本書は、「自治研究会」と題された研究会のなかで、各章の著者がそれぞれの現場の「自治」論をもちより、討論を行って完成させたものである。(本書p.277) 現代資本主義が地球をはじめ人民の共有物=コモンを食いつぶし、切り売りしながら「略奪による蓄積」をすすめるもとで、「自治」の力でコモンを再生しようとする。その問題意識を持った7人の論者による論集である。 コモンの「自治」論(集英社シリーズ・コモン) (集英社学芸単行本) 作者:斎藤幸平,松本卓也,白井聡,松村圭一郎,岸本聡子,木村あや,藤原辰史 集英社 Amazon まず白井聡。「大学における『自治』の危機」。 大学自治論であるが、主に学生自治について書かれている。 簡単に言えば1990年代初頭くらいまで多くの大学に存在した学生自治のようなあり方がなければ大学の空間は貧しいものになって、若者の主権者としての成熟を阻害してしまう、という議論。