「スター・ウォーズ」「マトリックス」「ロード・オブ・ザ・リング」…いずれも映画史に残る大ヒット作ですが、これらの作品がすべて、同じ“理論”を踏襲して創られているって、ご存じでした?
法則を守るだけで物語の印象が強くなり、感動的になる
その理論とは、ジョーゼフ・キャンベルという神話学の第一人者が提唱し、英語圏などでは物語創作者がみな「創作の基礎」として押さえている〈ヒーローズ・ジャーニー理論〉です(日本の創作界では、プロの世界でも――村上春樹氏や中上健二氏、宮崎駿氏などは例外として――この「基礎」が押さえられていないケースが多い、という批判も一部にあります)。
この理論は、世界中の多くの神話に通底する、下記のような要素を洗い出したもので、ぶっちゃけて言うと、こうした展開/ステージを踏まえると、映画や小説などのあらゆる物語の印象が強くなる、感動的になる、人の心に残るようになる、物語の印象が壮大になる、というわけです。
- ヒーローが日常の世界にいるところが紹介される
- 冒険への誘いが来る
- ヒーローは最初は乗り気ではない(冒険の拒否)
- ヒーローは賢者に勇気づけられる(賢者との出会い)
- ヒーローが自分の世界の戸口を出ていく(戸口の通過)
- ヒーローが試練や支援者に出会う(試練、仲間、敵)
- ヒーローが深い洞穴にやってくる(最も危険な場所への接近)
- ヒーローが剣を手にする(報酬)
- 帰路につく
- 復活する
- 宝物を持って帰還を果たす
いっぽうで、「こうした展開を踏まえると、物語が紋切り型になる」という批判も確かにあります。しかし、世界中で言い伝えられてきた「神話」の数々から連綿と続く、こうした「強い印象を残す」物語の枠組みは、そう簡単には、すたれません。
そしてこうした展開をいかに新鮮に見せるか、物語の中に「隠す」かが、現代における創作者の腕の見せ所ともなっています。そういう意味では、いまだに古びていない創作手法であると同時に、まだまだツカエる映画・小説の鑑賞法/批評法たりえているわけです。
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