシベリアの洞窟で発見された古代人の指の骨のDNAから、これまで知られていなかった絶滅したヒト科の一種「デニソワ人」を特定し、人類の歴史に大きな
しかし、養殖によって、この課題を克服できる可能性があります。沖縄科学技術大学院大学(OIST)のジョナサン・ミラー教授率いる物理生物学ユニットの研究チームは、商業化の可能性を秘めたツツイカの飼育システムを初めて開発しました。ツツイカは、攻撃的な行動を取り、流れに敏感であるほか、餌の好みやライフサイクルが複雑であることなどが原因で、これまでに適切な手法で養殖に成功した例はありませんでした。 同研究ユニットにおいてツツイカの飼育を担当しているズデニェク・ライブネル博士は、次のように述べています。「一般に、養殖は容易にできることだと思われていますが、実はとても難しいのです。例えば、ニホンウナギとマグロは、海洋科学者たちが何十年にもわたって養殖の開発を試みてきましたが、どちらもまだ大部分を天然物に頼っています。」 ツツイカの養殖に向けた取り組みも過去60年間行われてきましたが、目覚ましい成果には至
本研究のポイント マンダリン類に属する柑橘類は、農産品として経済的に重要な価値を持っているが、種の多様化の過程については謎であった。 研究チームは、東アジアの品種のゲノムを解析し、これまで多様性の中心として知られていた中国南部の山岳地帯に加えて、琉球列島にも豊かな多様性の中心があることを発見した。 沖縄の在来種が、約200万年前に琉球列島がアジア大陸から切り離された際に誕生した新種であることを発見した。 沖縄のシークヮーサーや本州のタチバナなどの柑橘類は、今回新種であることを発見した野生種とアジア大陸の異なる品種との交配種である。 本研究成果は、望ましい特性をもつ交配種の開発につながる可能性があり、商業的にも意義が大きい。 プレスリリース マンダリン類に属する柑橘類は、美味しく健康にも良いという特性から、世界中で食されています。日本では、小さなシークヮーサーや観賞用のタチバナは、食用として
ポイント 「ポケモンGO」に登場するポケモン「ガルーラ」は、オーストラリア限定のポケモン。ポケモントレーナーは、彼らその「ガルーラ」を密猟してバトルで戦わせることがよくある。 本研究では、実際の研究で使われるいくつかの種分布モデルのアルゴリズムを用い、既存の人為的影響に加えて気候変動が起こると、将来的にガルーラの分布にどのような影響が出るかを予測した。 本研究はゲームに登場する架空の生物ガルーラを扱ったものではあるが、実際の研究で一般的に使用されている種分布モデルの偏りを測定する方法を発見し、一部のモデルでは、結果がデータにまったく影響されないほど偏っていることがわかった。 この結果を過去に発表された数百種のオーストラリアの哺乳類のモデルと比較したところ、同様の偏りがあることがわかった。 本研究により、一般的な種分布モデルに存在する具体的な問題点が浮き彫りになり、将来的に種分布モデルを改良
ネアンデルタール人から受け継がれた遺伝的変異体が新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを低減 ネアンデルタール人から現代人に受け継がれたDNAの変異体がSARS-CoV-2に対する抵抗力の変化に影響することが新たな研究で明らかになりました。本研究は 米国科学アカデミー紀要 (PNAS)に掲載されました。 ポイント 新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを約20%低下させる遺伝子群がネアンデルタール人から受け継がれたものであることが判明 この遺伝子群は、12番染色体上にあり、侵入するウイルスの遺伝子破壊を助ける重要な役割を果たす酵素をコードしている。 この遺伝子群のネアンデルタール人の遺伝的変異体が生産する酵素が新型コロナウイルス感染症の重症化を予防する効果があることを示唆 この遺伝的変異体が、現代人とネアンデルタール人の交雑によって約6万年前にヒトに引き継がれた 遺伝的変異体は、過去1,0
アンドリュー・ロブ准教授は、2019年10月、客員数学教授プログラムに参加するため、沖縄科学技術大学院大学(OIST)にやって来ました。このプログラムは、有望な数学者を半年間OISTに招聘し、シンポジウムの開催や研究への貢献を目的としています。ただしこの時、ロブ准教授は、世界的な新型コロナパンデミックの影響で、本島での滞在期間が数ヶ月延長されるとは知らずにいました。 それでも、日本の亜熱帯地帯で封鎖期間中に過ごした数ヶ月間は、ロブ准教授にとっては無駄になりませんでした。ボストン大学のジョシュア・グリーン教授との共同研究を通じ、ロブ准教授は100年以上も未解決のままだった数学的問題、「どんなに滑らかなループに対しても、その中に収まる長方形は存在するか?」に着目しました。 オックスフォード大学で数学の修士号を取得し、ハーバード大学で博士号を取得したロブ准教授は、3次元および4次元空間のトポロジ
新型ウイルスSARS-CoV-2は、2019年末に初めて確認されてから、感染した人々にさまざまな影響を与えています。このウイルスが引き起こす新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症すると、重症化して入院が必要になる人がいる一方で、症状が軽い人や無症状で済む人もいます。 年齢や持病の有無など、重篤な反応を起こしやすいかどうかに影響を与える要因はいくつかあります。遺伝的要因も影響を与えることがわかっており、数ヶ月前に発表されたCOVID-19ホストジェネティクスイニシアチブによる研究では、3番染色体のある領域の遺伝子多様体(バリアント)が、重症化リスクを高めることが示されました。 そしてこの度、国際科学雑誌ネイチャー誌に掲載された新たな研究では、この遺伝子領域が南欧で発見された5万年前のネアンデルタール人のものとほぼ同じであることがわかりました。さらなる解析で、これらのバリアントは約
4万年前までは、私たちはこの地球上で唯一の人類というわけではありませんでした。ヨーロッパの大草原地帯ではネアンデルタール人が歩き回り、デニソワ人はアジア中に広がっていました。インドネシアには小型の人類「ホビット」が、アフリカには他に少なくとも3種のヒト族が存在していたのです。これらの初期人類は多くの点で現代人と似ていたことがわかっています。彼らは比較的大きな脳を持ち、狩猟採集社会に住み、火を使うことができました。その後、現生人類が地球全体に広がったのと時を同じくして、他の人類種はほぼ一斉に姿を消しました。その結果、3~4万年前から現在までは、私たちが唯一の人類種として存在してきましたが、それは、歴史の中では非常に特殊な期間といえるでしょう。 いえいえ、私たちは完全に唯一の人類だったわけではないようです。沖縄科学技術大学院大学(OIST)に新しく着任したスバンテ・ペーボ教授がこれまでに発見し
私たちヒトを含む脊椎動物は、これまで脊索動物※1門の一員である亜門とされてきましたが、このたび最新の研究成果をもとに、新たに動物門として扱うことが沖縄科学技術大学院大学の佐藤矩行教授と東邦大学理学部の西川輝昭教授らによって提唱されました(図1)。本研究は動物の系統分類体系の教科書を書き改める成果として、この分野で権威のある学術論文誌 Proceedings of Royal Society B(英国王立協会紀要、シリーズB)電子版に9月17日付けで発表されました。 地球温暖化などの環境変化により、多種多様な生物の多くの生命が危機にさらされています。多くの生物との共存を計りつつどのように生きていくのかが、現在我々人間に課された大きな問題の一つですが、そのためには、どれだけ多様な生物がどのように暮らしているかを良く理解する必要があります。そのための方法が、18世紀にカール・フォン・リンネ※2に
注意欠如多動症(ADHD)を持つ日本人の子どもたちは、ADHDを持たない子どもたちよりも罰に対しての感受性が高いと、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究で報告されました。調査結果は、米国とニュージーランドの児童を対象とした研究結果を日本で再現したものであり、ADHDを持つ子どもたちにおける共通の特徴が示されました。本研究結果は、ADHDの症状に対処する際にも意味あるものとなるでしょう。 ADHDの子どもたちの研究は西洋諸国以外ではあまり行われていません。ですから、文化的規範がどのようにADHDの症状に影響するかについては、研究者もまだほとんど知りません。OIST研究チームは、ADHD Attention Deficit and Hyperactivity Disordersの論文の中で、ADHDに対処する手法として特に西洋諸国のアプローチが世界的に取り入れられている中、西洋諸国以外の文
透き通るクラゲ、色とりどりのサンゴ、海底でたゆたうイソギンチャク。見た目は全く異なりますが、これらはすべて動物の系統樹の中で同じ部類に属しています。実は、クラゲも成長の初期段階では、サンゴやイソギンチャクのように海底に固着しています。この度、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究者たちは、クラゲが固着の段階を卒業し、海中へと泳ぎ出すための遺伝子群を突き止めました。 クラゲは成長の初期段階において、幼生からポリプに変態します。ポリプは動かず、花の茎のような構造で、海底の堆積物に付着します。イソギンチャクとサンゴはこのポリプの状態で一生を過ごすため、ギリシャ語で「花の動物」を意味するanthozoa(和名:花虫網)と呼ばれます。これに対し、クラゲは花虫網には属さず、ポリプ世代からクラゲ世代に変態し、なじみのある、発光するベル型の姿に変わります。 年4月15日発行(日本時間4月16日)のNat
OISTにおけるハラスメント等に関する一部報道について 3月30日付一部報道に、本学における職場環境について匿名の調査アンケートが実施され、本学に広く不満とハラスメントが存在とする記事が掲載されましたが、当該アンケートは本学によって公式に実施されたものではないこと、また、本学はいかなる形のハラスメントも許容しないということを明確にしたいと考えます。 3月30日付沖縄タイムス紙に、本学における職場環境について匿名の調査アンケートが実施され、本学に広く不満とハラスメントが存在とする記事が掲載されましたが、当該アンケートは本学によって公式に実施されたものではないこと、また、本学はいかなる形のハラスメントも許容しないということを明確にしたいと考えます。 当該報道で指摘されているとおり、この非公式アンケートの回答数はごく限られており、本学の在籍職員及び元職員1700名以上のうち、僅か78名の回答によ
概要 沖縄科学技術大学院大学(OIST、沖縄県恩納村、学長ピーター・グルース)は、沖縄県恩納村漁業協同組合と共同で、沖縄県を代表する食用海藻である、海ぶどう(標準和名・クビレズタ)の全ゲノム解読に成功しました。海ぶどうは長さ10〜20cmにもなる緑藻の一種ですが、実は、沢山の核を含むたった1個の細胞でできている、生物の体作りという観点からとても不思議な生物です。この度、研究チームはこの巨大な単細胞海藻のゲノム解読に世界で初めて挑みました。 その結果、海ぶどうのゲノムのサイズは、養殖・栽培されている農水産物の中でも最小クラスの2,800万塩基対で、遺伝子の数もわずか9,000ほどであることが明らかになりました(※1 )。また、海ぶどうは野菜や果物などの陸上植物とは全く別の生物であるものの、成長に関しては類似した遺伝子が関わっている可能性が示唆されました。 本研究によって解読されたゲノム情報を
Okinawan Sea Grapes Reveal Secrets of Plant Evolution Scientists decoded the genome of the popular Okinawan seaweed “umi-budo” or “sea grapes,” which could help ease the crop’s cultivation and address environmental issues caused by the invasive spread of related species. If you’ve ever dined on the tropical island of Okinawa, Japan, your plate may have been graced by a remarkable pile of seaweed,
世界保健機関(WHO)によると、世界中で約3億人近くの人々がうつ病に罹患しており、しかもこの割合は上昇傾向にあります。しかしながら、この疾患を引き起こす原因については、まだ多くが未解明で、一般的な抗うつ薬が効かない患者もいます。 この度、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の神経計算ユニットの研究者らは、奈良先端科学技術大学院大学の研究者と広島大学の臨床研究医との共同研究で、うつ病の3つのサブタイプを同定することに成功しました。さらに、これらのサブタイプのうちの1つが、最も一般的に処方される抗うつ剤である選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)による治療が難しいことを発見しました。本研究はScientific Reports誌に掲載されました。 セロトニンは、私たちの精神状態や、睡眠パターン、記憶などに影響を及ぼす神経伝達物質です。SSRIは、脳内のセロトニンレベルを高めることで効果を表
科学が非常に複雑であることは誰も否定しません。 しかし複雑であるからといって、一部の選ばれた人たちのみが科学的な概念を把握できるということではありません。 近年、科学発展のプロセスに一般の人々が興味を持ち参加できるように、また科学的データへのアクセスを広げることに多くの努力がなされています。同様の目的で、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の科学者たちは最近、Frontiers for Young Mindsという非常に珍しい学術誌に注意欠如・多動症(ADHD)についての研究を発表しました。本学術誌は、小学校から中学校の生徒を主な読者とする電子ジャーナルです。 さらに生徒たちは、提出された論文の内容が適切であるかどうかを確認する査読のプロセスにも携わっています。査読は、権威ある科学誌には欠かせないものです。 この度、米国カリフォルニア州にあるシャボー宇宙科学センターにおいて、12歳から15歳
1960年代、タスマン海に位置し、周りを海で囲まれた小さな火山性の岩柱であるボールズ・ピラミッドへ向かったロッククライミングの一団が、ある生物の生き残りに関する驚くべき物語の始まりともいえる重要な発見をしました。それは、およそ30年前に絶滅したと考えられていた、ロードハウナナフシと思われる生き物の新しい死骸でした。1918年に、ロード・ハウ島の近海で難破した船からクマネズミが侵入して島の生態系に影響を及ぼしたため、ロードハウナナフシはこの島から消えてしまったのです。島には固有の陸生哺乳類が存在していなかったことから、クマネズミは、ナナフシを絶滅に追い込んだばかりか、鳥類5種と12種のその他の昆虫を一掃したのです。このときの一団による発見後、2001年にボールズ・ピラミッドの調査が行われ、海抜65メートルの段丘の頂上に生育していた一本のフトモモ科ティーツリーの木を常食とする、複数の生きたナナ
概要 沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究員らは、米国ニュージャージー州ラトガース大学と共同で、小惑星イトカワの表面の岩や砂礫(砂や小石)がふるいわけられる仕組みを研究しました。その結果、これまで謎とされていたイトカワの特殊な地形が、小さな砂礫が大きな岩にぶつかると大きく跳ね返り、砂礫の多い場所では砂礫の中に沈み込むためにできているという説を提示し、これを「反跳選別(はんちょうせんべつ)現象 (ballistic sorting)」と名付けました。 科学誌 Physical Review Letters に掲載された本研究成果は、小惑星の形成とその変遷についての理解をより深め、太陽系に関する研究を進めるための好機をもたらしたと言えます。 研究の背景と経緯 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した小惑星探査機「はやぶさ」が、2005年に地球近傍小惑星イトカワに到着しました。ロケット開発
まだ来ぬ報酬を待ち続けるにはセロトニン神経活動が必要 諦めやすい人と辛抱強い人との間には脳内メカニズムにどのような違いがあるのでしょうか?これまでOIST神経計算ユニットでは、脳内の神経伝達物質であるセロトニンと辛抱強く待つことの間に関わりがあることを示してきましたが、明確な因果関係があるかどうかは謎でした。この度、セロトニン神経細胞の活動を抑制すると、予測される報酬を待つことを諦めやすくなることが明らかになりました。 私たちの日常生活において、良い結果を得るためには辛抱強く待つことが必要なことがあります。例えば、「遊園地で魅力的な乗り物に乗るために長蛇の列に並ぶ」ことや「流星群を見るために首が痛くても夜空を見上げ続ける」ことがこれにあたり、人は辛抱強く待てば将来的に報酬が得られると予測される時、その価値に応じてどれほどの待ち時間に耐えるかを決定しています。では、諦めやすい人と辛抱強い人と
概要 沖縄科学技術大学院大学(OIST)マリンゲノミックスユニットの安岡有理研究員らは、サンゴの卵を用いた遺伝子操作実験に成功し、ヒトを含む動物の体づくりの進化における謎をまたひとつ明らかにしました。 ポイント: サンゴの受精卵を用いた世界初の遺伝子機能解析 サンゴの産卵は一年に一回しか行われない上に、産卵予想は大変難しく、入手が困難です(図1)。さらに、直径1mm以下という小さな卵における遺伝子操作は、高い技術が必要となります。 遺伝子「ブラキュリー」(brachyury)の働きの解明 脊椎動物の骨や筋肉の基になる「中胚葉」と呼ばれる細胞を作り出すのに必須の遺伝子「ブラキュリー」が、我々と遥か昔に枝分かれした刺胞動物(※1)のサンゴでは、口を作るのに必要であることが明らかになりました。 脊椎動物の進化の過程における未解決問題への解答 原始的な動物であるサンゴにおいて、ブラキュリーが果たす
子供達は、成功と失敗を繰り返して成長し、それは簡単なことではありません。時には、どのような行動が成功につながり、どのような行動が失敗につながるか明白でないこともあります。そのため、親や教師などは、児童の行動に対し、褒めたり、注意をしたりなど様々なフィードバックを与え、子供たちの成長を助けるのです。基本的には、私たちは報酬を得られる行動を繰り返し、罰を受ける行動を避けます。しかし、好結果をもたらす行動を選択することが難しいことも少なくありません。 注意欠如・多動性障害(ADHD)を持つ児童は、そうでない児童に比べ、叱責される頻度が高い傾向があります。ADHDを持つ児童は、集中の持続が困難であったり、落ち着かない様子をみせたり、衝動的な行動をとることがあるため、親や教師、友人と関わる中で、問題に繋がることが多いからです。それゆえに、ADHDを持つ児童における罰の影響を理解することが重要なのです
量子力学の世界では、古典物理の世界を構成する中性子、電子、光子といった微粒子について、一つ一つの粒子か、少数の粒子が研究されています。というのも、超微小な世界では、粒子が全く異なる振る舞いをするためです。ですが、研究されている粒子の数を増やしていけば、最終的にもはや自動的に量子として振舞うことをしない数の粒子となり、私たちの日々の世界と同じような古典物理学のものとなります。では、量子力学の世界と古典物理学の世界の境界線というのはどこにあるのでしょう。この度、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究チームは、この問題への解答を探る過程で、量子力学の現象と考えられていたものが古典物理学で説明できることを示しました。本研究結果はPhysical Review Lettersに報告されました。 OISTの量子ダイナミクスユニットのリーダーで、論文著者のデニス・コンスタンチノフ准教授は次のように説明
「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」のドラゴンが、生きた虫の姿で現実界に現れました。特徴的な大きなトゲがあり、ドラゴンのように見える新種アリが、パプアニューギニアの熱帯雨林で見つかったのです。ドラゴンのように口から火を吹くことはできませんが、この独特なトゲのあるアリの姿が、米TVドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作であるファンタジー小説に登場するドラゴンを科学者たちに想起させ、そのドラゴンに因んだ学名が付けられました。 OIST研究チームのエヴァン・エコノモ教授、ジョージ・フィッシャー博士、イーライ・サーナット博士は、複数の新種アリを記載、その際、最新の3Dイメージング技術を使用してその特徴を記述しました。その研究成果は、PLOS ONE 誌に2つの論文として発表されました。 新種の生物を特定し、記述し、命名する工程は分類学と呼ばれ、生物学では最も歴史が古く、
本年度の「Faculty Excellence in Mentoring Award最優秀メンタリング賞」を受賞したパオラ・ラウリーノ准教授は、すべての生命に不可欠な「酵素」と呼ばれるタンパク質群の構造、機能、進化の研究を行っています。
骨が無く、3つの心臓をもち、約5億個の神経細胞のほとんどが8本の長い腕(触腕)に局在している生き物を想像してみてください。ギリシャ神話に登場する怪物ヒドラのように腕を再生することができ、それぞれの腕は独立して動きます。また腕の筋肉を硬直させると、一時的に肘や肩に変化させることもできます。さらにこの生き物は、変幻自在な擬態(カモフラージュ)能力と自分の巣を獲物の残骸で装飾する習性を持っています。 これらの奇妙な特徴をもつ生き物―それがタコです。ヒトが脊椎動物の進化の頂点だとすれば、無脊椎動物の中でその対極にあたるのが、最も高い知能を持つとされているタコです。タコはイカなどとともに頭足類※1に分類され、その祖先は巻貝に似た動きが遅い体の軟らかい生き物ですが、現在は活発で巧みな捕食動物として知られます。現代の巻貝やカキ、その他の軟体動物も同じ祖先を持つ動物ですが、どうやらタコだけが並外れた能力を
種が交尾せずにその種を生存させることは、自然の法則に反するように思われます。ところが進化は、長い年月をかけ、自身のクローンをつくり、雄なしでも子孫を永存させる能力を、両生類、爬虫類および魚類の特定種の雌に授けてきました。沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究者たちは、雌が雄なしで子孫をつくる能力を比較的最近進化させた種において、今もなお、受精は最大数の健康な子孫を残すことを確実にするために行われ、雄がまだ必要とされていることを明らかにしました。本研究はThe Science of Nature電子版に掲載されました。 雌が価値ある雄を見つける必要がなくなった時、種は厳しい環境の中でその数をより迅速に増やすことができます。その能力は、性比の不一致のため、または雄の不足時に生き残ることを確実にするために、特定種において単独で生じたものと科学者たちは推測しています。今やこうした種の多くは、完全
注意欠如多動性障害(ADHD)の神経生物学的原因を解明することが、より効果的な新しい治療法につながり、この障害をもつ人たちの助けになる ― OIST発達神経生物学ユニットに所属する古川絵美研究員は、これを目標として研究に励んでいます。オンラインジャーナルプロス・ワン(PLOS ONE)に先頃発表された論文は、その研究成果の一つであり、ADHDの障害に関係する脳内メカニズムの理解を深めるものです。この論文の基となった研究は、OISTの古川研究員、ゲイル・トリップ教授、ジェフ・ウィッケンス教授に加え、リオデジャネイロにあるドール研究教育施設(D’Or Institute of Research and Education、IDOR)のジョージ・モール博士とパウロ・マトス博士をはじめとする研究チームのメンバーが、それぞれの専門的知識を結集し、実現させました。つまり、本研究成果は、精神医学、神経画
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