Google マップ日本登場10周年
最初のGoogle マップの世界はアメリカとイギリスだけだった!?
2015年07月15日 09時00分更新
7月14日、Google マップが日本でスタートして10周年を迎えた。いまや日常に定着しており、パソコンの上でだけでなく、スマートフォンでも使わない日はない。
今回から4回に分けて、Google マップの秘密についてのインタビューをお届けする。お話しいただいたのは、グーグルでずっと地図サービスの開発を担当している、シニア エンジニアリング マネージャーの後藤正徳さん。まず第一回は、Google マップがスタートした10年前の話題からはじめてみたい。
Googleの地図から「ネットの地図」へ
「10年前にスタートした時、Google マップがどんな形だったか、ご存知ですか?」
そう言って後藤氏が見せてくれたのはこのような画像だ。世界地図のようだが、足りないものがたくさんある。というか、世界には北アメリカ大陸とイギリスし存在していない。他は「海」だ。
「アメリカとイギリスだけが海に浮いてたんですよ。我々からみるととんでもない感じですけど、これが最初のGoogle マップなんです」
グーグルの社是は「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」だ。情報はネットの中にあるものだけではない。地名や場所などに関する情報は、知りたいことのトップに位置する。現在、Googleで検索される情報のうち、5分の1にはなんらかの形で場所の情報が含まれる、という。これがスマートフォンを中心としたモバイル機器からのトラフィックとなると、30%が場所に紐付いたものになっている、という。2005年2月にグーグルがデスクトップ版地図サービスをスタートした時も、その発想は変わりなかった。
地図サービスという考え方は、決して珍しいものではなかった。だが当時、Googleが特徴的であったのは、衛星写真を組み合わせた表示が可能であった、ということである。衛星写真データの公開が始まったのは、サービス開始から2ヵ月後、4月のことだった。
衛星写真といえば、国などが利用する以外には、特別な料金を支払わねば見れないもの……というイメージが強かったため、「無料で自由に、いろんな場所の衛星写真が見られる!」ということで、多くの人に驚きを持って迎えられた。意味もなく衛星写真を見続けた経験は、どなたにだってあるはずだ。同時にアメリカでは、地図を使った経路検索サービスと、携帯電話向けのサービスも始まっている。
もちろん、今とはクオリティもかなり異なっている。しかし当時から、「行きたい場所の情報を検索し、Google マップをナビ代わりにして移動する」という使い方は、きちんと想定されていたのである。
(次ページ「予想外の「ハック」からAPI公開へ」へ続く)
この連載の記事
-
第7回
トピックス
Googleマップ「地図改善」への戦い ジェン・フィッツパトリック氏語る -
第4回
トピックス
Google マップが目指す「近未来」とは? -
第3回
トピックス
Google マップの「モバイル」は日本から生まれた -
第2回
トピックス
Google マップの「巨大システム×手作業」が支える見やすさと拡張性 -
トピックス
僕らが知らないGoogle マップ - この連載の一覧へ