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JASRAC、文化庁“AIと著作権”素案に意見。「法改正を含む議論を強く望む」

JASRACホームページより

日本音楽著作権協会(JASRAC)は、文化庁の「AIと著作権に関する考え方について(素案)」に関する意見募集について、意見提出したことを公表。「生成AIが急速に高性能化し普及していく中で生じる様々な懸念を解消するためには、現時点の条文の解釈論のみならず、立法論も含めた本格的な検討を早急に行う必要がある」との考えを示した。

「AIと著作権に関する考え方について(素案)」は、文化審議会著作権分科会法制度小委員会における有識者らの意見を基に、文化庁が作成した素案。急速に高度化する生成AIを巡る諸問題や著作権法の考え方、論点などがまとめられており、2月12日まで文化庁のホームページで素案に対する意見募集(パブリック・コメント)が行なわれていた。

JASRACでは、「従来の著作権法の考え方との整合性について」、「アイデア等が類似するにとどまるものが大量に生成されることについて」、「依拠性の考え方について」などの項目を挙げ、それぞれに意見を表明。

最後には、生成AIの開発・学習のための著作物の利用について、「クリエイター等の権利者から様々な懸念が示されている」「懸念の多くは、著作権制度が保護・奨励すべきは人間の個性の発露としての創作であってAIによる機械的な生成ではない、という原点が揺らいでいることに起因するもの」だと記載。

「本素案は、現行著作権法30条の4本文の規定(権利制限規定)が生成AIの開発・学習における著作物の利用に適用されることを前提として、その範囲等を整理しようとするものですから(15頁)、どのように整理したとしても、クリエイター等の権利者の懸念を根本的に解消することはできません」

「人間の個性の発露として創作された著作物は、生成AIのために単なるデータとして取り扱われるべきではありません。少なくとも、学習素材として利用されることの可否をクリエイター等の権利者が判断する機会を設けるべきです(選択の機会の確保)。特に、営利目的の生成AI開発に伴う著作物利用についてまで原則として自由に行うことが認められるかに読める現行法の規定は、多くのクリエイターの努力と才能と労力へのフリーライド(ただ乗り)に誘引するものであり、フェアではありません」

「現行著作権法を前提とした解釈論に終始することなく、立法論(30条の4の改正論)も含む議論が早急に行われることを強く望みます」との考えを示した。