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(新潮社・3150円) ◇生きる者を励まし続けた作家の思い 悲劇がしばしば死を賛美するのに対し、喜劇... (新潮社・3150円) ◇生きる者を励まし続けた作家の思い 悲劇がしばしば死を賛美するのに対し、喜劇は生を称揚する。どんなにぶざまで弱くて愚かでも人間が生きることは素晴しい。井上ひさしはこの意味での喜劇の精神を大事にし続けていた。否定より肯定の人だった。 氏が逝ってから二年。井上文学の良さを敬愛こめて描き出したみごとな評伝が登場した。著者は長く山形新聞で文化欄を担当した人。多作多才の作家の全作品を丹念に読みこみ、さらに多方面にわたる活動にも目を向け、豊かで深みのある評伝に仕上げている。 葬儀の時、三女は父の柩(ひつぎ)のなかにディケンズの『デビッド・カパーフィールド』を入れたという。井上少年が最初に感動した本。 五歳で父親を失ない、戦後、生活に追われる母親と別れ、仙台の養護施設に入ることを余儀なくされた少年は、孤児同然のデビッドに自分を重ねたのだろう。 人の世は悲しみにあふれている。悲しみ
2012/06/24 リンク