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今年の「#文学」
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アトリエ倉庫と音楽スタジオを希望サウンドデザイナーの甘糟亮さんと美術装飾家のユリさんが昨年新築した家は、シルバーの細長い箱型の建物から三角形に突き出たテラスが印象的。そのユニークな外観に足を止める人も多く、「何屋さんですか?」と訊かれることもあるという。 お2人が求めたのは、“窓のない倉庫のような家”。映像制作の現場を中心に活躍するユリさんは、大量の物を収納できるスペースが必要不可欠だったと話す。 「フリーランスで仕事をしているので、例えば、“女の子の部屋”“オフィス”“病院”といったさまざまなシチュエーションで使用する基本的なアイテムは常に用意してあり、作品によってさらに加えたりアレンジしたりしています。そのため、その膨大なアイテムたちを収納できる倉庫が必要でした。また、撮影に使用する物をトンカチやドリルを使って製作したり、塗装したりすることもあります。近所の目を気にせず、深夜でもいつで
ジャングルの奥にひっそりと 湘南の海が望める稲村ケ崎の閑静なエリア。「海のそばで暮らしたい」とずっと思っていた池田さん夫妻は、ふらりと散歩に訪れた際この土地に出会う。 「鎌倉の中でも田舎っぽさが残っているところが気に入りました。それまでは都心のマンションに暮らしていたので、がらりと環境が変わりましたね」と妻の麻里奈さん。 ユッカの木などが茂る、アリゾナをイメージしたというエントランス。芝生の中の小径の奥に、ウッドデッキのあるベイスギの外壁の家が建つ。 「うっそうと茂ったジャングルの奥に家がある。そんな雰囲気にしたかったんです」というのは、夫の紀行さん。敷地は150坪。広々とした庭にはガレージやDIYの作業部屋、アウトドアグッズなどを収めた小屋、ピザ窯などが点在する。 「サーフィンはもちろん、箱根までサイクリングしたりしてアウトドアを楽しんでいます。以前はあまり縁がなかったのですが、ここに引
この周辺は一区画がゆったりと大きく、いわゆる住宅密集地とは違う雰囲気があったので気に入って購入したという伊藤邸の敷地は73坪。前面道路が広いのもポイントだったそうだ。 広めの敷地が購入できたので平屋にしたいと思ったという伊藤さん。「今までずっとマンション暮らしだったこともあって、家族がいるかいないかがわかる空間で生活をしたいという気持ちがありました。たまたま広い土地を買うことができたので平屋にしたいという要望を出しました」
中央線文化がいいと思って沿線で土地を探したという高橋さん。ゼネコンに勤務しながら“座二郎”というペンネームで漫画家としても活動している。高橋さんが「中央線の北側で西武線との間」で見つけたのは「安くて小さい土地」だった。 「最初は既存の古家をリニューアルしようと思っていたんですが、容積率が6割くらいオーバーしていてローンが下りなかった。では新築しようとなったんですが、容積率・建ぺい率通りに建てるとあまりにも狭くなってしまう。それで、半分冗談でリビングを外にして“こんなふうにすればつくれるけど”って絵を描いたら、奥さんが乗り気になってしまって」 その案は中庭部分をリビングにして大きく取り、かつ豊かな空間にして、残りはなるべくコンパクトに収めるというものだった。 「その一番最初の絵には、道路側に奥行きの浅い収納をつくってその中にテレビとかを収めている様がすでに描きこまれていました。リビングの機能
私たちの暮らしに欠かせない存在となったコンビニエンスストア。時代が進むにつれ、商品やサービスも多様化している。今回は独自のコンセプトで注目を集める新しいコンビニを紹介。前編は渋谷の「TRUNK(STORE)」へ。 今年5月、渋谷のキャットストリート近くに誕生した「TRUNK(HOTEL)」は日本初の「ソーシャライジングホテル」として国内外で高い注目を集めている施設だ。ソーシャライジングとは等身大の社会貢献を指す言葉で、客室のアメニティや施設内の什器などにリサイクルやアップサイクル商品を採用するほか、障がい者支援団体やLGBT団体と共同で作られているアイテム、地域企業の商品を扱うことで、利用客がおのずと社会貢献ができるという仕組みをとっている。施設内には全15室の客室やイベントスペース、メインダイニングやラウンジ、串焼き屋を有しており、宿泊だけでなく一般客にも利用しやすい環境を整えている。中
100%LiFE を見て依頼 4年半ほど前に、この100%LiFEのサイトにアップされた紹介記事が気に入り、その住宅を設計した若原アトリエに依頼した巻川夫妻。空間の光の質や、シンプルなデザインの中に開口部の格子などこだわってつくり込んだ部分が程よい感じで納まっているところなどに惹かれたという。 自分たちと「感覚が合う」と見込んでの依頼だったため建築家へのリクエストは多くなかったが、こだわったうちのひとつが木の材質で、無垢材を希望。紹介記事の住宅のフローリングにはパイン材が使用されていたが、夫妻はタモ材やナラ材を使ってほしいと伝えたという。 壁とともに、空間に落ち着いた雰囲気をもたらしているフローリングにはナラを採用し、1階リビングに設けられた大きな開口部の枠材とルーバーにはタモ材が使われた。 「窓というよりは置き家具」(若原アトリエ・永峰さん)のような存在感をもつこの枠材・ルーバーは、最初
築60年のアパートを改修 都心に近い場所で土地を探していたという建築家の元松直治さん。建売り住宅の設計依頼のあった市ヶ谷の敷地が気に入って購入。敷地には築60年の2階建てアパートが建っていたが、これをリノベーションして夫婦2人で住むことにした。 建て直すことも考えられたが、その場合、3階建てにしても既存の建物より小さくなってしまう。そこで、躯体をそのまま利用して改修することにしたという。 改修は自ら手がけることを決めていたが、当時住んでいた家の家賃と土地購入費のローンとで支払いが二重になるため、取りあえず引っ越しをすることに。そして、朝起きたらすぐ工事に取りかかるという日々が始まった。 スケール感が絶妙で、かつ無駄に余ったような空間がまったくない。「デッドスペースが極力ない空間にしたかった」(元松さん)という。正面の開口上の小さなスペースも活用して棚を設置している。 奥さんからのリクエスト
庭のある暮らしがしたい ディンプル建築設計事務所の代表を務める堀泰彰さんと、セールス・キュレーターの仕事をする薫さん。神楽坂の賃貸マンションに暮らしていた夫妻は、そろそろ家を購入しようかと考えた際、中古マンションを購入してリノベーションするつもりだったという。泰彰さんは「コスト面で新築は考えていませんでした。また、建築家という仕事柄リノベーションを手がけることも多いので、自宅もリノベーションで自分たちらしい空間にしたいと思いました」と話す。 そこで中古マンションを何軒か見てみたが、ピンと来るものがなかったという。「購入という視点から改めて見てみると、庭がほしいなと思いました」(泰彰さん)。薫さんも「それまで住んでいたマンションでも、ベランダが広かったので、鉢で植物をたくさん育てていました。せっかく自分たちの家を購入するなら、庭のある暮らしを叶えたくなりました」と振り返る。 そうした希望を不
300坪の土地に建つ中古住宅 東京都町田市。都内とは思えないほど緑豊かな風景の中に、板張りの外壁が目を引く1軒の住宅が建つ。ここに暮らすのは、「MOBLY WORKS」として、店舗の内装デザインや住宅の家具製作などを手がける鰤岡力也さん、菓子職人の妻・和子さん、そして長女のせとちゃん(3歳)の3人家族だ。 子どもがのびのび遊べる場所に家を建てたいと、土地探しをしていた鰤岡さん夫妻。探し始めて4年ほど経った頃にようやく出会ったのが、裏山を含めて300坪という異例の広さのこの土地だった。 「再建築不可の中古住宅付き」という一般的には敬遠される条件だったため、不動産屋さんにはおすすめされなかったというが、「周囲の環境が気に入ったし、建物自体は手を加えればどうにでもできると思ったので」と、鰤岡さん。 建築家の真田大輔さん(すわ製作所)に相談しながら、大規模なリノベーションを実施。内装デザインや素材
屋根裏の内部を確認して購入 今年7月に完成したばかりの鎌倉の近藤洋司さん宅は、 築47年の古い平屋をリノベーションしている。 「いつかは鎌倉の古い家に住みたいと思っていました。できれば平屋で、という条件で探して、見つかったのがここです。きつい坂を登らなければ家にたどり着けないのですが、その分、眺望がよかったので決断しました」 購入する前に、天井の一部を開けて、屋根の内側を見せてもらったそうだ。 「屋根裏を下から見た時の表情が気になったので。立派な梁もあり、ここなら思い描いたような家になるなと思いました。リノベーションは、古い日本家屋を得意とする宮田一彦さんにお願いしました」 床下にはコンクリートを流し込み、新しく建てた壁で強度を持たせ、耐震面にも気を配った。
コンテナ特集後編は、機能的で堅牢なものを厳選。ドイツ製の業務用コンテナ、プロ用の工具や屋外作業現場用機具を製造する日本のメーカー、トラスコ社のコンテナ、トルコ発Ay kasaの折り畳み式コンテナ、静岡でつくられている杉のお茶箱など、機能性重視のアイテムをご紹介。そのタフさから、道具の収納、衣替え、アウトドアなどさまざまなシーンで活躍する。 《GENERAL VIEW Foldbox》 キャプA GENERAL VIEW Foldbox black 40L W530 D350 H275mm ¥7,300 Dolly for Walther foldbox 40L W540 D360 H130mm ¥17,000 ともにGENERAL VIEW
のびのびとした生活を 菓子・料理家として、カフェライターとして活躍する渡部和泉さんは、今年5月に東京郊外ののどかな土地に1軒家を新築したばかり。 「仕事場でもあるので、ある程度の広さが欲しいことと、子供も生まれたので自然素材の家でのびのび育ってほしい、と思ったことがきっかけでした」。周辺は大きな公園もある緑豊かな環境。三鷹から多摩湖まで続いているという、車両通行禁止のグリーンロードが近くにあることも、この土地を選んだ大きな決め手だった。「お散歩したりするのも気持ちがいいです。子供には地域の人と触れ合いながら育って欲しいと思っていて、まさに望んでいた環境が手に入りました」。 和泉さんは現在、自宅でお菓子教室「atelier mel」を開きながら、個人経営のカフェを取材してまとめた本「私サイズの小さなカフェ」を出版、続編を執筆中。将来の夢である自らのカフェオープンも視野に入れ、数々のカフェをめ
オランダのホームアクセサリーブランド「PTMD Collection」とボタニカルショップ「Spoonbill」がコラボレーションした「PTMD Collection produced by Spoonbill」が新宿「 NEWoMan」に登場。ふだんの暮らしの中でボタニカルと共存するスタイルを提案する。 オランダ発のホームアクセサリーブランド 「PTMD」は1992年にオランダでスタートしたホームアクセサリーブランドだ。店名はオランダ語で「ポットとバスケット」を意味した略語で、設立当時はフローリスト向けにフラワーベースやバスケットを専門に販売していたという。その後、より「暮らし」に近いホームアクセサリーを取り扱うようになり、一般のマーケットに向けて規模を拡大。現在は、ソファーやテーブルなど大型家具のほか、テーブルウェアやアートフレームなどオリジナルアイテムを幅広く展開している。 日本に上
エコビレッジ・藤野への転居 東京から電車で1時間ほどのロケーションながら、緑豊かな里山の風景が広がる神奈川県旧藤野町(現相模原市緑区)。1988年から町が「ふるさと芸術村構想」という事業を始めたことで、パーマカルチャーの農場やシュタイナー学園などがつくられ、エコビレッジとして知られるようになった。 その旧藤野町に家を建てたSさん一家。「それまでは逗子に暮らしていましたが、長女がシュタイナーの幼稚園に通う中で、小学校以降もシュタイナー教育を受けられればと思うようになったんです。湘南から藤野に通うのは難しいので、引越しを決意しました」とSさんは話す。 シュタイナー教育とは、20世紀初頭にルドルフ・シュタイナーが提唱し、ドイツで多くの学校がつくられ広がってきた教育法で、芸術や自由を重視した独自のカリキュラムで構成されている。藤野のシュタイナー学園は、小・中・高の12年間の一貫教育を行っていること
Category DIYDo it yourself。家づくりそのものを楽しむ暮らしDIY感性に響くものを少しずつ加えて思い描いた空間を自ら造る 未完のミニマムハウス都心の高台の小さな土地に一軒家を建てたMさん。竣工から10年。シンプルな箱をDIYで手を加えながら丁寧に家を育て、一人暮らしを満喫している。DIYDIYを楽しむ家築60年以上の古民家で 改装をケーススタディこの家のコンセプトは、”台湾に住むアメリカ人の部屋”。もともと手持ちの家具や雑貨が多く、アメリカやヨーロッパの古いもの、和の雰囲気のものなど、全てを強引にMIXさせようとした結果、こうなった。DIY子どもが自由に駆け回る暮らしに合わせてDIY 進化し続ける都心の狭小住宅東京・文京区の住宅密集地に、間口3m、奥行き10mの木造3階建てを新築。筋交いで建物を支えることで、広々とした空間を生み出した。DIY新築をDIYでカスタマイ
暮らしつつ自らリフォーム 昭和40年代の平屋の日本家屋。ノスタルジックなその家に暮らすのは、布物作家の武井啓江さん。「友人からここを紹介されたのですが、好きにリフォームしていいと言われ入居することにしたんです」。 3部屋に分かれていた造りを、壁を取り払ってワンフロアに。屋根裏部屋や中2階の子供部屋、アトリエなどは、かつては存在しなかった。「間取りのプランは自分で考えました。友人の大工さんに躯体だけは作ってもらい、漆喰の壁や棚など、自分でできるところはできるだけ自分で仕上げました」。 入居前に天井と壁の一部を取り払い、あとは住みながらリフォームしていった。「いちばん奥の部屋で寝起きして少しずつ手を加えていきました。子供の頃から住宅のチラシを見るのが好きだったり、家具とリフォームの工房で働いたこともあったりして、もともと空間には興味があったんです。自由に家を改築できるのは夢のようでしたね」。
「これはもう最高だね」と奥さんと話したという佐藤さん。建築家から何回めかに提案された案を見た時のことだ。それは、西側の壁が外へと傾いた案だった。 「最初は壁が真っ直ぐで、ちょっとリビングが狭いというか圧迫感がある感じがしたんです。でも屋根の端の部分からそのまま壁を下ろして敷地ギリギリのところまで部屋を広げると建築費がずいぶん上がってしまう。そこまでしてスペースを確保するのもどうかとういうことで、3~4回模型をつくってもらった後にこの案が出てきたんです」 建築家の藤井さんは、建物に出っ張りや引っ込んだりしたところがなく、なるべくひとつの塊、ワンボリュームでつくりたいという佐藤夫妻からの要望に応えるアイデアを練った時に出てきた案だと言う。 「要望をうかがっていると2階部分のスペースがどうしても大きくなって少し出っ張った感じになってしまう。それをワンボリュームでつくろうとした時に、壁を斜めにすれ
「スタイルのある家と暮らし」をテーマに情報発信する『100%LiFE』。クリエイティブな感性で暮らしと空間を楽しむ人たちのライフスタイルメディアとして2012年にスタート。お馴染みのウェブマガジンの他、スマートフォン向けのNewsstand版も人気です。 毎週、個性的な戸建て住宅を紹介。人気建築家の最先端の設計から、他人の手を借りずDIYで仕上げたオリジナル空間、築数十年の日本家屋のリフォームまで、ほんとにいろいろ。 そんな中で『100%LiFE』に集う読者の方々は、どんな家、どんな暮らしに興味を持っているのでしょうか。2015年の年間ランキングを公開です。 第1位 湘南のサーファーズハウス 海を気持ちよく楽しめる カリフォルニアスタイルの家 サーフィンを愛する家主がサーファーである建築士に依頼して建てた、サーフィンライフを楽しむためのサーファーズハウス。イメージしていたバケーションレンタ
本物の無垢素材が経年変化で作る味わい 1974年竣工。建築家・阿部勤さんの自邸は、築41年という年月を経てもなお新しく感じる。それどころか、年月を重ねるほどにどんどん味わいが増している。阿部さんの自著『中心のある家』の中にもあるように、まさに「正しく古いものは永遠に新しい」、そんな家なのだ。スウェーデンの画家、カール・ラーションの家の天井に描かれている言葉だそうだ。 「人が昔から慣れ親しんできた、石や木や土といった本物の無垢素材は、経年変化によって風合いが出てくるんです」 鳥が運んできた種が芽吹いた庭の木や、建物の高さを越すほどに育った玄関先の欅が、住宅街に美しい風景を作っている。 「建物を設計することとは、隣人との関係、住む人との関係、人と人との関係、光との関係、物との関係、物と物との関係、空間と空間との関係……、あらゆるものとの関係性を設計することだと思っています」 デイベッドに寝転が
100%LiFE web magazine of Magazine House - スタイルのある家と暮らし 人生をフルに楽しみたい人たちへ、新しいライフスタイルマガジン『100%LiFE』。『100%LiFE』は、マガジンハウスが「スタイルのある家と暮らし」をテーマに情報発信するデジタルマガジンです。クリエイティブな感性で暮らしと空間を楽しむ人たちの交流の場となるライフスタイルメディアを目指しています。メインとなるコンテンツは、遊び心とクリエイティビティあふれる生活シーンを多様でハイクオリティな空間事例とともに紹介。またレギュラーコーナーでは、インテリア、アート、デザイン、ファッションなど、クリエイティブ分野のトレンド情報を伝えていきます。『100%LiFE』は、タブロイドPC、及びスマートフォンにも最適化し、モバイルでもストレスなく読める設計になっています。また、Newsstandアプ
「谷根千」に帰ってきた 週末には下町の魅力を求めてやってくる観光客で賑わう千駄木。大通りから脇道に入ると、まるで昭和にタイムスリップしたかのような路地があった。道の両側には築50〜60年は経っているであろう家が立ち並び、古い家を大切にしている人々の息づかいが感じられる。 設計と大工施工を総合して請け負う建築事務所「鯰組」の広報を務める堀田智子(さとこ)さんは、5年ほど前からこの一角に一軒家を借りて住んでいる。 「『谷根千』エリア(文京区から台東区・荒川区にかけて位置する谷中、根津、千駄木周辺地区)に惹かれるんです。私は15年程前も根津に部屋を借りていて、その後山梨に10年暮らしました。5年ほど前、東京に戻ってくることになったときに、真っ先にまた『谷根千』に住みたいと思ったんです」と堀田さんは話す。
自由な空間づくりが理想だった 「家の前を通る小さな女の子が、“ママ、ここ何のお店? 何か買えるのかなあ”って。そんな反応がうれしくて」 インテリアショップか、お花屋さんか。玄関先は通りがかりについ足を止めたくなるショーウインドーのよう。ここに住むのは、グラフィックデザイナーの天野美保子さんと、内装設計の仕事に携わるその夫。もとは倉庫だった物件を探し当て、自宅兼事務所として使えるようリフォームした。 「クルマ好きな夫は、2台のクルマを置けるガレージと、園芸好きな私は、土をいじれる環境が必要でした。マンションではそれらを叶えることが無理なので、一戸建てを探していましたが、求める家のカタチは自由度の高い箱、でした。ここを見つけたときはこれしかない! と。必要な条件を満たしていたことと、いかようにもできる空間に魅力を感じましたね」 手入れの行き届いた植物が茂るエントランス。オリーブの木は小さな苗木
昭和の香り漂う家 以前は麻布に事務所を構えていた海山さんが、杉並の築50年程の物件に移り住んだのは2年半前。鉄筋コンクリートのモダンな建物から、元住居兼鉄工所だった木造物件へ。全く違った環境にシフトした。 「古い家がいいと思ったわけではないんです。自宅兼事務所として使える物件を探していて、友人からの紹介でここを見つけ、すぐ内見に来たら雰囲気に惹かれ、更にポテンシャルを感じたんです」 海山俊亮さんは家具や日用品など、生活まわりのもののデザインを手掛けるプロダクトデザイナー。 「麻布のときは自宅と仕事場を分けていましたが、生活にかかわるものを生み出す仕事なので、生活と仕事があまり離れていない方がよいと思うようになりました。この物件は自宅兼事務所として使用しても、階段のお陰でプライベートな空間と仕事の空間をうまく分けることができます」 2階のオフィス。フォトグラファー、テキスタイルデザイナー、手
女優の野村佑香さんは、リノベーションした家にDIYで棚を増やしたり、古道具屋で買ったものを自分流に使いスタイルのある暮らしを楽しんでいる。 どちらかといえば佑香さんはヨーロッパの香りのするもの、夫はアメリカの工場のようなインダストリアルな雰囲気が好きなのだそう。佑香さんの好みが多く反映されている場所、反対に夫が主導権を握っている場所もありながら、家全体を見ると、二人の好みがうまくミックスされたオリジナルなスタイルになっている。 「リノベーションは、『無相創』の米原政一さんにお願いしました。西荻窪に米原さんのショップがあって(現在は下北沢に移転)、古材や鉄を使うセンスがすごく好きで、よく通っていたんです。何度も打ち合わせをして、最終的に自分たちの希望や予算にピッタリなものに仕上げていただきました。米原さんじゃなければ、思い描いていたようなリノベーションはできなかったと思います」 天井を抜いて
DIYで予算をクリア のどかな田園風景が広がる東京の郊外。3年前、平山夫妻はここにカフェ兼自宅を構え、第二の人生をスタートさせた。「サラリーマン生活に見切りをつけ、以前からやってみたかったカフェを始めることにしたんです。自宅にいるようにのんびりと本でも読み、音楽を聞きながらゆっくり過ごしてもらえるカフェにしたいと思いました」 とはいえ予算には上限があった。できるだけローコストで建てるにはどうしたらいいか、あちこち奔走して辿り着いたのがセルフビルドという考え方。「基本のところは設計事務所が、自分たちでできるところは自分たちでやりました。本来あり得ないと思うのですが、工事現場に入って行き作業の工程に加わらせてもらうこともできたんです」 断熱材や防水シートを入れたり、ペンキや漆喰を塗ったり、外構を造ったりする作業はふたりで行った。「とにかく限られた予算でしたから。もともとDIY的なことは好きだっ
共に成長し合える場に 自然の恵み豊かな葉山の住宅街。樹木のアーチをくぐり抜けると、その向こうにスケルトンのモダンな一軒家が現れる。 「妻が家の前の緑のアーチをひと目で気に入って、ここを選んだんです」 家主は“食とデザインとアート”をテーマに、夫婦でケータリングやレシピ開発の仕事に携わる堀出隼さん。築約50年の平屋の物件をリフォームし、住居兼アトリエを誕生させた。 「もともとはこの辺りの典型的な日本家屋だったのですが、骨組みだけ残してフルリフォームしてもらいました。コンセプトは“Class”です。ふたりの子供がいるのですが、親として躾はするけど自分たちも子供から学ぶこともある。だから家は家族がクラスメートのように共存し合える場所であってほしいと思ったんです。“Class”には“暮らす”という意味も掛け合わせているのですが」 キッチンは理科室、アトリエは工作室、リビングは子供たちが過ごす教室。
緑豊かな北鎌倉の一角に建つ築54年の日本家屋。そこを建築家の宮田一彦さんが自らリノベーションし、自宅兼アトリエとして、一家4人+2匹の愛犬とともに暮らしている。 落ち着いた古民家の佇まいに、フランスを中心としたミッドセンチュリーのモダンな家具がとてもよく似合う。 「家具と家が同じくらいの歳なのも、家と家具が調和している理由のひとつだと思います。特にフランス製の家具は、アメリカのものに比べるとこじんまりとしています。家のサイズが日本に近いからかもしれません。その点でも、日本の家によく馴染むのだと思います」 宮田邸の壁は、ウォールナットのツキ板、和紙、コンクリートブロック、珪藻土など、さまざまな素材や色がバランスよく調和している。一彦さんの抜群のセンスと、古い家の持つ懐の深さと空気感が、そんな離れ業を可能にしている。 日本家屋にコンクリートブロックの壁が新鮮な組み合わせ。ダイニングテーブルには
E邸が立つのは山の手線の駅から歩いて10分ほどの住宅地。奥さんが「すごく細長くて猫の額のようなスペース」と表現する敷地には、不動産会社によって家の参考プランが用意されていた。 その参考プランは、前に駐車スペース、後ろに裏庭があり真ん中に2階建ての家が配置された、奥さん曰く、「東京都内で一軒家が持てて、さらに駐車場も庭も持てますよっていう」素人でも考えつくようなごく当たり前のものだった。 3階奥のダイニングペース。建物が建て込んだ場所ながら緑に囲まれて暮らす。ガラス窓を開けると外部と一体化。街の真ん中で実現した開放感のある住まいだ。 建築家に、この敷地で「何か面白いものが考えられますか?」と投げかけてみたところ、建築家は現地を確認して、この敷地は面白い、と思ったという。 彼がまず注目したのは隣地の奥の角にある立派なコブシの木。江戸時代の木で樹齢270年だった。さらにそのまた隣に公園もあって環
癒されるクリーンな空間 1歩中に入ると、木の香りが漂う。玄関からつながる廊下とリビングの向こうに、樹木が植えられた庭が望め、ヒーリングムードに包まれる。この家は、整理収納アドバイザーの森山尚美さんが2年半前に新築。 「それまではコンシェルジュ付きのマンション暮らしでした。便利ではあったのですが、子供が成長していく中で果たしてこれでいいのかと思うようになったんです。少し不便なくらいの方が、子供は暮らす力を身に付けてくれるんじゃないかと。それで一軒家を建てることにしたんです」 こだわったのは庭があることと、余白が感じられる無駄な空間があること。 「庭でバーベキューをすることと、花を育てることが希望だったのと、何もない空間がいちばん美しいと思っていることを設計士さんに伝えて、あとはあまりリクエストはしませんでした」 白い壁にフローリングの床。窓枠などの細部まで木を使った空間は、ナチュラルな雰囲気
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