学習用コンピュータソフトウェアを中心にした製品をリリースし、科学技術計算など基盤とした新技術開発を行っている日本ソフトウエアアプローチは、まったく新しい発想による「円弧動エンジン」の設計を完了し、同エンジンの試作機製作や実用化に向けて量産型エンジンを開発・生産に携わる提携先企業を探している。
円弧動エンジンは、ドーナツ状シリンダー内部で2つのピストンが円周方向に往復運動する構造。燃焼室は各ピストンの両側に存在し、シャフトの対称方向にもう1組のピストンが設けられる。ピストンの動きは歯車機構を介してシャフトに伝えられ、クランクにより吸排気バルブを駆動する。
既存のレシプロエンジンがピストンの直線運動をクランクを介して回転運動に変換しているのに対し、円弧動エンジンではピストン円弧状に動いて直線運動を回転運動に変換する必要がない。このため同社では従来型レシプロエンジンとロータリーエンジンの中間にあたる構造と呼んでいる。
シリンダーやクランク室といった構造を気筒ごとに持たないため、高効率が高いほかエンジン自体を小型・軽量でき、同社では自動車に用いられる2000ccクラスのレシプロエンジン(約200kg)と同程度の出力を10%程度の重量(約15kg)の円弧動エンジンで可能、燃費は1/3程度になるとしている。
公開された設計図はエンジンの基本構造だけでなく各部品の詳細にわたり、冷却や潤滑構造、応力分析も含む技術資料も同時に公開されている。同社では次世代の省エネルギー型ガソリンエンジン車やハイブリッドカーなどへの普及を見込んでいる。