「ファイナルファンタジーの『クリスタル』がひとつのイメージ。ゲームの世界を再現するような感覚で、万歩計を製品化できないか」——。
オムロンヘルスケアの活動量計「HJA-700T Active Shift EDGE」(以下、HJA-700T)の開発に携わったオムロンヘルスケア 商品事業統轄部デザインコミュニケーション部・江下就介シニアデザイナーは、意外な言葉から、この製品のコンセプトについて語り出した。
Active Shift EDGEの製品ブランドで展開する「HJA-700T」は、“男性のアンチエイジング”をコンセプトに開発された活動量計だ。ターゲットとなるのは30〜40代の男性。「開発チームも30〜40代で構成した。同年代の人たちが、どんなことに響くのか。その結果行き着いたのが、HJA-700Tで提案したスタイルであった」と、江下シニアデザイナーは語る。
「運動をしたいが、できていない」という人
これを補足するように、オムロンヘルスケア 商品事業統轄部ライフリズム事業部グループリーダー代理・下瀬陽子プロダクトマネージャーも、「これまでの活動量計(万歩計)のコアユーザーは、50〜60代、あるいは定年を迎えたシニア層。従来のアプローチでは、30〜40代のユーザー層を獲得できないと考えた。『健康くさくない』活動量計とはどんなものか。その観点から商品企画を進めていった」とする。
活動量計や体脂肪計、体温計、あるいは医療分野で高い認知度を誇るオムロンのブランドイメージは、裏を返せば、30〜40代の男性にとっては、「まだお世話にはなりたくないブランド」ともいえる。
しかし同社の調査では、30〜40代の男性は運動やスポーツを行う目的や期待として、「緩んだ体を引き締めたい」「減量したい」という意識が高いことが浮き彫りになっている。「男性も30代以上になると体型変化への危機感を持ち始めている」(江下シニアデザイナー)というのが実態だ。
そして、「『運動をしたいが、できていない』という人が多いのもこの年代の特徴。その理由としては、やる気が継続しない、仕事が忙しいといった声があがっている。運動が必要と感じながらも実行できていない」(下瀬グループリーダー代理)という声もあるという。