ＮＨＫ放送文化研究所では、東日本大震災の直後に、被災地で取材にあたったＮＨＫ職員に対しアンケートを行い、結果を発表しています。その中で【放送を出す際に気を配ったことばや表現はありますか？】という質問に対し『被災者（避難者・避難民・住民）』と答えた人が多くいました。『被災者』というと“突き放した印象”“ひとくくりにまとめてしまう”“1人1人の人格が見えなくなる”という印象があり、「被災した人」「被災された方」などに言い換えたという回答もありました。例えば『赤いとんぼ』は、目の前にいる特定のとんぼが自分には赤く見えるという状態を表し〔個別的〕で〔主観的〕な言い方なのに対し、『赤とんぼ』は、とんぼの種類であり〔客観的〕なことばであるのと同じく、「被災した人」に比べ『被災者』は、人をある種類に分けた第３者的な客観的な表現という性格が強くなります。そうした点で、特に被災地で1人1人と向き合って取材し

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