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心理療法家の4人に1人は過去世への退行を信じており,催眠を利用することで患者を生まれる前の,前世にまで戻らせることができると信じている。本人は知らないはずの生まれる以前の人生について催眠状態の患者が詳しく話し,その内容が後の調査によって確かめられたような劇的な出来事に出会うことで,心理療法家は自分の考えが間違っていないのだと確信を深めている。もっとも印象的な出来事は,カーディフの催眠療法士が手がけた,ウェールズの主婦ジェーン・エヴァンスについての記録テープだ。どうやら彼女には6つの前世があり,それぞれについて語られた内容は細部にわたるもので,鮮明で説得力があった。 どれについても同じポイントが指摘できるのだが,ここではその1つだけを紹介しよう。前世のエヴァンスは,リヴォニアという名前の女性で,ローマ帝国時代に大ブリテン島を支配していた皇帝の息子に家庭教師をしていたタイタスという人物の妻だっ
心理学のしの字も知らなかった学生たちに心理学を教えるときには,あまり驚かせてはいけない。だが中には,よく効く驚きもある。学生には,驚くべき統計的事実を示しても何も学ばない。だが驚くべき事例(あんなに感じのよい2人が助けに行かなかった)には反応し,ただちにそれを一般化して,助けは自分たちが考えていたより難しいのだと推論することができた。ニスベットとボージダは,この結果印象的な表現でまとめている。 「被験者は全体から個を推論することには不熱心だが,まさにそれと釣り合うように,個から全体を推論することには熱心である」 これはきわめて重要な結論である。人間の行動について驚くべき統計的事実を知った人は,友人に話して回る程度には感銘を受けるかもしれないが,自分の世界観がそれで変わるわけではない。だが,心理学を学んだかどうかの真のテストとなるのは,単に新たな知識が増えたかどうかではなくて,遭遇する状況の
「ふつうの人は,脳の潜在能力を10パーセントしか使っていない」この項目には,回答者の72パーセントがイエスと答えた。広告や自己啓発書の喜劇のネタに使われやすいこの不思議な説は,かなり前から信じられており,その出所を探る有名な研究をおこなった心理学者もいる。ここには,可能性の錯覚がもっとも純粋な形で示されている。私たちが,脳を10パーセントしか使っていないとしたら。使い方を知らないだけで,90パーセントの能力がまだ眠っていることになる。だがこの信仰には,問題が多すぎる。第1に,人の「脳の潜在能力」を計測する方法も,その能力のうち個人がどれくらい使っているかを計測する方法も,知られていない。第2に,どんなたぐいの活動であれ,長いあいだ働いていないと脳組織は死んでしまう。そこで,もし私たちが脳の10パーセントしか使っていない場合,奇跡の蘇生や脳移植がない限り,その割合を増やせる可能性はない。最後
後知恵は次のようなバイアスを生む。 ・因果関係を簡略化しすぎる(「これがあれにつながった」と)。なぜなら,私たちは結果と理由からさかのぼって,一見それらしい原因を推定することができるからである。 ・結果の見込み(とそれを予見する能力)を過大評価する。なぜなら,私たちはすでに自分の手の中に結果をつかんでいるからである。 ・規則や手続きに対する「違反」を過大評価する。マニュアルと実際の活動の間には,常にギャップがある(そしてこれはめったにトラブルにつながらない)のだが,私たちが悪い結果を見てから振り返って理由を考えると,そのギャップは重大な原因とみなされる。 ・当事者に与えられた情報の,その時点での重要性,関連性を誤判断する。 ・結果の前に行った行動と結果とをつり合わせる。もし結果が悪ければ,それをもたらした行動も悪いものだったに違いないと考える。すなわち,チャンスを逃した,見通しが悪かった,
読んだ本から個人的に惹かれた部分を抜き出します。心理学およびその周辺領域を中心としています。 このBlogの主な目的は,自分の勉強と,出典情報付きの情報をネット上に残すことにあります。書誌情報が示されていますので,気になった一節が見つかったら,ぜひ出典元となった書籍をお読みください。
もう20年以上もまえに僕が見出した法則の一つに,「悩んでいる人は,解決方法を知らないのではなく,それを知っていてもやりたくないだけだ」というものがある。方々で何度も書いたり話したりしている。 悩んでいる人を揶揄しているのではない。人間というものは,自分のことを一番よく考えている。貴方のことを一番考えているのは貴方なのだ。これは例外なくすべての人に当てはまることだろう。 どうすれば良いのかは,わっているけれど,その方法を素直に選択できない状況下にある。だから悩むのである。 解決の方法がないわけではない,というのが,この法則の意味だ。道に迷っているのではない。道は目の前にあるけれど,なんらかの理由でその道を通りたくないのである。 森博嗣 (2009). 自由をつくる 自在に生きる 集英社 p.109 Tweet
1950年代末に,人里離れたシベリアのノボシビルスクという町で,ドミートリイ・ベリャーエフは40年にわたって続く実験を開始した。遺伝学を修めていたベリャーエフは家畜化のプロセスを再現することに関心を寄せ,犬と非常に近いが家畜化はされていない種で,それをやってみることにした。選ばれたのはギンギツネである。実験はベリャーエフの死後も続き,15年後の1999年までに,研究グループは4万5000匹のキツネを繁殖させ,30世代以上にわたる交配の結果,100匹ほどの人なつっこいキツネを生み出していた。リュドミラ・トルットによれば,この「家畜化された少数精鋭(エリート)」のキツネは尻尾を振り,甘えるように鳴き,「積極的に人間との接触を確立しようと,くんくん鳴いて人の関心を引いたり,実験者に対してにおいを嗅いだりなめたりと,イヌのようなことをする」という。 だが,この前例のない繁殖計画がもたらした結果は,
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