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明治演劇史 [著]渡辺保 維新後、能や歌舞伎がどう変化し、新しい演劇がどのように出現したか、政治や社... 明治演劇史 [著]渡辺保 維新後、能や歌舞伎がどう変化し、新しい演劇がどのように出現したか、政治や社会の動きとともに生き生きと見える一冊である。 二〇〇九年刊の同著者による『江戸演劇史』上・下は約三百年の時間を駆け足でめぐる長編で、能、浄瑠璃、歌舞伎、音曲、舞踊、遊郭の有機的な関係を書いた名著である。ものごとが飛躍する所には必ず優れた個人がいることを痛感させられる本でもあった。本書はその続きである。やはりジャンルを縦横に走り巡り、そこに明治という時代が浮かび上がる。その要には実に興味深い個人が、まるで役者のように浮かんでは消える。 明治演劇とその時代の特徴については、著者が「エピローグ」で見事にまとめている。そして本書全体からは人の息づかいが聞こえる。たとえば能の零落と新生。幕藩体制が消滅したとき、そのもとで生きてきた能役者たちは職を失い零落しながらもその中から、何としてでも能を続けようと
2013/04/03 リンク