ポータブルオーディオで好みのサウンドを追求する際、大きなポイントになるのがヘッドフォン/イヤフォン選びだろう。その領域で大きな存在感を示し続けているのがオーディオテクニカ。最近では重低音を重視したカナル型イヤフォンやヘッドフォンの「SOLID BASS」シリーズが人気を集めている。
そんな同社は先月、重低音重視のヘッドフォンをはじめ、カナル型/インナーイヤー型のイヤフォンなど、多数の製品を一斉に発表。年末にかけて続々と発売される。今回はその中から個人的に注目の3製品をピックアップしてレポートしたい。
ずり落ち防止のイヤーハンガーが特徴的
インナーイヤー型の「ATH-EC707」
同社ではヘッドフォン/イヤフォンをいくつかのシリーズに分類しているが、その中でも装着性にこだわった製品が「EAR SUIT」シリーズだ。
2010年8月には、薄型でカバンの中への収納性も考慮した「ATH-ES33」を発売しているが、今回新たにインナーイヤー型の「ATH-EC707」(1万2600円)と「ATH-CM707」(9975円)の2製品をラインナップに追加した。今回は上位モデルであるATH-EC707を取り上げたい。
ATH-EC707は14.8mm径のユニットを採用。筐体には精密切削アルミ合金を利用することで、高級感のある仕上がりになっている。特徴は、装着感を高める“スイングアジャストイヤーハンガー”を搭載している点だろう。
耳に引っかけるだけのインナーイヤー型は、装着感に乏しく、耳から抜けやすいという欠点がある。そこでATH-EC707は、耳全体をフックとして使うスイングアジャストイヤーハンガーを利用し、抜け落ちを防止しているというわけだ。
スイングアジャストイヤーハンガーは上下に可動する。耳への取り付けは、まずハンガーを上方向に持ち上げてドライバ部分を耳に押し当て、その上でハンガーを下げて耳の後ろまで持っていく。文章で書くと複雑だが、実際にはそれほど難しくなく、片手でも簡単に取り付けられる。
耳たぶ全体を使って固定するため、首を傾けても容易に抜け落ちることはない。さらに、装着時はドライバを回転させることでケーブルの出る向きを調整できる。ATH-EC707のドライバ側のケーブルの根本は結構固いのだが、このドライバ回転機構で位置を調整できるため、長時間耳に当たって痛くなる、ということが避けられる。
ケーブル長は60cmで、iPodやウォークマンなどのプレーヤーを胸ポケットに入れて利用するケースでも、ケーブルが長すぎて邪魔になることはない。
デジタルオーディオプレーヤーをカバンに入れて運用する場合には短すぎるが、製品には60cmの延長ケーブルも付属しているので問題ない。そのほか、キャリングポーチとイヤーパッドも添付される。
インナーイヤー型というと低音が控えめで、中高音域が強いイメージに捉えられがちだが、ATH-EC707は低音もしっかり響き、バスドラムの音もしっかりした重みを感じられる。低音が前面に押し出された楽曲でも、雰囲気を損なわずに厚みのあるサウンドが楽しめる。全般的にバランスよく鳴るという印象だ。
インナーイヤー型ということで、カナル型とは異なる音場の広さがあり、気持ちよく音楽が聴ける。ただしカナル型と異なり、音漏れしやすい。外出中に使う場合は音量に注意しよう。
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