レノボ ジャパンは7日、1月のCES 2012で発表した「ThinkPad X1 Hybrid」の技術説明会を実施(関連記事)。国内のプレス関係者に対して、初めて実機をデモした。
ThinkPad X1 Hybridは、昨年5月に発表された「ThinkPad X1」をベースに開発された製品。Instant Media Mode(IMM)と呼ばれる独自の動作モードを持っており、IMM動作時にはバッテリー消費を通常の約半分(10時間以上)に抑えられることが特徴だ。
IMMは“IMMサブカード”と呼ばれるPCI Express MINI Cardによって実現されている。ここにはクアルコム社のデュアルコアプロセッサーのほか、16GBのフラッシュメモリーや無線LANチップ、ディスプレーおよびオーディオ用のインターフェースが搭載されている。いわばWindows 7が動作するx86ベースのシステムとは別に、Linuxが動作するSoCベースのシステムが内蔵されている形だ。
Windows 7上でIMMへの切り替え操作を実行すると、Windows 7はサスペンドに入り、代わりにIMM上のLinuxが起動する。その後、IMMから抜けるとWindows 7が復帰し、元の作業状態に戻る。一般的なクイックブートOSなどとは異なり、一方のOSを終了し、もう1方のOSを立ち上げるという手順は不要。ユーザーはOSの切り替えを意識せずに、2つのOSにまたがった作業を続けられる。
IMM動作時にはIMMカード+ロジックLSI用の消費電力が増すものの、マザーボードの消費電力を大きく減らせるため、結果として約1.8~3倍程度、バッテリー寿命を増やせる。
IMM側で搭載されているOSについては、カスタマイズしたLinuxと発表されていたが、今回オープンソース版のAndroidであると説明された。Androidマーケット利用やアプリケーションの追加などユーザーによるカスタマイズはできないが、ThinkPad Tabletに搭載されているランチャーなど、UIに関しては同社製Androidタブレットと共通化されている。
Android標準のブラウザーのほか、メーラー、音楽・動画プレーヤーなどが装備されている。Facebook、Twitter、YouTube、ニコニコ動画などのウェブアプリケーションも扱える。省電力機能などはWindows側の設定に依存させているほか、キーボードショートカットも共通化。日本語IMEに関してもUI部分を同一にするなど、別OSを使っているという意識がなるべく生じない工夫をしている。
IMMとWindows 7の切り替え
なお、IMMサブカード上に置かれたフラッシュメモリーは、Windows側からはUSB Mass Storageデバイスとして見える。したがって、撮影した写真や動画などを共有することが可能だ。また、キーボード・ディスプレー・オーディオ入出力といった周辺機能は、モード切替時にスイッチで切り替えて共有する。このため、IMMサブカードには通常のPCI Express MINI Cardが利用しないピンを使用したり、別途外部インターフェースを設けたりしている。
またPCシステムに対してIMMサブカードはペアリングされており、別のシステムに差し替えた際にはデータがすべて消去されるという。
レノボ・ジャパンの山崎 充弘氏によると、ThinkPad X1 HybridのようなHybrid PCの開発は、先端技術を次世代のPCにどう取り入れるかを検討する“Technology Outlook”の一環として、6年以上の期間、取り組んできた分野だという。ネットブックなどに搭載されている、インスタントOS(Splashtop)との差別化を検討しつつ、今回の成果に結びついた。
ThinkPad X1 Tabletの発売時期および国内での価格に関しては、現時点で未定だが、「製品は暖かくなる前に出す。価格はThinkPad X1にカード代を追加した程度になる見込み」(ThinkPad製品担当 プロダクトマネージャーの土居憲太郎氏)だという。また、当初は店頭での提供は行なわず、CTOで選ぶ仕組みにするとのこと。