この春からEC事業の担当者。上司からは「売上を上げろ」と言われたものの、何から手をつけていいのかわからないまま3カ月が経過しまった。とりあえず、コンサルタントにでも頼んでみようかな……。そんなあなたのために、売上アップに即効性のある8つの施策を紹介します。コンサルタントに頼む前に、まずはできるところから試してみて。
1. 松竹梅の法則で購入単価を引き上げる
お客さまはサイトに来ているのに購入単価が低くて利益が上がらないときは、「松竹梅の法則」で品ぞろえを見直してみましょう。
高価な商品と安価な商品が2つあるとすると、お客さまは常に安いほうを選ぶ傾向があります。一番売りたい価格帯の商品を真ん中にして、高い商品と安い商品でハンバーガーのように挟んでしまえば、真ん中を選ぶ人が多くなり、購入単価を引き上げられます。
2. 「ラストビュー」の改善で直帰率を下げ、滞在時間を延ばす
直帰率が高く、滞在時間が短いときは「ラストビュー」を見直してみましょう。
スマートフォンの普及によって、ページ最下部まで一気にスクロールするお客さまが増えています。そこで、フッター部分を充実させ、行き止まりにならないように工夫するのです。
カテゴリーページや商品だけでなく、材料や仕入れ先の紹介、レシピや活用方法などの読み物系コンテンツへのリンクでサイト内の回遊を促します。回遊が増えれば滞在時間が伸び、お客さまの購入意欲を高められます。
3. 高額商品は「経済性の法則」で売り上げる
高額商品を扱うECサイトなら、「経済性の法則」が有効です。たとえば「10万円の布団」なら「10年使える高級布団が1日あたりたったの27.4円」といった具合に、1日あたり、1カ月あたりの単位で経済性を訴えるのです。
マンションのローン販売でも、「月々10万円の支払いで賃貸よりもお得」といった表現をよく見かけますよね。見せ方次第で、「高すぎる」商品も「お買い得」に変わり、購入の心理的ハードルをぐっと下げられるのです。
4. 「瞬間」「使用中」「使用後」の写真で離脱率を下げる
集客に成功し、魅力ある商品をそろえたはずなのに離脱率が高い場合は、商品ページに問題があるかもしれません。まずはアイキャッチとなるイメージ写真を見直してみましょう。
商品ページのイメージ写真は、「瞬間」「使用中」「使用後」の3つのどれかを用意すると効果的です。たとえば食品なら、食べる直前の「瞬間」。とろとろのプリンをスプーンですくったり、あつあつの鉄板から肉を持ち上げたりしている写真です。
アパレルなら、「使用中」の写真。モデルによる着こなし写真を用意しましょう。実際に着用したときの見え方をお客さまがイメージできるように、モデルの年齢や体型などの情報を一緒に掲載するとより効果的です。
ちょっと変わっているのは、健康食品や美容用品。商品と直接関係のある写真でお客さまを買う気にさせるのは難しいので、いきいきとした雰囲気の老夫婦やつるつる肌の女性の写真など、“なりたい私”を表現する「使用後」のイメージ写真を用意します。
5. ターゲットを主語にしたキャッチコピーでCVRを上げる
写真を変えてもコンバージョン率が低い場合は、キャッチコピーに原因があるかもしれません。お客さまがぱっと見て「刺さる」コピーを考えましょう。
キャッチコピーの作り方にはいろいろなテクニックがありますが、もっともシンプルな「ターゲットを主語にする」方法がおすすめ。たとえば、
ふかふかソファ
なら、
2人暮らしを始めるカップルのふかふかソファ
といった具合に、「あなたのための商品ですよ」とターゲットに訴えることで、お客さまを引きつけ、商品説明を見てもらえるようになります。
6. フォームのストレスを極限まで軽減して「かご落ち」を防ぐ
買い物かごには入れてくれているのに、フォーム画面での「かご落ち」が多いなら、フォームをとことん改善しましょう。
EFO(エントリーフォーム最適化)のASPサービスを使ったり、EFOに強いショッピングカートに切り替えたりしてもいいですが、大事なことはお客さまのストレスをできるだけ軽減すること。
たとえば、自社サイトのお客さまに多い都道府県や生年月日を調べてデフォルト値に設定しておく、郵便番号を入力すると住所が補完されるなど、入力の手間を徹底的に省くようにしましょう。
7. メルマガの配信時間と件名を最適化して開封率を上げる
サイトによっては売上の10%以上を占めることもある「メルマガ」。いまでもリピート購入の促進に効くマーケティングツールです。
メルマガの開封率が低い場合は、配信時間と件名から見直してみましょう。配信時間は自社サイトの購入者が多い時間帯に合わせるのが基本。深夜によく売れるサイトなら深夜に、昼間に売れるサイトなら昼間に送るのがもっとも効果的です。
件名も開封率アップに大切です。最近では、
のような記号を多用した派手な件名はお客さまに敬遠される傾向にあるので、シンプルでわかりやすい件名にします。
スマートフォンでメールを読む人も多いので、文字数が長くならないようにしましょう。
8. 「いま買うべき理由」でバナー広告のCTRを上げる
リマーケティングやディスプレイ広告のバナーのクリック率が低い場合は、見た人を瞬時に引きつけるデザインになっているか確認します。
特に有効なのが、「いま買うべき理由」の訴求です。「初回○○%OFF」や「いまだけ限定」などの表現で限定感を出し、購入を煽ります。また、クリスマスやバレンタインデーなどのシーズンには季節感を盛り込んだデザインにしましょう。
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ECサイトの売上アップに効く8つの施策を紹介しました。7月30日発売の書籍『ECサイト[新]売上アップの鉄則119』では、このほかにもEC繁盛店が実践している「売れる秘密」が盛りだくさん。全部で119本の「鉄則」として紹介しています。サイト制作や広告・集客施策はもちろん、商品の品ぞろえや組織体制、オムニチャネル対応など、戦略から戦術レベルまで幅広く解説。すべてのECサイト担当者、ネットショップオーナーにおすすめの1冊です。
……この続きはこの本で!
ECサイト[新]売上アップの鉄則119
オムニチャネル時代の集客から接客まで
株式会社いつも. 著
- 価格:2,700円(本体2,500円)
- 発売日:2015年7月30日
- 形態:B5変形 (272ページ)
- ISBN:978-4-04-8690140
目次
- 第1章 売上アップに取り組むための 「戦略・計画」の14鉄則
- 001 商売繁盛の基本はECでも「立地」 「集客」よりも「品ぞろえ」を重視する
- 002 オムニチャネルはEC専業店に不利 生き残る道はモール多店舗化
- 003 広告の集客だけではもう売れない Googleとソーシャル対応を急げ
- 004 売上アップの基本は6ステップ 手を抜かず地道に繰り返す
- 005 手詰まりになったら基本に戻る 商材×単価の4パターンで再検討
- 006 店舗の成長は市場規模で決まる レビュー数でわかるカンタン判別法
- 007 ネット通販の地元は日本全国 コタツもおせちも8月に売る
- 008 手抜きスマホサイトは見破られる PCサイトより本気で売り込め
- 009 ネット店舗の改善は「数」より「率」 4つの指標と基本の改善策
- 010 無難は閉店への第一歩 100人に1人に好かれる店作り
- 011 AmazonもYahoo!もポンパレも 楽天の「次」ではなく「同時」に攻める
- 012 月商100万円からの3ステージで 楽天は月商1000万円を狙える
- 013 中小ECは高付加価値品で勝負 キーワードは「ファン作り」
- 014 次の一手は米国ECサイトから 店長の勉強がライバルを出し抜く
- 第2章 ライバルに負けない店を作る 「品ぞろえ」の11鉄則
- 015 Amazonの勝ち方は応用できる 「量×数×幅」でお客を逃がさない
- 016 品ぞろえで勝てないときは 勝てるまでカテゴリーを絞り込む
- 017 ソファを売るなら座椅子を売れ 本命商品は後で買ってもらう
- 018 予算感を決める「片手の法則」 お客の心理で品ぞろえする
- 019 「 価格帯×カテゴリー調査」で 絶対勝てる品ぞろえを洗い出す
- 020 「 松竹梅の法則」を使って プレミアムゾーンで勝ち逃げる
- 021 中小サイトに向くニッチ商材 用途・地区・年齢でニーズを深掘り
- 022 モールではとにかく商品登録 売れ筋はお客さまが教えてくれる
- 023 モールでは「URL育成」を目指す 売れ筋商品の寿命を伸ばせ
- 024 「均一「」福袋「」セット品」で レビューと売上実績を積み上げる
- 025 売上低迷期に入ったら 「月に100個売れる商品」を作る
- 第3章 繁盛店はこうして作る 「売り場」の41鉄則
- 026 売れ行きは「伝え方」「見せ方」が9割 売り場作りの基本はこれだ
- 027 商品が増えても専門店にしない 楽天は店舗内で「専門店風」に
- 028 トップページは自分語りの場 店の長所を徹底的にアピールする
- 029 おじいさん、おばあさんが知っている! 売れる店のヒントはシニアにある
- 030 メニューの並び順は検索される順 ナビゲーションは3カ月で見直す
- 031 ショップ名で格好つけない! 覚えやすく記憶に残るが勝ち
- 032 本店のサイト名には 「公式」「本店」「専門」を必ず使う
- 033 来訪してすぐの離脱は ページ最後の「ラストビュー」で防ぐ
- 034 1000アイテムを超えたら 特集ページで回遊する仕掛けを作る
- 035 モールの「優良見込み客」が カテゴリーページにいる理由と対策
- 036 ひたすら改善を繰り返す 売れる商品ページの4ステップ
- 037「 あきれるほど長いページ」で 訪問客を買う気にさせる
- 038 全部実践できている? 買いたくなる商品ページの6要素
- 039 普通の商品にも魅力はある 連続「イイトコ探し」で熱狂させろ
- 040 3万円÷365≒83円 高額商品は「1日当たり」で見せる
- 041 デザインで重視すべきは カッコイイより「売れている感」
- 042 派手でもなく地味でもなく 繁盛店に3色、2フォントの原則
- 043 イラスト、手書き、マンガで ほかにはない魅力を生みだす
- 044 キャッチコピーで妥協しない 狙いに「刺さる」ように作り込む
- 045 ファーストビューは第一印象で勝負 「瞬間」「使用中」「使用後」を撮る
- 046 商品撮影は目標1枚5分 効率重視で仕上がりは80点でOK
- 047 フリー素材は無個性の元 素人写真がお店の特徴を作る
- 048 スマホでのカンタン撮影でも十分 動画で購入率は2倍にできる
- 049 飽きっぽいスマホユーザー向けに 30秒動画で商品の魅力を伝える
- 050 食品サイトは写真が命 肉汁、湯気、アップで食欲をそそる
- 051 アパレルは「写真の数」が決め手に 着用感や質感を徹底的に紹介する
- 052 家具・インテリア商品は ベテラン店員のように詳しく説明
- 053 Amazonでも買える型番商品は 保証とオマケで差別化する
- 054 アウトレット、ワケあり、送料無料 誰もがよいモノを「安く」買いたい
- 055 ECのセールは在庫処分ではない 「欠品体験」はお客を失望させる
- 056 「全部やってみた、でも売れない」は サイトの信用力不足を疑え
- 057 お客さまの声は最良のコンテンツ 「特典」「お手本」で書き込みを促す
- 058 高額商品は不安の解消から 資料、サンプルはとことん工夫する
- 059 支払い直前の「カゴ落ち」は トップページで改善できる
- 060 入力フォームはお客さま視点で 極限までストレスを軽減する
- 061 低機能な検索機能はイライラの元 ケチらずリッチに大手並みを目指せ
- 062 「PCを知らない世代」も登場 スマホ対応は最優先で取り組む
- 063 スマホサイトのトップページは 「押せる」「進める」「戻れる」が必須
- 064 スマホサイトは「たくさんの写真」 「動画」でビジュアル訴求する
- 065 楽天スマホサイトは GOLDよりRMSがおすすめ
- 066 楽天の売れる縦長ページを スマホサイトでも再現する
- 第4章 あらゆる手段でお客さまを呼び込む 「集客」の19鉄則
- 067 もう検索エンジンだけに頼れない 中小サイトは分散化で生き残れ
- 068 ECのネット広告は 「CPO」を決めて大胆に攻める
- 069 開店直後のプロモーション施策は リスティング広告だけでいい
- 070 リスティング広告は運用がキモ 自分でやらず「ECのプロ」に任せる
- 071 来店客はバナーで追いかける 「リマーケティング広告」は活用必須
- 072 反応に大きく差が出るバナー広告 3パターンのデザインで効果を見る
- 073 売れる「ランディングページ」は 広告と内容が一致している
- 074 起承転結のストーリーで 初めてのお客さまを納得させる
- 075 怪しげなSEOテクニックは終焉 課題解決コンテンツを増やせ
- 076 「鍋ぶた型」は 検索エンジンに優しいサイト
- 077 「コンテンツマーケティング」で 優良な見込み客を育成する
- 078 SEOはGoogle対策だけではない 楽天、Amazon対策で売上アップ
- 079 いまでも有効なアフィリエイト 他で拾えない新規顧客を開拓する
- 080 楽天に出店するなら年14回の 「お祭り」に参加しないと意味がない
- 081 楽天スーパーセールは 「半額サーチ」で大きく稼ぐ
- 082 @cosme、価格.comで 上質な優良客を呼び込む
- 083 Facebookではモノを売らない VIPルームで上得意客を育てる
- 084 アパレルとの相性抜群 Instagramで若い女性にアピール
- 085 20〜30代のスマホユーザーは Twitter広告で狙い撃ち
- 第5章 “おもてなし”が店をさらに強くする 「接客」の16鉄則
- 086 中小ECはおもてなしで生き残れ 大手にできない率直さで勝負
- 087 購入前の不安解消に効果大 電話窓口の設置で購入率をアップ
- 088 電話対応には「声美人」が適任 アップセル/クロスセルを導け
- 089 3つの指標を見るだけで リピーターは育成できる
- 090 最終ゴールの商品を決めて リピート購入の「シナリオ」を作る
- 091 メルマガはまだまだ有効 売上の15%を目標に最適化せよ
- 092 RFM分析と5つの「率」で メルマガの効果を最大化する
- 093 メルマガを読むのは朝?昼?晩? 配信時間と件名で開封率を上げる
- 094 売れるメルマガは4パターン 反響から自社のスタイルを見つける
- 095 リピート促進にメルマガより効く 「ステップメール」でお客に寄り添う
- 096 売れない時期には 過剰サービスでお店のファン作り
- 097 100%返品保証は自信の表れ 制限付きでもとにかく始める
- 098 集客にも売上にも効果絶大 レビューの書込率を20倍にする方法
- 099 教材代わりの同梱物で お客とお店は「生徒と先生」になる
- 100 40代以上を狙い撃ち 捨てられない小冊子を届ける
- 101 収益アップに「優しい」定期購入 「いきなり定期」も効果がある
- 第6章 成長のための改善サイクル 「分析・体制」の11鉄則
- 102 Googleアナリティクス導入で 最初に絶対するべき3つの設定
- 103 アナリティクスでPVは見ない ECでは5つの指標に取り組む
- 104 売れている理由は7パターン アナリティクスで把握して強くする
- 105 商品別4タイプで定点観測 売上ダウンでも慌てない
- 106 商品ページごとの顧客属性を 楽天のアクセス解析で読み解く
- 107 ライバル店で買い物していますか? 定期的な「購入体験」で弱点を知る
- 108 上位表示×訪問数×購入数で モールページを徹底的に磨き込め
- 109 物流の外部委託は事業拡大のキモ 「4つのポイント」で業者を選ぶ
- 110 ショッピングカートは利用料で選ぶな 「乗り換えやすさ」も視野に入れる
- 111 ECの責任者は生え抜きが一番 「番頭さん」を育てるべし
- 112 ECにも小売の現場にも詳しい 「ハイブリッド人材」で競争を乗り切れ
- 第7章 次の成長市場で生き残る 「オムニチャネル」の7鉄則
- 113 オムニチャネルの本質は システムよりも「感動体験」にあり
- 114 大手のオムニチャネル化が加速 中小は「選ばれる理由」作りが急務
- 115 オムニのKPIは「顧客満足度」 リアルとECのいいとこ取りを目指す
- 116 EC専業店の弱点を克服するには 低コストなショールームを作る
- 117 宅配・コンビニだけじゃない 「自宅外受取」の拡充に取り組め
- 118 オムニチャネル化に乗らず BtoBに活路を求める
- 119 フルフィルメントの活用で 「情報」と「モノ」を一致させる
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