2007年に発売され、「ガジェット楽器」という新ジャンルを確立した「KAOSSILATOR」。タッチパッドをなぞるだけで本格的なシンセサウンドが楽しめ、スケールとキーを設定すれば、誰でも音を外さずメロディーや和音が弾ける。そして無限回の重ね録りができるループレコーダーを駆使すれば、複雑な演奏も可能になる。そんな敷居の低さと奥の深さから、発売後しばらく入手難が続くほど、低迷が続くシンセ市場にあって例外的な人気を博した。
その後継となる「kaossilator 2」が、1月19日から22日まで米アナハイムで開催されたNAMMショーで、ついにお披露目された。初代のコンセプトをそのまま受け継ぎながら、縦長のスタイリッシュなデザインに生まれ変わり、それだけでも非常に魅力的。しかし当然ながら、機能面でも大幅なブラッシュアップが図られている。
ループレコーダーは2台に増え、クロスフェードが可能に。また新たに内蔵マイクや外部入力端子が付き、内蔵シンセ以外のソースもループとして重ね録りできるようになった。さらにmicroSDカードに対応し、録音したオーディオデータを保存できるだけでなく、シンセアプリ「iKaossilator」のループなど、WAV形式のデータを読み込んで再生できる。さらに演奏全体を録音するレコーダーも内蔵した。
初代KAOSSILATORは、タッチパッドを使ったDJ向けエフェクター「KAOSS PAD mini-KP」の筐体を流用して開発されていたが、そのKAOSS PAD mini-KPも「mini Kaoss Pad 2」へと進化。kaossilator 2と同じ筐体を利用しているため、うっかりするとカラバリのようにみえるが、全く別の機能を持ったハンドヘルドエフェクターである。
mini Kaoss Pad 2は「Looper」「Vinyl Break」「Ducking Comp」などのDJ向けエフェクトを搭載する。キューポイント(頭出し)の指定が可能なオーディオプレイヤー機能を内蔵したのが新しい。microSDカードのMP3/WAVファイルを読み込んで再生することで、単体でDJプレイができるようになった。
kaossilator 2と同様に、内蔵マイクと外部入力端子を持ち、内蔵オーディオプレイヤーと外部ソースのクロスフェードも可能に。ギターやシンセを接続してエフェクターとして使うのはもちろん、マイクに向かってしゃべった声がボコーダーを通してロボットボイスになるなど、DJに限らない遊び方ができるだろう。やはりkaossilator 2同様、パフォーマンス全体を録音する機能もある。
どちらもメーカー希望小売価格は1万6800円と、初代のKAOSSILATORに比べ価格もおさえられている。発売は3月中旬の予定だが、もう試せる実機はあるというので、KORG本社を訪ね、開発スタッフの皆さんに新型のポイントについて伺ってきた。
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