今回から開始する本連載では、中国のみならず、アジア全般のIT事情について紹介していく。今回はベトナムの首都ハノイのIT事情はどうなっているのか町歩きをしてみた。
バイクだらけなのはハノイだけ?
南沙諸島・中沙諸島を巡って反中感情が高まるベトナムであるが、首都ハノイは中国国境に近い距離にある。旅行した人ならわかるだろうが、ベトナムといえば爆走するバイクだらけのイメージがあろう。
外国人旅行者が訪れがちな街の中心部は、隙がないほどバイクだらけではあるが、少し中心部から離れるとバイクは少なくなり、路線バスに人々が依存する中国の地方都市と同様の光景が見られる。
つまり、ちょっと足を伸ばして、適当に目的地を決めて路線バスに乗ってしまえば、旅行ガイドや旅行記にありがちな光景とは別の、生活臭ある光景が広がるわけである。中心部ではベトナム人は外国人を見慣れているのか無反応だが、ちょっと外れれば外国人は注目の的となる。
筆者自身、ハノイは何度か訪れている。ハノイでも中国ほどではないが、行くたびに中心部から離れた住宅地や商業地にぽつぽつと新しい高層マンションが建ちつつある。しかも、一等地のマンションだとオークションになっているというのだから驚きだ。
“チャイナプラスワン”で真っ先に挙がるベトナムだから、マネーもここ数年で流入してきているのだろうか。
ノートPCの販売店が増加
薄型テレビの展示デモも盛況
お金持ち・小金持ちが増えたからなのか、街中で見るガジェットも変わってきた。ハノイの電脳街「リーナムデー」通りでは、数年前は自作PC(ショップブランドPC)ばかりが販売されていたが、今回の訪問時にはノートPCばかり販売されていた。
PC購入が身近になってきたのか、ノートPCをはじめとしたIT家電のパンフレットを市内で見かけるようになった。いくつかの非PCショップでもiPhoneプレゼントを目玉にしたキャンペーンを見かけた。
また、家電販売店も数年前はブラウン管テレビばかりだったが、液晶テレビやプラズマテレビ(筆者が見た限りだとプラズマテレビが多かった)がメインストリームとなっている。
面白いのは日本や中国の家電売り場と異なり、今が旬のテレビの展示では多くの店で両サイドに大きなスピーカーを置いて、映画をサンプル映像にガンガン音を出していること。
ソニーが「MUTEKI」というスピーカーを出しているし、どうも海賊版もよく売っているし、多くのベトナム人は家で映画鑑賞をしているのではないか。
中国企業もレノボ(PC・携帯電話)、TCL(家電)、長城電脳(PC)などをはじめとしてベトナムに進出はしているが、ベトナム人のウケはあまり良くないようで、日本メーカーや韓国メーカーのブランドを信じるきらいある。
ところで、ベトナムに行った人なら印象に残っているだろうが、ベトナムの家は狭く上に高く伸びている。家がしばしば浸水する環境であるためなのだが(“ベトナム 浸水”で検索すると経験した日本人の記録がズラリ)、そのため伝統的に重い大画面ブラウン管テレビや白物家電は住宅の2階以上に置かれがちであるのだとか。
いざという時、携えやすくて運びやすいものがいいというニーズにおいても、ノートPCや薄型テレビは人気なのだ。ベトナムらしいIT事情といえよう。
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