6月の発売日前後からレビュー記事を担当することが決まり、とりあえずはメーカー貸出機材(NEX-5だったが)で本連載を始めたものの、あまりの使い勝手の良さと汎用性に惚れ込んで、うっかり「NEX-3」の購入に至ったのが7月。
それから約4ヵ月ほど使用してきたNEX-3だが、自分では結構気に入って使っていて、連載でもその良さを多くの人に伝えようとしてるはずなのだが、この連載を担当する編集者が「いつ売るんですか?」とか「いくらなら売ります?」と聞いてくる。
「何故?」と聞くと、原稿の内容にそれほど「愛」を感じないらしく、そろそろ飽きて売ってしまうのではないのか、と思ったらしい。だが、そんなことは断じてない! NEX-3は大のお気に入りなのだ。
撮影の仕事にも使える高画質が魅力
筆者はオリンパスの初代PEN「E-P1」を所有しており、交換レンズもパナソニック製の20mmと14-45mmを持っているため、普段使う分にはそれだけで特別不都合はない。またスナップ用途のデジカメとしてはシグマの「DP2」も所有していて、とにかく身軽にしたいときに持ち歩いていたりする。
PENとNEXは性質や中身、使い方はまったく正反対なのだが、PENは小さい一眼デジカメ、NEX-3は少し大きなコンパクトデジカメといった感覚で使っている。NEX-3はコンデジ並のコンパクトさと気楽さが魅力なのだ。
しかしNEX-3にはお気軽仕様にプラスして、仕事カメラとしての一面も持っている。筆者にとってのNEX-3の最大の強みはここにあり、仕事で使えるコンパクトデジカメなのだ(ちなみに、筆者はプロカメラマンです)。
これまでもPENやDP2をところどころで仕事に使ってきたが、PENでは画質(主に高感度での撮影)でモノ足りず。DP2はせっかくの発色と解像力でも決定的にピクセル数が足りず、さらにレンズのバリエーションもない。結果的に仕事に使うことができなかったのだが、NEX-3は仕事にも使いまわすことができるのだ。
仕事でも使える最大の理由は、PENやDP2に比べて感度特性が高い点だ。出番としてはイベント等の取材時に(サブカメラとして)持ち歩くことが多く、撮影を終えてデータの整理をしていると、ほとんどの写真をNEX-3で撮っていることもあった。
雑誌の取材が多いので、使用するサイズも大きくてA4の半分くらい。もしくはウェブ掲載なので、それほど大きな解像度が必要ないのも手伝って重宝している。
コンデジライクな手軽さも魅力
筆者が仕事(撮影)でメインで使っているカメラはキヤノン「EOS 5D Mark II」である。スタジオ内で撮影している分にはカメラの大きさや重さはそれほど気にならないのだが、外での撮影となると少し話が違ってくる。
たとえばイベント取材に行く場合、気軽にレンズ交換ができなかったり、広い場面から狭い場面まで、めまぐるしく変わる撮影対象に合わせてカメラ+望遠ズーム、(2台目の)カメラ+標準ズーム or 広角ズームを持ち歩くことが多い。
具体的にいうと、カメラボディはEOS 5D Mark IIとEOS Kiss X3、レンズは24-70mmと70-200mmを持ち出すことが多い。カメラにはバッテリーグリップを装着しているため、それぞれ約1285gと約810gほどになり、さらに標準ズームの24-70mmが950g、望遠ズームの70-200mmが1470gで、合計で約4.5kgにもなる。
このKiss X3と24-70mmをNEX-3のセット(レンズ2本+魚眼アダプター)に差し替えることで、総重量は約3.4kg弱となり、1kg以上の軽量化ができる。
NEX-3だと外部ストロボが使えなかったり、電池の予備を多く持っていく必要があるなど、周辺機材は多少増えたりするのだが、今のところそれほどの問題にはなってない。むしろ軽く身軽になれることで体力的に楽になるし、動きやすくなる効果のほうが大きい。
もちろん、NEX-3の画質がデジタル一眼レフのAPS-Cサイズ機に匹敵するかといえば、残念ながらすべての面で満足できるわけではない。高感度撮影では十分なほどの性能が得られるものの、レンズ性能の問題が大きく、特に16mm単体や魚眼アダプター装着時は大きく劣る場合がある。
しかしながら、最終的な使用サイズが大きくないこともあり、事無きを得ている次第だ。対策的には“あまり絞らないようにする”こと。16mmでは基本的にF5.6前後、1段以内に抑える、18-55mmでもF8.0を基準に前後1段程度の範囲しか使わないようにすれば、それほど描写力が落ちることはない。
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