1月19日、富士通からAndroidタブレット端末「ARROWS Tab Wi-Fi 」が発売された。IPX5/IPX7準拠の防水性能や、ネットワーク経由での地デジ視聴への対応(DLNA/DTCP-IP)、ワンセグチューナーの搭載など、国産メーカーならではの技術をまとめ上げた意欲作だ。
Androidタブレット市場において、海外メーカーを中心にすでに多くの製品が発売されている中、富士通はどのようにキャッチアップを図っていくのか。ARROWS Tabシリーズの商品企画とマーケティングを担当するパーソナルビジネス本部の高田和明氏(グローバルビジネス統括部シニアマネージャー)、田中大氏(パーソナルマーケティング統括部コンシューマプロダクトマーケティンググループ)、技術面での開発を担当したモバイルフォン事業本部の吉澤博之氏(モバイルフォン事業部グローバル技術部)、本郷学氏(モバイルフォン事業部第五技術部・機構設計担当)にお話を伺った(以下敬称略)。
評価の高い防水機能
――Android端末というと、現在スマートフォンが急速な普及を見せています。一方のタブレットは、個人ユーザーにとってはまったく新しいカテゴリーの製品です。今回ARROWS Tab Wi-Fiの開発にあたっては、どのような使われ方、利用シーンを想定したのでしょうか?
高田: 確かに、タブレットと呼ばれる端末がどのような市場を形成していくのか、必ずしもまだ明確ではありません。ただ、このARROWS Tab Wi-Fiがほかと大きく違うのは、富士通が持つ非常に多くの技術を取り入れている点で、誰もが簡単にネットワークにアクセスし、どんな場所でも好きな時に必要な情報を見られるという部分に注力しています。
現在最も評価をいただいているのは防水機能ですが、加えてDLNA/DTCP-IPに対応しているので、レコーダーに録りためた地デジの番組をお風呂の中でゆったりと見ることができます。そのほかには、例えば、おじいちゃんやおばあちゃんが遊びに来たときに写真をパッと見せられるといった、パソコンとは少し異なる情報機器の新たな利用シーンを作る製品だと考えています。また、NTTドコモ様を通じて提供している「ARROWS Tab LTE」では、屋外にも持ち出せるという価値をプラスしています。
従来、インターネットを利用するときのメイン端末はパソコンでしたが、タブレットやスマートフォンの登場でパソコンの販売が落ちているかというと、実はそうではありません。確かにネットブックの市場は急激に縮小していますが、パソコン全体ではむしろ伸びています。
ブログを書いたり写真を編集したりといった、少しクリエイティブな作業をするときはパソコンの電源を入れる。それに対して、ちょっとインターネットを見たい、お風呂の中でテレビや動画を見たいというときはタブレットというように、ケースバイケースで使い分けをされているのだと思います。このことからも、タブレットによってインターネットや情報端末を利用する新たなシーンが広がっているということが言えると思います。
田中: すでにLTE版ではユーザー層の調査を始めているのですが、ARROWS Tab LTEを購入後、家族共有の端末で使っている方が4割くらいはいらっしゃると分析しています。同じAndroidでもスマートフォンは自分専用なのに対してこの点は大きく異なりますので、新しい使い方が広がっていると感じています。