もう、間違えない - 境界線

もう、間違えない - 境界線

村上からはどこか駅で待ち合わせようかと言われたけど、二人きりになりたかったから、車でどこかへ行こ...概要を表示 村上からはどこか駅で待ち合わせようかと言われたけど、二人きりになりたかったから、車でどこかへ行こうと提案した。 家から出てきた村上は、ブラウスの上にオーバーサイズの上着を着ていた。もしかしたら外を歩くからと、後部座席に余分に持ってきたパーカーの出番はなさそうだった。食事の誘いに応じてくれたのなら答えはポジティブなんじゃないかと期待していたけど、彼女は告白したことを覚えているのかなって思いそうなぐらいいつもどおりで、何を考えているのかさっぱりわからなかった。 食事の後、村上が臨海公園で話をしようと言った。そこは去年の春、村上と酒井の間で問題が起きた時、話を聞いた場所だ。二人の関係をどうするか話そうとしている時に、酒井のことを思い出して欲しくはなかったから、少し車を走らせて、市の中心部にある公園まで足を延ばすことにした。 公園からは遠くに高速を渡る橋と近辺の工業地帯が見える。村上は抱えた膝の上