インディーゲーム配信サイトitch.io、突如「ドメイン停止」でアクセス不可に。AIに“フィッシングサイトの濡れ衣”を着せられたため

itch.ioの公式Xアカウントは12月9日、ドメイン管理業者により同サイトのドメインを無効にされたことを報告した。同アカウントいわく“AIセキュリティサービスに着せられた濡れ衣”が原因だという。

itch.ioの公式Xアカウントは12月9日、ドメイン管理業者により同サイトのドメインを無効にされたことを報告した。同アカウントいわく“濡れ衣”が原因であり、現在ドメイン管理業者に向けて問い合わせているという。本稿執筆時点ではitch.ioにはアクセス不可能となっている。

itch.ioは、主にPC向けのゲーム配信プラットフォームだ。同サイトの特徴としては、ほかのPCゲーム配信プラットフォームと比較して高い自由度があるだろう。同サイトでは開発者が登録料などを支払うことなく作品を投稿可能。作品リリースまでに比較的厳密な審査が必要なSteamなどに比して、より尖った作品や小粒な作品も数多く登場する場となっている。また、無料もしくはName your own price(好きな値段を入力)形式での配信ゲームが多いのも特徴だ。玉石混交ともいえるものの、itch.ioは幅広い開発者による多彩な作品が手軽に楽しめる、よりインディー開発者に寄り添ったPCゲーム配信プラットフォームとなっている。

本稿執筆時点では、そんなitch.ioに突如アクセス不可となっている。itch.ioの公式Xアカウントが伝えるところによると、同サイトのレジストラ(registrar・ドメイン管理業者)であるiwantmynameにより、ドメインを無効にされたという。レジストラとは、WebサイトのURLのうち「.net」や「.com」といったドメインのデータベースを管理し、提供している事業者のこと。今回であればitch.ioはiwantmynameから「.io」のドメインを提供されていたわけだろう。

そしてitch.ioの公式Xアカウントによれば、同サイトはボブルヘッド人形で知られる玩具会社Funkoが用いているAI搭載のブランド保護ソフト「BrandShield」によって、ドメイン停止に追い込まれたという。BrandShieldは、独自のAIとビッグデータに基づくテクノロジーにより、オンライン上のブランドの商標侵害や悪用などの脅威を監視・検出・除去できると謳われるセキュリティーサービスだ。そして先述の投稿によると、BrandShieldは先述のiwantmynameに向けて“itch.ioがフィッシングサイトである”といった事実無根の通報をおこなったという。つまり、BrandShieldからはFunkoのブランドを侵害するようなフィッシングサイトだと誤認され、通報がおこなわれたとみられる。

なおitch.io側は、BrandShieldからの通報にて問題とされたページをすぐさま削除する対応をとったという。そしてiwantmynameに削除の連絡を入れたもののitch.io側の連絡は無視され、ドメインを無効にする処置がとられているとのこと。そのため突然itch.ioに接続できなくなっている格好だ。

itch.io側はiwantmynameからの返答を待つ状態にあるそうで、追加の連絡として「いったい何が起こっているのか(WTF is going on)」を尋ねているとのこと。itch.ioの運営元にとっても寝耳に水の出来事だったようだ。

itch.ioといえば先述のとおりインディー開発者にも活用されているゲーム配信プラットフォームだ。itch.ioでの配信を経て、Steam向けにリリースされてヒットを上げるタイトルも多数見られる。復旧することはできるのか、今後の動向も注目されるところだろう。

【UPDATE 2024/12/9 20:58】
itch.ioへのアクセスが可能となり、サイトは復旧した様子だ。itch.ioからの公式発表があり次第、本稿に追記する。

【UPDATE2 2024/12/10 8:36】
itch.ioの公式Xアカウントは、サイトが復旧したことを改めて告知した。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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