シュアのインイヤーイヤフォン「SE846」が、8月1日にいよいよ発売となる。「1997年発売のE1以来培ってきた、知識とノウハウを詰め込んだ製品」と同社が自負する、同社の新たなフラッグシップイヤフォンだ。
何よりも大きな特徴は、高域、中域、そして「デュアル低域」の、4基のドライバーを搭載する点だろう。各ドライバーは、SE846のために一から開発したものだ。
迫力と明瞭さを両立させたのは「ローパスフィルター」
SE846の「目玉パーツ」と言えそうな「ローパスフィルター」を簡単に説明したい。ローパスフィルターは、同社オリジナルのステンレス製パーツだ。
SE846は低域用ユニットを2基搭載するが、低域用ユニットだからといって低域のみを出力できるわけではない。低域用ユニットからも中/高域にあたる帯域の音が出てしまうため、単純にユニット数を増やすと、低域用ユニットから出た中/高域が、中域用/高域用ユニットからの出力とぶつかって音が濁ってしまうのだ。
そこで同社が開発したのがローパスフィルター。形状の異なる10枚のステンレスプレートを積層したもので、低/中/高域ごとに異なる経路を通過する設計になっている。
具体的には、低域用ユニットからの出力は約4インチの経路を通過し、75Hz付近からの帯域が自然にロールオフする。中/高域用ユニットからの出力はストレートにノズルまで届く。フィルターを通過したことで「濁りを生じさせる帯域が減衰した低域」と、中/高域用ユニットからの音がノズルで混合することで、豊かな低域と明瞭な中/高域を両立できるという仕組みだ。(構造について詳しくは、こちらの記事でも説明している)
実際のところ音質はどうなのだろう。試聴用のプロト機で確かめてみた。