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ベンチャーピッチ×アスキー

腕時計業界にベンチャー革命「ユニクロ式」で価格破壊

2014年10月05日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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注目スタートアップのビジネスモデルを分かりやすく解説。ノットは製造小売(SPA)モデルにより、1万円台でメイドインジャパン品質の腕時計を製造・販売している企業。

 セイコーの前身となる服部時計店が純国産腕時計「ローレル」を発売したのは1913年。

 それから50年弱が経過し、セイコーが世界初のクオーツ式腕時計「アストロン」を発売した1969年以降、腕時計市場の製造現場は大きく変わった。大手メーカーが心臓部にあたるムーブメント(動力部)を供給し、商社や代理店が開発・製造・販売などを細かく分業するようになった。

 そして100年以上が経った今、製造から販売までをすべて自社で請負う新たなメーカーが日本に誕生した。社名はノット。日本製にこだわり、製造小売、今風にいえばユニクロ式のSPA生産を国内腕時計業界で初めて実現する。

 ノット創業者の遠藤弘満代表はルミノックスやスカーゲンなど腕時計の元プロモーター。スマートフォンに押される腕時計の再起を図りたい、高品質かつ低価格に作れれば勝負はできると考えた。

 まずはデザイン、設計、組立、精度調整、最終検査などの製造工程を自社と協力会社に統一し、委託コストを削減。ケースとストラップのサイズを標準化して金型代をおさえ、開発費も削減した。

 さらに商社、ブランド、代理店と多岐にわたる中間流通をすべてカット。

 インターネットを窓口に国内の腕時計工場と客を一本で結ぶことで、1万円台でもメイドインジャパン品質の腕時計を実現した。開業前にクラウドファンディングで資金を募集したところ、280人から500万円を超える出資金が集まった。

 余剰コストを下げたぶん、品質にはこだわった。

 ムーブメントはシチズン製、ケースは厚さ6.5mmの薄型設計。フェイスには硬質なサファイアガラスを使用する。ストラップにイージーレバーを備え、ストラップを簡単に交換できるようにした。

 インターネットからの注文時はケースとストラップをそれぞれ選べるようになっており、自分だけの「究極の1本」が買える仕掛けだ。

 精密機械である腕時計はどうしても高くなる。そんな業界の常識を破壊したいという遠藤代表。将来は全国に直営店を出し、腕時計の流通を変えていきたいと話す。


【訂正とお詫び】初出時、一部表記を誤って掲載しておりました。訂正してお詫びいたします。(2014年10月6日11時)


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