低コストでスマートフォンを使うためには、回線の費用だけでなくスマートフォン本体のコストも下げないといけない。そこで今回は、安価なスマートフォンを選ぶ理由と選び方、さらに快適に使う方法をいくつか紹介したい。
安価と言っても、メイン機なら2~3万円台が最低ライン
「安かろう、悪かろう」という言葉があるとおり、一般に製品の価格は機能や性能に比例していることが多い。しかし、スマートフォンの世界では、価格の割に価値が高い、いわゆる「コストパフォーマンスが高い」製品は存在する。
現在、低価格で良コスパ機の代表格と言えるのが、約4万円~4万円台半ばのOPPO「OPPO Reno 7A」、シャオミ「Redmi Note 11 Pro 5G」、モトローラ「moto g52j 5G」の3機種で、筆者は勝手に「4万円トリオ」と呼んでいる。細かく見ていくとスペックに違いはあるが、いずれも必要十分な性能と機能を備え、こだわりがなければどれを選んでも失敗はない。高い3D性能を求めるゲームをしたり、上位機種と並べて使ったりしなければ、問題になることはまずない製品だ。
それより下の価格帯となると、良コスパの機種はやや少なくなっていくが、手頃な5G対応機としてOPPO「OPPO A55s 5G」にシャオミ「Redmi Note 10T」、そして4Gまでだが、性能十分で安価なシャオミ「Redmi Note 11」などがあげられる。特にRedmi Note 11は単体購入であっても新品で2万円前後という価格から、「とにかく安く買うならこれ」と自信を持って言える製品だ。
それでも、5Gとおサイフケータイが使えて、スマートフォンに求められる機能をひととおり備えているとなると前述の4万円トリオになるだろう。
この4万円トリオでは、アプリの起動も操作も待たされるということもほぼなくなり。処理能力が特に要求されるような場面でもなければ、使っていて問題を感じることはないはず。
しかし、その下の価格帯では前述の機種以外は、旧製品や性能不足のものもあるため、製品選びには慎重になる必要がある。パフォーマンス不足はスマートフォンの利用経験の少ない人ほど問題になりやすいため、入門機としておすすめはできず、上級者がよく理解した上で使う、が正解だろう。
また、発売当初は上級機だった機種を、旧モデルや中古になったタイミングで安価に購入しても、Androidのバージョンが古くて、希望のアプリが使えないという事態が早い時期にやってくることもあるほか、ストレージ容量が少ない機種ではアプリのインストールができないということもある。入門クラスの人がどうしても予算的に最低価格クラスを選ぶしかないとなった場合、デメリットも理解したうえで選んでほしい。
スペックの確認ではメモリーやストレージにも気を配る
上位機種と下位機種の違いを見る場合、まずはプロセッサ(SoC)が気になるところだろう。同じSnapdragonシリーズでもクラスの上下や世代の新旧があり、型番の数字の大小よりも世代の違いによる性能差も考慮する必要がある。
それよりも注意したいのがメモリー容量。スマートフォンの場合、「メモリー」だけでは、PCで言うRAMなのかストレージなのか分かりにくい。HDDやSSDに相当するストレージを「ROM」と表記する慣習も一部で残っている。
ここで重視すべきはRAMの方で、最低でも4GB、できればもう少し多いほうがいい。4万円トリオはいずれも6GBで、さらにハイエンド機では8GBや12GBの機種もあり、PCと同じで大容量のほうが動作が快適になる。
ストレージ容量は使い方にもよるが、64GBあれば現時点で大体問題なく使え、入れるアプリの数が多かったり、写真や動画をたくさん撮る人は128GB以上が望ましい。ただし、個々のアプリは更新ごとに機能が増えて、サイズもアップする傾向のため、長く使うためには今から余裕をもった容量を選んだほうがいいだろう。Android機はmicroSDカードによる拡張ができる機種もあるが、パフォーマンス的には本体内蔵ストレージで済ませたほうがなにかと便利だ。
さらに、一部機種はストレージを用いてRAMを拡張する機能がある。WindowsやMacで仮想メモリーやスワップなどと表現されていることと同じと思ってよく、機能を強調している一部機種だけでなく、実際はかなりの機種に搭載され、知らない間に使われているケースが多くなっている。
ほかにはカメラ性能などもあるが、カメラにこだわりのある人はしっかり選んでほしいところ。特にこだわりがないなら、現在の人気機種であれば、支障が出るほどひどい画質の製品はまずないのであまり問題にならない。
単体販売のスマートフォンの場合は、ここまで紹介した内容で問題がないが、キャリアモデルではもう少し注意が必要だ。削除できない常駐アプリが多いキャリアだと、端末の性能がそれらのアプリに消費されてしまうからだ。購入後、アプリの無効化設定によってはなんとかなる場合もあれば、どうにもならないこともある。快適さが一段階落ちることもあるという覚悟はしておいたほうがいいだろう。
現在筆者がメインで使っているのはmoto g52j 5G
ちなみに、現時点で筆者がメイン機として使っているのはモトローラ「moto g52j 5G」。4万円トリオの一角だ。
選んだ理由としては、まず必要十分な性能で、かつ価格的にも前述の3機種の中でも数千円安価なほか、ディスプレーに液晶を採用しており、サイズも大きめ。防水性能も個人的に欠かせず(Redmi Note 11 Pro 5Gは非対応)、ボリュームボタンを左側に配置したモデルは避けたい(OPPO A55s 5Gが左側)ということで、moto g52j 5Gにした。UIがOPPOやシャオミのように独特のものではなく、Android標準に近いという特徴もある。
つまり、積極的にmoto g52j 5Gを選んだというよりは4万円トリオの中から、消去法で選んでいったということになる。
ただし、moto g52j 5Gにも不満はある。SIMスロットがnanoSIM+eSIMなので、nanoSIM+eSIM/nanoSIM+nanoSIMの両方の使い方ができるOPPO Reno 7Aと比べると不便。他の機種より一回り大きなサイズはポケットの収まり具合では見劣りする。そして、後述するが、作り込みという点ではシャオミやOPPOには一歩及んでない印象だ。
理想を言わせてもらえば、4万円トリオのいいとこ取りをした機種が欲しい。Redmi Note 11 Pro 5Gの外見、カメラや全体の作り込みでのバランス良さなどをベースに、IP68の防水防塵性能、moto g52j 5GのようなAndroid標準に近いUI、OPPO Reno 7Aの2枚のnanoSIM対応が備われば、かなり筆者の求めているものになる。
また、moto g52j 5Gは国内専用機種であるため、海外通販で安くケースなどのアクセサリーを調達することが難しい。ただ、海外で販売されているmoto g51 5Gとサイズがほぼ同じで、ボタン類の配置が少し違うくらいなので、ケース自体はmoto g51 5Gのものをかろうじて流用可能だ。
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