元『TES』シリーズ開発者、『TES6』がファンの期待に応えるのは“ほぼ不可能”だろうとこぼす。絶大な人気を誇る過去作によって、上がりまくるハードル

現在も開発中のタイトルである『The Elder Scrolls』シリーズ最新作、『The Elder Scrolls VI』。本作について元Bethesda Game Studios のBruce Nesmith 氏がインタビュー動画内で語ったところによると、本作がファンの期待に応えることは「ほとんど不可能」だろう、と推察しているようだ。

現在も開発中のタイトルである『The Elder Scrolls』シリーズ最新作、『The Elder Scrolls VI』。本作について元Bethesda Game Studios のBruce Nesmith 氏がインタビュー動画内で語ったところによると、本作がファンの期待に応えることは「ほとんど不可能」だろう、と推察しているようだ。PCGamerが報じている。

『The Elder Scrolls』は、Bethesda Game Studiosが手がける一人称視点のRPGシリーズだ。広大なマップと高い自由度が、同シリーズの持ち味となってきた。また、1994年3月発売の第1作『The Elder Scrolls: Arena』を皮切りに展開されてきたシリーズ5作品、および外伝作品で蓄積されてきた重厚な世界観も魅力のひとつ。多数の民族が登場し、複雑な世界情勢や歴史が紡がれてきた。そして『The Elder Scrolls VI』は同シリーズの最新作として現在開発が続けられているタイトルとなっている。

ゲーム開発者などへのインタビューを実施するYouTubeチャンネルKiwi Talkzにおいて、元Bethesda Game Studios のBruce Nesmith 氏へのインタビュー動画が公開されている。そのなかで同氏は『The Elder Scrolls VI』について言及。同氏が語ったところによると、『The Elder Scrolls VI』がファンの期待に応えることは“ほとんど不可能”だろう、と自身の見解を述べている。

Bruce Nesmith 氏は1980年代初頭に初代『Dungeons & Dragons』 の出版元として知られるTSR に入社。数々のモジュールのデザインを手がけたのち、90年代半ばにBethesda Game Studios (当時はBethesda Softworks) に移籍した。デザイナーとして『The Elder Scrolls: Chapter II – Daggerfall 』に携わった後、『Fallout 3』『Fallout 4』『The Elder Scrolls IV: Oblivion』のクエストデザインや『The Elder Scrolls V: Skyrim』でリードデザイナーを務めてきた人物だ。2021年にBethesda Game Studiosを退社し、現在は小説家として活動している。

同氏は動画内で、(『The Elder Scrolls VI』の)Metacriticでのメタスコアが95点以上でなければ、ファンからは失敗作として見られるだろう、との見解を述べている。ちなみにMetacriticの歴代メタスコアを確認すると、95点以上を記録しているゲームは“不朽の名作”と称するにふさわしいそうそうたるラインナップが並んでいる。なお前作にあたる『The Elder Scrolls V: Skyrim』のメタスコアは96点となっている。相当に高いハードルであり、同氏の考えるファンの期待値の高さがうかがえるものとなっている。

また同氏は動画内で、例としてLarian Studiosがリリースした『バルダーズ・ゲート3』についても述べている。同作は2023年に発売。複数のゲームアワードを受賞した大人気RPGだ。

同氏は「自分がLarian Studiosで働いていると想像してみてほしい」と視聴者向けに語った。同氏の認識によれば、Larian Studiosは『バルダーズ・ゲート3』の大ヒットまでは「誰もが知っているようなトップクラスの開発会社ではなかった」という。しかし『バルダーズ・ゲート3』に非常に高い評価が寄せられたあとの作品として、自身が同社で新作を手がける立場にあるとしたら、そのプレッシャーは相当なものだろうとも語っている。Larian Studiosの状況を『The Elder Scrolls』シリーズなどの大ヒットによって名声と実績を獲得したBethesda Game Studiosの実情になぞらえたかたちだろう。

同氏は『The Elder Scrolls IV: Oblivion』、『The Elder Scrolls V: Skyrim』といったThe Elder Scrolls シリーズの名作に数々携わってきた人物である。そんな同氏の目線でも、『The Elder Scrolls VI』の開発者にかかるであろうプレッシャーは相当だと認識しているようだ。『The Elder Scrolls IV: Oblivion』や『The Elder Scrolls V: Skyrim』が発売されたころとはゲーム業界、あるいはオープンワールドゲームを取り巻く環境も変化している。ユーザーの目も肥え、期待値も相応に上がっているとの考えだろう。

とはいえ、同氏はそのプレッシャーは悪いことばかりでもないと考えているようで、「祝福であり、呪いでもある(a blessing and a curse)」とも述べている。高い期待値、そして高いハードルは、開発チームにその分開発における必要なリソースが与えられることを意味するからであるという。

なお『The Elder Scrolls VI』は約6年前となる2018年6月に正式発表がされていた。Bruce氏は過去に海外メディアMinnMaxのインタビューでも『The Elder Scrolls VI』の発表タイミングについて語っており、同作の早すぎる発表は「ファンの“暴動”を防ぐため」であるといった推察を述べていた。(関連記事)。本作はたびたび開発中であることは明言されており、2024年3月には開発が順調であることも報告されていた(関連記事)。しかし詳細な情報は発表されておらず、現在も発売時期は未定となっている。多大な期待を寄せられている本作。Bethesda Game Studiosのさらなる続報に期待しながら待ちたいところだ。

Jun Namba
Jun Namba

埼玉生まれBioWare育ちです。悪そうなやつはだいたいおま国でした。RPG全般が好きですが、下手の横好きでいろいろなジャンルに手を出しています。

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