森本恭正著『西洋音楽論 クラシックに狂気を聴け』(光文社新書)を読んだ。著者の森本恭正さんは芸大の後にウィーン国立音大で学び、彼の地で作曲家としてのキャリアを築いた音楽家。その著者が、これまでのご自身の体験に基づいて、日本人と西洋音楽の距離、日本の音楽と西洋音楽の違いについて思うところを綴ったのが本書だ。タイトルが「西洋音楽論」だが、内容はそれほど硬い作りではなく、6章立てのエッセイという方が正しい。サブタイトルの「クラシックに狂気を聴け」は、想像するに「西洋音楽論」をタイトルとして主張した著者に対し、「なんぼなんでも、それじゃ新書としては売れないだろ」と当然のように考えた編集者が、それとは正反対の色合いのサブをつけて懸命にバランスを取ろうとしたように見えるが、「この正副のタイトルじゃ何言いたいのかさっぱりじゃねぇか」と言いたくなる芸のなさ。ご愛嬌といえば、それまでだが、これはなんとももっ