Maker Faireといえば、DIYのおまつり。
米オライリーが2005年に創刊した雑誌『Make:』(関連サイト)に始まる一大ムーブメントを象徴するイベントだ。今年4月、そのMaker Faire が中国の深センで開催されると聞いて気になっていた。深センといえば、かつての秋葉原を思わせる混沌に包まれたエレクトロニクスの拠点。巨大電脳ビルをスーパーのカゴを持って一周すれば最後の設計図を含めて携帯電話が1台作れるようなところ(関連記事)。
そんな深センでお台場の科学未来館で開催されたようなMaker Faireが開かれるときいて「えっ?」と思った。そこで、自身参加してきたチームラボの高須正和氏に聞いてみることにした!
(角川アスキー総研:遠藤諭)
会場で購入できる製品が多いという意味
── 日本でも開催されているMaker Faireですが、実際に参加した感想は?
日本のMaker Faireとの違いという意味では、置いてあるものが、市場化を前提にして、ハードもソフトも練り上げてきているという点でしょうか。買えるというのは単にそこでお金のやり取りが発生する以上の意味があります。売るからには出展するもの自体の質が問われますし、パッケージ、内容、アプリ、ハード全部が強くないといけない。
シンセンのMakerFaireについては、DMM.Makeでレポートを書きました(関連サイト)。
印象に残った出展のひとつに、テニスラケットに付けて運動を全部記録し、BLEでスマホにつなげて、スイングのスピードや軌跡、試合のリプレイをスマートフォンアプリで確認したり、全米のテニスサークルと連携して指導がよりやりやすくなるというアイデアがありました。あと数ヶ月でクラウドファウンディングサイトのKickstarterに出すそうです。これを使えば、自分のトリックを可視化して、さらに新しいトリックを覚えていくことができる。
そのためにはウェブサービス部分とスマホアプリの部分を使いやすくて、負荷などに耐えられる、プロの品質でつくらなければならないし、テニスラケットに取り付けるセンサーも信頼性が高くてカッコよくないとならない。そして、たぶん1~2万円ぐらい安くしないと、誰も買わないでしょう。複数のスキルを持った人たちがチームを作らないと完成しない、非常にクールな作品ですよね。これが単に試作機が展示されているだけでなく、Kickstarterを目指して計画されているわけです。実際に6月にKickstarterに出展されて、1000万円以上を集めています。
東京のMaker Faireにももちろん毎年行っていて、僕は東京を技術でもアイデアでも世界最高水準のMaker Faireだと思ってるのですが、日本人は趣味で作ったMake作品が多くて、チームを組んで、その作品を世界にばらまこうというところまで行かないことが多いように思います。もちろん、作るのをたのしむのがMakeのカルチャーなので、優劣はないのですが、深センのMaker Faireが、チームとして取り組み、日夜ひたすらMakeして面白い製品をつくることで、日本を超えるアイデアの製品がクラウドファウンディングに出てくることは衝撃でした。