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(ポプラ社・1296円) 自分を愛する善行が自滅に導く 昨年一一月一三日にパリで起こった同時多発テ... (ポプラ社・1296円) 自分を愛する善行が自滅に導く 昨年一一月一三日にパリで起こった同時多発テロ事件と言われても、このところ頻発する他の凄惨(せいさん)な事件と頭の中でまじりあってしまい、一瞬「どの事件?」と戸惑う人も多いのではないだろうか。私も情けないことに、その程度の記憶力しか持たない一人だが、本書を読んで、記憶がまざまざと甦(よみがえ)ってきた。この日の夜パリで何軒かの飲食店と劇場が次々に襲われ、一三〇人以上の死者が出た。実行犯はイスラム過激派だった。 著者はパリに住む三〇代半ばのジャーナリスト。この晩、妻がたまたま劇場にいて事件に遭遇した。生後一七カ月の男の子とともに家で留守番をしていた彼は、事件の勃発を聞いて動転し、必死に妻エレーヌの携帯に電話をかける。呼び出し音が一回、二回、そして百回……。しかし応答はない。この冒頭こそが、本書の中でも最も苦しく、最も緊迫した瞬間だ。 この
2016/08/14 リンク