iPhoneは、それ自体にさまざまな機能をアプリで追加できる。音楽系アプリを見ても、ハイレゾに対応するプレーヤーアプリをはじめ、DLNAプレーヤー、インターネットラジオなどなど、さまざまなものがあるので、身近な音楽を楽しむならばBluetoothスピーカーで十分だ。
こんな状況になってしまうと、かつては若者にとって欲しいアイテムの有力候補だったミニコンポの人気も衰えてしまった。
しかし、ミニコンポもまだまだ元気。高機能という特徴はそのままに、BluetoothやWi-Fiといったワイヤレス再生にも対応して現在のオーディオ再生スタイルに対応してきている。なにより、本格的なオーディオシステムを揃えるより手軽だ。
iPhoneでワイヤレス主体で音楽を楽しむアイテムを特集する第3回では、そんな最新ミニコンポを取り上げる。
ワイヤレス対応とハイレゾ化で音の実力も向上!
ソニー「CMT-SX7」
「CMT-SX7」(実売価格 6万5000円前後)は、CDプレーヤー、FM/AMチューナーを内蔵したアンプが一体になった本体と、スピーカーがセットになったモデル。
ワイヤレス再生はBluetooth(NFC対応)、Wi-Fi(AirPlay対応)を備えているし、USB接続でiPhoneやウォークマン、PCとのデジタル接続、USBメモリーに保存した楽曲の再生も可能だ。
そして、もちろんハイレゾ音源の再生にも対応。リニアPCM最大192kHz/24bit、DSD2.8MHz(PCM変換再生)が可能で、NASやPCのHDDにある音楽データを再生するDLNA再生やUSB経由での再生が可能だ。
外観は今となってはオーソドックスとも言える、ミニコンポそのままだ。ここまでに紹介したミュージックシステムと比べると、本体も大きいが特にスピーカーのサイズも一般的な単品コンポの小型スピーカーと変わらない。
アンプは同社独自のデジタルアンプで、ハイレゾ対応の「S-Master HX」だ。これと、圧縮音源やCD品質の音源をアップスケーリングする「DSEE HX」も内蔵し、あらゆる音源をハイレゾ相当の音質で楽しめる。
このほかにも、音声出力段のフィルターにフィルムコンデンサーを採用したほか、数々の高音質パーツを採用して高音質化を図っている。
スピーカーも口径100mmのウーファーと、27mmトゥイーターによる2ウェイ構成で40kHz以上の超高域再生に対応している。リアルウッドのエンクロージャーは内部に補強を加えて強度を高め、自然で豊かな響きを追求している。
メリハリのくっきりとした音像が印象的
スケール感もなかなかのもの
試聴はUSBメモリー接続でハイレゾ音源を中心に聴いてみた。粒立ちがよく音像の定位が良好な再現で、ポップスではボーカルやギターなどの楽器がくっきりと定位し、音像の厚みもある。
声の質感もきめ細かく再現されるし、声の抑揚もしっかりと出る。強いていえば、音場の奥行きやステージの空間感がやや物足りないが、厚みのある音像の存在感があるのであまり不満は感じない。
Bluetoothで聴いてみても、音質的な劣化感はほとんど感じさせない。クラシックなどたくさんの楽器が一斉に音を出す部分で細部がややぼやけがちになる程度だ。低音のスムーズな鳴り方は、サイズが大きめということもあって、Bluetoothスピーカーやコンパクトなシステムよりも余裕があって自然。堂々とした立派な鳴り方だ。
ソニーはウォークマンをはじめとする携帯プレーヤーやコンパクトなシステムで音質のいいモデルを続々と投入しているが、ミニコンポにもそれらの技術やノウハウがしっかりと投入されていると感じる。
ミニコンポというとオーディオの入門機的存在というイメージだが、正直、思っていた以上に充実した音に仕上がっており、立派なオーディオシステムとして愛用できるレベルだ。
(次ページに続く、「充実のガイド機能と親しみやすいデザイン デノン「RCD-N9」&「SC-N9」」)
この連載の記事
-
第2回
AV
ソニーとボーズの“これだけは外せない”ワイヤレススピーカーをチェック! -
第1回
AV
今おススメしたい“手乗り”Bluetoothスピーカー3モデルはコレ! -
AV
iPhoneで楽しむワイヤレスミュージックライフ - この連載の一覧へ