イー・モバイル(イー・アクセス)は、LTE方式を用いて、下り最大75Mbpsの速度を実現するモバイルデータ通信サービス「EMOBILE LTE」を3月にスタートする。これに合わせて、EMOBILE LTE対応のモバイルルーター2製品、USB型アダプター1製品を発表している。
今回の発表はあくまで予告的な形であり、実際のサービス内容については、3月のサービス開始時に公表するとのこと。ただし、月額の利用料金については、モバイルデータ通信サービスの“標準価格”になりつつある「3880円」を目標とするとのことだ。なお、スタート当初のLTEでの人口カバー率は約40%だが、2012年度末には約70%を予定している。
スマートフォンの本格展開はもうちょっと先
2013年初頭からか?
イー・モバイルは先日発表した中期計画「成長戦略 2015」において(関連記事)、2015年の加入者数で660万契約を目標としている(現在は約400万契約)。ここで大きな武器になるのが今回スタートするLTEのサービスだ。
同社のLTEネットワークの特長は同社代表取締役社長のエリック・ガン氏から語られた。まずは現行の3GベースのDC-HSDPAと同一周波数帯を用いて、同一設備で構築している点、そしてイー・モバイルが用いる1.7GHz帯(1.8GHz帯)は世界的な観点からは、多くの事業者がLTEに用いている周波数帯で、国際ローミングや端末調達に有利という点にあるとする。
端末調達もしやすいとなると気になるのは、LTE対応スマートフォンの発売だが、発表会後の囲み取材において、ガン社長から積極的な姿勢が語られた。端末の登場時期としては、必ずしも早い時期ではなく、今年末から来年頭にかけて、本格展開を予定している。これはLTEの新仕様である「3GPP リリース9」(現在はリリース8)の正式発行にタイミングを合わせてのことだという。
リリース9ではより安価で、バッテリーの持ちにも優れたLTE対応スマートフォンが大量に市場に登場するはずであり、この時期にスマートフォンのラインナップを一気に充実させるとともに、現在データ通信の印象が強いイー・モバイルのプロモーション方針も含めて、大胆な戦略を打つ考えのようだ。その際は「ハイエンドから全部」(ガン社長)と語るように、スマホの人気モデルも多数リリースすることが期待できそうだ。
ただ、イー・モバイルは2009年にLTE用に新たに割り当てられた周波数帯のうち、すでに半分を「EMOBILE 4G」のDC-HSDPA方式向けに利用しており、EMOBILE 4Gが提供されているエリアでは、最大通信速度は下り最大37.5Mbpsになる。どのような形で最大75Mbpsと最大37.5Mbpsのエリアが混在するかは今回発表されなかったが、こちらもサービス開始時に公開されるとのことで、もうちょっと先のお楽しみになりそうだ。